逆光のメディチ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 274
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101236186

感想・レビュー・書評

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  • 僕は作者の藤本ひとみさんとは縁もゆかりもない人間ですし、こんなところでこんなことを言ったところで1銭の得にもならないのですが、それらを踏まえたうえであえて言いたい。
    みんな、藤本ひとみ先生の作品を読もうぜ?!

    という感じのテンションで、先生の著作「侯爵サド」を読んで以来すっかり先生のファンとなった僕は、この間なんてつい会社の女性にまで先生の作品を薦めてしまいました。でも、僕の目の前でその女性がAmazonで藤本先生の作品を検索したところ、トップに出てきたのは「貴腐」というちょっと官能小説っぽい(まあ先生の作品は、全て官能的な表現の中にこそ輝きがあるのですが)ものだったため、気まずかったです。。。

    まあそんな個人的なエピソードはさておき、本作は中世フィレンチェを事実上支配していたメディチ家の若き兄弟ロレンツォとジュリアーノのお話です。

    ですが、2人が主人公というわけではなく、ストーリーの紡ぎ手は、ジュリアーノに恋するうら若き乙女アンジェラ……の視点で物語を語るレオナルド・ダ・ヴィンチです。

    何を言っているのか分からないと思いますが、僕だってそうですよ。。。
    最初、病床のダ・ヴィンチが口頭で語る回顧録を、若き恋人(ただし男性)が、記録しているところからお話は始まるんですよね。

    しかし、いよいよ自らの死期が近づいてきたことを悟ったダ・ヴィンチは言います。「今こそ語ろう……あの空白の数年間を……」的なことを。

    彼がこれまで、その数年間を決して語らなかった理由。
    それは、神に背いた男色の年月だったからです。
    出来ることならば、決して表に出すことなく闇へと葬り去るべきだった禁忌の日々……を若き恋人(男性)に語っているのだから、突っ込み待ち的なことなのかなあと思いました。

    さらに、ダ・ヴィンチは言います。その罪を語るために、少女の姿を借りよう。と。
    ダ・ヴィンチは物語の中で、アンジェラという可憐な少女となり、フィレンチェを飾った貴族の男性たちと恋に落ちていくのです。。。

    まあ、そんな感じで物語は進み、舞台はフィレンチェからイタリア全体へ。地位や名誉、そして憎しみと裏切り。
    それらを巡りつつも、なんだかんだ言って男たちはアンジェラ(レオナルド・ダ・ヴィンチ)を想い、そのために愛憎劇を繰り広げます。

    メディチ家当主ロレンツォ、天使の美を持つジュリアーノ、そして野生的な魅力溢れる妾腹の子レオーネ。
    物語は、ロレンツォとの当主争いに敗れたレオーネの凄惨な復讐劇によってクライマックスを迎えますが、そんな全員がアンジェラ(ダ・ヴィンチ)にベタ惚れだと、語るのです。ダ・ヴィンチが。

    正直、別に彼の回顧録だったことにせず、普通にアンジェラという少女がいて、彼女を中心に描かれるメディチ家の物語でよかったんじゃないかなとも思いますが、そこに官能的で退廃的なワンアクセントを入れてしまう藤本ひとみ先生にこそ、僕は憧れるのかもしれません。

  • レオナルド・ダ・ヴィンチ繋がりで勧められたので、さっき読み始めたんだが、もう色々辛いw
    このスレ的には藤本ひとみってどんな感じなの?
    歴史物結構書いてるっぽいし、気になるんだけど、ずっとこのノリじゃ辛すぎる。

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    パターンや主題がみんな一緒で、読んでいてウニウニになる

    本の帯に自由教育は暗殺者を生む・・この藤本ひとみの問カメに答えることができるか・・・って
    こんなの、すでに「大衆の反逆」やらなんやらで言われていることだし
    サドを描いた作品の帯で、三島、澁澤を超えた・・・あんまり恥ずかしいことを書くなよ 編集者

    で、よく読んでいるなと言われたら、その通りで、まあ、読んではいる
    図書館で借りる程度の出来かとは思うよ

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    藤本ひとみは歴史ものを期待するより、フィクションとしておもしろい。

    「逆光のメディチ」は藤本ひとみの中でもあまりおもしろくない。
    「ブルボンの封印」は面白い。歴史ものというより歴史を背景にしたおもしろ物語。
    「ウィーンの密使」もまあまあ面白い。
    「ハプスブルクの宝剣」はかなり面白いんだけど、最後が腰砕け。
    「聖戦ヴァンデ」はこの時代に興味があったらそれなりに読めるけどちょっとつらい。

    • hyakutoraさん
      藤本ひとみの作品は少女マンガのノベライズくらいに思って読んだほうが個人的にはすんなり読める(笑) たしか少女マンガも描いてたような? それぞ...
      藤本ひとみの作品は少女マンガのノベライズくらいに思って読んだほうが個人的にはすんなり読める(笑) たしか少女マンガも描いてたような? それぞれの作品評価がかなり自分と被ってたのでついコメントしました^^
      2012/11/06
  • 敬愛する藤本ひとみさんが書いた、大好きな歴史モノ。大好きなレオナルド・ダ・ヴィンチ&メディチという私には垂涎ものの内容。もう何回読んだか解んない。大好き♪
    レオナルド・ダ・ヴィンチの恋愛物語なんてなかなか無いと思う。自分を女として語るなんて発想がまたおもしろい。でもおかげでかなり感情移入できる(笑)
    それにしても、この小説って「ダ・ヴィンチの愛人」なんて改題されて再リリースされてるけど、何でそんな事するのかね…原題の方が断然いいのに…

  • レオナルド・ダ・ヴィンチによる土佐日記。けど、そこに書かれたいるのはフィレンツェがフィレンツェとして輝いていたメディチ家の血と策謀の記録。彼が彼女に託して何を語ろうとしたのか。タイトルがあまりにも秀逸で、読み終わったあとの懐古感がたまりません。

  • 集英社の改題版を読んだけどやっぱりこれは『逆光のメディチ』。
    簿記の歴史の本読んでたら昔読んだマンガ版を読みたくなったのだけど電子書籍はなかったので原作で。

    赤い結婚式も血生臭い戦闘もなく、金と権利使って戦争するの、さすがルネサンス。と思ったらそうでもなかった。

    相変わらず乙女ゲームにできそう。やったことないけど。

    レオナルド・ダ・ヴィンチが自らを女体化させて語る青年時代の恋愛話だけど、改めて読むと女体化させなくてもいけるな。ロレンツォとアントニーナとかそのままだし。

  •  表面的には中世のフィレンツェを舞台とした恋愛物のフリをしているが、実質的には同性愛を密やかに扱いながらも美しい愛の形をしていることに背徳の匂いを感じずにはいられない。

     物語の概要は、死期の迫ったレオナルド・ダ・ヴィンチが自伝を出版するために若い頃に犯した愛と過ちの物語を弟子に話すのだが、それは禁じられた男色の物語でもあるために、当時の自分を隠すために“アンジェラ”という少女の名と仮面を被って回想するという趣旨の物語。
     私がこの小説でまず感心したことは推理小説なら叙述トリックとして活用できそうな物語の中核をなすトリックを冒頭で明かしていることだ。
     その次に驚いたことが作中に出る情報量が多く、本の世界観を無限のように膨らませてくれていることだ。ルネサンス期の文化や風俗、人物を知るために作者が使用した参考文献の数はとても多く、生半可な気持ちで挑戦した作品でないことが察せられる。

     それほどの作品であっただけに物語中で度々“アンジェラ”に寄せられる男性からの好意に違和感を覚えてしまうことも確かにあった。キリスト教が支配していた世の中で同性愛は厳禁とされていたはずなのに、次々と皆が“アンジェラ”に魅入られていく。作中では主人公が女性であったこと、“アンジェラ”には理性的な思考と探究心が備わっていたこと、美しさの本質を知っているが故にそれと同等のものを“アンジェラ”は持っていたことなどが理由に挙げられている。
     だからと言ってここまで多くの男達を惑わしてしまうとは……。

     因みに、この作品のノリは私の趣向にぴたりとハマっているように感じたので、これからも同作者の作品は読んでいきたいと、そう思えた作品だった。

  • 後に「ダ・ヴィンチの愛人」として改題。
    うっかり買わないようにメモメモ(笑。

  • この物語はそのはじめから異色で、老人の告白をTS化して少女の物語として再構成している所にある。その少女はある男に恋をして、憧れとその失恋をばねに大成する。言い話だが、冒頭のTS化を考えると色々と含む所があるのがまた面白い。そしてその少女の正体だが・・・・・・それはぜひ読んで確かめて欲しい。彼女からみた逆行のメディチ家、ルネサンスに咲いたフィレンツェという大輪の花の物語を。

  • 15年以上前に読んだ作品。忘れられない1一作。

  • 取材量が半端ない。そしてその緻密に彩られた舞台で繰り広げられる話が始終ホモホモしい。腐女子な友人に読ませて、これで萌えられるのかどうか訊きたい。

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著者プロフィール

藤本 ひとみ(ふじもと ひとみ)
1951年、長野県生まれの作家。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光をあびる。フランス政府観光局親善大使。
国家公務員として厚生省に勤務し、その後は地方公務員に。兼業で少年・少女漫画の原作を手がけて、1984年集英社第4回コバルト・ノベル大賞を受賞。1992年に西洋史、犯罪を主題とした小説を描き始める。『侯爵サド』『ジャンヌダルク暗殺』で第19回および第23回吉川英治文学新人賞の最終候補。
ほかの代表作に、『新・三銃士』『皇妃エリザベート』『ハプスブルクの宝剣』『王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて』など多数。

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