サマータイム (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 313
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101237329

作品紹介・あらすじ

佳奈が十二で、ぼくが十一だった夏。どしゃ降りの雨のプール、じたばたもがくような、不思議な泳ぎをする彼に、ぼくは出会った。左腕と父親を失った代わりに、大人びた雰囲気を身につけた彼。そして、ぼくと佳奈。たがいに感電する、不思議な図形。友情じゃなく、もっと特別ななにか。ひりひりして、でも眩しい、あの夏。他者という世界を、素手で発見する一瞬のきらめき。鮮烈なデビュー作。

感想・レビュー・書評

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  • 11歳のぼくと12歳の佳奈の姉弟。

    姉の佳奈の真っ赤なサンドレス。

    どしゃぶりの雨のプール。

    左腕を失った13歳の同じ団地の少年、広一。

    佳奈の作った夏の小さな海のようなしょっぱい味の、ミント・ゼリーとリキュール・ゼリー。

    広一が弾くピアノのメロディー。「サマータイム」

    佳奈と広一の自転車の特訓。

    駆け足で過ぎた秋。

    こわされた自転車。

    引っ越してしまった年上の友だち。

    そして17歳、4年後の再会。



    まるで夏をうたう、一編の詩のような情景がさーっと駆け抜けていきました。
    夏だけど爽やかな風のような作品でした。

    姉妹編で「五月の道しるべ」「九月の雨」「ホワイト・ピアノ」収録。
    どの作品もとても素敵でした。
    「九月の雨」はずっとピアノが流れているようなかんじで、「ホワイト・ピアノ」もピアノのお話だったので、愛着がわきました。

  •  表題作の作品名は、ジャズの名曲からとられている。読んでいるとバックに流れてきそうな雰囲気がある。

     初読みの作家さんの短編集。表題作は月間MOE童話大賞を受賞している。4つの話は、夏、秋。春と冬の四季に割り当てられており、表題作に登場する人物は小5の進と一つ年上の姉の佳奈、そして中一の広一。素直な進、勝気な佳奈、大人びた広一の三人が織り成す物語。三人の出会いの夏から別れの秋、そして再会の夏を17歳になった進が色彩豊かにふりかえる。

     鮮やかな色彩、そしてジャズの名曲が流れるイメージ。これからの季節に読むべき作品だろう。

  • 佐藤 多佳子さん、初めての本でした。ふわふわ、きらきらした文章で、全体的にキレイな印象。中身、よく分からずに読み始めたので、ストーリーが異なる短編が入ってるのかと思ったら、つながってたんですね。

    初めの物語に出てきた人物、それぞれが別々の年代の話しをしつつ、初めの話につながっていくという、手法としてはよくある形のものです。

    でも、なんというか、表現の仕方が難しいのですが、キラキラしてる感じがするんですね。タイトルになっている『サマータイム』は文字通りなんですが、ほんと、子供の頃の一夏の思い出って感じ。

    言葉の使い方なのかもしれないです。
    ー 蛍光灯がぼやぼや光る夜の自転車置き場…
    ー 急にほのぼのとおかしくなった。
    ー それでも、俺はシャクゼンとしなかった。
    カギかっこの中では無いところで、登場人物が考えていることを、まるで誰かとしゃべっているように書かれているのにも、引き込まれていきます。

    爽やかで、キレイなお話しでした。

  • 姉の佳奈と一つ下の僕が出会った、2つ年上の片腕の広一。三人のひと夏の物語。
    突然の雷雨や、佳奈の失敗したゼリー、夏の終わりにぴったりの話だった。
    センダくんのホワイトピアノはおばあちゃんという例えと、佳奈とのやりとりが良かった。

    自分が子供時代に我が家にもピアノがあった。姉とともにレッスンに行く度に嫌がり、結局自分だけは通わずに済んだ。
    にもかかわらず、発表会には正装させられていたな~。大人になってからは楽器が得意な友人を見ては、あの時習っておけばと後悔した。

  • 佐藤氏は本屋大賞をとった「一瞬の風になれ」や「黄色い目の魚」、「しゃべれども しゃべれども」等 とてもいい作品があります。
    この「サマータイム」は佐藤氏のデビュー作です。
    4篇からなっていますが、それぞれのキャラクターがしっかりと自分を持っています。
    子供から大人まで面白く読める本です。
    大切にしたい一冊です。

  • 表題作含む4作品収録
    表題作は著者のデビュー作品
    その他の作品もみな関連もの
    姉弟と男友達がそれぞれの章で語るお話
    男友達は右腕がない
    語り手の思いが伝わりました

  • 「一瞬の風になれ」が好きだったので手を出してみた。ふつー。あんまりビビッと来なかった。もう少し大人になったらわかるのかもしれない。

  • いやはや、参った。僕の好きな書評家の幾人かが高く評価している作家なのでいつか読もうと思っていたが、本当にすごい。最後の森絵都の解説が全て語っているように、切なさも美しい心の描写と1つ1つがキラキラした文章はこちらの心を揺さぶって仕方ない。終盤、主人公の1人がバレンタインに書いたメッセージ。あんなのもらったら誰だって「死ぬほど喜」ぶに違いない。

  • 夏、春、秋、冬…
    色んな表情を持っている、季節、モノ、匂い、空気。

    その一つ一つが、柔らかに思い出される。

    サマータイム
    夏の日の、ゼリーでできた海。

    あの頃に戻ってみたい。

  • 『海と自転車とピアノ:忘れられない夏の想い出』

    佐藤多佳子さんのデビュー作。
    進、佳奈、広一の夏の思い出を、情景が目の前にくっきりと浮かぶような、瑞々しい表現で綴る『サマータイム』を含む4編の短編集。
    登場人物の心理描写が秀逸!

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。1989年、「サマータイムで」月刊MOE童話大賞を受賞しデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で98年、産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、99年に路傍の石文学賞を受賞。ほかの著書に『しゃべれども しゃべれども』『神様がくれた指』『黄色い目の魚』日本代表リレーチームを描くノンフィクション『夏から夏へ』などがある。http://www009.upp.sonet.ne.jp/umigarasuto/

「2009年 『一瞬の風になれ 第三部 -ドン-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤多佳子の作品

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