黄色い目の魚 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 571
  • Amazon.co.jp ・本 (455ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101237343

作品紹介・あらすじ

海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンして以来、気がつくとみのりの表情を追っている。友情でもなく恋愛でもない、名づけようのない強く真直ぐな想いが、二人の間に生まれて-。16歳というもどかしく切ない季節を、波音が浚ってゆく。青春小説の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 絵を描くことは好きだが
    真剣になることができない
    サッカー部の木島悟と、

    イラストレーターの叔父だけに心を許している、
    絵を見ることが好きな村田みのり。


    鎌倉を舞台に
    2人の16歳の淡い恋心を描いた
    青春小説の傑作。



    チャットモンチーのオススメで
    この小説を知って、佐藤多佳子さんにハマりました。
    (女優の多部未華子さんもお気に入りの小説らしいです)


    胸キュン恋愛小説と言えば、
    まず思い浮かぶのは有川浩さんやけど、

    10代の恋愛を描いた瑞々しさで言えば、
    自分は文句ナシに
    この作品を推します(^_^)
    (ジブリの「耳をすませば」が好きな方なら
    間違いなくハマります!)



    二人の16歳の
    みずみずしい会話や、
    葛藤や心情を描いた悶々とした
    「揺れる」描写が
    とにかくリアルで、

    これほど甘酸っぱさを真空パックした小説も珍しいんじゃないかな(笑)
    (思春期の少年少女を描かせたら
    佐藤さんの右に出るものはいないと思う)


    酒に溺れ
    離婚後も絵を描き続け
    体を壊して死んでいった実の父親
    『テッセイ』のようにだけはなるなという、
    母の言葉に頷きつつも、
    絵を描くことをやめられない木島。


    あまりにも真っ直ぐな性格が過ぎて、
    家族や級友とも
    すぐにぶつかりあってしまうみのり。
    (エキセントリックな女の子像が素晴らしい!)


    不器用な二人の描き方が本当に丁寧で
    会話の全てが心に染み渡るし、

    読み終わってしまうのが
    悲しくなってしまうほど
    浸っていたくなる心地よさ。



    みのりが唯一心を許す
    叔父のイラストレーター木幡通や
    木島の所属する
    サッカー部行き着けのカフェの
    ウェイトレス、似鳥さんなど、

    主人公二人の脇を固める
    大人たちの生き方までもが
    みな切なくて切なくて
    胸を焦がします(≧∇≦)


    周囲に馴染めず
    自分の生き方を模索する思春期の二人が、
    お互いの共通点である「絵」を通じて
    少しずつ
    少しずつ
    心通わす様は、
    もう名人芸と言っていいほど
    胸がきゅい〜んとなる感覚を
    読む者に味あわせてくれる。

    またラストを締める
    二人の会話が
    本当に本当に
    秀逸なのです(T_T)
    (下手な映画見るならコレ読んで!)



    今の学生諸君!
    ありきたりで
    イージーな携帯小説読むくらいなら、
    コレにしなさい(笑)

    出会えた喜びを
    誰かに伝えたくなりますよ(^_^)v

    • まろんさん
      かなり前に読んだ本ですが、
      みのりと木島くんの不器用なはみだしぶりが
      かわいくて、ほろっとしたのを覚えてます。
      独特の存在感を漂わしている
      ...
      かなり前に読んだ本ですが、
      みのりと木島くんの不器用なはみだしぶりが
      かわいくて、ほろっとしたのを覚えてます。
      独特の存在感を漂わしている
      みのりのおじさんが素敵でした♪

      佐藤多佳子さんの作品には、この他にも
      『しゃべれどもしゃべれども』とか、『神様がくれた指』とか
      人と人との繋がりを丁寧に描いた名作がいっぱいあって、好きな作家さんです(*^_^*)
      2012/07/07
    • 円軌道の外さん

      わぁ〜まろんさん、
      ここにもコメント
      ありがとうございます!


      コレ自分もかなり前に読んだんやけど
      何回も買い直してるし...

      わぁ〜まろんさん、
      ここにもコメント
      ありがとうございます!


      コレ自分もかなり前に読んだんやけど
      何回も買い直してるし、
      もうずっと手放せない本のひとつで、

      ジブリの
      『耳をすませば』と同じく、

      苦悩しながらも
      自分の殻を破って
      少しずつ少しずつ
      成長していく二人を見ていると
      なんかドキドキするし、
      スゴくまぶしいんですよね〜(>_<)


      自分がそれだけ
      おじさんになったからかもしれんけど(汗)
      ホンマできるなら
      学生時代に読みたかったなぁ〜って
      何度悔しく思ったことか…(T_T)


      思春期の少年少女たちを描いた話の中では
      ダントツに好きな話だし、

      ノートにメモしたほど(笑)
      生きたセリフが
      とにかく
      いいんですよ!


      あっ、自分も
      『しゃべれどもしゃべれども』大好きです♪

      国分太一と
      まだブレイク前の香里奈が共演していた
      映画版も
      なかなかの良作でした(^_^)v
      (強面俳優の松重豊さんが、俳優人生で初の助演男優賞を受賞したのも泣けました!)

      2012/07/10
  • この間、サマータイムを読んでキラキラしてた佐藤多佳子さん、2冊目です。

    初めの章で「悟」の独白からはじまる。悟の視点で、悟の感覚、感触がずっと綴られていて、冒頭から悟に引き込まれていきます。

    と思ったら、次の章。全く違う話になって、今度は「みのり」の視点で話しが展開される。あれ?短編集だったっけ?と混乱するけど、3番目の章できちんと絡み合ってきて安心する。

    「みのり」も「みのり」の視点で、どんな思いを胸に秘めて生きてきたかが、自分のセリフで紹介されていくので、「みのり」の心にもすぐに引き込まれていきます。

    2人とも絵を描く父と叔父に強い影響を受けて育ちます。そして、2人とも絵に対する感性がとても強い。

    絵を通して気持ちが通じ合う2人だけど、恋人にはならないんじゃないか…と思いきや、やっぱりそこは。惹かれない訳がないですよね。そこに悟の憧れの大人の女性、似鳥ちゃんが。大人の女性ってズルいですね。

    真剣で真っ直ぐな2人の気持ちにこそばゆいような、応援したいような、そんな気持ちになりました。やっぱり、キラキラしてますね。

  • 20150527
    以前、友達に「高校時代に読むべき小説を挙げるとしたら何?」と尋ねた時、この「黄色い目の魚」を教えてもらいました。自分が感銘を受けたとっておきの本だと、友達は言っていました。
    第一章。読み始めて、どうしてこれが高校時代に読むべき小説になるのかよく分かりませんでした。文章も語り口で、始めはどうにも馴染めなかった。それでもなぜだか本を閉じられなくて、解説で角田光代さんが述べているように、私も佐藤多佳子さんの魔法にかかっていたのですね。
    読み終えて、なんて心地の良い、すがすがしい小説なんだろうと思いました。木島やみのりがずっと心に住みついてるような感覚。心地よくて少し切なくて、友達が、高校時代に読むべき小説として挙げた理由に納得しました。言葉では上手く言えないけれど、この心に残る温かい気持ちだけで十分です。

  • 絵を描く事が好きな少年、悟。
    絵を見る事が好きな少女、みのり。


    子供でもなければ大人でもない
    16歳というもどかしくて切ない季節。


    湘南を舞台に二人を取り巻く大人と
    二人の成長を描いた物語。



    16歳、、
    私は何を感じ、何に向かって歩いていただろう。
    将来について、人間関係について
    色々な想いはあっても、
    ただただ毎日を何となくやり過ごしていた気がする。


    みのりみたいに
    誰とも群れようとせず、
    嫌いなものを嫌いと言い切れる強さを
    私は持っていなかった。

    だからこそ潔癖で誠実なみのりが
    私にはキラキラと眩しく映る。


    みんなと同じ事で安心し、
    みんなと違う事に恐怖心を抱いていたあの頃。

    同じクラスにみのりがいたら
    きっと浮いていたと思う。
    そして、
    私はみのりに近づきもしなかったかもしれない


    「本気ってやじやない?」
    「こわくねぇ?自分の限界とか見ちまうの?」
    悟と同じ事を私も思っていた気がする。


    大人に抱く憧れと険悪感。
    自由奔放な大人に
    魅せられて縛られていた悟とみのり。


    足りないものを補うかの様に
    二人は絵を通して徐々に惹かれあい
    互いを成長させていく、、。


    あの頃、何にそんなにイライラし
    何をそんなに焦っていたのだろう。
    まだ、子供でいたい様な
    早く大人になりたい様な
    相反する気持ち。


    あの頃の自分に会って教えてやりたい。
    そんな風に悩んでいる今が
    過ぎ去ってしまえば、
    とても貴重で尊い思い出に
    あっという間になってしまうんだよと、、


    大人になった今
    悟とみのりが見ていた世界を
    二人のフィルターを通して
    もう一度見てみたくなった。


    私にとって
    忘れてしまった何か、
    置いてきてしまった何かを
    少しだけ呼び覚ましてくれる
    そんな一冊。


    子供から大人まで
    幅広い世代の人に読んで欲しいです。

  • 「本当に大事なことを口に出したりする時は、いつだって苦しい。」

    不器用だけど、まっすぐな二人の高校生のお話。
    群れるのが嫌いで家族ともうまくいかず、唯一叔父にだけ心を許しているみのりと、
    絵描きだった父の面影を感じながらも絵をなんとなく描き続ける木島。
    絵の被写体と描き手として、言葉にならないもので繋がっていく二人がだんだんと惹かれあい、やがて「好き」に変わっていく。その過程が見ていて、もどかしいのだけれどいい。
    みのりのかたくなさが、木島を想うことで少しずつ柔らかく変化していくのがよかった。

  • 胸がきゅうきゅうなります。みのりちゃんも、木島くんも、大好きです。まっすぐに「好き」というシーンが、とてもいいです。ニトリちゃんも素敵な人だなあ。テッセイも、通ちゃんも、みんな優しくて不器用な人たちだなあ。

  • 私がこの本を最初に読んだのは、思春期のど真ん中、中学2年生。家族のこと、友達との関係、部活のこと、進路のこと。不安と不満で一杯だった私に、この本はめちゃくちゃに刺さった。刺さりまくって、手汗と涙で文庫本のカバーがシワシワになった。それくらい、読み返した。

    ソフトボール部に入って、練習にもついていけない自分に嫌気がさしたこと。試合でエラーを出した次の日のいたたまれなさ…。

    上手くいかないアレコレに、「マジになること」の格好良さを教えてくれたのが、『黄色い目の魚』だった。

    この本には、2人の主人公が登場する。とてつもなく不器用で、真っ直ぐな2人。21歳のいまでは、「もっと上手くやりなよ」なんて思うのだけど、当時の私には憧れの2人。思春期の私に生き方を教えてくれた、人生の先輩です。

  • 読みながら、自分の痛いところをガツンガツン金槌で打たれているような気持ちになりました。それでも本を閉じる気になれなかったのは、文章があまりにも清々しくて、瑞々しくて、どうしようもなく惹き込まれてしまったからだと思います。
    自分の気持ちや人と向き合って逃げないことの怖さも苦さも、全て余さずに、リアルな筆致で、でも重くなりすぎずに、サラサラとなんでもないことのように描き出してしまう。作家さんというのは本当に恐ろしい人でもあり、救世主でもあるなあと思いました。「絵を描くこと」と「文章を書くこと」は、人の内面の一部を嫌が応にも外へ晒してしまうという点において、私が思っていたよりもずっと近しい作業なのかもしれないとも感じました。
    自分では今まで言葉にできなかった気持ちをひとつひとつ掬い上げてもらえたようで、読み終わった後には心地よい疲労感に包まれました。

  • 私の心からキライが減って、好きが増えてきた。それは、すごいことだ。ずっと望んでいて、なかなかかないそうもなかったことだ。(村田みのり)

    10年ぶりに再読。
    内容をすっかり忘れてた。

  • 佐藤多佳子という人は、心が鳴る瞬間を描くのが抜群にうまい。誰かの心にある硬い扉に気付いた瞬間、自分の中にある想いにハッとした瞬間、自分の心を波立たせる出来事に出会って息を止め、そしてそれが自分を動揺させ、苦しめることに向き合った瞬間。そして子供達の世界にはそんな瞬間が山ほどある。だから佐藤多佳子は、子供達を描くのが抜群にうまい。大人になってそんな瞬間瞬間が「知識」や「知恵」になり、「そういう気持ちになること、あるんだよね」と受け止めるようになると、こんな鳴り方、響き方はなかなかできない。ところがこの人の小説を読むと、そんな瞬間が主人公達を通して自分の中にまた蘇ってしまう。まるで自分の胸が痛んでいるような気持ちにさせられる。それはかつて自分が感じていて、今は鈍く唸るだけになった心の鳴りへのノスタルジーではない。主人公達のその瞬間を伝えてくれる、佐藤多佳子の力によるものなのだ。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。1989年に「サマータイム」で月刊MOE童話大賞を受賞してデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、路傍の石文学賞を受賞。『一瞬の風になれ』で吉川英治文学新人賞、『聖夜』で小学館児童出版文化賞、『明るい夜に出かけて』で山本周五郎賞を受賞。そのほかの作品に『しゃべれども しゃべれども』『神様のくれた指』『黄色い目の魚』『第二音楽室』などがある。

「2018年 『シロガラス5 青い目のふたご 5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤多佳子の作品

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