殺人者はそこにいる 逃げ切れない狂気、非情の13事件 (新潮文庫)
- 新潮社 (2002年2月28日発売)
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感想 : 68件
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784101239132
感想・レビュー・書評
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殺人犯13人に関するノンフィクション。犯人が捕まったのもあるが、迷宮化してしまったものもある。無期懲役で服役中に、仮出獄しお礼参りの罪を犯すのは許せない。
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未解決事件が多く掲載されていたので読み終わった後、気分がいいものではありませんでした。その殺人鬼が今もどこかに潜んでいると思うと狂気さを更に感じずにはいられません。
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私にも「殺したい」と思う気持ちが芽生えたことはあっても、
「(誰でもいいから)誰かを殺したい」という気持ちは全く理解できない。
人に危害を加えるのに「理由がない」というのは本当に怖い。
狂気は当たり前に暮らしている誰にでもある闇だ。
しかし、当たり前の生活から外れる怖さが、その闇を封印していると思う。
この本はまるで、解決しないミステリのようで後味が悪い。
いや、殺人に後味のいいものなど存在しないが、そこに「なぜ」が提示されないことが出口のない迷路のような、答えの出ない数式のようなモヤモヤしたものが、闇を刺激するのだ。
前に読んだ本に記された殺人者たちは淫楽殺人という、一応理由づけできる理由がある。
通常の意識下なら吐き気がするような光景の中で、エクスタシーを感じる性癖が彼らを犯罪に走らせ、反面、一般社会人として普通に暮らしている怖さがあった。
理由があるからといって、殺人が許されることはない。
しかし、理由がないことには納得できない、というのは私だけではないと思う。
犠牲になっていい人などいない。
とりとめもないものになってしまったが、ここにこうして生きているだけで、防ぎようのない狂気の被害に遭うかも知れないということを意識しなければいけないのだろうか。
ふと思ってしまった。
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第一部「未解決事件」の死角で殺人鬼が息を潜める
「少年法」の闇に消えたうたかたの家族―西宮「森安九段」刺殺事件
切断された「二十七の肉塊」は何を語る―井の頭公園「バラバラ」殺人事件
覆せない「物語」、最重要容疑者は何故釈放された―京都「主婦首なし」殺人事件
「行きずりかストーカーか」、見過ごされた殺意―柴又「上智大生」殺人放火事件
第二部 修羅たちは静かに頭を擡げ出す
「無期懲役」で出所した男の憎悪の矛先―熊本「お礼参り」連続殺人事件
切り裂かれた腹部に詰め込んだ「受話器と人形」―名古屋「臨月妊婦」殺人事件
第三部 暗き欲望の果てを亡者が彷徨う
封印された「花形行員」の超弩級スキャンダル―埼玉「富士銀行行員」顧客殺人事件
警察を煙に巻いたホストと女子大生の「ままごと」―札幌「両親」強盗殺人事件
「自殺実況テープ」の出してはいけない中身―葛飾「社長一家」無理心中事件
第四部 男と女は深き業に堕ちて行く
崩壊した夫婦の黒き情欲の陰で「微笑む看護婦」―つくば「エリート医師」母子殺人事件
「完黙の女」は紅蓮の炎を見つめた―札幌「社長令息」誘拐殺害事件
現場で「異常性交」をした二十歳の自爆と再生―世田谷「青学大生」殺人事件
「売春婦」ばかりを狙った飽くなき性欲の次の獲物―広島「タクシー運転手」連続四人殺人事件 -
作者イコール記者の方の熱意を凄く感じた本でした。また捜査の仕組みや、検察の対応等についても知ることができました。酷いの一言。被害者のお母さんの警察、検察への一言が全てです。
夢中になってあっという間に止めることができました。 -
警察小説を好んで読むので現実はそううまくいかないなというのと。
犯人として目星を立てられると無理矢理難癖つけて犯人に仕立てられてしまうえん罪事件がたくさんあることにぞっとする。
逮捕されずにどこかで生活している犯人がいるのだなと思うと恐ろしい。
日本の警察が優秀と聞くけど重大な事件だと解決できなかったりするのでちょっと疑いたくなるようなこともある。 -
判事達の苦衷が容易に窺える 奇矯な行動 深く溟い死の闇を見つめ 風聞ふうぶん 薬研堀 四人家族に擬していた 完黙の女はその欠損した小指の先で 犯人も被害者も淫靡な闇の中で叫んだろう あの頃持つ今も、私の周りに人殺しはいた。殺された人もいた。そうして、死者はいなかった。あの頃も今も、死んで帰ってきた人はいないのだから。
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このての本、好き。殺人者の心はどうなってるのか?知りたくて。「勉強しろ」に耐えられなくて親を殺した少年、周りからは優しい良い人と思われていた銀行員が犯した殺人、逆恨みで何人も殺した犯人など様々。でも確実にいる快楽の為に殺人を犯すサイコパス。どうやっても減らない凶悪な殺人。抑止力のある法律ができないものか。
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こんなことが世の中で起こってるのかと非常に恐ろしくなった。
犯罪を起こす者は恵まれない家庭環境だったりして、同情してしまうことが多かったが、この本の中に収められている事件の中にはそうではなく、いとも簡単に、単なる自分の都合で人殺しをしてしまうのだという恐ろしさ。そして、全く関係の無い人が巻き込まれていく恐ろしさ。
被害者がかわいそうで仕方がない、と同時に益々人間不信に陥ってしまった。 -
"人間とは、摩訶不思議な生き物だと思う。
多くの人に感動を与え幸せにする力もあるし、多くの人を恐怖に陥れ不幸にする力もある。
本書は、ノンフィクション。過去に起こった殺人事件を振り返ったもの。人間の闇の部分を見つめたもの。
解決した事件もあれば、未解決のままの事件もある。
日本の警察は優秀なのだが、限界もある。
司法でも裁けないものもある。
計り知れない、心の闇から生まれる非条理な行為に立ち向かう人たちの活躍については、淡々と添える程度の語り口。ここで語られる主人公は、犯罪を犯した(あるいは、犯罪を犯したであろう)人物。
おののく事件の数々は、小説ではなく実際に起こった出来事である。
いつも苦労、苦汁を強いられるのは、被害者とその家族。
加害者は、独自の理論、思考で自らを正当化して、存在し続ける。
本書は、どちら側の登場人物にもよい距離感で事件の顛末を淡々と語る。
同様のシリーズがいくつか続くのは、この距離感を保っているからなのだろう。" -
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平和な国、日本が最近変化してきているという論調を目にする事があるが、本書が示すようにこれまでも恐ろしい殺人があったし未解決の事件も多々ある。海外に出る時多少緊張感を持つように犯罪に巻き込まれるスクと向う必要が誰しもある。ただしこの本はそれでも防げないのだ…という現実を突きつけてくる。苦しい読後感。
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やりきれない「悪」が
そのまま、羅列される…
やりきれない「思い」が
ずっと 続いてしまう…
この世には
全く理解できない「輩」が
確かに いるのだ…
ー天網恢恢疎にして漏らさず
ー天罰
が 真実であって欲しい -
読後の後味の悪さはハンパなし。
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興味本位の域を出ない寄せ集め。同じ新潮45の「凶悪」がなかなかジャーナリズムを感じさせる物だったのでこれも読んでみたけどガッカリ感。
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あまりにも冷酷で残虐で理不尽な殺人の数々。蟻地獄のように社会の片隅でじっと息を潜めている狂気。何かのきっかけで自分もその餌食にならないとは言い切れない恐怖。これが現実に起こった事件だと思うと、あまりの気味の悪さに一気に読みきることはできなかった。
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2016.12.24
ノンフィクションを読んだのは久々。
身勝手な犯行が詰まってました。
ここまで他人に酷い事をしてまで自分の欲を突き通すか…と思うが、
こんな犯人達も同じ人間。
自分や自分の周りの人も何かあればそうなってしまうのかもしれない。 -
無期懲役とは。終身刑とは。死刑とは。
更生を期待をしたいが、田代まさしの一件などを見ると、一度罪を犯した人間が根っこから変わるとは思えない。ごまかして生きるか、フリをして生きるかじゃないかな。
この本を読むと、死刑やむばしという気がしてくる。無期懲役といいつつ、出てきたあとに遺族に復讐するなんて、狂気です。刑務所で更生どころか歪んだ感情を増幅させて出てきちゃう。
全員が全員そうではないけど、偏見で犯罪者を見てはいけないけど、大多数は更生しないと思う。
各章で異常殺人が取り上げられている。未解決だったり、解決済みだったりさまざまだが、死刑制度についてアメリカと日本の違いなど、考えさせられる一冊。
ここ最近遅読だと気づいた私は3日で読んだ。本編308P -
どれも遣る瀬無い事件ばかり。
ただ、そこに居たがため、通りかかったがため、
近所に居たがために、まったく不本意に巻き込まれた被害者の方を思うと、遠いことに様で他人事では無い。
こんなのって、ほんとうに恐ろしい。 -
罪のない人が余りにも簡単に日常を壊されてしまうことへの恐怖を知る。
性善説では語れない、凶悪な事件とその分析レポート週。
自分の身を守りながらどう生きていけばよいかを考えさせられる一冊。 -
〈目次〉
第一部 「未解決事件」の死角で殺人鬼が息を潜める
第二部 修羅たちは静かに頭を擡げ出す
第三部 暗き欲望の果てに亡者が彷徨す
第四部 男と女は深き業に堕ちて行く
〈内容〉
未解決事件や陰惨な事件が続く。が、覚えているものは少ない。我々はもう刺激に慣れすぎてしまっているのか…
「新潮45」編集部の作品
