魔性の子 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.72
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本棚登録 : 5517
レビュー : 632
  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240213

作品紹介・あらすじ

教育実習のため母校に戻った広瀬は、教室で孤立している不思議な生徒・高里を知る。彼をいじめた者は"報復"ともいえる不慮の事故に遭うので、"高里は崇る"と恐れられているのだ。広瀬は彼をかばおうとするが、次々に凄惨な事件が起こり始めた。幼少の頃に高里が体験した"神隠し"が原因らしいのだが…。彼の周りに現れる白い手は?彼の本当の居場所は何拠なのだろうか?

感想・レビュー・書評

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  • 内容が本編とはまた違った内容で重苦しかった。
    なかなか硬質な文で読み進まなかった(-_-;)

    「風の海 迷宮の岸」と「黄昏の岸 暁の天」の泰麒の外伝。
    ホラーのようなファンタジーのような不思議な作品でした。
    (ホラーとは言い切れない)
    (ちょっと“屍鬼”を思い出してしまいました)

    「生きていく辛さ」「人々の無情さ」「閉塞感」「抑圧感」
    現代の不条理、理不尽さで息苦しくって、10代に読んでいたら
    ビリビリ響くものがあっただろうなぁ…と感じました。

    =この世界は理不尽で悪意に満ちている=
    =ここから逃げればどこかに居心地のいい世界があるんだと思っているんだ=
    =この世界もこの世の人間も、全部消えていなくなれ。=
    =自分の夢でない世界は消えてしまえ=

    高里=蒿里(泰麒)と教生・広瀬の物語。

    これは「風の海 迷宮の岸」と一緒に読んで
    「黄昏の岸 暁の天」を読んだ後に、再び読めば
    きっとぴったりくるんだろう。

    高里と泰麒が同一なのは理解できるけど
    延王、廉麟、白汕子がなぜか関わってくるのか
    泰麒の角がどうして折れてしまったのか、
    なぜ失踪することになったのか、どうして蓬莱に
    戻ることになったのか、そこが分からないので
    また再読すること機会が出てくるでしょう。

    その時がまた楽しみでもあります♪

    十二国記の外伝と知らずに単品で読むと
    世界観がさっぱり分からないので、かなり拷問だと思う。

  • 面白かった。ストーリーテリングも上手いし、抑制された文体もいい。
    ん?十二国紀シリーズなの、これ?
    読んだの失敗だったかなぁ・・・。

  • 「行ってください。あなたは、人なのだから」

    神隠しから帰ってきた少年。
    彼に危害を加えるものは皆、偶然の事故に遭う――

    この世に居場所がない、失った故郷があると感じる青年と、故郷より流されてきた、帰る手段も忘れてしまった少年の話。
    得体の知れない何かがひっそりと陰に潜んで、訳のわからない問いを投げてくる、理路の通じない危害を撒き散らす、あたりが恐ろしいのだけど、「風の海、迷宮の岸」を読んだあとは180度読み方が変わるのが本当に面白い。

    劇的な運命を背負った高里を巡って、しかし物語としては、何者でもない広瀬が自分は何者でもないということを知らしめられるというのがなんとも印象的。エンオウお出ましの大災害が僅かにしか触れられないのが逆に恐ろしい。

    ということで最強の伏線ホラー。なんと全編が伏線、というか前日譚なわけですけど、前日譚だけ先に出るって凄いですね…。刊行当時の評判を聞いてみたい。


    来月の18年ぶり新刊を前にして何度めかの読み返しを始めたけど、あとひと月じゃ全然読み終わりそうになかった。若い頃と一緒にしちゃいけなかった。

    仕方ないから慶の話は飛ばして、泰の話だけの読み返しにしよう。

  •  遠方への出張があり、行きも帰りも1時間くらい電車に乗りっぱなしだったので、たっぷり読むことができました。
     十二国シリーズの再読をしていましたが、この作品だけは読んでいませんでした。初めて読んだときは、ミステリーだと思っていて、途中から「あ、ホラーだ」と思いながら読み、最後は「なんだったんだ、一体・・・」と思ったことを思い出しました。十二国記を読む前だったからです。
     十二国記、とくに「黄昏の岸 暁の天」を読んだばかりだと全く違う空気で読むことができました。こんなにも多くの人が死んでしまっていたのですね。もっと早くに見つけられていたら、泰麒の記憶が戻っていれば、色々考えることがありますが、でも、それでも戻れて良かったと安心してしまいました。
     小野さんは十二国記の設定、世界観をこんなにも作りこんでいたんだなと感動しました。

     <以下引用>
     「決してお側を離れないと誓ったのに」・・・
     「ぼくが王の側を自発的に離れるなんて、ありえません」(p.408、p.409)
     
     どうか、1日も早く戴に平和を、と祈るばかりです。

  • 【うろ覚えで感想】
    十二国記を読み終わった後だったので、ホラーではなく番外編として。
    なので主人公の広瀬よりも、高里のぽっかり空いた気持ちや惨劇を起こすモノたちの思いの方に興味が偏りました。またこれを読んだのが子供のころで、広瀬や高里と同じように自分も「居場所はここじゃないんじゃないか」などと思っている時だったので、最後は残される広瀬に共感してしまいました。高里が羨ましくもあり・・・。
    読了後は十二国記の『黄昏の岸』を読みたくなります。


    【再読】
    嵌りに嵌って一気に読んでしまいました。
    先に十二国記を読んでいれば外伝として、読んでいなくてもかなりホラーでぞくぞくしながら読めます。でもやっぱり十二国記を読んだあとの方があらゆるところで、そうだったのか!と思えて倍楽しめるんじゃないかしら。
    本当に故国があって全身全霊で帰りたいと叫ぶ権利のある高里と、世迷言にすぎなかった広瀬。
    広瀬の報われなさが自身と被るというか、どんなに逃げたいと思っても結局ここで生きていくしかないんだなと。
    どこまでも人間の醜さが露見していて思わず人間やめたくなりますね。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「十二国記を読んだあとの方が」
      そうなんですか。。。
      新潮社から完全版が出たので読んでみようかと思っているのですが、シリーズ序章と書かれてあ...
      「十二国記を読んだあとの方が」
      そうなんですか。。。
      新潮社から完全版が出たので読んでみようかと思っているのですが、シリーズ序章と書かれてあったし、試し読みには良いかな?と漠然と思っていたのです。しかし悩むなぁ(どちらにせよマダマダ読めませんが)、、、
      2013/04/08
    • きょうさん
      >nyancomaruさん
      私個人的には十二国記を読んだ後にこちらを読んだ方が楽しいのではないかと思いますが、
      理解不能な不気味な雰囲気は十...
      >nyancomaruさん
      私個人的には十二国記を読んだ後にこちらを読んだ方が楽しいのではないかと思いますが、
      理解不能な不気味な雰囲気は十二国記を読む前しか味わえないのでそれもまたよいのかなと思います!
      そして十二国記を読了後にまたこちらを再読して~ってどれだけ読ませようとしているのでしょう(笑)
      2013/04/10
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「理解不能な不気味な雰囲気」
      ナルホド。
      それを味わうために最後にしましょう~
      「理解不能な不気味な雰囲気」
      ナルホド。
      それを味わうために最後にしましょう~
      2013/04/17
  • 「き、を知りませんか」

    この人智を超えたような文字の羅列が既に怖いんだけど…(泣)。

    ラスト近く、高里だけが自分の本当の居場所に帰るときの、広瀬の焦燥感がとても苦しかった…。

  • 泰麒が蓬莱に戻ってきてからの暮らしについて、教育実習生の広瀬目線で物語が成る。

    泰麒こと高里は小学生の時忽然と姿を消し、その1年あまりの記憶がない。
    こちらでは神隠しと言われているが、異世界の戴国で泰王に仕える麒麟だった。

    高里の周りでは、彼に害をなす者の怪我、死亡者が後を絶たない。
    気味悪がれ、また恐れられ孤立していた。
    そんな高里を気にかけ、広瀬が助けようと必死になってくれた。
    彼もまた、この世界に居場所がないと感じていたからだ。

    指令の暴走により事件は起こされていた。
    高里を守ろうとしてのことだが、日に日にエスカレートしていった。

    今までに読んだ裏側を描いたお話だったが、楽しめた。
    他の人物のこういったお話も読みたいな。

  • 最初に出たのがこの「魔性の子」とのことだけど、
    実のところ、それから10年後に刊行された「黄昏の岸 暁の天」の時期の、蓬莱の泰麒の物語。
    もうこんな頃から、十二国記の全貌ができていたことに驚いた。
    十二国記を読んだ後だと、正体がわかっているので、ホラーといっても怖くはない。
    麒麟と王が行方不明の6年間、こんな風になっていたのか、と。
    でもいきなり魔性の子を読んだ場合は、この得体の知れなさが不気味だろう。

    まさに「魔性の子」。。。

    泰麒を「守る」ために、敵対する者にことごとく報復が加えられる。
    「祟り」だとおそれられ、報復が報復を生み、泰麒は憎しみと血で汚されていく。

    泰麒が悪いわけではないのはもちろんわかるけど・・
    「誰も悪くない」というより、白汕子とゴウランが悪いよね。。
    誰より、泰麒の気持ちを酌まなければならないのに。
    誰より、血を望まないのは泰麒なのに。

    なんだか、切ない話だった。

  • 長編新刊に備え、久々に再読。ぐいぐい読ませる。面白いなー。かなり人が死ぬしスプラッタホラーでもあるけど、高里の孤立と広瀬の一方的な同胞意識が肝。高里のピュアさが広瀬の(ヒトの)醜さを際立たせてしまう。最後の最後におれは?って聞いちゃう広瀬に、痛々しさと同等の切なさを思う。改めて読むと後藤先生のありがたみを感じる。色々見えていて、良い人。
    メーターの方では持ってるこの表紙出てこなくて新装版で登録したが、この旧版の背後の黒髪ウェーブは…誰?泰麒?

  • 十二国記のエピソード0。

    夫が持っていた月の影〜から読もうと思っていたら図書館の予約の兼ね合いでこちらを先に読むことに。
    十二国記の内容を知らないので、登場人物から話を予想できずドキドキしながら読むことができました。
    広瀬も結局は自分のために高里の側にいたっていうのが、人間臭さってことかなぁ…

    それにしても人が死にすぎる…

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著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

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