月の影 影の海〈上〉―十二国記 (新潮文庫)

著者 : 小野不由美
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社 (2012年6月27日発売)
4.32
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  • 本棚登録 :3983
  • レビュー :351
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240527

作品紹介・あらすじ

「お捜し申し上げました」──女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。

「十二国記」が動きだす!シリーズ「本編」第一作、Episode1!

月の影 影の海〈上〉―十二国記 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 本作のアニメはだいぶ前から見ていて好きでした。
    ストーリーはだいたい同じですが、アニメと異なる主な点として、原作では陽子の通う学校が女子校だが、アニメでは共学であること。
    そして、原作であちらの世界に行くのは陽子だけだが、アニメでは、陽子と杉本と浅野(男)の三人であること。杉本は原作にもちょこっと出てくるが、浅野はアニメオリジナルキャラだったんですね。

    確かに、アニメとして面白味を出すには仲間もいた方が都合が良かったのでしょうね。

    さて、この上巻では、普通の女子高生の生活から急に異世界に引きずり込まれ、化け物との戦闘や、見知らぬ人に騙されたり、裏切られたりと救いの無い展開。救いや成長や希望は下巻になるのですが。

    それにしても、陽子がいなくなった後の現世のクラスメイトの描写が端々に出てきますが、何ともドロドロしくて嫌な気分にさせられます。
    しかし、薄い人間関係に甘んじていた陽子が、否応無しに人の本性を見せつけられ、良くも悪くも成長を遂げていくことになるのです。

    本作はファンタジー小説という装いの中で、一人の人間の成長を描いているのだと思う。もちろんファンタジーの部分においても非常に優れた作品です。

  • 小野不由美さんによる大河ファンタジー「十二国記」の、開幕の物語。
    一見どこにでもいそうな女子高生、でも人とは違う"何か"を持つ陽子が主人公。

    なんてことのない日々の高校生活を送っていた陽子ですが、、
    ある日、金髪の男性に異世界に誘われるところから、物語が始まります。

    流されるままに渡った先は文化も価値観も全てが異なっている世界、
    それでも不思議と言葉は通じ、一振りの剣と共に彷徨うことになります。

    道中、これでもかと云うくらいに"人間"に裏切られ続けながら、
    元の世界を垣間見ても、友人はもとより両親からも忘れられつつありながら。

    そんな負のエネルギーが覆いかぶさってくる状況は、
    徐々にしかし確実に、陽子を荒んだ心境へと追い込んでいきます。

    それでも、行きつくところまで行きついて、堕ちそうになった限界での一つ出会いによって、
    少しづつではありますが、再生と自立への道に戻っていく事になります。

    決して善意だけではないけれど、一つ一つを積み重ねていくことで救われていく、
    そんな風に自分を見つめ直しながら戻った道の先には、一つの"カタルシス"が待っています。

    初めて読んだのはもう10年以上前、妹に借りて手にとって、
    妙にシステマチックで社会実験のような設定とオリエントな雰囲気に引き込まれました。

    背景の一つにあるのは、天帝や西王母などの古代中国の神話となりますか。
    当初少女向けに描かれたにもかかわらず、埋め込まれたテーマは重く、印象的でした。

    さて、陽子の旅路の涯てに待っているモノは、、なんて。

  • 中学以来でしょうか。新装版が出るということで10数年ぶりに読んでみたのですが、昔読んだ感覚とはまた違った印象を受けました。
    今だからこそ、陽子の心情や彼女を取り巻く人達の行動などを理解することができた気がします。

    上巻はずっと鬱なのでここで諦めてしまう人が多そうですが、下巻で味わう爽快感は素晴らしいです。
    私の中ではダントツ1位です。

  • 十数年前、中学1年生の読書週間のために、母からの猛烈な勧めがあって読みはじめたのが、十二国記、小野不由美さんとの出会いでした。
    上巻はよく感想を聞くように、ちょっと重たくて、楽しい話でもなく、それまで読書の習慣のなかった私には辛く、内容も頭に入っているようないないような(笑)
    それでも母が、「騙されたと思って下巻の最後まで読んで! お願いだから!」と言うので我慢して読み進めたところ…下巻の中盤頃から、おや?と風向きが変わるのがわかって、ぐいぐい引き込まれ、読書週間の一日20分の時間が短すぎて放課の時間まで読み進めてしまいました。そしてすぐに上巻の初めからもう一度しっかり読み直しました。

    下手に泣かせに来るよくある物語のすぐ消えてしまうような薄っぺらい感動なんて、この物語の、同情を誘うわけでも、若い子が好む恋のお話が絡むわけでもなく、ただただ「生きること」「自分であること」を説きながら、ハッと気づかされて感動する、その心の重みに勝るわけがありません。シリーズの全てを通して、そういった種類の感動がずっと続くのです。もう最高です。一度虜になってしまったら、きっと抜け出せないことでしょう。

    あれから何度読み返したかわかりません。
    ティーン向けの物語だとのことでしたし、確かに若い子にこそ手にとってほしい物語かもしれませんが、
    (高校生が主人公で、自分を確立するために悩み傷ついて悟っていく。強く優しい心を学べるはずです)
    大人になった今でも、社会で荒んでしまった心を感じた時、ふとこの物語を思い出し、ああ、自分に負けてはいけない、私は私だと、勇気付けてくれる、私の人生のバイブルとなりました。ほんとうに、この出会いをくれた母に感謝しています。

  • 何度目かの読了。時々、読みたくなる本の一冊。これまではその度に図書館でかりてたんだけど、今回は購入した。
    陽子が裏切られ、襲われ、裏切られ、誰も信じられず、ボロボロになっていく様が印象的。
    それでも、なお、後半、人を信じていこうと決めるところ、実は選ばれた王だとわかるところはすごくワクワクする。上下ともに一気に読み終えた。
    おそらく、前王と同じように、現代の陽子からそのままの状態できたら王の器でありながらも、それを受け入れることができずに、終わってしまってたのかも、と思う。
    ボロボロになりながらも生きることを諦めなかった陽子。かっこいい。

  • ◆ファンタジー小説と侮ることなかれ◆
    普通の女子高生だった主人公の成長譚。
    突然放り出された異界で極限まで追い詰められる陽子。理由も目的もわからないまま襲い来る敵とたった一人戦い続ける過酷な旅。人に裏切られ、猜疑心に囚われ、肉体的にも精神的にも打ちのめされる。上巻は苦難の連続で読んでて辛い。でも自分と向き合い葛藤を乗り越えていく陽子の成長ぶりと物語の伏線が収束されていく後半の気持ちよさは必読。壮大な十二国記シリーズの第一作目。続きもぜひ!

  • 初読の時はそれはもう打ちのめされた『月の影〜』。新装版刊行で再読している訳ですが、なかなかあのトラウマに再対峙する勇気が出ず、それでも『風の海〜』を読んだ勢いで一気に読んでみた。
    上巻は特にどん底巻ですが、既に先を知っているからという部分を差し引いても、随分と楽に読めた気がする。

    初期の陽子は「いやだ」「帰る」と泣くばかりで、突然女子高生がわけもわからぬまま生きるか死ぬかという世界に放り出されたとはいえ、弱く、甘えていて、だからこそその偽りない人間くささに読む側は同調し、苛立ち悲しみ絶望する。それでも「生きて帰る」という強い意志だけは本来陽子が持っていた力であり、いろいろな事をしっかりと確実に学びながら前に進んでゆくその一歩一歩が、彼女を大きくはっきりとしたものにしてゆく。

  • 上巻はきっつい。
    いきなりわけもわからず放り込まれて、裏切られて裏切られて。
    ストーリーはわかっててもそれでも、読むのがつらくなる。
    でも、これがあるから下巻が生きる。
    これから出逢う人たちが、とてもとても素敵な人?たちで、かっこいい展開になる。つらかったからこそなおのこと。
    それを知ってるから、陽子ちゃんがんばれーと思いながら読む。

    で、知らずに自分も浄化されてるのだ。
    私ももっと信じてみよう、裏切りをおそれないでそれを受け入れる強さを持とう、
    できなくても、できるかもしれないかも、と力わいてくる。

  •  再々々々々……再読。

     一体何度読んだことか。
     最初に読んだのはまだ中学生だった頃。少ない小遣いを漫画に使わず、小説に使ってちょっと得意げだった。でも小説を読むのに慣れておらず、一場面一場面を理解し想像するのに手こずり、一行一行を舐るように読んだ。
     今はもう、そんな贅沢な本の読み方は絶対にできない。

     そして今数年振りに読んでみると、中学時代に築いた財産で、これ以上ないくらい十二国の景色と陽子の息遣いが想起される。新装版での一読みも、次に読む時の財産になるのだろう。

     私の財産を守る扉はこの一冊にあり。

  • 講談社文庫版ですべて持ってるけど・・・
    これはきっと買ってしまうだろうなぁ。
    新作書下ろし長編が楽しみすぎる。
    今月号のダ・ヴィンチのインタビューによると、舞台は戴になりそうなので、期待大!!

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