月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社
4.32
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本棚登録 : 4731
レビュー : 409
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240527

作品紹介・あらすじ

「お捜し申し上げました」──女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。

「十二国記」が動きだす!シリーズ「本編」第一作、Episode1!

感想・レビュー・書評

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  • 何年も前に挫折した物語。
    読むのが苦しくて怖かったから。
    数々の裏切りに胸が張り裂けそうになり、孤独な戦いに息苦しくなったから。
    でも、みなさんのレビューを読んでみたら、上巻はしんどいけど頑張って下巻まで読んで欲しいとの感想がたくさん。そこで、もう一度読んでみることにした。
    今回は、ちゃんと最後まで読めたし、この世界観にどっぷりはまり込むことが出来た。
    突然自分のいる世界が180度変わってしまった陽子。そこでは生き抜くためには剣を振るわなければならない。妖魔とはいえ自分の手で相手を殺す。時には人間に剣を向けなければならない時もある。辛い旅の途中、出会った人々の優しさに涙が溢れることもあるけれど、その涙はすぐに裏切りという絶望への涙へと変わることになる。ついには、本当の優しさを与えてくれた(かもしれない)人からも、自分から距離を置く。
    「絶望」と「死」がいつも陽子にべったりと張り付いているようだった。それでも、陽子は生き抜くことを自ら選び取る。
    元いた世界での陽子と、地図にない国、巧国での陽子。ただ漠然と生きているだけだった世界と、自らの手を血で汚しながら生き抜くことにしがみつく世界。
    帰りたいと願う世界には、陽子のことを本当に心配して待っていてくれるものはいなかった。だからといって、今いる世界では孤独と裏切り、ひもじさや怪我の痛みで立ち上がることも出来ない。
    なんて酷い試練が陽子に降りかかっているのだろう。なんで陽子だったのだろう。
    これでもかというほどに、陽子に絶望を与える、この意味は何なのだろう。
    冷たい雨の中、涙も涸れたまま倒れ込んでいる陽子にとって、この夜が与えてくれるものがゆるやかな死となってほしくはない。
    でも、この先に全然光が見えずに上巻が終わってしまった。
    どこに帰るつもりだったのだろう。

    • chikako0420さん
      こんばんわ。いつもお世話になっとりますchikako0420です。コメントありがとうございます!十二国記は表紙絵を担当している山田章博氏の可...
      こんばんわ。いつもお世話になっとりますchikako0420です。コメントありがとうございます!十二国記は表紙絵を担当している山田章博氏の可憐な絵に惹かれて買ったのですが中身はとても心に痛みを感じる内容で上巻しか読んでないのです。。。地球っこさんのレビューをみて最後まで読む勇気が出ました!ありがとうございます!
      2018/10/17
    • 地球っこさん
      chikako0420さん、おはようございます♪
      コメントありがとうございます!
      山田章博さんの表紙絵は、繊細で美しいで
      すよね。本屋...
      chikako0420さん、おはようございます♪
      コメントありがとうございます!
      山田章博さんの表紙絵は、繊細で美しいで
      すよね。本屋さんで平積みされていると、
      とても目が惹きつけられます。
      chikako0420さんのおっしゃるとおり、
      上巻はとても苦しくて、わたし一度挫折
      してます……でも、絶対下巻を読んでみて
      との沢山のレビューに励まされ下巻、読ん
      でみました。chikako0420さんも、ぜひぜ
      ひ下巻お手に取ってください。
      読んでよかったぁとなると思います。
      陽子の運命が一気に回りだしますよ(*^^*)
      2018/10/17
  • 本作のアニメはだいぶ前から見ていて好きでした。
    ストーリーはだいたい同じですが、アニメと異なる主な点として、原作では陽子の通う学校が女子校だが、アニメでは共学であること。
    そして、原作であちらの世界に行くのは陽子だけだが、アニメでは、陽子と杉本と浅野(男)の三人であること。杉本は原作にもちょこっと出てくるが、浅野はアニメオリジナルキャラだったんですね。

    確かに、アニメとして面白味を出すには仲間もいた方が都合が良かったのでしょうね。

    さて、この上巻では、普通の女子高生の生活から急に異世界に引きずり込まれ、化け物との戦闘や、見知らぬ人に騙されたり、裏切られたりと救いの無い展開。救いや成長や希望は下巻になるのですが。

    それにしても、陽子がいなくなった後の現世のクラスメイトの描写が端々に出てきますが、何ともドロドロしくて嫌な気分にさせられます。
    しかし、薄い人間関係に甘んじていた陽子が、否応無しに人の本性を見せつけられ、良くも悪くも成長を遂げていくことになるのです。

    本作はファンタジー小説という装いの中で、一人の人間の成長を描いているのだと思う。もちろんファンタジーの部分においても非常に優れた作品です。

  • 十数年前、中学1年生の読書週間のために、母からの猛烈な勧めがあって読みはじめたのが、十二国記、小野不由美さんとの出会いでした。
    上巻はよく感想を聞くように、ちょっと重たくて、楽しい話でもなく、それまで読書の習慣のなかった私には辛く、内容も頭に入っているようないないような(笑)
    それでも母が、「騙されたと思って下巻の最後まで読んで! お願いだから!」と言うので我慢して読み進めたところ…下巻の中盤頃から、おや?と風向きが変わるのがわかって、ぐいぐい引き込まれ、読書週間の一日20分の時間が短すぎて放課の時間まで読み進めてしまいました。そしてすぐに上巻の初めからもう一度しっかり読み直しました。

    下手に泣かせに来るよくある物語のすぐ消えてしまうような薄っぺらい感動なんて、この物語の、同情を誘うわけでも、若い子が好む恋のお話が絡むわけでもなく、ただただ「生きること」「自分であること」を説きながら、ハッと気づかされて感動する、その心の重みに勝るわけがありません。シリーズの全てを通して、そういった種類の感動がずっと続くのです。もう最高です。一度虜になってしまったら、きっと抜け出せないことでしょう。

    あれから何度読み返したかわかりません。
    ティーン向けの物語だとのことでしたし、確かに若い子にこそ手にとってほしい物語かもしれませんが、
    (高校生が主人公で、自分を確立するために悩み傷ついて悟っていく。強く優しい心を学べるはずです)
    大人になった今でも、社会で荒んでしまった心を感じた時、ふとこの物語を思い出し、ああ、自分に負けてはいけない、私は私だと、勇気付けてくれる、私の人生のバイブルとなりました。ほんとうに、この出会いをくれた母に感謝しています。

  • 小野不由美さんによる大河ファンタジー「十二国記」の、開幕の物語。
    一見どこにでもいそうな女子高生、でも人とは違う"何か"を持つ陽子が主人公。

    なんてことのない日々の高校生活を送っていた陽子ですが、、
    ある日、金髪の男性に異世界に誘われるところから、物語が始まります。

    流されるままに渡った先は文化も価値観も全てが異なっている世界、
    それでも不思議と言葉は通じ、一振りの剣と共に彷徨うことになります。

    道中、これでもかと云うくらいに"人間"に裏切られ続けながら、
    元の世界を垣間見ても、友人はもとより両親からも忘れられつつありながら。

    そんな負のエネルギーが覆いかぶさってくる状況は、
    徐々にしかし確実に、陽子を荒んだ心境へと追い込んでいきます。

    それでも、行きつくところまで行きついて、堕ちそうになった限界での一つ出会いによって、
    少しづつではありますが、再生と自立への道に戻っていく事になります。

    決して善意だけではないけれど、一つ一つを積み重ねていくことで救われていく、
    そんな風に自分を見つめ直しながら戻った道の先には、一つの"カタルシス"が待っています。

    初めて読んだのはもう10年以上前、妹に借りて手にとって、
    妙にシステマチックで社会実験のような設定とオリエントな雰囲気に引き込まれました。

    背景の一つにあるのは、天帝や西王母などの古代中国の神話となりますか。
    当初少女向けに描かれたにもかかわらず、埋め込まれたテーマは重く、印象的でした。

    さて、陽子の旅路の涯てに待っているモノは、、なんて。

  • 初読の時はそれはもう打ちのめされた『月の影〜』。新装版刊行で再読している訳ですが、なかなかあのトラウマに再対峙する勇気が出ず、それでも『風の海〜』を読んだ勢いで一気に読んでみた。
    上巻は特にどん底巻ですが、既に先を知っているからという部分を差し引いても、随分と楽に読めた気がする。

    初期の陽子は「いやだ」「帰る」と泣くばかりで、突然女子高生がわけもわからぬまま生きるか死ぬかという世界に放り出されたとはいえ、弱く、甘えていて、だからこそその偽りない人間くささに読む側は同調し、苛立ち悲しみ絶望する。それでも「生きて帰る」という強い意志だけは本来陽子が持っていた力であり、いろいろな事をしっかりと確実に学びながら前に進んでゆくその一歩一歩が、彼女を大きくはっきりとしたものにしてゆく。

  • 中学以来でしょうか。新装版が出るということで10数年ぶりに読んでみたのですが、昔読んだ感覚とはまた違った印象を受けました。
    今だからこそ、陽子の心情や彼女を取り巻く人達の行動などを理解することができた気がします。

    上巻はずっと鬱なのでここで諦めてしまう人が多そうですが、下巻で味わう爽快感は素晴らしいです。
    私の中ではダントツ1位です。

  •  再々々々々……再読。

     一体何度読んだことか。
     最初に読んだのはまだ中学生だった頃。少ない小遣いを漫画に使わず、小説に使ってちょっと得意げだった。でも小説を読むのに慣れておらず、一場面一場面を理解し想像するのに手こずり、一行一行を舐るように読んだ。
     今はもう、そんな贅沢な本の読み方は絶対にできない。

     そして今数年振りに読んでみると、中学時代に築いた財産で、これ以上ないくらい十二国の景色と陽子の息遣いが想起される。新装版での一読みも、次に読む時の財産になるのだろう。

     私の財産を守る扉はこの一冊にあり。

  • 2019.7.17
    サクッと読めて死ぬほど面白い。
    何度でも読みたくなる。

  • 何度目かの読了。時々、読みたくなる本の一冊。これまではその度に図書館でかりてたんだけど、今回は購入した。
    陽子が裏切られ、襲われ、裏切られ、誰も信じられず、ボロボロになっていく様が印象的。
    それでも、なお、後半、人を信じていこうと決めるところ、実は選ばれた王だとわかるところはすごくワクワクする。上下ともに一気に読み終えた。
    おそらく、前王と同じように、現代の陽子からそのままの状態できたら王の器でありながらも、それを受け入れることができずに、終わってしまってたのかも、と思う。
    ボロボロになりながらも生きることを諦めなかった陽子。かっこいい。

  • ◆ファンタジー小説と侮ることなかれ◆
    普通の女子高生だった主人公の成長譚。
    突然放り出された異界で極限まで追い詰められる陽子。理由も目的もわからないまま襲い来る敵とたった一人戦い続ける過酷な旅。人に裏切られ、猜疑心に囚われ、肉体的にも精神的にも打ちのめされる。上巻は苦難の連続で読んでて辛い。でも自分と向き合い葛藤を乗り越えていく陽子の成長ぶりと物語の伏線が収束されていく後半の気持ちよさは必読。壮大な十二国記シリーズの第一作目。続きもぜひ!

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著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

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