月の影 影の海 (下) 十二国記 1 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社
4.52
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  • (8)
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本棚登録 : 4045
レビュー : 343
  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240534

作品紹介・あらすじ

「わたしは、必ず、生きて帰る」──流れ着いた巧国(こうこく)で、容赦なく襲い来る妖魔を相手に、戦い続ける陽子。度重なる裏切りで傷ついた心を救ったのは、〈半獣〉楽俊(らくしゅん)との出会いだった。

感想・レビュー・書評

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  • 下巻読んで良かったです。つくづくそう思いました。
    何だろ。体の中にどっしりした何かが熱くなっているような、丹田に気が集中して重心が落ち着いた……そんな気持ちになりました。
    読んだ人に何かを残してくれる、素晴らしい物語でした。

    あんなに絶望的だった上巻から、陽子を救ったのは半獣、楽俊でした。楽俊の惜しみない優しさに触れることによって、徐々に陽子の傷ついた心が癒されていきました。
    それでも陽子は楽俊を信じることが出来ませんでした。この国に来てから自分に襲い掛かる敵や禍からの命の危機、出会った人々による酷い仕打ちは、それほど彼女を苦しめたのです。
    けれど陽子はついに一歩前へ進みます。自身が人を信じることと、人が陽子を裏切ることは何の関係もない。陽子自身が優しいことと他者が陽子に優しいことは何の関係もないはず。
    強くなりたい、死なない、ぜったいに、負けない……と声にだした陽子は神々しかったです。素敵でした。愛おしかったです。
    自分が誰も信じられなかったこと、敵しかいないんだと思ってたこと、そして楽俊を見捨てて逃げ出し、止めを刺しに戻ろうと思ったこと……そんな心の内を楽俊に明かしたこと、それは陽子が変わりはじめたからこその告白だったんじゃないかと思います。
    陽子の運命は一気に回りだしたのだけれど、その道はこれからも彼女にとって辛く険しいものになるでしょう。けれど、今の陽子ならきっと大丈夫。だって陽子の作る国を望んでくれる者たちがいるのですから。けっして独りなんかじゃないのですから。

    • 5552さん
      こんばんは、地球っ子さん。
      5552と申します。
      コメント欄でははじめましてですね(^-^)
      いつもレビュー楽しく拝見させていただいて...
      こんばんは、地球っ子さん。
      5552と申します。
      コメント欄でははじめましてですね(^-^)
      いつもレビュー楽しく拝見させていただいています。

      『月の影 影の海』前に読んでものすごく面白かった記憶があります。
      陽子の活躍を我が事のようにハラハラドキドキしながら読んでいました...といっても15年くらい前なので詳細が曖昧ですが(-_-;)
      でもラストシーンが印象的で読んでて思わず鳥肌が立ってしまい、姿勢を正しました(笑)

      そして...ああ、楽俊!
      中身が超イケメンですよね~、彼。(←メロメロ)
      地球っ子さんのレビューを拝見させていただいたら、当時の楽俊愛♥がぶわーっと溢れてきて、思わずコメントしてしまいました。

      これからもレビュー楽しみにしています。
      お邪魔しました。



      2018/08/20
    • 地球っこさん
      5552さん、おはようございます!
      コメントありがとうございます(^^♪
      こちらこそ、5552さんの本や映画のレビューいつも楽しく拝見さ...
      5552さん、おはようございます!
      コメントありがとうございます(^^♪
      こちらこそ、5552さんの本や映画のレビューいつも楽しく拝見させていただい
      ています。
      本当に面白いお話でした。
      わたしは、5552さんが読まれていた頃に一
      度挫折してそれっきりになっていました。
      でも今回はとても集中してこの世界に入れ
      ました。
      もっと早く読めていたら、もしかしたら
      ちょっとは人生変わっていたかも!と思える
      くらいの衝撃でした。
      今でも本屋さんにシリーズがずらりと並んで
      いるのが分かります。

      そしてそして・・・
      5552さんの楽俊愛♥よ~くわかりますよ!
      あの懐の深さには涙が出てきます。素敵ですね!同じくメロメロですよ~♥
      これからも彼は活躍するのかしら?
      十二国記シリーズ、楽しみです♪

      2018/08/20
  • おもしろかった〜♪
    上巻の息苦しさ、救いのなさに比べ、物語は一気に加速していった。
    解説にも記されていたが、読者も陽子と同じくしてこちら(あちら、というのが相応しいのかわかりませんが^^;)の異世界を知り、学んでいく、という手法が実にうまい。すばらしい。
    壮大なスケールで描かれていく序章なのだから、読んでいる読者にだって、わからないことだらけでいいのかも、と妙に納得。
    下巻を読み終えたあと、わからないまま読み進めていた上巻の数ページを読み返してみたところ、すーーっと紐がほどけていくかのような爽快感が半端なく心地よい。

    「ケイキ」と「タイホ」の意味合いがわからず
    あれ?
    この男の人はケイキじゃなかったの??
    誰が誰に向かって呼んでるの??とページを行ったり来たりし、わけもわからず読み進めていた上巻。
    下巻を読み終わり、再度上巻の「契約」シーンを読む。
    そしてまた下巻のーーーーー「許す」という言葉。
    ジーーーンと感動してしまった。

    それにしても楽俊。
    考え方がステキ。

  • うおー、面白かった。いや、前巻の苦しい気持ちばかりだったのが急展開。
    楽俊と出会い、十二国の世界を教えてもらい、見捨てて見つけて。楽俊の物言い一つ一つが優しいんだな。陽子のことを思って語る。壁落人から胎果と告げられ、「おー、高里と同じだったか」と合点。そして、慶国の新しい王であるとわかる。「決して王以外の前で膝を折らない」、あーだから高里は謝らなかったのだ、と。
    陽子が新しい慶の王だと気付くくだり。楽俊と陽子のやり取りに涙。「私が遠くなったんじゃない。楽俊の気持ちが、遠ざかったんだ。わたしと楽俊の間にはたかだか二歩の距離しかないじゃないか」。そして、楽俊を抱きしめたくだりに伏線があったとは(笑)
    草も木も人も獣も木に生るという設定は、なんだかすごい発想だなあ、と感心。神頼みもない。あくまでも自分の判断、力量によるものだと。なんだか訴えるものがあるなあ。

    で、延王の登場。いやいやドラマだわ。まあ、エライ人が普通に接近してくるなんてのは、ままよくある登場シーンだけど、話にのめり込んでいるから、陽子や楽俊と同じように、ポカーン。えーーー!?って感じで。
    そして、延王に謁見する際、楽俊が人間の若者の姿になった時のやり取りがね(笑)

    「正義と慈悲だけでは国は治まらぬ。」人の世のなんとも哀しきことか。
    「行ったことの責任を取る覚悟さえあれば、好きにしていいんだ」延麒の言葉は、自らにも刺さる。
    「わたしは、自分がどれだけ醜い人間か知っている。」そう思ってわかっていても、やはり醜い人間の生き方しかできないんだよね。
    ジョウユウの一言。「わたしは知っている。」それに気づき「わたしは、本当に愚かだ」という陽子。一人ではなかったことに気付くところが、深く心に響く。
    そして最後の陽子と景麒のやり取り。落ち着いた一言一言が、王になる覚悟を決めた心の強さがにじみ出ている。

    いや、もう名シーンのラッシュです。読んでいて、そこかしこで胸が熱くなる。いや、名作と言われる所以だろうな。

    人の上に立つものは、人の弱さ,愚かさ,醜さを知った上で、理想を掲げなければいけない。得てして弱さを知らない心強い人が上に立つと、ついていくものはしんどくなることがあるのだろう。王と言わずとも、組織のリーダー、グループの長になるなら、無自覚ではいられない。
    さて、景王陽子は、これからどのような政をするのか。楽しみですな。

    今回は一番のガッカリは解説。ネタバレし過ぎ。そりゃ再読の読者が多いのだろうから、その人たちには共感をもった思い出話的に読めるのでしょうが。初見の読者には勘弁してほしいわ。途中で慌てて読むのをやめましたよ。ネタバレ書くなら初めに断ってほしかったな。

    『魔性の子』で、最後に高里が戻るとき、延王が迎えに来て洪水になったけど、その時は、1人呼び戻すために延王もひどいことするなあ、なんて思ったのですが、蝕ということで不可抗力だったのですね。合点

  • 新潮文庫より完全版という体裁で刊行されて以来、ずっと読もうと思い続けて、なぜか買えてなかったシリーズ。
    この10月〜11月での2ヶ月連続4冊にも及ぶ待望の新作刊行のニュースに背中を押されて、いよいよ十二国記の世界へ足を踏み入れました。
    (実は、完全版ではEpisode0と位置付けられる「魔性の子」のみ、完全版刊行開始前に読んでいますが…)

    突如学校に現れた、薄い金色の髪を持ち、着物のような服を纏う謎の男に、行き先も詳細も説明なく一緒に来るように言われた、優等生の女子高生・陽子。
    と同時に、巨大な怪鳥の化け物に襲われ、何が何かわからぬまま、謎の男の使役する妖獣の背に乗って異世界へと連れられてしまいます。
    異世界で目を覚ました陽子は、男から渡された鞘付きの宝剣は手にしていたものの、男とははぐれており一人異世界をさまようことに…

    孤独に怯え、望郷の念に涙し、親切に近寄ってきた者に裏切られといった辛く過酷な経験が陽子に降りかかる中、彼女の心は荒み、時に利己排他的な考えにとらわれてしまったりもします。
    そんな彼女に同情したり、時にムカついたり、もどかしさを感じたりと、読んでいるこちらも心を慌ただしく揺さぶられどおしでした。

    特に印象に残ったのは、先の見えぬ旅路の中、時折陽子の前に姿を見せる薄蒼く光る毛色の人語を話す猿です。
    陽子が聞きたくないような、陽子を不安にさせイラつかせるようなネガティブなことばかりを述べたててくる蒼猿(どうやら陽子の無意識下のネガティブな思念が具現化したもののようなのですが)を見てると、「僕の頭の中あるいは心の中に住みついているヤツと一緒や」と思い、少なからずゾッとしました。

    旅路の中、楽俊という半獣の友を得たことで、陽子の心が少しずつほぐれ、同時に彼女の背負った運命も少しずつあらわになっていきます。

    読み終わって、壮大なスケールの運命、十二国各国の成り立ちのシステム等々に、ただ圧倒され魅了された自分に気づきました。

    そしてラスト1ページで、十二国記世界の歴史書の記述が引用され、このエピソードの結末が語られているのですが、大げさでなくリアルに鳥肌が立ちました。
    いやはや凄い世界に足を踏み入れたものです。
    これからまだまだ、この世界に浸れる幸せと歓びに胸がいっぱいです。

  • わたしにとって、ファンタジーの最高傑作。初めて読んだのは、ホワイトハート版。新潮文庫版刊行を契機に迷わず買い直したほど、衝撃的な作品だった。
    主人公陽子に襲いかかるのは厳しく生々しい困難。単に異世界に置き換えたわけでもなく、異世界でないと叶わない設定が、しっかりとストーリーにもいかされていて、世界は緻密に構成されていて、おもしろくてため息が出る。
    その世界のことがわからないまま、陽子と一緒に旅をして、陽子と一緒に徐々に世界を知っていく。世界が次第に明らかになっていくこと自体が快感で、まさにのめり込むように読んだ。

  • 烏号で陽子と再会した楽俊がイケメンすぎる。

    「陽子に信じてもらいたかった。それはおいらの問題。おいらを信じるも信じないも陽子の勝手だ。陽子はおいらを信じて得するかもしれないし、損するかもしれない。けど、それは陽子の問題だ。」

    まさにその通り。いちいち裏切られただのと相手を恨んで責めてもなにもならない。所詮は自分の次第なのだから。

  • 驚いた。面白い。

    上巻の陽子の惨憺たる様子から、一気に駆け上がってきた感じ。わくわくした。

    「ここでみんなの都合に負けて自分の生き方を決めたら、わたしはその責任を負えない。だから、ちゃんと考えたい。」

    裏切られ続け、信じることを見失ったはずの彼女の成長がすごい。
    そうして、かつて女子高生として存在していた優等生の陽子からは最早想像も出来ない。

    そして陽子はまた、人としての苦しみに抗えない塙王に王として叱責する。

    生きたいという思いで歩み続けた陽子が、王として立つその姿が眩しい。
    十二国記というシリーズの壮大さの一端が伺えた一冊だった!

    ちなみに陽子が開いたのが赤楽であり、赤王朝というのも良すぎ!(笑)

  • 十二国記シリーズを初めて読んだのは中学生のとき。
    大切なことをたくさん教えてもらった。
    読書の楽しみも教えてくれた。
    「私」というものを創り上げてくれているもののひとつだと思っている。

    社会人になってから、今回初めて読んだ。
    やっぱり大切なことがたくさん書いてある。
    なによりも、素直に面白い。
    キャラクターも相変わらず輝いている。
    そして、今では美しい描写にうっとりすることもできる。

    とにかく、心が揺さぶられる。

    生涯、大切にしたい作品だと改めて思った。

  • とにかく大好きな一冊。図書館派だが、買い揃えて何度も読み返すシリーズでその中でも秀逸と思う巻。楽俊が大好きだ。陽子の真実に気づく場面が何度読んでも飽きない。半信半疑で読み進めている時、尚隆が登場するところのサプライズが爽快で、本当に楽しい。尚隆の一貫した現場主義がすでに表れて、後からやっぱりと思わされるのも心憎い。

  • やっぱり楽俊はイイヤツだな(^^)楽俊みたいな友達が欲しいし、自分も楽俊のようになれたら♪と思うけれど、実際はなかなかねぇ(--;)

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著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

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