月の影 影の海 (下) 十二国記 1 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240534

感想・レビュー・書評

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  • 下巻に取り掛かって数十ページで「面白くなかったらシリーズは撤退する」という方針は、あっさり「シリーズ読破する」にとって変わった。上巻のゆっくりとした展開は、秀才のネズミ半獣・楽俊の登場によって急速に変わった。「世界」の全体像はうっすらと立ち現れた。以降怒涛の展開に至る。すみません、「陽子が実は麒麟の生まれ変わり」という私の事前認識は間違いでした。それぐらい私は、このシリーズのことを知らなかったと思って許していただきたい(「許す」と言われても貴方様にお仕えはしませんが^^)。下巻は久しぶりに1日で読み切った。

    理想国家論に「民主主義か、名君による独裁か」という議論がある(cf.「銀河英雄伝説」)。この世界の構造は、とりあえず各々の弱点を克服したものように感じた。それでもやはり綻びがあるらしい。まぁそうだろうな、とも思う。

    キャンベルの英雄理論に則して考察するに、陽子は未だ「究極の恵み」と「英雄の帰還」まで至らない。倭国(日本)に戻ることが「帰還」とは私は思わない。「帰還」には長い歳月が必要だと私は予測する。しかも、倭国と十二国との時間軸が同時に進んでいるっぽい。この作品が描かれて、未だ完結していないのはその辺りに秘密があるのではないかと、ふと思った。私の予測が当たっているかどうかは、このシリーズを読み終わって又考察してみようと思う。

    また、私の大胆な考察を(未だ第一部しか読んでいないのに)もう一つ披露する(←何の与太話かと笑って貰っても良い)。十二国の地図が下巻で披露された。先ず思ったのは、これは宇宙の自然が造る姿だろうか、ということだ。その規模がいくら巨大だとしても、千年以上の歴史があろうとも、この世界は人造物である可能性が高いと思う。一応メモとして、此処に書いておきたい。

    もし気に入ってシリーズを読み始めたら、当初は月2冊ぐらいのテンポで楽しみながら読み切ろうと思っていた。困ったことになった。そんなテンポに我慢できるだろうか。


  • 小野不由美さんの
    『十二国記・月の影 影の海』
    感想長いです…(^^;;

    壮大なお話のざっくりしたあらすじ

    ジーンズをはいただけで親に怒られちゃうような、超超箱入り娘の陽子。
    人の顔色ばかり伺い、親、先生、友人、誰にでも良い顔をしてしまう、とっても気弱な女子高生。

    そんな彼女がある日、学校に現れた妙な服装をした"ケイキ"と呼ばれる男性に半ば無理矢理に意味不明な契約を結ばされる。
    そしてケイキが現れたとほぼ同時にもの凄い数の妖獣が現れ、陽子達を襲ってくる。
    恐怖で『いやー、やめてー』と叫ぶ事しか出来ない陽子に、ケイキは無理矢理剣を持たせ、ライオンのような獣に陽子を乗せる。

    襲ってくる妖獣から、なんとか逃げ切り、気がつくと陽子は異世界にいた。周りには誰もいない。1人きり。

    上巻では、
    異世界の事も、自分が何故ここにいるのか、なぜ幼獣に襲われ続けるのかも、何一つ分からない陽子が(読者も分からない)、出会う人達に片っ端から裏切られ絶望し、空腹疲労ケガに耐えながら次々に襲ってくる妖獣と剣で戦う。ただ『家族のもとに帰りたい』という思いの為だけに心も体もボロボロになりながら、必死で生き延びる姿が描かれる。
    上巻は正直読んでいてとっても苦しかった。

    そして、下巻で彼女は生まれて初めて"楽俊"という名の半獣の友達ができる。共に旅を続ける中で、異世界を知り、自分が異世界に来た理由を知っていく。
    信頼のおける人達に出会い、彼女はどう生きるか悩む。自分の心に対して真っ直ぐ悩む。

    下巻は泣いたぁ!
    異世界に来てからの陽子の心の変化や成長が細やかに書かれ、人を信じる心を取り戻していく姿に涙!

    ファンタジーって凄い!
    用語、異形の生き物、地図、国や政治の仕組み、生活様式、経済、細やかでリアルに世界が作られている。

    実は人物と用語理解に苦戦し、上巻の途中でガイドブックを買いに行った。ガイドブックとネットのデータベースで読み進めて行くのが、一歩一歩、山を登って行くようでまた楽しい。

    これからどんな魅力的な人物や出来事が待っているのか、旅に出発した時のようなワクワク感でいっぱい(^^)
    そして今週末、十二国記をわざわざ届けてくれたお友達に会って「楽しかったよー!」と報告できるのが嬉しいです(^^)

    • 土瓶さん
      あっ! 業務連絡来てた~。

      【方舟】かぁ。
      人気作だよね~。
      驚きレビュー?
      う〜ん。ますます読みたくなるじゃな~い。

      まっちゃんも何気...
      あっ! 業務連絡来てた~。

      【方舟】かぁ。
      人気作だよね~。
      驚きレビュー?
      う〜ん。ますます読みたくなるじゃな~い。

      まっちゃんも何気に読むの速いよね~。
      集中力かな(⁠ ͝⁠°⁠ ͜⁠ʖ͡⁠°⁠)⁠ᕤ
      こっちは集中力散漫だし、すぐに目がショボショボするし、齢は取りたくないですじゃ。フガフガ(笑)

      原画展、楽しんできてね┏⁠(⁠^⁠0⁠^⁠)⁠┛
      2022/09/25
    • 松子さん
      どんちゃん、おつかれー(^^)
      原画展楽しかったよー♪満足!
      そのあと沈黙のパレード見たら、三尺魂の主人公の男の人が脇役で出てたっ!

      そう...
      どんちゃん、おつかれー(^^)
      原画展楽しかったよー♪満足!
      そのあと沈黙のパレード見たら、三尺魂の主人公の男の人が脇役で出てたっ!

      そうだった!
      楽しい方の業務連絡してたしてた

      方舟無理なくね、機会があったら〜
      どんちゃんも私も、akiさんの仕懸けにはまってるから(^。^)

      わたし読むの遅いよっ
      今はね、ちょっとお仕事控えてるから
      時間がいっぱいあるの
      だから今のうちに、みんなに紹介してもらったもの、いっぱい読もうと思って〜♪

      どんじいさん、目も体も大切にするじゃぁ。
      ふんがふんが松ばあより。(〃ω〃)
      2022/09/25
    • 土瓶さん
      まっちゃん、おっつー(⁠^⁠^⁠)

      楽しんでるね~(⁠ ⁠◜⁠‿⁠◝⁠ ⁠)⁠
      そっか、そっか。ありがとう。こっちまで楽しくなるよ♪

      【...
      まっちゃん、おっつー(⁠^⁠^⁠)

      楽しんでるね~(⁠ ⁠◜⁠‿⁠◝⁠ ⁠)⁠
      そっか、そっか。ありがとう。こっちまで楽しくなるよ♪

      【三尺魂】の主人公、もう覚えてないや(笑)
      ていうか、良くわかったね。さ~すが〜╰⁠(⁠^⁠3⁠^⁠)⁠╯

      今、観たい映画結構あるんだよね。
      【ブラッド・トレイン】
      【沈黙のパレード】
      【ヘルドッグス】
      あと、名前忘れたけど女の子が友達の骨壷持って窓から逃走するやつ。グッバイマリコとかいったかな?
      あと、阿部寛の警察の音楽隊のやつ。
      洋画にもなんかあったような。

      う〜ん。映画館に行きたい病を発症しそう。

      良い時間の使い方しとるのう。
      癒やし系のピッちゃんにもよろしく〜♪⁠~⁠(⁠´⁠ε⁠`⁠ ⁠)
      2022/09/25
  • 面白いよ。後は星5までには血湧き肉躍る展開が始まるだけ。陽子の決意には楽俊の貢献が大きいね。熱が冷めないよう「風の海 迷宮の岸」に進んでいきたい。

  • 平凡な日本の女子高生だった陽子は、十二国の南東の国巧国に流れ着き、未だ戦いは続いていた。傷ついた彼女は楽俊というネズミとの半獣に助けられる。北東の国雁国に逃れ、その国の王と会い、自身の宿命を知ることとなる。彼女は、東の国慶国の王に選ばれこの世界に連れてこられていた。責任の重さに悩みながら成長する少女。彼女のこれからと、十二国の統治の流れになるのかな。

    まだ世界観の全貌はわからないですが、今後のストーリーが楽しみです。作者さんが国名や王名に使用している文字などに意味を持たせているのかしら?何かメッセージありそうだけども、まだ掴めないですね。

  • 陽子の行く末を追った。

    なぜこの世界に来なければいけなかったのか…陽子の行く末をひたすら追い続ける下巻。

    故国へ帰るために必ずその真相を掴み取ってみせるという陽子の強い意志を随所に感じられてこれまた涙が出る。

    そして君が楽俊か…♪ずっと気になっていただけに会えたのがうれしい。
    楽俊との関係を築いていく時間も良かった。楽俊の一語一句に胸がキュッとしたな。

    そして思いもよらぬ真相。マジか!これはまだまだ壮大な物語の入り口なのかと思うと胸が高鳴る。
    そしてまたまた、まだまだ、行く末が気になる。

    • くるたんさん
      kumaさん♪こんばんは♪
      ありがとうございます♪
      壮大な物語、ゆっくり追いかけますね✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      kumaさん♪こんばんは♪
      ありがとうございます♪
      壮大な物語、ゆっくり追いかけますね✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      2020/01/24
    • 地球っこさん
      くるたんさん、こんばんは。
      コメントでは、はじめまして……で、す、よ、ね?
      いつも素敵なレビューを読ませていたたいてるので、何だかはじめ...
      くるたんさん、こんばんは。
      コメントでは、はじめまして……で、す、よ、ね?
      いつも素敵なレビューを読ませていたたいてるので、何だかはじめましての気がしません 笑

      十二国記、私も大好きです(*^^*)
      くるたんさんの温かいレビューに、陽子のことを思い出しちゃって、つい嬉しくてコメントしてしまいました。

      実は私、初めて『月の影 影の海』の上巻を読んだ時点で、陽子に降りかかる困難があまりにも辛くて読むのを挫折している過去があります(^o^;
      でもまた、十二国記の世界に舞い戻ってこ
      られて本当に良かったと思ってます。

      これからまだまだ広がる十二国記の世界、くるたんさんのレビューが読めること楽しみにしてます。

      あ、楽俊、素敵ですよね♪
      楽俊がいてくれて本当に良かったです。
      2020/01/24
    • くるたんさん
      地球っこさん♪こんばんは♪
      初コメ!ありがとうございます♡
      やっぱり地球っこさんもファンなんですね♪
      そう、あまりにも陽子が不憫で…完全母親...
      地球っこさん♪こんばんは♪
      初コメ!ありがとうございます♡
      やっぱり地球っこさんもファンなんですね♪
      そう、あまりにも陽子が不憫で…完全母親目線で見守っていました。
      楽俊がいてくれて、ガッツポーズ!光が見えました♪
      ねずみ好き、毛皮族好きの私にはたまりません♡
      ゆっくり追いかけたいです(*≧∀≦*)

      地球っこさんのチョイスされる本、レビュー、いつも興味津々、そして憧れてます( •̤ᴗ•̤ )
      2020/01/24
  • 上巻は、気を許した相手にも裏切られ、度重なる妖魔との戦いばかりで読んでいる私も、心が疲れてしまったが、この下巻でネズミの半獣 楽俊が登場したことにより、ようやく一息つくことができ、気持ちもほっとした

    陽子の質問に答える聡明な楽俊の説明により十二国の概要が明らかになり、読者もなるほどそういうことだったのかとちょっと先行きが明るくなった気がする

    親身に世話をし、雁国へ渡る旅にも同行してくれた楽俊を置き去りにしてしまったことを悔やみ悩む陽子

    追い詰められて誰も親切にしてくれないから、だから人を拒絶していいのか。善意を示してくれた相手を見捨てることの理由になるのか。ぜったいの善意でなければ、信じることができないのか。人からこれ以上ないほど優しくされるのでなければ、人に優しくすることができないのか。

    この広い世界にたった独りで、助けてくれる人も、慰めてくれる人も、誰一人としていなくても。それでも陽子が他者を信じず卑怯に振る舞い、見捨てて逃げ、ましてや他者を害する理由になどなるはずがないのに。
    「・・・強くなりたい・・・」
    胸を張って生きることができるように、強くなりたい

    単なる高校生だった頃の陽子とは見違えるようだ

    陽子は、慶の麒麟である景麒が選んだ慶の王であった
    自分にそんな資格があるのか悩む陽子

    まだ故国日本に帰る夢を捨てきれない陽子に楽俊は、今この地上に、陽子以上に慶国の民を幸せにできる王はいない励まし背中を押す
    「おいらは陽子がどんな国を造るのか見てみたい」と

    私も楽俊同様、陽子がこれから慶国の王として、荒れた国をどう立て直していくのか見てみたいと思った

    ここまでで、十二国のうち、功、慶、雁、奏が出てきた
    王の治世がうまくいっている国や後継者が決まらず荒れ果てている国など、ちょっとおもしろさがわかってきた

  • 手探り感満載で上巻は終わったが
    下巻の楽俊の登場から筋道が見え始める。

    最後に景麒との再会で物語が閉じ始まりの終わりとなり
    これから長い物語が始まることが知らされる。

    さすが売れるだけのことはありますね。
    シリーズの最後まで楽しみです。

  • 驚いた。面白い。

    上巻の陽子の惨憺たる様子から、一気に駆け上がってきた感じ。わくわくした。

    「ここでみんなの都合に負けて自分の生き方を決めたら、わたしはその責任を負えない。だから、ちゃんと考えたい。」

    裏切られ続け、信じることを見失ったはずの彼女の成長がすごい。
    そうして、かつて女子高生として存在していた優等生の陽子からは最早想像も出来ない。

    そして陽子はまた、人としての苦しみに抗えない塙王に王として叱責する。

    生きたいという思いで歩み続けた陽子が、王として立つその姿が眩しい。
    十二国記というシリーズの壮大さの一端が伺えた一冊だった!

    ちなみに陽子が開いたのが赤楽であり、赤王朝というのも良すぎ!(笑)

  • ★感想
    楽俊〜〜〜〜!!!希望の光をありがと〜〜〜!!
    上巻からの疑心暗鬼で、また裏切られるんじゃないかとハラハラしながら読み進めたけど、信頼できるパートナーだった!

    陽子自身が人を信じることと、人が陽子を裏切ることは何の関係もないはずだ。陽子自身が優しいことと他者が陽子に優しいことは、なんの関係もないはずだ。

    上巻の激しい裏切りがあったから、この言葉の重みがあるよね。。
    そして私自身の生き方にもはっとさせてくれる言葉だった。

    すごい世界観で、本当にあるんじゃないか?って思いながら読めました。

    • 地球っこさん
      あもーさん、おはようございます。
      『月の影 影の海』上下巻、読了お疲れさまでした♪
      楽俊がいてくれて本当によかったですね。
      わたしも楽...
      あもーさん、おはようございます。
      『月の影 影の海』上下巻、読了お疲れさまでした♪
      楽俊がいてくれて本当によかったですね。
      わたしも楽俊には「ありがとう」の気持ちがいっぱいです。
      『十二国記』の世界に一歩足を踏み入れてしまったら最後、あもーさんもなかなか抜け出せないかもしれませんよ(*^^*)

      素敵なレビュー、楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。
      2020/03/31
    • あもーさん
      地球っこさん、おはようございます!
      コメントありがとうございました(^^)

      楽俊に出会って物語が一気に前に進んでいく展開が、読んでいてとて...
      地球っこさん、おはようございます!
      コメントありがとうございました(^^)

      楽俊に出会って物語が一気に前に進んでいく展開が、読んでいてとてもワクワクしました。(同時にまた裏切られないかハラハラもしてましたけど笑)

      ほぼ初めてファンタジーを読み切れたんですけど、とっても面白かったです。
      次巻も買ってこようと思ってます。
      本を読む楽しみがある生活、最高ですよね!

      拙いレビュー読んでくださりありがとうございました!
      2020/03/31
  • 楽俊ありがとう。
    上巻では救いがなさすぎて荒れている陽子を救ってくれたのは彼で間違いない。
    やはり登場人物が魅力的だと一気に内容が面白くなってくる。貧しく苦難が続く慶国がどうなっていくのか楽しみです。

    それにしても解説にはちょっと気をつけたほうがいいと思った。読み進めると、なんかネタバレしそうな感じがしてきて読むのをやめた。

著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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