月の影 影の海 (下) 十二国記 1 (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101240534

感想・レビュー・書評

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  • 点と点がどんどんつながっていったラスト。とてもおもしろかった。
    心が震えた。

    「裏切られてもいいんだ。裏切った相手が卑怯になるだけで、わたしの何が傷つくわけでもない。裏切って卑怯者になるよりずっといい」
    陽子の成長が加速したのはここからではないでしょうか。

    陽子からエネルギーをもらい、気付かされることもあり、
    読む前と後では自分の中で何かが変わっている気がする。

    この物語に出会えて良かった。


    追記:
    十二国記を読み始めるより先に十二国記のサイトで「あなたの好きなキャラクター投票」をちらっとみてしまい、1位がねずみ?なぜ?と思っていたのですが納得。楽俊最高でした…。

  • これ以上陽子を苦しめないで…と祈りつつ、上巻を読み終えてすぐ、駆け込むように読み始めた下巻。

    差し伸べられた手をも信じることができなくなった陽子が、ギリギリのところで踏みとどまった場面で涙が出ました。
    自分が人を信じることと、人が自分を裏切ることは何の関係もない、と。
    そのことに気付き、行動に移していく陽子の姿は、強くて美しくて、とてもとても眩しかったです。

    そして陽子がこの世界に連れてこられた理由が明らかになり、怒涛のクライマックスへ…!
    体温上がったのではないかと思うくらいの高揚感に包まれながら読了。
    楽俊、尚隆、延麒など、魅力的なキャラクターが次々登場し、まだまだ彼らの物語が続いていくと思うと、うれしさで身体が震えます。

    読了後、陽子を次々と襲った過酷な出来事は、はたして天意であったのか否か…と考えてしまいました。
    そのあたりもシリーズを読み進めていったらわかるのでしょうか。

  • 下巻読んで良かったです。つくづくそう思いました。
    何だろ。体の中にどっしりした何かが熱くなっているような、丹田に気が集中して重心が落ち着いた……そんな気持ちになりました。
    読んだ人に何かを残してくれる、素晴らしい物語でした。

    あんなに絶望的だった上巻から、陽子を救ったのは半獣、楽俊でした。楽俊の惜しみない優しさに触れることによって、徐々に陽子の傷ついた心が癒されていきました。
    それでも陽子は楽俊を信じることが出来ませんでした。この国に来てから自分に襲い掛かる敵や禍からの命の危機、出会った人々による酷い仕打ちは、それほど彼女を苦しめたのです。
    けれど陽子はついに一歩前へ進みます。自身が人を信じることと、人が陽子を裏切ることは何の関係もない。陽子自身が優しいことと他者が陽子に優しいことは何の関係もないはず。
    強くなりたい、死なない、ぜったいに、負けない……と声にだした陽子は神々しかったです。素敵でした。愛おしかったです。
    自分が誰も信じられなかったこと、敵しかいないんだと思ってたこと、そして楽俊を見捨てて逃げ出し、止めを刺しに戻ろうと思ったこと……そんな心の内を楽俊に明かしたこと、それは陽子が変わりはじめたからこその告白だったんじゃないかと思います。
    陽子の運命は一気に回りだしたのだけれど、その道はこれからも彼女にとって辛く険しいものになるでしょう。けれど、今の陽子ならきっと大丈夫。だって陽子の作る国を望んでくれる者たちがいるのですから。けっして独りなんかじゃないのですから。

    • 地球っこさん
      松子ちゃん

      わぁ、5552さんと初めてコメントのやりとりをさせてもらったのが、この『月の影 影の海』だったんだ。

      もう4年前なんですね。...
      松子ちゃん

      わぁ、5552さんと初めてコメントのやりとりをさせてもらったのが、この『月の影 影の海』だったんだ。

      もう4年前なんですね。
      私はまだ『十二国記』は一度読み通しただけなので、松子ちゃんの楽しそうなレビューに、懐かしさを感じるとともに再読したくてたまらなくなってきました。

      この『月の影 影の海』の上巻は辛くて辛くて……、でも楽俊のおかげもあって下巻はぐんぐんいけました。
      読み終えたあと、ものすごい充足感を味わったファンタジーでした。

      松子ちゃんも残りの旅をどうぞ楽しんでくださいね(’-’*)♪
      2022/10/11
    • 5552さん
      松子さん、地球っこさん、こんばんは。

      懐かしいですね!
      あれからもう、四年も経ったのか…。
      私はもっとずっと昔な気がします。

      ...
      松子さん、地球っこさん、こんばんは。

      懐かしいですね!
      あれからもう、四年も経ったのか…。
      私はもっとずっと昔な気がします。

      おお、楽俊Lover❤が誕生しましたね!
      嬉しい!お仲間ですね。
      読んだのがもう、十年以上前なので詳細は忘れましたが、読んだときの衝撃、感動は今でも覚えています。

      途中離脱中で最新刊(といっても何年か前)も読んでないのですが。

      松子さんが楽しく読んでらっしゃるのを拝見して、ああ、面白い本は時を経ても面白いんだな、と嬉しくなりました。

      これからも良い旅を!

      2022/10/11
    • 松子さん
      ふふ、お二人の4年前のやりとりに
      突然お邪魔してすみませんっ
      でも、なんだかタイムワープしたみたいで楽しいです(^^)

      十二国記、こんな世...
      ふふ、お二人の4年前のやりとりに
      突然お邪魔してすみませんっ
      でも、なんだかタイムワープしたみたいで楽しいです(^^)

      十二国記、こんな世界があるのかぁ♡と毎回、感動しております!
      月の影の上巻が1番辛かったですが、その後の感動はもぅ、もぅ、もぅ、本当に凄かったです!

      はいっ!十二国記旅、ゴール目指して楽しみながら進んでいきたいと思います♪
      2022/10/11
  • 「裏切られてもいいんだ」
    「人は愚かだ。苦しければなお愚かになる」

    深く刺さる言葉です。

  • すっかりハマりました。

    陽子は過酷な旅を通して精神的にも肉体的にもどんどん強くなっていく。
    自分の弱さに向かい合い、置かれた立場から目を背けず成長する過程がこの上下巻。

    功国を出、延王に助けてもらい、国の様々なしくみを学ぶ。
    国の名前や呼び方の種類、人の名やあだ名など、中国風寄りのファンタジーです。
    日本は蓬莱国と言い、出てきます。

    長い「三国志演義」を観終わり、喪失感半端なかった私にはたまりません。

  • 話がスピーディーに進み、ドラマチックな展開。一旦ここで、休憩にしようかと考えていたのについつい続きを手にとってしまう。
    ファンタジーばあまり読む機会が多くはないが、読んでいると自分達の世界には無いもの・ない概念所謂架空の世界を作り出せることに感動。
    杓子定規な脳ミソを柔らかくしたいと思う。

  • 物語の後半で、謎の多くが見えてきます。物語が一気に加速し駆け抜け、本書の主人公陽子はいかなる決断を下すのか!
    次巻では、また違う国の話になるのかなぁ〜と思いつつ、『風の海 迷宮の岸』に歩みを進めよう。

  • 絶望的な上巻とは打って変わって、ワクワクが止まらない下巻!
    一人ひとりのキャラがいい味出してます。
    個人的には半獣で外見が鼠の楽俊が可愛くて堪らない。陽子と同じくその外見にすっかり油断してたから、彼が人間の姿で現れた時には拍子抜けしてちょっとキュンとしてしまった。笑
    延王と延麒が粋な感じなのも読んでて楽しい!

    それにしても、架空の世界をここまで細かく作り上げた作者、すごいな。子どもが木に成るとか、神頼みをしない国民性とか、いろんな設定がよく考えられている。

    上巻でいろんな裏切りに合い、やさぐれていた陽子だったが、下巻のはじめの方で、「自分が人を信じることと、人が自分を裏切ることはなんの関係もない。自分が優しいことと他者が自分に優しいことは、何の関係もない」という境地に辿り着く。ああ、そういうことを言わせるための上巻の苦難の連続だったのかと思った。
    あれだけの苦難のあとにそんなふうに思えるなんて、それだけで王になる資格満載だよ、陽子ぉぉ。
    さて、自分はそんなふうに人に接することができているか。優しさの裏にちょっとだけ見返りを求めてないか。
    楽俊が危険を顧みず陽子と旅を共にしたように、私もそんな選択肢を選べる自分でありたいな。

    というわけですっかり十二国記にはまりました♪

    • 地球っこさん
      yukimi516さん、こんにちは。

      『十二国記』私も大好きです。
      実はyukimi516さんの上巻のレビューに、

      下巻は大丈...
      yukimi516さん、こんにちは。

      『十二国記』私も大好きです。
      実はyukimi516さんの上巻のレビューに、

      下巻は大丈夫ですよ、面白くなりますよ、


      信じてください〰️とコメントしようか
      と思ってました。

      でも、そのコメントが下巻を読む上での
      気持ちの持ちように対するネタバレにな
      るかもしれない……と思って我慢しました 笑

      私は一度、辛くてしんどくて上巻挫折した
      ことがあります。
      でも今は下巻まで読むことができて本当に
      良かったと思ってます。

      これからまだまだ続く『十二国記』の世界。
      読まれることがあれば、ぜひレビュー載せくださいね。
      yukimi516さんのレビュー楽しみにしてます☆

      2020/02/28
    • yukimi516さん
      地球っこさん、こんばんは。

      地球っこさんのレビューを読んで気になっていた十二国記、遂に読み始めました〜!
      下巻を読んで、一気にこのシ...
      地球っこさん、こんばんは。

      地球っこさんのレビューを読んで気になっていた十二国記、遂に読み始めました〜!
      下巻を読んで、一気にこのシリーズのファンになりました!

      コメントしようとして下さったことも、私のモチベーションのことを気にかけて下さったことも、すごく嬉しいです(^^)
      ほんとに苦しい上巻でしたもんね。。
      私も苦しすぎてちょっと飛ばし読みした箇所があります。
      でも地球っこさんと同じく、本当に下巻を読めてよかったです!

      最後まで読む気満々なので、またレビューを読んでいただけたら嬉しいです!
      コメントありがとうございました(^^)
      2020/02/28
  • 私は正しい心根を持った主人公が進む一本道を描く上橋菜穂子さんの本も大好きだが、慶王のような特筆すべき点がなかった等身大の人物の、覚醒を描く本も大好きだ。改めてそう思った。
    自分なら覚醒できるのかを、問いかけることができるからだ。

  • ファンタジーは本当にダメなのに、何なんだ!?
    この面白さ。

    物語の面白さもあるが、語彙も多く文章表現も魅力的で、
    こんなに惹かれたファンタジーは初めてだ。

    ファンタジーの世界は想像しにくいのが苦手だったのだが、
    挿絵があるのが有難い。
    この世の中に有り得ない生き物もしっかり頭の中に描かれながら物語が進んでいく。

    あぁ、先が読みたい。

    こんなに先が読みたいと思った本は久しぶりかもしれない。

著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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