風の海 迷宮の岸 十二国記 2 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4379
レビュー : 357
  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240541

作品紹介・あらすじ

幼(いとけな)き麒麟に決断の瞬間が訪れる──神獣である麒麟が王を選び玉座に据える十二国。その一つ戴国(たいこく)麒麟の泰麒(たいき)は、天地を揺るがす<蝕(しょく)>で蓬莱(ほうらい)(日本)に流され、人の子として育った。十年の時を経て故国(くに)へと戻されたが、麒麟の役割を理解できずにいた。我こそはと名乗りを挙げる者たちを前に、この国の命運を担うべき「王」を選ぶことはできるのだろうか。

感想・レビュー・書評

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  • 十二国記シリーズを、この期、初めて読んで、しかもアニメも全く観たことない自分です。epi.1(『月の影 影の海』)、 epi.0(『魔性の子』)、そしてこのepi.2の順に読んだ者だけが味わえるドキドキ感と、そしてラストの意外感を、私めは味わさせていただき、大変嬉しく思っています。

    よって、この巻の大きなネタバレは書かない。でも、文末に主に0、1を通して分かった事を年表にした。ので、それを嫌う方はこれ以降読まないように。

    epi.0において「ホラー」だった世界は、epi.2においては、「天上の理」の世界に書き換えられる。この表裏をひっくり返す驚きは、0、2と読んで行くのが面白いので、この読み方を私は推薦します。こういうのは読書の喜びですね。一方1は「天下の理」の世界でした。

    このシリーズを、私は「歴史書」として読んで行こうと思っている。よってキャラで読む読み方はしない。「泰麒が可愛い、愛しい」とも思わない。泰麒は麒麟として想定内の成長を遂げた。気になるのは、天上の世界の「不気味さ」である。出てくる人物は、みんな普通の人間だ。不老不死になろうとも、人間として理解出来ないわけではない。しかし、黄海の周りに聳える天上世界は、どうも冷たい。謎がある。例えば、何故突然泰麒は「胎果のまま流されなくてはならなかったのか」そのことの説明も、シリーズラストまで引っ張るつもりかもしれない。

    だから私は、世のシリーズファンとは違う向き合い方をするだろうと思う。ただ、傲濫の件はちょっと血がたぎりました。泰麒の絶望感は私も感じていて、景麒の回りくどい説明にはすっかりやられました。また、ラストはてっきりあの場面に結び付くのだと思っていたので中途半端に終わったのは意外(ごめん、未読の人には何が何やらわからないと思います)。

    epi.0の「白汕子、傲濫」等の幾つかの伏線回収が行われました。そういう楽しみはある。

    年表は、仮に高里こと泰麒が、蓬莱山より胎果のまま日本に流された年をX元年として数えました。数え方が間違って1年ぐらいの誤差はあるかもしれないし、月もあまり自信がない。しかし、作ってみて気がついたことがあります。
    (1)X15年-18年あたりが日本の90年代にあたることは、間違い無いと思う。携帯の描写が存在しないからである。その他、マスコミ、テレビ等々の描写はある。
    (2)0において高里が呟いた言葉のうち、「角端、孔子、ムルゲン、ロライマ、ギアナ」の言葉の意味が未だ不明だ。「角端」は0でも言っていた「私の麒麟の角がない」ということに対応しているのかもしれない。「孔子」は、高里が日本で論語を読んでいたはずがない。0において何故レン麟がこんなにもが泰麒を助けようとするのかも不明だ。よって回収されていない伏線はまだ多い。果たして回収されるのか、もわからない。注目したい。
    (3)著者は90年代のうちにシリーズを終わらせようとした節がある。それは今年の新作がブック紹介を見ると未だX18年あたりらしいということでそう思うのである。少なくとも新作発表が、2019年まで持ち越したのは想定外だった可能性が出てきた。

    X元年  泰麒 胎果として日本に流される
    X8年  景麒 景国に降りる
    X9年末 景麒 商家の娘である景王を見つける
    X10年  泰麒 2月蓬山に戻る
    X11年 泰麒 4月日本に戻る
    X14年  5月景国王亡くなる。
    X15年(1992年?)1月陽子日本より来たる
         8月陽子景国王となる
    X18年  泰麒 9月戴国に戻る

    • kuma0504さん
      「蓬莱山より、胎果のまま」→「蓬山より、胎果のまま」重要な語句なので訂正します。すみませんでした。
      「蓬莱山より、胎果のまま」→「蓬山より、胎果のまま」重要な語句なので訂正します。すみませんでした。
      2019/11/30
    • kuma0504さん
      文庫の最新作の紹介文を見ると「6年ぶりに戴国に麒麟が戻る」とあった。だとすると、「戴麒 9月戴国に戻る」はX17年という事になる。次回より訂...
      文庫の最新作の紹介文を見ると「6年ぶりに戴国に麒麟が戻る」とあった。だとすると、「戴麒 9月戴国に戻る」はX17年という事になる。次回より訂正します。でも、でも高里は1年留年したから高校2年でも18歳じゃないかしら?まぁこちらに従います!
      2019/12/03

  • あの時のあの子か…!

    プロローグで遠い昔に読んだ、魔性の子、あの記憶が蘇った。
    あの時のあの子か!

    カチっと繋がりを確認、またまた十二国記の世界へ、戴国へ。

    泰麒の幼さと抱える心、それをせつなさと共に読ませてくれる巻だった。

    自分の運命に納得しつつも麒麟としての任務への重圧。たしかな任を果たせるのか…幼さ溢れる泰麒が愛おしくて見守ってあげたくなるほどだった。

    そして 直感、わけもなく心が動くその瞬間をちょっと意識したくなる、大切にしたくなる、そんな読後感。

  • ここでやっとエピソード0「魔性の子」の謎が解けていく

    高里がお仕置きで外に放り出されてきた時、倉と土塀の間から手招きするように伸びていた白い手や高里に関わった者たちが次々と命を落としていくことの真相
    神隠しに遭ったとされていた空白の一年
    高里は何者だったのか

    天帝の天命を受け麒麟が王を選ぶということ、子供は木に生ること、神籍や仙籍に入れば不老不死になること・・・
    妖魔が住む黄海を突破してたどり着いた桃源郷とも言える蓬山の様子など、あり得ない話なのに、ついつい引き込まれてしまった

    女仙にかいがいしく世話をされながらも、麒麟としての役目を果たすことができるのだろうか苦悩する10歳の泰麒が痛々しかった

    現実離れした話の中で、無事、王に即位した驍宗が10歳の泰麒を傍らに置き、次々と行政改革に乗り出す様子が、あまりにも現実的でおもしろかった

    先王の雇った楽士の数を減らすこと、華美なことが好きだった先王が建てた四阿を潰し、そのお金で隣国の雁国から穀物を買い入れるなど、笑ってしまった

    桜を見る会やら大して役にも立たないマスクに税金を無駄遣いしているどこかの国の首相に話して聞かせてやりたいくらいだ

  • 蝕が起きたことで蓬莱へと流され、人の子として育った泰麒。彼が十年の時を経て蓬山へと戻ってきました。

    泰麒が意外にもすんなりと自分の本来在るべき場所を認められたことは、まだ幼い子どもだったからということもあるのでしょうけど、それ程今まで生きてきた場所が彼にとって不安定な心持ちになる、自分がいるところじゃないと感じるところだったからなのだと思います。
    (ぼくはうちの子じゃなかったんだ)
    そう気づいた泰麒、なんて不憫で痛ましい男の子なのでしょう。
    蓬山で、蓉可をはじめとした沢山の女仙と女怪の汕子の優しさに包まれて、泰麒はやっと愛されることの安心感を知ることが出来たんだと思います。
    泰麒の優しさや純真さは、裏を返せば自信のなさや臆病さとなるのかもしれません。それでも、愛され育てられた子どもは、いつかは自らの足で立って自立していくもの、大切な人を守ることが出来た泰麒を見てそう思いました。
    やがて泰麒は王を選びますが、その決断は彼自身を苦しめてしまいます。けれどその恐ろしい告白(後に解決します)を知ってしまった王となる驍宗の懐の深さ、そして延麒、景麒の兄のような愛情に包まれ、泰麒にも自分がいてもいい場所に気づくことが出来たと思います。
    可愛い泰麒、見守っていきたいですね。

    それにしても、延王は悪玉役を楽しんだろうなぁ。
    そして景麒。彼の微かな笑みは景王もクラリとくるわねぇ。

  • 十二国記内で王を選ぶ役割を持つ麒麟。しかし事故のため10年間消息の知れなかった幼い麒麟に王を選ぶという大役ができるのか?麒麟の苦悩と成長を描いた作品。

    『魔性の子』の空白期間とも重なるエピソード。シリーズ前作『月の影 影の海』ほど壮絶なストーリーではないものの、幼い麒麟である泰麒が周りの期待に応えたいながらも、どうにもならない様子は読んでいるこちらも応援したくなる愛らしさ。

    登場人物たちも魅力的。前作にも登場した景麒が今回も登場していて、前作では彼の内面については深く伺うことができなかったので今作で満足!泰麒の世話をする女仙たちや友達となる武将たちもいい人たちで、だからこそ余計に泰麒の「周りの期待に応えなければ」と苦悩している様子がこちらに伝わってくるのかな、と思います。

    だからこそ彼の成長はうれしく、また終盤に味わう彼の辛さも読んでる側にじかに伝わってきました。

    詳しくは覚えてないのですが、この後またいろいろあって『魔性の子』につながっていったんだよなあ…そのあたりの流れを書いた話の完全版が出るのが今から待ち遠しいです。

  • 十二国記新装版は発売日以前に購入が基本ですので、本屋を巡って発見&即ゲット。しかしレビューは忘れていた…
    これまでの新装版と同様、世界観の補足がありがたいかぎり。新たに加わったところを見ていると、小野主上の筆致が結構変わったな、なんてしみじみしている。
    あいかわらず泰麒がかわいい。泰麒にオタオタしてる景麒もかわいい。

  • 十二国記・第二弾、陽子と同じ還り人ですが、今度は男の子?が主役になります。

    エピソード0・『魔性の子』の狭間を埋める物語の一つでしょうか、
    高里が"神隠し"にあっていたとされる時期の前半部になるのかな。

    で、この物語を経て、シリーズ通しての麒麟に対する設定が、
    なんとな~く見えてきたようにも思えました、、ふむ。

    日本では漠然としたままに浮いた存在であった高里ですが、
    ある時、隙間の"手"に誘われて、蓬山に還ってくることになります。

    そんな高里の本性は"人間"ではなく"麒麟"、
    そう、王を選び国造りの象徴となる役割を担う、麒麟です。

    であってもどこか浮いた存在であるのは、変わらずに。
    還り人であるが故に普通の麒麟とは違っている点も、それを手伝っているのでしょうか。

    それが故にか、終盤の王を選ぶくだりはここでも、心地よいカタルシスでした。

    "離れたくない"、その思いを具現化するに全ての壁を取り払って、
    王と麒麟のつながりはそこまで純粋になれるのかと。

    個人的には陽子と同年代であるかどうかも、気になるところ。
    時系列的には、陽子が帰ってきた時よりも前のハズですが、、さて。

    なお、再び還ってからの物語は未だ語られずに、新作に期待中だったりします。

  • 2020年2月16日(日)11:30- 高松市郊外(高松中央IC下車7分)にて、#十二国記 「風の海 迷宮の岸 」にて読書会を開催します。

    昨年も2月の祝日「建国記念の日」にあわせて一作目の「月の影 影の海」で開催しました。令和2年、弘始元年!


    【読書会フレンドパーク】http://dkfp.org/wordpress/

  • 生まれる前に蝕によって蓬莱に流され、人として生まれ育ってしまった戴国の麒麟・泰麒が、十二国に連れ戻されて王を選ぶ物語。
    WH版のレビューにも書きましたが、麒麟・泰麒は蓬莱育ちで十二国のことが全くわからない、という設定なので、彼の悩んだり迷ったりする様子に読んでいるほうも一緒にハラハラしてしまう。
    こうやって巧妙に読者を引き込む書き方は本当に流石だな、と思います。
    饕餮に襲われる場面と、驍宗を必死に追い掛けて行く場面は、何度読んでもハラハラドキドキしてしまいます。
    終盤の、悪玉に浸る延王様も好きです。笑

    十二国の中で一番幸せになって欲しいのが、戴国の主従コンビだなぁ。

  • 物語は生きる活力だ、ということを思い出させてくれる本だった。やっぱりこうでなくっちゃ〜

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著者プロフィール

大分県生まれ。1988年作家デビュー。「悪霊」シリーズで人気を得る。91年『魔性の子』に続き、92年『月の影 影の海』を発表、「十二国記」シリーズとなる。十二国記と並行して執筆した『東亰異聞』『屍鬼』『黒祠の島』は、それぞれ伝奇、ホラー、ミステリとして高い評価を受けている。「悪霊」シリーズを大幅リライトし「ゴーストハント」として2010年~11年刊行。『残穢』は第26回山本周五郎賞を受賞。近刊に文庫版『鬼談百景』『営繕かるかや怪異譚』。

「2020年 『ゴーストハント2 人形の檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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