風の海 迷宮の岸 十二国記 2 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社
4.42
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本棚登録 : 3508
レビュー : 300
  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240541

感想・レビュー・書評

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  • 十二国記シリーズを、この期、初めて読んで、しかもアニメも全く観たことない自分です。epi.1(『月の影 影の海』)、 epi.0(『魔性の子』)、そしてこのepi.2の順に読んだ者だけが味わえるドキドキ感と、そしてラストの意外感を、私めは味わさせていただき、大変嬉しく思っています。

    よって、この巻の大きなネタバレは書かない。でも、文末に主に0、1を通して分かった事を年表にした。ので、それを嫌う方はこれ以降読まないように。

    epi.0において「ホラー」だった世界は、epi.2においては、「天上の理」の世界に書き換えられる。この表裏をひっくり返す驚きは、0、2と読んで行くのが面白いので、この読み方を私は推薦します。こういうのは読書の喜びですね。一方1は「天下の理」の世界でした。

    このシリーズを、私は「歴史書」として読んで行こうと思っている。よってキャラで読む読み方はしない。「泰麒が可愛い、愛しい」とも思わない。泰麒は麒麟として想定内の成長を遂げた。気になるのは、天上の世界の「不気味さ」である。出てくる人物は、みんな普通の人間だ。不老不死になろうとも、人間として理解出来ないわけではない。しかし、黄海の周りに聳える天上世界は、どうも冷たい。謎がある。例えば、何故突然泰麒は「胎果のまま流されなくてはならなかったのか」そのことの説明も、シリーズラストまで引っ張るつもりかもしれない。

    だから私は、世のシリーズファンとは違う向き合い方をするだろうと思う。ただ、傲濫の件はちょっと血がたぎりました。泰麒の絶望感は私も感じていて、景麒の回りくどい説明にはすっかりやられました。また、ラストはてっきりあの場面に結び付くのだと思っていたので中途半端に終わったのは意外(ごめん、未読の人には何が何やらわからないと思います)。

    epi.0の「白汕子、傲濫」等の幾つかの伏線回収が行われました。そういう楽しみはある。

    年表は、仮に高里こと泰麒が、蓬莱山より胎果のまま日本に流された年をX元年として数えました。数え方が間違って1年ぐらいの誤差はあるかもしれないし、月もあまり自信がない。しかし、作ってみて気がついたことがあります。
    (1)X15年-18年あたりが日本の90年代にあたることは、間違い無いと思う。携帯の描写が存在しないからである。その他、マスコミ、テレビ等々の描写はある。
    (2)0において高里が呟いた言葉のうち、「角端、孔子、ムルゲン、ロライマ、ギアナ」の言葉の意味が未だ不明だ。「角端」は0でも言っていた「私の麒麟の角がない」ということに対応しているのかもしれない。「孔子」は、高里が日本で論語を読んでいたはずがない。0において何故レン麟がこんなにもが泰麒を助けようとするのかも不明だ。よって回収されていない伏線はまだ多い。果たして回収されるのか、もわからない。注目したい。
    (3)著者は90年代のうちにシリーズを終わらせようとした節がある。それは今年の新作がブック紹介を見ると未だX18年あたりらしいということでそう思うのである。少なくとも新作発表が、2019年まで持ち越したのは想定外だった可能性が出てきた。

    X元年  泰麒 胎果として日本に流される
    X8年  景麒 景国に降りる
    X9年末 景麒 商家の娘である景王を見つける
    X10年  泰麒 2月蓬山に戻る
    X11年 泰麒 4月日本に戻る
    X14年  5月景国王亡くなる。
    X15年(1992年?)1月陽子日本より来たる
         8月陽子景国王となる
    X18年  泰麒 9月戴国に戻る

    • kuma0504さん
      「蓬莱山より、胎果のまま」→「蓬山より、胎果のまま」重要な語句なので訂正します。すみませんでした。
      「蓬莱山より、胎果のまま」→「蓬山より、胎果のまま」重要な語句なので訂正します。すみませんでした。
      2019/11/30
    • kuma0504さん
      文庫の最新作の紹介文を見ると「6年ぶりに戴国に麒麟が戻る」とあった。だとすると、「戴麒 9月戴国に戻る」はX17年という事になる。次回より訂...
      文庫の最新作の紹介文を見ると「6年ぶりに戴国に麒麟が戻る」とあった。だとすると、「戴麒 9月戴国に戻る」はX17年という事になる。次回より訂正します。でも、でも高里は1年留年したから高校2年でも18歳じゃないかしら?まぁこちらに従います!
      2019/12/03
  • 4冊目。
    何というか、泰麒の苦悩→成長物語としてはすごく王道だし展開も容易に予想できるのに、なんでこんなにぐいぐい引っ張られるんだろう。決して派手ではないんだけれど、不思議と魅せる文章を書かれる方だなあと思った。

    個人的には泰麒が反則レベルで可愛かったのと、以前はひたすら恐さ/意味不明さしか感じられなかった汕子への印象が180度変わってしまったこともあって、魔性の子をもう一度読みたい…と思ったけど、そうか、この巻は大大団円っぽく終わっているけれど、この後「ああ」なってしまうのか…

  • 『魔性の子』で、10歳のとき一年間神隠しに遭っていたとされている高里。その最中、彼はどうしていたのか、何があったのかが描かれる今作。
    汕子や女仙、景麒、李斎らに懐き甘える高里(泰麒)が可愛い!あの『魔性の子』の高里がこんな可愛い子供だったとは。
    前作で陽子がとにかく酷い目に遭っていたので、今回も展開にハラハラしましたが、泰麒が案じていたような罰がなくて良かった。
    この後、どうして蓬萊に戻ることになったのか非常に気になります。でも、また『魔性の子』も読み返したくなってきました。こうやってハマっていくのですね…!

  • 再読。泰麒が王を選ぶ話。泰麒のこれからが気になる。

  •  幼き麒麟は迷い、惑い、戸惑い、悩む。
    人として蓬莱で育ち、人として生きた故に、麒麟がなんなのかわからず。
    自分は間違っているのではないか、自分は至らないのではないか。
    その戸惑いの奥にあるその素質は決して止まらない。

     泰麒の、その苦しみの描写がすごくよく。
    読み進めつつも、その成長を見守ってしまう。
    思っていた以上に、引き込まれる物語だった。
    あとがきにあるように、その苦しみはまるで初恋のよう。

  • 蓬莱育ちの泰麒

    麒麟への転変も出来ず、
    妖魔を使令に下すことも出来ない泰麒に王を選べるのか

    契約した王は、本当に王なのか

  • 貸してくれてるお姉さまのお勧めで、『魔性の子』よりこちらを先に読みました。物語の運び方がやっぱりさすがだなー。転変できないとか、そういう漠然とした不安はあるものの、幸せな状態で穏やかに進んでいく序盤があるからこそ、優しく愛されてきた泰麒が罪悪感を抱く終盤とのコントラストが際立っていて良かった。あとはやっぱり敬語の使い方がすてき。

  • 「魔性の子」のプロローグと全く同じプロローグで始まり、飛ばされていた間の出来事を描く構成で、ファンタジーらしくて好きでした。
    前作の「月の影 影の海」は相当重い話でしたが、こちらは全体としてほのぼの路線。でも、妖魔との対決シーンは非常に迫力あり。はずれのないエンターテイメントです。

  • 魔性の子で描かれた、高里の物語。
    泰麒が王を選んでから即位式までの葛藤にどきどきしたけど、最終的に良い形でおさまって安心した。このあと、また蓬莱に行ってしまうのかな?そう思うと複雑…

  • 十二国記シリーズの第2編は、戴国の麒麟である泰麒の話。新装版で久しぶりに読み直してみた。異世界ファンタジーというジャンルを活かした話作りがやっぱり上手い。その辺の理屈は、ファンタジー評論家の井辻朱美氏が、本書の巻末で詳しく解説している。この解説が読めるだけでも新装版を買う価値があると思う。

著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

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