東の海神(わだつみ) 西の滄海―十二国記 (新潮文庫)

著者 : 小野不由美
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社 (2012年12月24日発売)
4.40
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240558

作品紹介

延王尚隆と延麒六太が誓約を交わし、雁国に新王が即位して二十年。先王の圧政で荒廃した国は平穏を取り戻しつつある。そんな折、尚隆の政策に異を唱える者が、六太を拉致し謀反を起こす。望みは国家の平和か玉座の簒奪か-二人の男の理想は、はたしてどちらが民を安寧に導くのか。そして、血の穢れを忌み嫌う麒麟を巻き込んた争乱の行方は。

東の海神(わだつみ) 西の滄海―十二国記 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 十二国記完全版・エピソード3、「延王尚隆」の始まりの物語。
    景王陽子の時代から遡ること約500年、戦国時代初期に滅びた小松氏の御曹司が主人公。

    元は20年近く前に描かれた、ヤングアダルト向けの物語ですが、
    今読んでも変わらずに面白く、一気に読んでしまいました。

    延王も延麒も胎果の生まれで、何かを失くした「彷徨い人」、
    『風の海 迷宮の岸』での泰麒との縁もこの辺に起因してそうです。

     「俺はお前に豊かな国を渡すためだけにいるのだ」

    その尚隆、昼行灯のようでいて、締めるところはしっかりしていて。
    「国」を担うということの責任と想いがズッシリと伝わってきます。

    その重みがあるからこその、終盤へのカタルシスはやはり、うまいなぁ、、と。

    そうそう、麒麟と「血の穢れ」の相関性を描きたかったのとは思いますが、
    結構容赦なく人が逝くのは、この頃の小野さんらしいといえばらしいような。

    ん、治世の永久はあるのかないのか、、この先描かれることはあるのでしょうか。
    500年後にも安定していることを知っているだけに、、さて。

  • 十二国記の中で非常に重要な役割を持つ麒麟、その誘拐から始まる国王への謀反とそれに対し王である尚隆はどのように対応するのか、を描いた十二国記シリーズ三作目。

    冒頭の妖魔を操ることのできる少年と麒麟の六太の出会いは、ファンタジーの世界観らしい雰囲気でわくわくしました。
    ただやはりこのシリーズはファンタジーらしくないな、と思いました(笑)
    というのも六太誘拐以後、話は国とは、王の存在意義とは、という話に移っていくからです。尚隆は臣下たちからも呆れられる自由奔放さ、それに対し謀反を起こした斡由は臣下たちからも評判が良い様子で、そしてこの事件を通し二人の姿の対比がくっきり浮かび上がってくるのです。これがとても読ませます!

    個人的に印象深いのは彼らに使える臣たちや国の民の姿。尚隆の治める雁国は先王の圧政のせいで生活は苦しく、国王軍と反乱軍の戦いについていろいろ思うわけです。そこで民たちが国王軍に加勢するかどうか、という決断を下さなければいけないときどうするか、この本の中ではあっという間に終わってしまう一場面なのですが、改めて戦いのむなしさを感じました。

    読んでいて非常に気持ちのいいラスト!作戦がぴたりとハマるのも爽快ですし、なによりこの国はきっと素晴らしい国になるんだろうな、と思わせてくれました。

  • 好きだわ、この手の話。興国記というでも言うのか、国を作り治める話。そういえば、「アルスラーン戦記」(そういや今どうなっている?)とか「マヴァール年代記」、「黄金の王白銀の王」や「瞳の中の大河」とかと系列的には一緒か。読みながら帝王学が学べます、的な。いずれも個人的に好きなお話。

    国を興す困難さ、組織の在り方、トレードオフの選択、何を助けて何を捨てる、全部は手に入らない時の最善策とは、なんてのは中間管理職的なところにいるオッサンには身につまされるような。心の奥底で王に憧れているのかなあ。

    とにかく延王がかっこよすぎる。延麒もね、泰麒とはまた別の、麒麟の苦悩というものが描かれていたなあと。

    衝撃的だったのは驪媚の行動。延麒をしばる自分の身を自ら絶ってしまう。その行動の前の語りがとても重く深く、後になってその思いの深さをより一層感じてしまう。そして白沢の『玉座の重み』の語り。

    斡由の言動、なんだか自分を見るようなところがあって、ちょっと嫌な気分に。自ら注意しよう。

    そして、妖魔の生きていける国へ。妖獣が街を歩ける国へ。これが、「月の影影の海」の楽俊と歩く港町に続き、延王との謁見につながる。いやーたまらん伏線ですねぇ。
    延王尚隆の国作り、民の期待に応えんとする姿勢。莫迦殿のように振る舞いながらも、実はよく見ている考えているあたりは読んでいて心に響く。
    「民のいない王に何の意味がある。国を頼むと民から託されているからこそ、俺は王でいられるのだぞ!その民が国など滅んでいいと言う。では俺は何のためにここにおるのだ!」と更夜と延麒六太へ語るシーン。王のあるべき姿、上に立つものの責任の重さとそれを全うすることの大事さに心揺さぶられる。
    前巻の解説にもあったけど、十二国記のルールがすごく生かされている。どんなに延王が素晴らしくても、人間の一生ではできることが知れている。ここを「王は不老不死」なんて一見ムチャクチャなルールが、時間をかけてじっくりと妖魔が住める国にしていった、という納得できる答えに導いているな、と感心。

    ふと感じたのが、ココは永野護氏のFSSと同じ世界観というか構成だなと。世界と時間が広大で、でも確固としたルールがあって。その場所ごとに時代ごとに、人の分だけ物語が出てくる。この世界ではいくらでも物語が紡がれるのだな、と。
    で、読む方はどっぷりハマるわけですわ。

    さて、今回はいまいちタイトルと中身がうまくリンクできなかったのだが。

  • 六太と尚隆の関係がいい。
    普段は悪態をつくけれど、底の方では堅い絆でつながっていて、いざという時は、ブレない、揺らがない。
    かっこいい。

  • 深い、なんて深い話なんだ。素晴らしい。フィクションなのに、かえってそのことが現実世界の諸々を物語る、みたいな。
    その設定が内包する矛盾を自ら問題としてストーリーが組み立てられる。それを言いたかったからわざと矛盾を孕ませたのか。
    とかなんとか技巧もさることながら、単純に、おもしろいんだよねえ。

  • 新装版を即ゲット&読了!
    以前の文章に加え、十二国世界の仕組みの補足が所々加えられており、
    それを見つけるたびに「おおおお!!」と反応してしまう自分。
    旧版をどれだけ読み返していたんだ…と突っ込みたくなった。

    相変わらず、更夜と六太の問答がいい。
    国はあるべきなのか。幸せは手に入れられないのか。
    尚隆と斡由の対比もいい。
    全てを失くした者と、喪失を知らない者。それぞれの理想と現実。
    きっと今後も読み返し続けることでしょう。

  • ずっと前に買うだけ買って読んでなかった!と最近発見したので、読みました。
    一番好きな主従コンビとあって、今まで読んだ新装版の中では一番内容覚えてたかも。
    というか全体のストーリーはやっぱり忘れてたんですが、後半の六太の台詞とかをよく覚えてました。
    そして色々忘れてたけど、やっぱ尚隆かっこいい!そして六太は可愛い!この二人のコンビ感が好きだな、と改めて実感しました。
    しかし既に前に買った新装版の方の内容忘れている・・・。とりあえず久々に読んだこともあって、ちょっと今気分が十二国記なので、続きも今日買ったし、読んでいこうと思います。

  • 面白くて面白くて、読み始めたら終わるまで動けない。
    延王かっこよすぎ。
    頭が良いのにひけらかさず、威圧感も与えず、よく聞き、それでいて信じたことは決して曲げない。しめるところはしめ、責任はきちんととる。ピンチにおいてもどっしり構えていて、切り抜けるだけの奇策もある。シビアな部分も含めて、根っからのリーダーだと思う。
    とことん優しい六太とは相性ぴったりで、和む。

  • 『月の影 影の海』で陽子が庇護を求め、『風の海 迷宮の岸』では泰麒を苦悩から解き放つために景麒が助力を求めた国、雁国。同国の延王尚隆と延麒六太の物語。
    延王と延麒の飾らない魅力は上記2作でも少なからず描写されていたが、本作ではそれがいかんなく発揮されている。「莫迦」だの「餓鬼」だのと罵り合いながらも互いを信頼し合う延王と延麒の関係に胸が熱くなる。
    また、延王と敵対する斡由も印象的。序盤では一介の謀反人にすぎないが、物語が進むにつれて斡由にも理があると感じ、同時に延王のふがいなさに反感を覚えるようになる。このあたりは不覚にもまんまと斡由に欺かれてしまった。正義を語る者が必ずしも正義の者ではないのだ。斡由は民を犠牲にし、部下に罪を被せることにまったく罪の意識をもたない外道。その外道ぶりはかなり不快だが、悪役とはかくあるべしともいえる。

  • 国とは何か。王とは何か。民とは何か。

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