東の海神(わだつみ) 西の滄海 十二国記 3 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240558

作品紹介・あらすじ

延王尚隆と延麒六太が誓約を交わし、雁国に新王が即位して二十年。先王の圧政で荒廃した国は平穏を取り戻しつつある。そんな折、尚隆の政策に異を唱える者が、六太を拉致し謀反を起こす。望みは国家の平和か玉座の簒奪か-二人の男の理想は、はたしてどちらが民を安寧に導くのか。そして、血の穢れを忌み嫌う麒麟を巻き込んた争乱の行方は。

感想・レビュー・書評

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  • 十二国の中心黄海の北東に位置する雁州国。その地は、先帝の圧政により、畑は荒れて民は貧しく、国としては、終焉の様相となっていた。人民は新王を待ち望み、延麒・六太に選定された、延王・尚隆がその王座につく。
    尚隆は、治世に尽力している風には見えず、家臣達を苛立たせる。延麒でさえ、その呑気な姿に呆れていた。とはいえ、雁の国は、二十年を経て緑野は広がり人口も増加して徐々に回復していた。
    そんなおり、一人の州侯が反旗を翻す。尚隆は、そこ反乱を利用して治水を施行、反乱分子も見極める。味方から欺く系の王でしたね。
    十二国それぞれの治世を描いていくのでしょうか。天啓に沿った選定であっても、麒麟も全て納得というわけでないところは面白い。
    役職名や王城名などなかなか凝っていて、覚えきれないと思っていたけど、既にネットでデータベース化されていて便利に使わせていただきました。
    最後の「雁史邦書」が、オシャレで、六太の友人“更夜”との約束を果たしている。
    さて、次巻へ。

    • 松子さん
      おびさん、こんばんは♪
      東の海神を先程読み終わり、おびさんのレビューを見返して雁史邦書のページ飛ばしていた事に気付きました!
      そして、じっく...
      おびさん、こんばんは♪
      東の海神を先程読み終わり、おびさんのレビューを見返して雁史邦書のページ飛ばしていた事に気付きました!
      そして、じっくり読んでみると法律が変わっている事がわかり、新たに感動がっ!(*´∇`*)
      すごいですー!
      おびさんのレビュー読み返してよかったー!
      2022/10/08
    • おびのりさん
      松子さん、こんばんは。
      十二国順調ですね。
      私は、最後の4巻がまだ読めてないのですよう。ちょっと寝かせておきます。
      そうなのよ、後の巻で、更...
      松子さん、こんばんは。
      十二国順調ですね。
      私は、最後の4巻がまだ読めてないのですよう。ちょっと寝かせておきます。
      そうなのよ、後の巻で、更夜が又出てくるのよ。もうそこまで読んだかしら。
      ヒショノトリ(漢字が面倒)はぼちぼち読んでるんです。これは、サイドストーリーなんですが、とても深良い感じ。時間かけてます。
      2022/10/09
    • 松子さん
      おびさん、こんにちは(^^)
      後の巻で更夜がまた出てくるんだぁ
      楽しみだなぁ

      次はヒショノトリで、ヒショノトリを含め残り3冊を読み終えたら...
      おびさん、こんにちは(^^)
      後の巻で更夜がまた出てくるんだぁ
      楽しみだなぁ

      次はヒショノトリで、ヒショノトリを含め残り3冊を読み終えたら最後の【白銀】に行きます。
      人物を追って読んでいったので、変な順番で読んでしまいましたが、自分にはあってたみたいです♪
      ちょっと凪良さんの本を一冊はさんで、
      ヒショノトリ読むのが楽しみです(^^)
      2022/10/10
  • 十二国記【東の海神 西の滄海】EP3
    EP1とEP8で慶王の陽子をお助けした
    雁国の王•尚隆と麒麟六太のお話。

    尚隆が…、ひゃっほいいんです╰(*´︶`*)╯♡

    尚隆は統治500年の名君。
    (王は失道しない限り不老不死)
    新国王として登極時は、雁国は荒廃し民衆は悲しみを口にする力も残っていなかった。
    国と民の復興の為、尽力し続けた20年目のお話。

    麒麟六太は戦争によって民衆が衣食住を失い、明日を生きる為に親が子供を捨てる戦国時代を知っている為、王の存在に対して疑問を持つ。

    国は王がいないほうが平和になるのでは?
    王がいるから争いが起こるのでは?と麒麟として王を選ぶ使命を持ちながらも、心の奥で思い悩む。そんな六太の不信を尚隆は打ち破る!

    尚隆は王だけどチャラ男に見えるんです。
    会議を抜け出して街に遊びに出たり
    家臣からいつも怒られてばかりで
    『呑気者だがバカではない』とか
    『有能だが出鱈目』とか言われるんです。
    でも、大切な場面では最高に的確な判断を下し、ラストの場面で王は何の為にいるのかを
    一言で語る、ばばーん!の場面があるんですけど、
    それを見ると最後はやっぱり

    尚隆ひゃっほいい╰(*´︶`*)╯♡の感想になります。
    はぁ、おもしろかった!まんぞくっ笑

    • アールグレイさん
      まつこさん(^_^)/

      東京ぎりぎりとのこと。私もです。
      東京郊外、市内の一部分に埼玉が突き刺さっています。
      (◎_◎;)コワ-ッ
      今日は...
      まつこさん(^_^)/

      東京ぎりぎりとのこと。私もです。
      東京郊外、市内の一部分に埼玉が突き刺さっています。
      (◎_◎;)コワ-ッ
      今日は、出雲駅伝です!pm 1:00~
      箱根に出場する大学は、ほとんど出ると思いますよ。
      (^.^/)))~~~
      2022/10/10
    • hibuさん
      尚隆いいですよね!
      僕も大好きです。あんな男に憧れますが、妻のトリセツにすがる小さい男です…。

      これからも大事なところには尚隆がいますので...
      尚隆いいですよね!
      僕も大好きです。あんな男に憧れますが、妻のトリセツにすがる小さい男です…。

      これからも大事なところには尚隆がいますのでお楽しみに!
      2022/10/15
    • 松子さん
      hibuさんの、妻のトリセツ話…、
      本当にツボりました!(^^)

      大切なところには尚隆がいるっ
      うーん、楽しみです♪
      昨日本屋さんで取り寄...
      hibuさんの、妻のトリセツ話…、
      本当にツボりました!(^^)

      大切なところには尚隆がいるっ
      うーん、楽しみです♪
      昨日本屋さんで取り寄せた「ヒショの鳥」が
      届いたので、また読み始めます♪
      2022/10/15
  • このファンタジー世界の秘密に関して、冒頭にとんでもないことが書いてあった。冒頭なので、ネタバレとして扱わない。以下に記す。

     世界の果てに虚海と呼ばれる海がある。この海の東と西に、二つの国があった。常には交わることなく隔絶された二国には、共に一つの伝説がある。
    ー海上遥か彼方には、幻の国がある、と。
     そこは選ばれた者だけが訪ねることのできる至福の国、豊穣の約束された土地、富は泉のように湧き、老いもなく死もなく、どんな苦しみも存在しない。一方の国ではこれを蓬莱と呼び、もう一方の国ではこれを常世(とこよ)と呼んだ。(12p)

    もちろん、蓬莱とは日本のことである。では、常世は何を示すのか。十二国の世界そのものを示すのである。十二国とはあの世、或いは天国のことだったのか?でも、さぁこれで「十二国記」の秘密はバレた!と思ってはいけない。日本をそんな国だと言っている端から真実ではないことは明らかだからである。「常世」の起源はいつ頃だろうか。民俗学的には日本全国にその伝説はあり、特にニライカナイ伝説が有名だ。考古学的には宗教遺跡は遺らないのでわかりにくいが、仏教以前と考える方が自然かな。だとすると、古墳・弥生時代となる。蓬莱はどうか。紀元前91年ごろに完成した司馬遷『史記』の中に、秦の時代(BC3世記)の『徐福伝説』の中で出てくる。神仙思想のひとつ。かなり古い。でも、弥生時代と重なる。他にも検討すべき言葉はあるが、長くなるのでここまで。

    閑話休題。この巻で、時代は一挙に500年前に飛ぶ。雁(えん)国王、延王尚隆と延麒六太の始まりのお話である。

    ここでは、理想の政治体型についての議論が戦わされる。とは言っても、十二国は、天帝の意思を代弁して麒麟が王を選ぶ。王は理想の政治を行うことになっている。王は不老不死だし、そのまま理想が続くと思いきや、昏君になることがあり得る。そうなると、麒麟は病み、失道に陥る。そのまま麒麟が斃れれば、王もまた斃れる仕組みである。今回の敵役、元州の斡由は「それならば、民の信任厚い私に元州だけでも全権をお任せください」と武力と脅迫を持って迫るというわけだ。手段はよくないが、理屈は一見通っているかのように見える。

    王が不老不死のまま、必ず理想の国つくりを行えば、こういうことにはならない。でも、どうやら千年続いた国はないようなので、最初よくても、最初から悪くても、王は必ず失道するのだろう。「名君による独裁国家か、民主主義による腐敗か」という議論は、『銀河英雄伝説』からこの方ずっと読者を悩ましてはいるが、この世界は、一応「名君による独裁国家」を制度化した世界のようだ。天帝(の使い麒麟)が選ぶのは、必ず「人間」だ。人間はいつかはダメになる。それを見越しての制度化である。これがホントの理想国家なのか?天国なのか?昏君になったときの民の不幸は目を覆いたくなるようなものだ。数十年であれ、民にそんな想いをさせて良いものか。超人ではない延王尚隆は、20年や30年では民を幸せにはできない。元州の斡由が出てくる所以である。延王尚隆は果たしてどうするのか? (実質この世界の天帝たる)小野不由美の手腕が問われる。

    それにしても、「ある人物」は、「己の失敗を認めることができない」「自分が完璧だと信じたい。傷を隠すためならばなんでもする」という風に描かれた。最近、現実のある一国の責任者の中にそういう人物がいたことを思い出した。

    最後に、ここまでで分かったことを年表に落とす。斡由の乱の帰趨は次巻の時に付け加えます。

    年代推測は綿密な考証をしている長文コラム 「COLLUM」(https://proto.harisen.jp/koramu/komatsu-metsubou.htm)をそのまま参考にさせてもらいました。泰麒の項の記載も若干修正しました。

    1467年   六太1歳応仁の乱で罹災する。
    1470年 六太4歳麒麟となる。
    1477年   延麒六太京都を彷徨う
    1479年   瀬戸内海賊村上氏により海辺領主小松氏滅亡
    (大化元年) 六太、小松尚隆を延王とする
    1500年(大化21年)斡由の乱


    X元年  泰麒 胎果として日本に流される
    X8年  景麒 景国に降りる
    X9年末 景麒 商家の娘である景王を見つける
    X10年  泰麒 2月蓬山に戻る
    泰麒 泰王見つける
    X11年 泰麒 4月日本に戻る
    X14年  5月景国王亡くなる。
    X15年(1992年?)1月陽子日本より来たる
          8月陽子景国王となる
    X17年   泰麒 9月戴国に戻る

  • 来月シリーズ新刊が出るのですね!待ちに待ったファンの方がたくさんおられるでしょう。十二国記を読み始めたのが昨年という、とっても今さら感溢れるわたしも楽しみです!

    『月の影 影の海』『風の海 迷宮の岸』と読んだ1年前。「感動した」なんて単純な言葉で終われない壮大な十二国記の世界観に胸いっぱいになりすぎ何故だか続きを読めなくなったわたし。でも今回新刊が発売されると知ったとたん、この世界が恋しくて恋しくて仕方がなくなってきたので、続きを読むことを再開しました。
    もうね、すぐ戻れましたよ。十二国記の世界へ。
    本はいいですね。いつまでも待っていてくれるし受け入れてくれます。

    誰にも受け入れてもらえず孤独だった更夜に居場所を与えてくれたのが斡由。他の誰にどう思われようが、自分が血で穢れることになろうが、彼のためならそんなことどうだっていい。彼が目指す理想が叶えられるなら、たとえ国が滅んでもかまわない。更夜にとってそれが斡由の気持ちを繋ぎ止められる唯一の方法だとしたら、そう思うのは当然のことでしょう。更夜はそうやって自分の手を汚すことになります。やがて斡由の本意に気づいてからも、更夜は忠義の名の元に斡由に逆らう者たちを始末していきました。
    自分の信じる大義をひっくり返すことは並大抵のことではありません。主君を裏切るだけでなく、今までの自分をも完全に否定することになりますよね。自分は斡由を助けていただけ。でもそれはただの殺人者だったのだから。
    頑な更夜の心を開いたのは命令でも同情でも信頼を装った支配でもありませんでした。六太の親愛と尚隆の王としての覚悟。
    「王は何のためにあればいいのだ」
    その答えに更夜は自分の未来を託す覚悟を決めたのでしょう。
    国とは、王とは。「豊かな国を民に渡す」その道のりは、まだ果てしなく遠いです。でも、尚隆と六太は必ずやり遂げるはず。
    囚われの身の六太を尚隆らしいやり方で助けにきた終盤。やっぱり男同士ってわざわざ相手のことをどう思ってるかなんて普段言わないじゃないですか。いつもふざけてばかりのふたりが、お互いのこと、国をどうしたいのか、王とはどういうものか、口に出した本心に胸が張り裂けそうなくらい熱くなりました。

  • 「十二国記」シリーズ第3巻。
    今回は「雁州国」延王尚隆と延麒六太の物語。
    新王が即位し、雁州国が復興してきた頃、州侯斡由による謀反が起こる。
    絶対王制の世、国を統治し民の望む国にする事が求められる王の存在。
    六太は常に王の存在を否定していた。

    王というものは民がいて成り立つもの。
    刑罰を望む更夜に尚隆が言った言葉。
    「俺はお前に豊かな国を手渡すためにあるのだ。受け取る相手がいなければ、一切が意義を失う」
    「おれ以外の奴に与えてやればいい。欲しがってる奴がいくらでもいるだろう」
    「俺は欲張りだからな。百万の民と百万と一の民なら、後者を選ぶ」

    惚れますね。
    王は麒麟と運命を共にする。
    麒麟は民意。即ち、民と共に歩む運命を背負う覚悟で王になる。
    尚隆素敵です。
    イケメンすぎ。

  • シリーズ3作目。

    今回は延王と延麒の物語。
    少しずつ王や麒麟たちの結びつきがわかってきて楽しい^_^

    この二人はとても親近感があって好きだ。

    なるほど、多くの方々がこの物語にハマるのがよくわかる。登場人物がとても魅力的だ。

    オススメです♪

    • hibuさん
      松子さん、明けましておめでとうございます!
      新しく読んだものに加えて、休みの時にちょこちょこと昔読んだ本のレビューもしてるので、ようやく書け...
      松子さん、明けましておめでとうございます!
      新しく読んだものに加えて、休みの時にちょこちょこと昔読んだ本のレビューもしてるので、ようやく書けるタイミングがやってまいりました^_^

      なにせ「白銀の墟 玄の月」を先に読んでしまった不完全燃焼感を埋め合わせるように読んでます。

      これはこれで様々な糸がつながっていくようで面白かったです♪

      これからもボチボチ書いていきますね!

      今年もどうぞよろしくお願いします^_^
      2023/01/15
    • 松子さん
      白銀を先に読まれていたんですね
      物語りの様々な糸が繋がるのも楽しいですよねぇ

      試験終わったら、ゆっくりhibuさんの本棚に遊びに行かせてく...
      白銀を先に読まれていたんですね
      物語りの様々な糸が繋がるのも楽しいですよねぇ

      試験終わったら、ゆっくりhibuさんの本棚に遊びに行かせてくださ〜い(^^)
      hibuさんのフットサルのお話も聞きたくて。

      ほっと一息つけました
      hibuさん、ありがとうございます
      2023/01/15
    • hibuさん
      英語の試験ですね!
      頑張ってください!
      英語の試験ですね!
      頑張ってください!
      2023/01/15
  • 熱かった。

    舞台は雁国。延王 尚隆と延麒 六太にまた会えた。

    一巻からたびたび登場していたこの二人にはこんな過去が、雁国の歴史があったのね。

    争いというものを経験したからこその、六太の、尚隆の国への思いが熱く胸を打つ。

    特に尚隆の軽薄から一転、重厚な熱き言葉に何度もやられた。

    六太の「ほんとに莫迦なんだもん」、何回この言葉を聞いただろう。
    そしてこの言葉がどんどん心地よい響きになっていくのはなぜだろう。
    うん、それは絶対的な関係のこの二人だから。
    そして尚隆はやっぱり延王だからだ。

  • 前2作で絶妙なかけ合いとチームワークを見せてくれた延王・尚隆と延麒・六太の物語。
    尚隆と六太が出会い、前王の悪政の跡が色濃く残る荒れた雁国を王と麒麟として建て直していく、初期の出来事が描かれます。

    蓬莱で生まれ、人の上に立つ者に苦しむ民の間で育ち、自身も幼くして命を落としかけた六太。
    王を選ばなければならないのに、王の補佐という立場であるのに、王という存在を信じることができない。
    飄々とした彼の言葉やふるまいから時折のぞく、葛藤や諦めや民に寄り添いたい気持ちに切なくなりました。

    尚隆の豪胆さと行動力に魅せられつつ、彼が上司だったら彼の手腕がわかるまではなかなか苦労しそうだ…とも思ったり。
    でも絶対に心から信頼できる上司だよなぁ…とも思ったり。
    尚隆は、人の間で暮らすことができなかった青年・更夜との約束を必ず実現してくれる、と確信できて、そのことに胸が熱くなりました。

    この信頼関係の上に成り立つ雁国は盤石だ、という安心感とともに読了。

  • 1巻からちょいちょい登場して既に私の心を鷲掴みにしている延王尚隆と延麒の過去に迫るお話。

    1巻で陽子と出会ったとき、彼らは既に500年も延国を治めているという話だったから大分昔の蓬莱(日本)に生まれたんだと漠然と思っていたけど、がっつり戦国時代だった。本筋とは離れるかもしれないけど、日本も生きるために、食い扶持をつなぐために、子どもを捨てる時代があったんだなぁと。今の時代では考えられないが。
    そうやって親に捨てられた六太と、一国の城主になりながらも戦力不足で国を、民を守れなかった尚隆。二人は一見するといつも適当な感じなんだけど、この二人の国を守ろうとする想いが3巻の端々に出ていて何度も目頭が熱くなった。

    一方、最後まで徹底して自分を正当化するあつゆを見ていて、もはや悲しい気持ちを通り越してここまでできるのかと驚嘆した。自分の否を認められないというのは最大の弱点なのかもしれない。

    誰もが平和に暮らせる世界が本当につくれたらいいなぁと思わずにはいられません。

  • 十二国記シリーズ第三弾!
    雁国国王尚隆と麒麟六太の物語。雁国の生い立ちから繁栄までという比較的過去の話国作りに奮闘する中、国家を揺るがす麒麟誘拐事件が発生!王と麒麟の運命は?
    いやー、今回もなかなか楽しめた!ただ難しい漢字や役職、地名が多過ぎて、パンク寸前でした。笑
    月の影みたいな初心者にもやさしい内容がやっぱり入り込みやすいです。

  • このシリーズ全般に言えることだが、物語後半のカタルシスがすごい。有能だけど己の過ちを隠しに隠す斡由、出鱈目だけど一本筋が通った尚隆。なんかこれって現代の日本でもこれに当てはまる例はありそうだなぁ。

  • さーて、前作とどう繋がってくるのかなーと思いきや、さらに拡大。まだ繋がらないんかーい。とツッコミを入れたくなるもののこういう下準備は大事。しかもその下準備が面白いからまた良い。

    今回は雁国のお話。尚隆が延王になるまでの経緯と延王になってからのお話と過去と現在を行ったり来たりしながら進んでいく。

    過去編では雁の麒麟、延麒である六太の視点から六太の生い立ちや尚隆との出会い、人物が描かれる。

    現在編では延王、尚隆が、会議には出席しない、気づけば王宮から抜け出している、超呑気者な性格で家臣からも呆れられるほどの人物だと描写。こんなんが王様で大丈夫か?と思いたくなるような延王。彼が荒れた雁国を立て直している最中に延麒、六太が攫われてしまう。斡由なる人物が州の窮状を直訴するためにこれを命令したのであった。一気に高まる緊張、争いの予感...。
    散々な人物描写をされた延王であるがこの危機、いかにして乗り越えるか。そして王の器を見せる事ができるのか。

    どんどんこの世界観にハマっていきます。キャラクターの魅力にも。ネタバレできないけど延王かっこいいー!ってなる。色んな思惑が絡む政治の世界でうまく立ち回るの難しいだろうなー、そして国を治めるってほんと大変だなって思う。賢さも器の大きさも度量のでかさも強かさも必要...。

    自作こそは色々繋がってくるかな!?

  • 十二国の一つである雁を統治する、延王と延麒のお話。
    小野不由美がイメージしているのであろう王という存在の一つの形が、2人の出会いと、様々な戦いを通して描かれる。
    細々とした政務を放り出し、街で好き放題やっている王を果たして王と呼んでよいのか。上に立つものは常に民の事を考え、粛々と物事に向き合い、国に奉仕するべきではないのか。そう訴える高官と、その一方で、雑務をこなすよりも、実際に民が暮らす街を歩き、その空気を感じたいと主張する延王の考えは交わる事なく、民は水害の危機に怯えたまま、徒らに日々は過ぎる。
    もし日本に王がいたとしたら、どちらの姿勢も正しいのではと感じる。この国に住む人々は誰もが国の事を想っていて、考え方は違っても、その根っこにあるものは同じだと思えるからだ。
    私達の生活にも言える事だが、理解し合えない関係性には、圧倒的に会話が足りない。それが難しい関係性もあるのだろうが、それ故に起こした行動から相手に伝わるメッセージは、大抵良い結果を生み出さない事も私達は知っている。でも、そうせずにはいられない。そして、そこにとても人間らしさを感じてしまうのだ。
    そういった意味で、王や麒麟、高官や民、皆が皆とても人間らしく、共感しやすい。人々のすれ違う様子に、もどかしさも感じつつ、なんとなく自分達の日常にも重ね合わせてしまうような良い作品だった。

  • 十二国記の中で非常に重要な役割を持つ麒麟、その誘拐から始まる国王への謀反とそれに対し王である尚隆はどのように対応するのか、を描いた十二国記シリーズ三作目。

    冒頭の妖魔を操ることのできる少年と麒麟の六太の出会いは、ファンタジーの世界観らしい雰囲気でわくわくしました。
    ただやはりこのシリーズはファンタジーらしくないな、と思いました(笑)
    というのも六太誘拐以後、話は国とは、王の存在意義とは、という話に移っていくからです。尚隆は臣下たちからも呆れられる自由奔放さ、それに対し謀反を起こした斡由は臣下たちからも評判が良い様子で、そしてこの事件を通し二人の姿の対比がくっきり浮かび上がってくるのです。これがとても読ませます!

    個人的に印象深いのは彼らに使える臣たちや国の民の姿。尚隆の治める雁国は先王の圧政のせいで生活は苦しく、国王軍と反乱軍の戦いについていろいろ思うわけです。そこで民たちが国王軍に加勢するかどうか、という決断を下さなければいけないときどうするか、この本の中ではあっという間に終わってしまう一場面なのですが、改めて戦いのむなしさを感じました。

    読んでいて非常に気持ちのいいラスト!作戦がぴたりとハマるのも爽快ですし、なによりこの国はきっと素晴らしい国になるんだろうな、と思わせてくれました。

  • おもしろい!!自分にとってど真ん中の作品
    こういうのが好きなのかって気づくことが出来ました


    尚隆と六太の出会いの物語
    国とは?王とは?と骨太のストーリーで、細部の設定は緻密
    ひとの奥に部分を繊細に描いてる

    天帝が麒麟を遣わし、王を選び玉座に据える。だからといって十二ある国すべてが安寧というわけではない

    大国・雁もかつては荒れ果て、民は新王の誕生を待ち続けていた

    • 松子さん
      風が吹くようにさん、はじめまして(^^)
      フォローありがとうございます。
      このシリーズ先日読み終わったばかりで
      興味津々で風の吹くようにさん...
      風が吹くようにさん、はじめまして(^^)
      フォローありがとうございます。
      このシリーズ先日読み終わったばかりで
      興味津々で風の吹くようにさんのレビューを
      読んでいました♪
      フォローしあえて嬉しいです。
      どうぞ宜しくお願いします(^^)
      2022/11/27
    • 風が吹くようにさん
      松子さん 宜しくお願いします(^^)

      まだまだ先は長いので、松子さんは大先輩になります!読み終える毎に感想を伺いに行かせていただきます。
      松子さん 宜しくお願いします(^^)

      まだまだ先は長いので、松子さんは大先輩になります!読み終える毎に感想を伺いに行かせていただきます。
      2022/11/27
    • 松子さん
      風が吹くようにさん、
      そうなんです!このシリーズ長くて壮大なんです
      でも、どのエピソードも面白くてハズレ無しなんです☆
      先は長いのでどうぞゆ...
      風が吹くようにさん、
      そうなんです!このシリーズ長くて壮大なんです
      でも、どのエピソードも面白くてハズレ無しなんです☆
      先は長いのでどうぞゆったり楽しんで下さい。
      レビュー楽しみにしてます(^^)
      2022/11/27
  • 好きだわ、この手の話。興国記というでも言うのか、国を作り治める話。そういえば、「アルスラーン戦記」(そういや今どうなっている?)とか「マヴァール年代記」、「黄金の王白銀の王」や「瞳の中の大河」とかと系列的には一緒か。読みながら帝王学が学べます、的な。いずれも個人的に好きなお話。

    国を興す困難さ、組織の在り方、トレードオフの選択、何を助けて何を捨てる、全部は手に入らない時の最善策とは、なんてのは中間管理職的なところにいるオッサンには身につまされるような。心の奥底で王に憧れているのかなあ。

    とにかく延王がかっこよすぎる。延麒もね、泰麒とはまた別の、麒麟の苦悩というものが描かれていたなあと。

    衝撃的だったのは驪媚の行動。延麒をしばる自分の身を自ら絶ってしまう。その行動の前の語りがとても重く深く、後になってその思いの深さをより一層感じてしまう。そして白沢の『玉座の重み』の語り。

    斡由の言動、なんだか自分を見るようなところがあって、ちょっと嫌な気分に。自ら注意しよう。

    そして、妖魔の生きていける国へ。妖獣が街を歩ける国へ。これが、「月の影影の海」の楽俊と歩く港町に続き、延王との謁見につながる。いやーたまらん伏線ですねぇ。
    延王尚隆の国作り、民の期待に応えんとする姿勢。莫迦殿のように振る舞いながらも、実はよく見ている考えているあたりは読んでいて心に響く。
    「民のいない王に何の意味がある。国を頼むと民から託されているからこそ、俺は王でいられるのだぞ!その民が国など滅んでいいと言う。では俺は何のためにここにおるのだ!」と更夜と延麒六太へ語るシーン。王のあるべき姿、上に立つものの責任の重さとそれを全うすることの大事さに心揺さぶられる。
    前巻の解説にもあったけど、十二国記のルールがすごく生かされている。どんなに延王が素晴らしくても、人間の一生ではできることが知れている。ここを「王は不老不死」なんて一見ムチャクチャなルールが、時間をかけてじっくりと妖魔が住める国にしていった、という納得できる答えに導いているな、と感心。

    ふと感じたのが、ココは永野護氏のFSSと同じ世界観というか構成だなと。世界と時間が広大で、でも確固としたルールがあって。その場所ごとに時代ごとに、人の分だけ物語が出てくる。この世界ではいくらでも物語が紡がれるのだな、と。
    で、読む方はどっぷりハマるわけですわ。

    さて、今回はいまいちタイトルと中身がうまくリンクできなかったのだが。

  • 楽しみにしていた延国編!!いきなり子供を捨てる親の描写から始まりヘビーです……子供を将来的に捨てる親のところにも子供を授けるんですか天帝は。天帝も流石に未来は見えないのかしら。
    荒廃した国をどうやって作り上げるかの話。物語は延麒が地方官に攫われるところから始まります。新しい王、尚隆が王になって20年ほど。月の影 影の海から500年ほど前の時代が舞台です。麒麟は国の要だからこそそりゃ狙われますね……
    びっくりしたのは周代がモデルと聞いていたのにすでに法の概念と律令制に近い何かがある世界ってこと。ここまで神々にきつく支配されている世界なのに社会の仕組みは発達するんだな。
    調べてみたら周代の封建制が元のようですね。もうちょっと官僚を登用する基準が明確であれば良いのですがそこまでにたどりついていないのかもしれません。科挙とかなさそうだし……
    一度託された国を滅ぼしてしまった尚隆が雁国を今度こそは豊かにする。全ての民を幸せにすると思って動く話であったのだと知り、延麒六太の目線で見るこの十二国は今までで一番リアリティを持って私の目に映りました。今のところシリーズ通して1番感情移入できるのが雁国の麒、六太かと思います。六太が動いたことにより尊い命が奪われてしまったことも顧みながら、尚隆と六太と雁国のみんなは500年に渡る大王朝を作るのだ。その始まりの話なのだなと思いました。

    誰かが自分のために何かをしてくれるのではないか、誰かが自分を大切にしてくれるのではないかと期待を寄せることはとても大切なことだけれども、しかし期待を寄せすぎると寄せられた相手は奢るし苦しむ。それは王侯であっても変わらない。まずは己が己自身のためにできることをやっていくしかないのだという話だとも思えた。

    しかしさぁ〜〜官僚登用システムの基準が明確でないのに官僚になれたら仙人になれて長生きできるのやっぱり国の発展を阻害しない?だっておんなじ人が延々と政治やり続けるんでしょう?新しい風が入りにくいしそりゃ胎果の王や麒麟の治める国が長続きするのは当然じゃない?とか思っていたら解説の養老孟司先生に「まずは読め」と諭されました。読みます。養老先生の解説も素晴らしいので是非。
    次の巻もワクワクしながら読みます。

  • 全てを背負う覚悟を持つが、おくびにも出さない。それが延王尚隆である。出番が多いとは言えないが、このエピソードは尚隆に尽きる。
    彼の言動は出鱈目に見えても意味があり、心酔した部下たちは尚隆のためなら命を賭してくれる。
    そして、ここがポイントなのだが、全ての言動に隠された真意があるわけではなく、単に羽目を外しているだけだと思えるエピソードがあるのだ。
    格好いい、というしかない。

  • 雁国に尚隆が王に就いた20年後の話。
    元州斡由の謀反内乱、を経て国、臣下や六太(雁国麒麟)の成長が描かれていた。

    最初や最後の少しラノベっぽいイチャコラ感が苦手だったけれど、物語は急転直下の大騒動。
    女性の役割もとても尊いです。兵役志願する若い母親、驪媚や元州の女官… 胸をうたれた。
    国を司る者たちにとっては寿命がないので、
    時はほぼ永遠だけれど、民には違うから焦る。
    六太だって直感で王を選んだ13の時の見た目のまま、33年生きても人のなり、理なぞ未だ詠みきれない。
    後世に500年続く王とはどんなものか
    全編とてもドキドキして楽しめました。

    斡由の厚顔さったら… こういう人いますよね実際。

    設定も細かく、どんどんハマって行くけれど、壮大すぎる。どんどん広がる風呂敷ちゃんとたたまるのだろうか?
    小野先生の世界へもう足を踏み入れてしまったのであとは楽しむだけ。
    続きが気になります。

    ■尚隆の着眼大局な采配。
    朱衡:秋官(法整備、裁判、外交)の朝士。
       位は下大夫。
    帷湍:地官 (土地、戸籍の管理)の遂人(山野、治水の管理)。
       位は中大夫。
    成笙:夏官 (軍事、警備。警邏・土木事業。
       地誌の編纂。)の大僕(平時、内宮での王の身辺警護。小臣の指揮。)
       位は下大夫。
    驪媚:元州牧伯。
       元は秋官の司刑(裁判を司り、刑の最終的な決を下す)官。位は下大夫だったが、
       王の勅命により州にあって州侯を監視・監督する牧伯になった。位は卿伯。

    ■雁国元州の重要人物
    斡由:元州侯元魁の息子。実権を握る。
    院白沢:元・元州州宰で、斡由の部下。
    更夜:元州夏官射士(貴人の私的な護衛官の長)

  • 十二国記のエピソード3。
    延王と延麒の物語。

    内乱が起きて戦いになるのかと思いきや、、ならない笑
    作者は戦いのストーリーは好きじゃないのかな。

    延王が戦国時代に村上水軍に滅ぼされてから
    こっちの世界にやってくるというあたりも歴史好きには面白いです。
    モデルは実在しなさそうですけど。。。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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