風の万里 黎明の空 (上) 十二国記 4 (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101240565

感想・レビュー・書評

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  • 下巻読み終わったらしっかり感想書く。

    ああぁー、心が締め付けられる終わり方。
    清秀、とってもかわいそう…

    陽子が悩みながらも逞しくなっててびっくり。
    楽俊は人を救う天才か!笑

    采王黄姑が鈴に言った、
    「人が幸せであるのは、その人が恵まれているからではなく、ただその人の心のありようが幸せだから」
    「苦痛を忘れる努力、幸せになろうとする努力、それだけが真に人を幸せにする」
    この言葉が沁みた〜〜

    十二国記、ところどころで、普段の自分の生き方にふと大切なことを思い出させてくれる!

  • 祥瓊と鈴、この2人が慶王に会うため旅に出る。
    2人は旅での色々な人との出会いで成長し、自分の間違えを正す姿に心動かされる。

  • またどうしてこの方は、こう人間の汚いところというか嫌なところ描きますかねえ(褒め言葉として)。じぶんに思い当たる節があるから余計に、グサグサ刺さるというか、鬱になるというか。
    あと、ラスト。それはないだろう。清秀が可哀そうすぎる。それぞれが葛藤・苦悩するのはまだしも、あの最後は崖につき落とされた気分。しかも「おれ死ぬのやだな」「鈴が泣くから」と言い残し・・・そんな結末ないやろう。
    「月の影 影の海」同様、下巻では救われることを望む限り。大丈夫だよねえ?このままどん底は嫌ですよ。

    そして陽子は、冒頭からまたしても苦難の道。生死の心配はなくなったけど、今度は政にて。女子高生がいきなり王だと言われてもねえ。それでも逃げずに覚悟を決めた当たりはちょっと感動。「月の影 影の海」のラストシーンに見せた覚悟は本物だった。そして景麒の回想。「かけがえのない方なのだから」という言葉が信頼とこの後の安心感みたいなものを感じ。

    さて政と言えば、アルスラーン王子を思い出す。『限られた食料、すべての人は救えない、王たるあなたはどうする』。ひたすらに血を嫌い、哀れみ,仁道を説く麒麟。理想と現実のすり合わせが、十二国にリアリティというかただのファンタジーで終わらないところをもたらしていると思うのですよ。

    鈴の不幸自慢を清秀が指摘する。祥瓊の言い訳に楽俊が「あんたは、何をしたんだ?」と問う。ズバズバ本当のことを突かれるとツライもの。
    さて、彼女たちは「童話物語」の下巻のペチカのように改心(というと語弊があるが)するのだろうか。そして、陽子と鈴と祥瓊の3人の出会いがどうなることか。陽子の初勅は何かな。

    珠晶、見たなりは小さいのに、そこまでできた王道を歩むとはいったい何があった?どういう経緯で供王になったのか。語られることはないのかなあ。
    「哀れみが真っ当に正直に生きている人たちへの侮辱である」と言い切るのは凄い。王ならばこその巨視的視点。奚(下女)の長への感謝の言葉なんて、とても想像できなかった。ここら辺が人心掌握の技というか、上に立つものの思考なんだろうなあ。

    さて、延王尚隆の「そうなればきっと、俺は雁を滅ぼしてみたくなる」と不穏な独白。前巻にも微妙な一文があったが。いずれどこかでそんな物語が出てくるのか。

    遠甫との単位の話、どっかに図解ないですかね。文字だけではいっかな頭に入らない・・・

  • 三人の女性がそれぞれの立場で旅をしながら、成長を遂げていく物語。最初は、卑屈で身勝手な振る舞いをしていたものが、経験から学び、成長していく姿を見つめるなんとも言えないカタルシスを感じつつ捲るページが止まらない。
    さぁ続きを読もう。下巻を手に取ろう。

  •  あらすじを読んで、今作はちょっと苦手そうだと思っていました。
     
     少女3人の苦悩の話は疲れるなと、、、(まだ〈上〉だけなので仕方ないですが)読んでみて、疲れました!しんどい、しんどい。

     でもそれは、どこか共感できる部分があってそこに圧倒的な正論で立ちはだかってこられると「そりゃそうやけど・・・」しか言えなくなってしまうからだと感じています。

     楽俊、黄古、珠晶、清秀は◎ 魅力ある登場人物です。本当に名言、名場面製造機だと思います。

     特に、珠晶は惹かれる人物でした。と調べてみたら、「図南の翼」で描かれていることにワクワクしています。十二国記にまんまとやられています。

     「必要なのは相手の意を汲む努力をすること、こうだと決めてかからずに、相手を受け入れてあげることなのです。」
     「人が幸せであるのは、その人が恵まれているからではなく、ただその人の心のありようが幸せだからなのです。」

     十二国記は10代のころに読んでいたら、もっと響いていたのかな?って思う反面、10代の自分がこの難しい漢字の羅列に耐えれるとは思えないです。今回は特に、土地の単位の話とかなかなかきつかった。


     3人の話が、明確に区切られているわけではなく、次々と交差して話が進んでいくのがおもしろかったです。

    • 松子さん
      風が吹くようにさん、こんにちは(^^)
      わかりますっ
      風の万里の上巻、しんどいですよね〜

      下巻のほうは良い感じで
      読後感、「ふぅ、やっぱり...
      風が吹くようにさん、こんにちは(^^)
      わかりますっ
      風の万里の上巻、しんどいですよね〜

      下巻のほうは良い感じで
      読後感、「ふぅ、やっぱりおもしろ〜」でしたよ。
      何の参考にもなりませんが(^^;

      レビューに風が吹くようにさんの、しんどかったところも、良かったところも丁寧に書かれていて、「そうそう、そうだった!」なんて思い出しながら読みました。楽しかったです。

      「名場面製造機」←パワーワードですねっ(^^)

      長くなりすみません。
      本年もどうぞお願い致します。

      2023/01/09
    • 風が吹くようにさん
      松子さん こんにちは
      コメントありがとうございます。

      十二国記は信頼しているので下巻が楽しみです。きっと「おもしろかった~」と言って...
      松子さん こんにちは
      コメントありがとうございます。

      十二国記は信頼しているので下巻が楽しみです。きっと「おもしろかった~」と言ってるでしょう!

      そういって頂けるとうれしいです。「おもしろい」や「よかった」(つまらない、合わない)をうまく表現できればいいと思っています。

      ご丁寧にありがとうございます。
      こちらこそどうぞ宜しくお願い致します。

      2023/01/11
  • 十二国記シリーズ第4弾は上下巻に分かれた長編。

    上巻は、第一弾の主人公で、現代日本から流されてきた陽子が景国の王となった後の苦難の日々と、時代は違うものの、同じく日本から流されて来てつらい毎日を送る鈴(すず)、そしてかつては芳国の王の娘だったが、王が殺された後は下女として生きるようになった祥瓊(しょうけい)、3人がそれぞれ苦しむ様子が描かれる。

    下巻へ向けて、それぞれが自分の置かれた境遇を嘆き、悩む姿が丹念に描かれるので、読んでるほうもちょっと辛くなるが、それでも相変わらずの読みやすい文章とストーリー運びの面白さもあり、あっという間に読了。

  • 「これは私の物語だ」と思い至ったその瞬間から、その本はすでに自分にとってかけがえのないものになってしまうのだとおもっている

  • 『月の影 影の海』で王になった陽子、その続編の物語となります。

    王になったからと言って、全てが思い通りになるわけではなく、
    むしろ異邦人であることをいいことに、イイように転がされています。

    本人もそれが分かっているだけに、なおのこと苦しくて、、
    というか、景麒ももうちょっとどうにかねぇ、、とも言いたくなりますが。

    なお、陽子の他にも二名ほど主人公がいて、全部で三人。

    一人は、陽子より100年ほど前に流されてきた海客・鈴、
    一人は、先の芳国の公主であった・祥瓊、

    実年齢的に「少女」と言っていいのかどうかはわかりませんが、
    それぞれの苦悩と向き合い、一皮むけるまでの物語となっています。

    終盤に展開されるカタルシスは、相変わらずにが心地よく、一気に。
    今のところ、シリーズ中では一番好きな物語です。

  • 『月の影 影の海』以後の陽子、元国王の娘の祥瓊、蓬莱から一人異国の才国へ流れ着いた鈴、三人の少女の苦闘の様子を描いた十二国記4作目。

     この『十二国記』の世界は本当に甘えの許されない世界なんだな、とここまでの新装版『十二国記』を読んでいて思います。今作もまさにそのことを思わせる内容で、陽子は前作の苦難を経験し、悩みながらも前進をめざし行動する様子がしっかりと描かれていて、そうした陽子の姿も読みごたえありなのですが、それ以上に上巻で印象的なのは後の二人の少女の姿。

     祥瓊は国王の娘ながら、その王は行き過ぎた法の制定のため反乱の末殺されてしまい、自身は身分を偽って暮らすこととなります。父の暴走なんて知らなかった、という祥瓊に対し、周囲はそれを許しません。

     最初は国民たちの感情論的な部分もあるのかな、と思ったのですが、それだけではなく国王の娘として生まれた責任のことを言っていたのですね。好きで王の娘として生まれたわけじゃない、と祥瓊は言うのですが、一方で王の娘として贅沢な暮らしをしていたのも事実なわけで、そのため自分の現在の境遇を受け入れられないわけです。しかし上巻終盤で偶然、『月の影 影の海』で陽子を助けた楽俊と出会い、少しですが彼女に変化の兆しが見えてきます。

     鈴は何の落ち度もないのに言葉の通じない異国に投げ出された自分の運命を呪います。これに関しても同情的な意見はほとんどないですね。確かに異国に落とされそれから百年近くずっと自分の運命を嘆き続けるのもどうか、と思いますが、それでも自分は鈴に同情的に話を読み進めていきました。

     でもそれって、今ある程度恵まれた生活を送っているから同情的になれるんだな、と読んでる途中で気づきました。十二国記の世界は、食べるものにこと欠く人もいれば、妖魔に襲われ身内を亡くした人、国が荒れ故郷を失った人などさまざまな不幸に襲われる人がいます。そうした中でも人々は生き続けなければならない。そのためには自分の不幸を嘆く甘えなんて感情は許されないのです。だから鈴に対しても、協力してくれる人はいてもその不幸を一緒に嘆く人はいないのだ、と気づきました。

     鈴も旅の途中でそのことに気づき始めるのですが、上巻の最後に大きな事件が待っています。彼女がそこから立ち直れるのかも非常に気になります。なかなか辛い話も多いですが下巻も楽しみです。

  • 上巻に関しては最初から最後まで重苦しい展開が続く。楽俊が登場して「月の影〜」のような展開を想定していたが、十二国記の世界はそれほど甘くなかった(笑)。
    下巻での3人の少女の邂逅に期待したい。
    ※上下巻を読み終えてから評価しています。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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