風の万里 黎明の空 (上) 十二国記 4 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240565

作品紹介・あらすじ

人は、自分の悲しみのために涙する。陽子(ようこ)は、慶国(けいこく)の王として玉座に就きながらも役割を果たせず、女王ゆえ信頼を得られぬ己に、苦悩していた。祥瓊(しょうけい)は、芳国(ほうこく)国王である父が簒奪者(さんだつしゃ)に殺され、公主の平穏な暮らしを失くし哭(な)いていた。そして鈴(すず)は、蓬莱から流され辿り着いた才国(さいこく)で、苦行を強いられ、蔑まれて泣いていた。それぞれの苦難(くるしみ)を負う少女たちは、幸福(しあわせ)を信じて歩き出すのだが──。

感想・レビュー・書評

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  • 月の影から、1年程。慶国・景王となった陽子は、慣れない土地や言葉もあり、治世について悩み家臣達への対応に苦慮していた。慶の街の実情を知る為、身分を隠し里家で生活を始める。
    芳国・峯王は、圧政により人民から恨まれ殺害される。その娘、祥瓊は処刑は免れたものの、全てを失い、厳しい貧しさと苦しい雑役に不満が募る。
    蓬莱から、才国へ流された娘・鈴は、生まれ持った貧しさと生地へも帰れぬ不幸に、悲しむばかりの生活を続けていた。
    十二国のそれぞれの国でそれぞれの事情を抱えた少女達が、現状からの転換を求めて旅を始める。
    彼女達の前に其々、それまでの生き方を糺してくれるような人物が現れ、少しづつこれからが見え始める。
    この巻は、十二国の政治や土地柄について広範囲に説明されます。成る程よくできてるなあと。

    そして、小野さんの漢字使いの絶妙なこと。
    門構えの字だけでもその種類の多さ。
    閨・小さい門/宮中の門 閭・むらざと/村里の門
    闕・宮城の門 闢・ひらく 等々。

    下巻へ、彼女達のその後を読みにいきまあす。

  • 最近読み始めた『十二国記』。
    物語の歴史年表が1000年ぐらいある。∑(゚Д゚)
    壮大だっ!

    その世界をもっと知りたいと思い先日、十二国記をすすめてくれた友人と2人で
    【十二国記】山田章博・原画展に行ってきました。
    イラストと挿絵から、それぞれの登場人物の魅力がまっすぐに伝わってきて想像力を掻き立てられる!そしてどれもかっこいい!

    道中、十二国記の話をあーだこーだと喋りまくる中で、友人が、
    『いやぁ、ほんとはエピソード1だけじゃなく、全シリーズ届けようかと思ったんだけど、まっちゃんプレッシャーでしょ?なんとか思いとどまったよ!笑』
    友の十二国記愛♡が深いぃぃぃ〜。

    そんな彼女におすすめの読み方を伝授してもらった。
    『エピソード順も良いけれど【月の影、影の海】の次は、【風の万里、黎明の空】を読んで陽子の生き方を追うのもいいよ』とのこと。
    なので、エピソード1からエピソード4へ飛びます(^^)

    えーっと、十二国記大好きな友人が可愛くってしょうがないって話と
    エピソード1から4へ飛びますっていう話でした。
    最後まで読んで頂いた方、日記みたいになって
    ほんとすみません…m(_ _)m
    感想は下巻へ…。

    • 松子さん
      ひろみ、おはよー(^^)
      今日はこちらは寒いです。
      寒いの苦手〜(ㆀ˘・з・˘)

      昨日ねTOEICの結果がわかったんだけど、
      なんと…、ず...
      ひろみ、おはよー(^^)
      今日はこちらは寒いです。
      寒いの苦手〜(ㆀ˘・з・˘)

      昨日ねTOEICの結果がわかったんだけど、
      なんと…、ずっと昔にとった点数よりほぼ100点下がってました!(・_・;びっくり
      いやぁ、びっくりした!

      昔走るのが速くて、大人になっても速いままだと思って走ったら
      もうぜんぜん走れなかったわぁ〜みたいな感じ!笑
      なので、引き続き勉強してまたテスト受けてみようと思うんだ♪
      ひろみの言葉がきっかけで挑戦しようと思ったTOEIC、これは自分の挑戦だなぁとワクワクしております。
      たくさん応援してもらったので、ご報告でした
      (^^) ありがとうね
      2022/10/12
    • hiromida2さん
      まっちゃん、こんにちは!
      ホント秋だね〜 こちらも寒いです。
      が、しかし今、私は『おいでませ山口ヘ〜』??
      山口県の方へ旅行に来てます?(⌒...
      まっちゃん、こんにちは!
      ホント秋だね〜 こちらも寒いです。
      が、しかし今、私は『おいでませ山口ヘ〜』??
      山口県の方へ旅行に来てます?(⌒-⌒; )笑

      TOEICの結果報告ありがとうね〜
      そっか、そっか…どんな点数の付け方なのか?
      経験ないので分からなかった。
      昔より100点下がってる〜ってショックだね
      走りでの表現よく分かるわ〜
      しかし、チャレンジ精神衰えないところがスゴいよ!
      大切なのは走り続けることだよね(*´꒳`*)
      多趣味で色んなことやってるし、
      本読みスピードはやいし、尊敬します♡
      関係ないけど、私も寒いの苦手です(>_<)
      風邪引かないように気をつけてね(。◕‿◕。)♥
      2022/10/12
    • 松子さん
      おぉ、山口に旅行中なのに
      お返事ありがとうぅぅぅぅ(≧∀≦)
      うぅぅーん、旅行いいねぇ♡
      旅行の写真が見たいわっ
      でも、ブクログなので、良い...
      おぉ、山口に旅行中なのに
      お返事ありがとうぅぅぅぅ(≧∀≦)
      うぅぅーん、旅行いいねぇ♡
      旅行の写真が見たいわっ
      でも、ブクログなので、良いみやげ話があったら
      聞かせてね(^^)
      楽しい旅を〜♪
      お返事は大丈夫だからね〜
      2022/10/12
  • 「月の影 影の海」の直後、戴冠したばかりの景国王陽子の戸惑いから始まり、元芳国公主(皇女)祥瓊や、明治時代末の日本から十二国に流れ着いた少女鈴の紆余曲折、3人を同時並行で描くことで、十二国で生きることがどういうことなのかを重層的に見せる巻となっている。

    祥瓊も鈴も、それぞれ3年間や100年間で身分の激変があり、「世界」を知る契機があったのに、自らの不幸を嘆くばかりで、張清じゃないけどほとんど「ガキ」だ。そして陽子ははじめての王様の仕事で王様ブルーになって市井に隠遁するなど、「月の影 影の月」とは種類の違う暗い展開になっている。

    また、「この世界」の様子もだいぶわかって来た。少なくとも千年以上は続いているこの世界が、何故に日本のように産業の発達がないのか、その秘密も少し推測できるようになった。例えば、人や馬や牛、新種の作物でさえも、それは「生命のなる木(天帝の意思?)」の気まぐれにまかされていて数が調整されているからだ。また、王朝の交代や天災によって、人口や経済は一気に後退する。経済によってモノが産まれるのではなく、意思によって産まれるのである。そんなこんなで産業の発達は著しく阻害されている。人々はそのことに何の疑問も持っていない。だって、世界はそうなっているから。だったら、完全に閉じて、百年のうちに何度も外の世界(日本や中国)から人を招き入れなかったら良いのに、などと私などは思う。そこには深遠な天帝の意思があるのか、それともないのか、他所のファンはともかく、私などはそういうことが気にかかるのではある。

    しかし、泰麒や陽子が流れ着くこの時代、あまりにも王朝の交代が激しく、日本からの招来が多い。それは何故なのか?おそらくシリーズを通じて最大の謎になるだろうと思う。

    祥瓊や鈴の、あまりにも自分勝手で「ガキのような」思考には辟易した。下巻では、それが反転するのかしないのか、まぁそれも読みどころだろうと思う。

    明らかになった年表的事項もあるが、それは下巻で記入する。下巻を紐解くのはおそらくお正月だ。

  • わからない。私には決められない。溜息をつかれることが怖くて。他人の顔色を窺いながら無理してる。
    何も知らなかった。だって知らなくていいと言われてたもの。だから私は悪くない。
    あたしって不幸。あたしがみんなと違うから、みんなあたしを嫌うのよ。それなのに誰もわかってくれない。あたし、こんなに辛いのに!

    慶国の玉座に就きながらも役割を果たせず、女王だから信頼を得られぬと苦悩する陽子。
    芳国国王である父が殺され、公主でなくなった祥瓊。
    蓬莱から辿り着いた才国で、苦行を強いられ泣いてばかりの鈴。
    三人の少女は自身の身の上に降りかかる苦難とどう向き合っていくのでしょうか。
    みんなに気に入られたいから自分を出さずにいること。心地よい場所で何も知ろうとせずにいること。いちばん辛いのは自分だと不幸自慢してしまうこと。これらは生きていく上で実はいちばんラクな処世術なのかもしれませんね。私もあります。そういうことを悶々と思い悩んで。結局その先には何の活路も見出だせないのだけど。
    目を逸らさずに自分の力を信じて動きだすことは怖いです。見たくないものも見るし聞きたくないことも聞く。それこそ困難な道のりなのですから。

    陽子は弱気になりそうな自分から一歩踏み出します。やっぱり自分の力でいろんな困難を乗り越えてきた彼女は、自分と闘って動きださなければならないことを自覚してました。景麒と出会った頃の内気な女の子ではありません。それがわかっているので、陽子の決断は頼もしく感じました。
    祥瓊と鈴は、自分たちの苦難に対して考えるきっかけを与えてくれる人物と各々出会います。
    彼女たちが自分たちとどう向き合っていくのか、景王である陽子に対する嫉妬や妬み、憧れがどう変わっていくのか下巻が楽しみです。

  • エピソード4、の一冊。

    舞台は慶国。
    即位し、良い国づくりをしたいと思いながらも何をどうすれば良いのか苦悩する陽子。

    そして己の理不尽な運命に苦悩する二人の少女を軸に描かれる今作。

    まず、思い悩む陽子の姿には胸を打たれ、延国のお二人さんと楽俊に癒された。あぁ、このメンバー、ほんと好き。

    そして二人の少女、鈴と祥瓊の恨みや妬み。それこそ誰もが一度は経験する渦巻いた思い。

    その思いをどう自分の中で鎮静化させ、何に変えるべきなのか…。実に心に響く言葉が多々あり。

    それぞれの思いにどう向き合うのか、下巻へ。

  • 下巻へ。

  • 景王として即位するも、この世界のことも政治のことも知らないことばかり、それに加えて家臣たちの信頼を得られず、思うように身動きの取れない陽子。
    それでも腐らず、国を知り、民を知るために身分を隠して市井に紛れて暮らす選択をした陽子に頼もしさを感じました。
    景麒の言葉の足りなさにはやきもきしちゃいましたが…。

    そして、同じ年ごろで玉座に就いた陽子に会うため、景国を目指す少女が2人。
    鈴と祥瓊、立場も背景も異なる2人ですが、己の不幸にしか目がいかず、陽子に対して身勝手な思いを抱いて旅をはじめたところは同じです。
    2人の言動にひやひやしながらも、道中での出会いが彼女たちをよい方向に導いてくれることを祈りつつ下巻へ。

    「人が幸せであるのは、その人が恵まれているからではなく、ただその人の心のありようが幸せだからなのです」
    …という、采王が鈴にかけた言葉は忘れずにいたいなぁと思います。

  • 再び景国の陽子の物語。
    国王になる道を選んだ陽子であったが、蓬莱出身で景国の事情に疎いため、政治のやり方にも官吏たちとの関係にも苦心する。頼るべき景麒も不器用といか口下手というか、陽子に上手い助言を与えてくれるどころか言いたいことを飲み込んで常に溜息を漏らすので陽子のいらいらは募る一方。
    でも、陽子はもう昔とは違う。国のことが分からなければ、民の暮らしを見に行けばいい。そう考えて王宮を降りて村に行く陽子。昔は現状を嘆くばかりだったのに、自ら行動を起こしたのだった。陽子、成長したねぇ。そんな陽子を見る麒麟もどこか嬉しそう。

    そしてまた新たな登場人物が二人。そのうちの一人、祥瓊は芳国の元王の娘。公主としての自分の責務を果たすことができなかったばかりかそのことに気づくこともなく、現状の自分に対する不遇に怒りを募らせていた。祥瓊に対する仕打ちは相当なものだったと思うけど、やはり家族を無残なやり方で処刑させられた民の気持ちを思うと、これまでの祥瓊はどこまでも脳天気なお嬢様だったと言わざるを得ない。そんな祥瓊に、たまたま出会った楽俊は、祥瓊の至らなかったところを訥々と話して聞かせる。

    「知らなかったんだろう?他国の公主が何をしてるか。知ってなきゃいけなかったんだ。公主の祥瓊より、おいらのほうが芳に詳しい。それってボロを着るよりも恥ずかしいことだって分かるか?」
    「毛織物の服は恥ずかしいかい?けど、世の中のほとんどの人はそれを着てる。誰もそれを恥じねえのは、それが自分の手で働いて得た最上のものだからなんだよ。」

    私は公主ではないけれど、この楽俊の話って、どんな職業でもどんな役割でも当てはまることだと思う。その役割を担った以上、その責務を知り、果たしていかなければならない。私は自分に甘いところがあるから、このことを自覚して生きていきたい。

    「人が幸せであるのは、その人が恵まれているからではなく、ただその人の心のありようが幸せだからなのです。」

    下巻で祥瓊と鈴はどんなふうに成長していくのか楽しみです!

  • 人は自分の悲しみのために涙する、そういうものなのだ、と思いつつも突きつけられて辛くなる。自分だけが不幸なのだ、と自らを不幸に沈み込めていく様子は耳に痛い…

  • 回を追う毎に面白くなる。

    今回は慶国での話。それぞれ3人の少女にスポットライトが当たりながら物語は進んでいく。

    一人目は慶国の王、景王・陽子の話。王になったもののこちらの世界の生まれではない(海客と呼ばれる)ので十二国の常識がわからない陽子。何を決めるのでも自信が持てず官吏からも景麒からもため息をつかれるばかり...。慶国を交配させた先代の王も女王。民や官吏の中には「また女王か...」という思いを持った人も。このままではいけないと思った陽子は民の暮らしを知るために遊学に出る。

    二人目は鈴。貧しい家に生まれ自分が売られるとこになった鈴。引き取られていく途中で事故に遭い、気づけば十二国へ迷い込む。こちらの言語がわからず途方に暮れていたところ仙人である梨耀(リヨウ)に出会う。仙人は言葉が通じるので嬉しくなってしまい梨耀の元で仕えさせてくれと懇願。鈴自身も仙籍を与えられるのだが一番低い位で梨耀から侮蔑の言葉を投げかけられたり、無茶な注文をつけられたりと毎日が辛い。そんな時慶国に女王が即位した話、その女王も海客だという噂を聞き「同じ海客として哀れんでくださるに違いない」と決意する。

    三人目は祥瓊(ショウケイ)。芳の国、峯王の娘。政治にも関わらず王宮で楽しく暮らしていたところ、謀反に遭い、そこで初めて父が厳しい法で民を苦しめていたことを知る。目の前で父も母も殺されてしまうのだが祥瓊は殺されず、名前と身分を隠して一般の子供たちが集う場所で一緒に生きることになる。初めて経験する民の暮らし、仕事。毎日が辛い。そんな中で景王の話を聞き、「自分はこんな目にあったのに、景王はいきなり王になって贅沢な暮らしをしているに違いない、許せない」と一方的に恨みを募らせる。そして景王に同じ苦しみを与えるために慶国へ向かう。

    陽子以外のこの二人のキャラが悲劇のヒロイン的なキャラでとにかくうざい...んだけれども物語が進んでいくにつれてどんどん成長。旅を通して己の考えを悔い改め変わっていく姿がめっちゃ面白い。別人?ってくらい成長して物語が進んでいっても重要な役割を担うようになる。

    陽子は1巻の頃よりもだいぶしっかりしてきてこちらも別人ですか?ってくらい王の責任感、悪く言えば生真面目すぎる一面を覗かせる。遊学先で民の暮らしを自らの目で見て王としての品格を備えていく陽子の成長っぷりもまた面白い。

    この三人の運命がどのように行き着くのか、ドキドキしながら追っていけるのでおすすめ。そして他の国では何が起こっているんだろう...と次作に期待と不安を持たせる作りもしっかりしててこの世界にどっぷり。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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