- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784101240589
作品紹介・あらすじ
丕緒の鳥は、小野不由美さんが描く人気シリーズ十二国記の最新刊です。今までの作品の世界観を活かしながらも、王の視点ではなく民の視点で描いた短編集であることが特徴です。そのため、王や国といった大局的な視点よりも、人間そのものに焦点を当てていると言えます。今までの作品であまり描かれなかった人々の姿を描写し、新たな魅力をシリーズに与えた作品です。
感想・レビュー・書評
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十二国記の世界観を埋める短編集。
個人的には二章目の柳での話が良かった。恐らく楽俊や祥瓊が訪れた時とそこまで前後していない時代の話だと思う。
120年の治世を続けた劉王。登極して王が実行したもの。「極刑の禁止」。
そんなさなか、治安の悪くなった柳で連続殺人事件が起こる。子供を含めた犠牲者の数に、官吏も国民も極刑を望む。司法のトップを務める男は苦悩する。
「主上に詮議を賜わらねば。」
しかし、劉王は云う。
「司法に委ねる。」
民意を体現するべきか、王意を汲みとるべきか。
2つの情を捨てて、謹んで刑を決断すべきか。
法務の苦悩がすごくリアルだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
十二国各国の王や麒麟が、自国の為、どの様に引き継ぐか、立て直すか、といったメインストーリーの内側で貧困や政治の混乱に苦しみ悩む、官吏や市井の人々が描かれた短編集。
「丕緒の鳥」
大射と呼ばれる、陶製の的を射る儀式。その陶工が、彼の望む国を、苦悶しながら、表現する。その想いは、王に伝わる。
この儀式が、よく考えられていて、鳥のように飛ぶ様子が想像できた。
「落照の獄」
死刑制度の是非について問う。
傾きかけた国、政治に興味を失った王。そこで司法を司る官吏の苦悩。
「青条の蘭」
新しい樹木の疾患による森の崩壊を防ごうとする男達。最後の希望の苗を、王に手渡す為、何人もの人物が走り続ける。人の為、国の為、行動できる気持ちが、成し遂げるもの。
森の話になると、明治神宮の、100年を見据え設計された森のプロジェクトのことを思い出してしまいます。あれも、奉仕団の活躍があったんですよね。
「風信」
女性排除という異常な政令に苦しむ民。その為、全てを失った少女が、暦作りをしている家で奉公を始める。周囲の状況に左右されず、統計を取り続ける。なんだろうねえ、こういう研究者が存在したから、歴史が伝わっているんだろうなあ。
四柱推命とか算命とかの統計は、中国の古代から作られていた戸籍を元にしてるとか。
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十二国記【丕諸の鳥】EP5
1→4→2→0→8→3→5の順番で読む。
変な順番ですが理由あります(^^)
丕諸の鳥…、4つの短編集。
じっくり読み応えがあり涙がでた。
国と民を守る為、懸命に使命を貫く無名の英雄たちに心震える!
丕諸の鳥
落照の獄
青条の欄
風信
んー、【落照の獄】はちと私には難しかったです。
柳国が傾いている状態で、殺刑(死刑)を復活してもいいかどうか。それは殺刑の濫用につながるのではと、司刑の瑛庚(エイコウ)が悩むお話。
特に好きだったのは【丕諸の鳥】と【風信】。
【丕諸の鳥】
「大射」という国の儀式を担う丕諸(ヒショ)さんのお話。読後の表現できないじんわりとした感動!
【風信】
暦を作る人達のお話。泣きましたぁ(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
各話に出てくる登場人物は十二国ならではの、国のお仕事に携わる人達。
作者が創り出す十二国の世界は、設定は細やかで世界観は壮大で言葉じゃ表現できないんです。
うーん、読んで体感してるって感じ。笑!
あと漢字がやっぱり…、むずかしぃー^^;
タイトル【白銀のオカ】が
漢字検索で出てこない!笑笑
まだまだ十二国の世界たのしみますっ
次はエピソード6【図南の翼】へGO!
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ひろみっ、コメントありがとう(*´∇`*)
んとね、最初は言葉、漢字、国の地図やシステムが難しくて調べてばかりだったんだけど、少し慣れてきた...ひろみっ、コメントありがとう(*´∇`*)
んとね、最初は言葉、漢字、国の地図やシステムが難しくて調べてばかりだったんだけど、少し慣れてきたみたいっ。ヤッタァ(^^)
十二国記ガイドが買ったばかりなのに、付箋だらけで、使用感が凄い事になってきたよ(^^;
でもね、すごく面白くて、
十二国記温泉温泉にどっぷり浸かってます♪2022/10/18 -
松子さん、おはようございます。
「オカ」は、Wikipediaに出ている単語をコピペして使いました(^_^;)。松子さん、おはようございます。
「オカ」は、Wikipediaに出ている単語をコピペして使いました(^_^;)。2022/10/20 -
くまさん、おはようございます(^^)
Wikipediaからコピペ(゚ω゚)
なるほどっ!ありがとうございます
やってみますねっくまさん、おはようございます(^^)
Wikipediaからコピペ(゚ω゚)
なるほどっ!ありがとうございます
やってみますねっ2022/10/20
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シリーズ中、屈指の読み応えであった。全4編を、主人公を説明することで順に批評する。
「丕緒の鳥」
丕緒(ひしょ)。慶国の祭祀吉礼において催される射儀を司る責任者。官吏なので仙籍に入り、歳を取らない。悧王以降4代に仕える。陶製の鳥を射て、美しい音を立て華やかに砕ける事を愉しむ儀式を司り、そのためだけに存在する。鳥とは鵲(かささぎ)でなくてはならない。丕緒は自問自答する。
ーーいったい何のためにこんな儀式があるのか。
百数十年生きても、尚わからない。蓋(おもうに)「極める」とは斯くの如しか。
「落照の獄」
瑛庚(えいこう)。柳国の国府(最高裁判所)の司刑(裁判長)である。法治国家の体裁を採り、合議制で結審する。殺罪などの大罪に対する刑罰の最重刑は死刑つまり「大辟(たいへき)」と云う。調べると、この言葉は四書五経の中の言葉だった。しかも、始皇帝の焚書坑儒により、大半の原典は我々の世界では喪われている。柳国では活きている。この短編には、その頃の専門用語が多く出てきて、その分瑛庚の決する最終刑はわかりにくい。しかし1番のカギは、主上(王様)が「大辟を用いず」方針に責任能力を持たなくなったことにある。我々世界の問題(死刑是非論)とリンクしているようで、実はリンクしていないことは留意すべし。古代漢字を現代小説に用いるために、著者は、奄奚(げなんげじょ)、豺虎(けだもの)、殺刑(しけい)、刑案(うったえ)、徒刑(ちょうえき)、刑徒(しゅうじん)等々と翻訳してみせる。不亦面白乎(またおもしろからずや)。
「青条の蘭」
標仲(ひょうちゅう)。一転、この短編の主人公は、最初からずっと移動し続けていて、ラスト近くで倒れて仕舞う役割。わかりやすい。下級役人の1人で、新しい植物や鳥獣を集めるのが仕事である。何処の国の話かは、最後の最後にヒントのみ与えられる。シリーズファンならば直ぐ判るだろうという憎い演出である。はっきりハッピーエンドか、バッドかは描かれていないが、ファンならば判る。また、王様の長きに渡る不在とは、つまりは国が滅亡に近い処までいくことなのだと、この短編により、よく判るのである。
「風信」
蓮花(れんか)。最後の少女は、不老不死の役人でさえもない。標仲も蓮花も、2013年の文庫書き下ろしらしい。シリーズが始まって、20年以上が経っているのに、つい最近始まったかのようなこの瑞々さは何なのだろう。物語は、正に「月の影影の海」「風の万里黎明の空」の時間軸と慶国内の出来事で物語られる。景麒も陽子も微かにも出てはこない。その中で、正に十二国ならではの出来事で、蓮花は希望を見出すのである。
この本で、年表に新たに付け足す事はなかった。
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2019/11/23
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2019/11/23
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これまで読んだ十二国記の作品がより味わい深く思い出されました。
「青条の蘭」はこれはどこの国の話なんだろうと読み進め
どこの国かわかった瞬間、胸が熱くなりじんわり涙が…
短編集だからって他の十二国記の作品にまったく劣りません。
そして辻真先先生の解説もとてもよかったです。 -
裏舞台を描いた、一冊。
これまでは国と王という表舞台が描かれていたけれど、今作は民という裏舞台に焦点をあて描いた作品。
実にどっしり、内容は濃い。いつの時代もいつの世界も、民が願うことはただ一つ。
全ての民が安寧に暮らせ、全ての民が救われること。
その思いを王に託すこと。
一人一人が己の場で出来ることを思案し全うする姿は胸を打つ。
一人一人の小さきチカラが国の未来に繋がる…自然と今の世の中に重ね合わせてしまった。
四つの短編、どれもラストの余韻がこれまた良い。
そしてこれはどこの国だろうと思いを巡らせるのも楽しかった。 -
良い短編集でした。これまでの十二国記は国のトップ(王)と側近達(麒麟など)が中心のお話なのだけど、今作は王と直接謁見できない位の人や市井の人が中心のお話でした(それがいい!)。4篇どれも良かったけど、『青条の蘭』が特に好きです。廃退していく国のために一生懸命頑張る下級役人が、ある目的を成し遂げるために頑張るのだけど、道半ば断念し、誰かに頼ることになってしまうというリアルさもいい。(最後の場面は駆け足ではあったが)託したものは最終的にささやかな形となって実を結ぶという描写が良かった。
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十二国記のシリーズ5作目。
と今ならわかるが、これを読んだ2020年当時は恥ずかしながらシリーズものという認識がなく、しかも短編集だったため、よくわからなかったのが正直なところ。
今再読すれば、違った楽しみ方ができるのだろうな。機会があれば。 -
本編では描かれない、官吏たちの姿を描いた4つの物語が収められています。
景王即位の儀式で使用する的を作る陶工。
職務と感情の狭間で葛藤する裁判官。
希望を託した荷を背負い雪道を急ぐ地方役人。
地域にあった暦を作るため季節の移ろいを観測する男たち。
短編なのですが、どれも1冊の本を読み終えたかのような密度と広がりがあって、満足の溜め息がこぼれました。
国と民のあいだで苦悩しながらも、自身に課せられた役割を果たすためにもがく姿に涙が滲みました。
著者がどれだけ緻密に十二国の世界を創り上げているのか、本書でより鮮やかに感じることができました。
改めて、十二国記の凄さを実感し、静かに興奮しながら読了。
著者プロフィール
小野不由美の作品





