丕緒の鳥 (ひしょのとり) 十二国記 5 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社
4.05
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本棚登録 : 5836
レビュー : 731
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240589

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読む作家です。

    解説にあるとおり、

    「『十二国記』という架空世界に投影される古代中国のイメージにもまして、細部にわたる創作が加えられ、中核をなす神仙思想も既成のそれとは異なって、読者を独自の世界観に陶酔させてくれるのだ」。

    作品の手触りを伝えてくれる一節です。
    まさに、この「世界観に陶酔」しました。

    初読の印象として、カフカの作風を思い起こしました。

    例えば「落照の獄」は、法の迷宮を描いた『審判』。
    そして「青条の蘭」は、城への迷宮を描いた『城』。

    だからどうしたというわけではないですが、世界文学に出会えたと思える全4篇でした。

  • 十二国記シリーズ既刊、やっと読了!
    第三者視点短編集でしたので、各国主従萌えとしてはちょっともの足りず…しかし陽子はかっこいい…

  • 再読。
    短編集。丕緒の鳥(慶),落照の獄(柳),青条の蘭(雁),風信(慶)。
    今までは王や麒麟などの国の中枢の人々の話だったが、今回は四話のとも民のお話。
    民の期待を背負う王も大変だが、王に振り回される民も大変だと思った。どんなに頑張って暮らしを良くしようと働いても、自国の王が愚王ならばただの徒労なるのだから。それでも強く生きていこうとする人々の前向きな姿勢に心打たれる。
    十二国記を読む度に、平和な世に生まれた有り難みを感じる。

  • 十二国記の短編集。
    死刑の要否など、現実の問題を投げかける内容。
    世界観の厚みを増すのにも良い内容だった。

  • 久しぶりに手にした十二国記の短編。表題作の丕緒の思いを陽子が汲み取ったくだりで涙が出た。陽子の、王でありながら驕らずに人と接するところ、わからないことはわからないと言える素直なところがとても好ましくて、ああなりたい。落照の獄は、司法の立場からの死刑への考えが難しくも興味深かった。
    この春は十二国記を読み返そう。

  • 十二国記シリーズ短編集。
    いったいどこの国の話なのか、それぞれ今までの既刊を覚えていて、推測するしかない。

  • <内容紹介より>
    「希望」を信じて、男は覚悟する。
    慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか――表題作「丕緒の鳥」ほか、己の役割を全うすべく煩悶し、一途に走る名もなき男たちの清廉なる生き様を描く全4編収録。

    ――――
    陽子が即位する直前の慶国のエピソードが2本、尚隆が即位して間もないころと思われる燕国のエピソード、国が傾き始めている法治国家柳のエピソードの4話。
    英雄のようでありながら、実際には民に寄り添いながら政治を行おうと努力し続ける主人公が多かった十二国記シリーズにおいて、いわばモブキャラである下級官僚や市井の民が主人公となった物語です。
    対局を担う地位にいるわけではなく、ドラマティックな展開はそれほど多くありませんが、つらい日々であったとしても、懸命にその日々を生きてゆこうと努力する登場人物の姿には胸を打たれるものがあります。
    たとえどのような職分にあったとしても、「自分にできること」を精いっぱい努力して過ごしている登場人物の生きざまは、(著者が強調しているわけではなくとも)読者に訴えかけるものがあるように感じます。

    ただ、いかんせん、自分が好きなメインキャラが登場しないので、読んでいて「起伏にとんだ盛り上がりの場面」がなかったのが少し物足りないように感じました。

  • 圧倒的スケールの世界観、文章力は相変わらず。
    読んでいる最中、最寄りのバス停についたが、続きが気になって、降りてからも暫く読んでいたことを覚えている。

  • 十二国記の世界に生きる王ではない人たちの話。
    それぞれに、憤りや絶望、使命感など様々な感情が描かれておりとてもとても興味深い。
    陽子のその後が登場するのも、ファンには嬉しいところ。

  • 短編集、まだ続きがでる期待と共にw
    登場人物はシリーズの王様達でなく、12国に住む様々な人達の話です。どことなく日本の時事を考えさせられる話もありました。必死に成そうとする生き様にうるうる涙腺が緩みます。

  • 青条の蘭
    胸に迫る。
    国とは??

  • 結局、復習は間に合わなかった。まあ、新潮文庫版の刊行順で読むことができたので、よしとしよう。どうしてこの順番なのかと不思議だったが、「丕緒の鳥」、「落照の獄」、「風信」が「月の影 影の海」と「風の万里 黎明の空」の外伝で、「青条の蘭」が「東の海神 西の滄海」の外伝だから、ここに持ってきたのかな。「丕緒の鳥」を読むのは、「yom yom」に掲載されたとき以来。しみじみとした感じの結末が気に入っている。陶鵲が砕けるときの色彩をもう少し鮮明に思い描ける想像力が欲しいと思った。「落照の獄」は、「yom yom」で読んだときと同様、閉塞感が募るだけだなあ。「青条の蘭」が一番おもしろかった。希望の持てる結末でよかった。州名に見覚えがなかったので、いったいどこの国の話だろうと思っていたが、「一路、関弓へと向かって。/目指す玄英宮までは、二日の距離だ。」という一節(280ページ)に至って、ようやく雁の話だと分かった。そうすると、その直前(279ページ)で「話の分かる人物」と言われている「新王によって任じられた新しい地官遂人」は、小松尚隆から猪突の字を賜った帷湍のことで、包荒の「中央で大事があったと噂に聞いたが」という台詞(188ページ)に出てくる「大事」は、延麒六太の出奔のことか。雪が降りしきる描写が多い中、「荒れて凹凸や泥濘だらけの道には、至るところに氷が張り、霜柱が立っている。」という一文(203ページ)には、ちょっと違和感を覚えた。「風信」を読み始めて、なんとなく映画「天地明察」が思い浮かんだが、似ているのは、暦を作る話ということだけだった。長向の「例えば今年は閏月がない。」という台詞を読んで、そうか、十二国記の世界は太陰太陽暦かと思った直後に、それにしては、月半ばに新月という描写が「青条の蘭」にあったようななどと思ってしまうのは、そういう性分だから仕方がない。短編では物足りないから長編が読みたいというのが、全体的な感想。
    収録作品:「丕緒の鳥」、「落照の獄」、「青条の蘭」、「風信」

  •  今日も細かい雪がちらちら降っていました。そんな日はおうち読書です。
     12年ぶりに出版された十二国シリーズの最新作。この作品を読むために、シリーズすべてを再読しました。
     今回はどこかの王に視点を置いた話ではありませんでした。王や国に左右される民のお話。シリーズの中で始めてではないでしょうか。そんなお話をまとめた短編集になります。
     「丕緒の鳥」に登場する陶鵲。とても美しい儀なのだと思いました。予王は現実を見ることを拒んだ。景麒・・・主を守ることは悪いことではないけど、、うーん・・・。
     「落照の獄」は死刑について考えさせられました。人が人を裁くことについても。人が人を殺すのはいけないこと、それが正しいことだと幼いころから教えられて育ってきています。なのに人を殺すことが許される例外が事実として存在しています。これは現実の世界でも重なる物語だなと思いました。
     「青条の蘭」はどこの国かわからないように書かれていました。最後に雁国だということがわかり、安心しました。雁なら、延王なら大丈夫。きっと青条は届けられた。良い国になって良かった。
     「風信」を呼んで、王に左右される民、王が長生きして王座についていることが民のためになるという言葉を再認識しました。
     ああ、早く続編でないかな。

  • 前巻の発売から、ずーっとずーっと、首を長くして待っていたので、とても嬉しかった。十二国、その仕組みが、なんだか箱庭のような、何か高次の物が作った実験世界のようにも感じる。今回のお話も、これまでのお話も、主人公、脇役、みな登場人物たち誰もが、翻弄され苦しみつつも、覚悟を持って生き抜こうとするところに惹かれ、何度も繰り返し読まずにいられない。

  • なかなか読むのが苦しくなる話が多かった。国の役人も大変だなあ…
    もちろん王や麒麟から見た国の動きはおもしろいけど、こういう普通の人たちから見たこの世界もおもしろかった。

  • こういう短編があることで、十二国記の世界がより出来上がるというか。

    すごいなぁ、すごいなぁ。

  • とりあえず現時点(16年12月)で出ている最後の作品。これまで書かれてきたそれぞれの国の話と云うより、そこに住み、生きている人々の話で、正直物足りない。それぞれの国の話の続きを読みたい!!!

  • さらっと流し読み。
    民や役人ではなく、王やその周囲が中心になった話が読みたいと思うのは、我儘だろうか。
    短編集で補強してほしいと思っていた部分があまりにも書かれないというのはつらい。

  • 英雄史観ではない物語が心地よい。特に沈みゆく柳の短編が秀逸。

  • タイトルにもなっている短編で陽子が出てきたので、慶に関する短編と勘違いしていたので拍子抜け。だけど、読んでいくうちに引き込まれていき、それぞれの立場からの物語を楽しむことができました。
    こんなに奥の深い物語を作れる小野不由美さんに尊敬です。

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著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

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