丕緒の鳥 (ひしょのとり) 十二国記 5 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社
4.05
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本棚登録 : 5774
レビュー : 729
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240589

感想・レビュー・書評

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  • ついに、新刊。
    めちゃくちゃ楽しみにしてたからこそ、重く、1ページ1ページを噛みしめて読んだ。

    これは人間の物語なんだなあ、て。
    しみじみした。
    時に目を背けたい出来事に、死に、荒廃に、利己的な人の心ない行為に、国を支える職務のあり方に、悩みながらも。
    心ある人の支えに、命の光に、過ぎていく日々に、かすかな希望を夢見ながら。
    一歩一歩歩みを進めていく登場人物たち。

    あれが、きましたね。
    日常を作ることもまた道だ、ていう言葉。そう、何気ない日常は当たり前ではなくて。誰かによって支えられているのだということ。

    じんわりとしたほろ苦さと、
    新芽のような命のきらめき。
    うん、感じたよ。
    なんていっていいのかわからないけれど。全巻読み直したくなったよ。陽子ちゃんがすきだよ。

  • シリーズ新刊、さっそく読みました。
    短編集だけど、内容は濃い。
    ずっと謎に思っていた柳も出てきたし、とても面白かったです。
    このシリーズは話が壮大すぎて、もういつ終わってもおかしくないと思う一方で、いつになっても終わらなさそうな気がします。
    今、次の話を書いているということだったけど、いつまで書き続けてくれるのかな?
    できれば一生続きを読み続けたいです。

    いつも感動するのが、全く異世界なのに、すべて自己に置き換えて考えることが可能なこと。
    世界、国、会社、その他組織の在り方や政治、法律、道徳観、人間とは、人生とは、等・・・
    シリーズに出てくるすべての設定・話を現在に置き換えて同感しています。
    特に最近は将来について考えることが多いせいか、自分の中の理想について自問自答することが多いです。
    今後自分は何をしていけばいいんだろう。。。
    一生懸命やれば報われることもあるし、報われないこともある。
    ・・・でも、結局は目の前のことをきちんとやるしかないんだけど(^_^;
    堂々巡りになりながら、最終的な結論は、
    「また明日から頑張ろう!」と開き直っています(笑)

  • yomyomに掲載されていた短編二編+描き下ろし短編二編。いわば「主役」の王たち 、麒麟たちの怒涛の物語、ではなく、王と普段触れ合うことのない役人や庶民たちの切実でぎりぎりとした短編でした。王がいない時代って怖い……。

  • 青条の蘭で泣いてしまった。しかもバスの中で心臓がぎゅっとなり、こんなところで泣くわけにいかないとガマンしたのに、涙が盛り上がってきて困った。こんなことなら、一人で部屋にこもって読むのだった。

  • 歴史には刻まれないような、
    無名の人々も頑張っている!
    それぞれの時代で、
    それぞれの境遇で、
    それぞれの想いを持って・・・。
    そして、それぞれの国の行く末を暗示させる
    それぞれのラストは悲喜こもごもに溢れていました。
    感動の作品集です。

  • 「丕緒の鳥」 小野不由美


    「希望」を信じて、男は覚悟する。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか―表題作ほか、己の役割を全うすべく煩悶し、一途に走る名も無き男たちの清廉なる生き様を描く全4編収録。
    (作品紹介より引用)

    小野不由美さんの十二国記シリーズはヤバいです!
    超面白い。
    超・超面白い。
    その作り込まれた世界観に圧倒されるし、メインキャラクターも個性的だし、セリフも奥深いし、読んでいて最高に気持ちいい瞬間がある。
    本当に面白くて、小説なんだけど「漫画か?」と己にツッコミをいれたくなるほど何回も読み返してます。

    一応シリーズもので、これまで外伝短編あわせると8作品が出てます。まだお話は完結してません。
    で、完結してないんだけど全然続きが出てこなくてようやく出たのがこの「丕緒の鳥」。
    なんと、12年ぶりよ!
    しかも12年ぶりなのに本筋じゃなく短編(笑)
    ヒドイ(ToT)
    まぁ「新作長編もこれから出ます」という情報が出ただけいいですけどね。
    戴国がどうなるのか、慶国は?
    気になります。

    まだ読んだことのない方のために解説すると、
    十二国記シリーズはファンタジーものです。その名のとおり、十二の国がある中国っぽい雰囲気の世界が舞台です。
    十二国すべてがお話で出てくるわけではなくて、メインは慶国、雁国、戴国、恭国あたりでしょうか。
    (作品ごとに舞台となる国や主役、年代はかわります。でも基本の登場人物は各作品に共通してでてきます。)
    この世界では、基本的に王政で麒麟とよばれる特別な生き物(人?)が国ごとに存在しています。
    この麒麟が王様を選びます。
    麒麟は基本的には不老不死で、王も麒麟に選ばれた時点で不老不死になり、国に使える人たちも不老不死です。(ざっくり刃物で切られれば死にます)
    色んな国の王様や麒麟や政治や民の話です。

    シリーズ第一作目では、蓬莱(限りなく私らの日常に近い近代的な世界)の中嶋陽子というひかえめ女子高生が、突然現れた金髪の男(これが麒麟)に王に選ばれ、無理矢理十二国の世界に連れてこられ、でも途中ではぐれちゃって、知らない人に騙されたりよくわからない化け物に殺されそうになったり散々な目に遭いながら元の世界に戻ろうと足掻く、というストーリーです。

    で、この短編はその世界に生きるどっちかというと普通の人たちの話です。陽子はほんのちょっとしかでてきません。

    完全ファンタジーな世界なんですけど、世界観が重厚でそこに生きる人々は我らとなんら違わないわけでして、ファンタジーなんだけど現実とリンクして色々考えてしまいます。

    この本のなかで特にインパクトがあったのは「落照の獄」という作品。
    法治国家として長く平和だったけどなんだか最近不穏な空気になってきた柳国で、大量殺人犯を死刑にするかどうか裁判官たちが悩む。
    という話です。
    不穏な現実世界と重なりますよね。
    実は最近、殺人して無期懲役中な人の書評ブログを読んでたりするので、それも重なって「死刑」についても考えたりしちゃいました。
    (この人については色々興味深いのでおいおい本を読んで感想文書きます。)

    これ、元々ライトノベル扱いだったらしいんですが、全然ライトじゃないです(笑)
    こんな武骨なのがライトノベルなら世の中の本なんてライトノベルだらけです。
    っていうか前から疑問なんだけどライトノベルってなんなのさ(笑)
    私に言わせりゃノベルにライトもヘビーもねぇ!

    作者の小野不由美は、館シリーズで有名な綾辻行人の嫁さんです。
    すごいよね、夫婦で売れっ子小説家。
    このシリーズは昔NHKでアニメもやってました。ちゃんと見てなかったから見てみたいなぁ。

  • 待ち焦がれている十二国記の続きじゃないからと数年積ん読しつづけてようやく手に取ったけど、もっと早くに読んでおけばよかった。タイトルにもなっている丕緒の鳥の話の作り込みが特に素晴らしく、砕け散る陶鵲の澄んだ音が聞こえてくるかのよう。

  • 今回は短編集。ちょっと暗い内容だったけど、その世界にすぐ入り込めた。
    どの話も、ラストの余韻がよかった。

  • 十二国記シリーズ
    スピンオフ、短編4作

    王が斃れ、あるいは道を失った国の荒廃、官民の苦悩などが描かれている。

    夜明け前がいちばん暗いよね。うん
    どの国も平穏が来るといいな

    でもね、やっぱり本編が読みたいのです
    王と麒麟の話。 早くーーー!!

  • 小野不由美さん、2013年発表の小説、十二国記シリーズの短編集。4篇の短編からなる十二国記の物語りなのですが、長編での主役格の人たちは第一篇の最後に陽子がちらっと出るだけです。それぞれにとても完成度の高い作品ですが、青少年向け啓蒙の書といった趣きが強く、私のような大人が読むと少々辟易とするようなところがあります。

    第一篇は表題作「丕緒の鳥」、宮廷での儀式の中で行われる、クレー射撃のような(銃ではなく弓を使うのですが)見せ物に関する物語り。この催しのためだけに宮廷に職人集団が抱えられており、管理する専門の役人がいる、という税金の無駄使いとしか言いようの無い世界の物語りで、職人がこの催しの中にいかにして民の思いを込めるかと思い悩む話なんですが・・・。
    最後の場面が美しいからまあいいか、と思える作品。 

    第二篇「落照の獄」は殺人鬼を死刑にするかどうかを役人たちが延々議論すると言う物語り。かつて王が死刑を廃止した国で、しかし残虐非道な殺人鬼が捕らえられ、死刑に処すべしとの世論が沸騰、下級の役所でも死刑が支持され、王は判断を役人に丸投げ・・・。
    近年の日本での死刑を廻る議論をそっくりそのまま再現してるだけのような何だか芸の無い作品と感じます。最後の場面が、まあ深読み出来なくはないですが・・・。  

    第三篇「青条の蘭」は荒廃した国で山毛欅に奇病が発生、周囲の無理解の中、何とか対策をと苦闘する下級役人たちの物語り。途中、エコロジーの基本中の基本について懇切丁寧に語られ辟易します。最後は善意のリレーのような物語りになり、何だか拍子抜けします。まあこういうのもありでしょう。  

    第四篇「風信」はこれまたエコロジーの教科書的物語り。荒廃した国で親兄弟を殺され逃亡した少女が農民のために暦を作っている役所に拾われ、そこでの生活の中で癒されて行くと言う話。この最後の物語りが一番良かったです。 

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著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

小野不由美の作品

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