丕緒の鳥 (ひしょのとり) 十二国記 5 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社
4.05
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本棚登録 : 5816
レビュー : 730
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240589

感想・レビュー・書評

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  •  私にとっては「乗り過ごしに注意」な一冊です。
    真摯に生きる無名の人々の物語。その思いが届くこともあれば、届かぬままで割り切れない気持ちになることもある。どちらにしろ前に進むしかありません。
     一番好きなのは「丕緒の鳥」、簫蘭の「(楽しいことが)そこにしかないんじゃなくて、そこだけにあるの。」という言葉が印象的です。ラストの2ページは読むたびにじんわりときます。丕緒の心の変化の落ち着いた先、そして陽子のこれからの闘いを思うと、色鮮やかに目に浮かぶ情景にもため息がでます。
     一番頭と気持ちをかき回されたのが「落照の獄」、一人の犯罪者の死刑の是非を巡るひとびとの心の動きがずっしりきます。これを読んでジョン・グリシャム氏の「自白」を思い出し、再読中です。

  • とても世俗的な内容に感じた。十二国記の世界は好きなので、世界に住まう民のお話はそれはそれで面白いし、このシリーズの根幹をなす部分だとは思う。
    でも同時に、やっぱり王と麒麟が主役として織り成す物語が読みたい、という気持ちにもなった。新作長編はよ!

  • 十二国記短編集。面白いんやけど、長編の方が好きかなーという感じ。

  • メインメンバーはほとんど出てこない。
    でもやっぱり十二国記は好きだなあと思った。

  • 十二国記の短編集。市井に生きる人々の物語。
    辛い場面もあるけれど、最後は幸福な余韻に包まれて終るのが良い。いつもの長編と比べても引けを取らないほど、好きな短編集です。

    個人的には青条の蘭で舞台となっている国を想像をしながら読み、首都の名前が出てきた時にとても興奮した。標仲が道中で出会った人の中に、尚隆がいるような気がして…少し気になる。

  • 十二国記シリーズ、久々の短編集。
    丕緒は祝い事や賓客があった時などの祭礼に際し、弓を射る儀式の的にする陶鵲を誂えることを職務としている。この度、慶に新しい王が立った。その式典の為の陶鵲の用意を依頼される。しかし、丕緒はどうしても、陶鵲を造ることができずにいた……。(「丕緒の鳥」)
    他、落照の獄、青条の蘭、風信の計四編。

    王や麒麟たちは出てこない、徹底的に民の話。丕緒の造る陶鵲の描写が美しくて、ため息。
    落照の獄は大量殺人を犯した罪人を裁くことになった司計(日本でいう最高裁の裁判官みたいな立場かな?)の話。死刑が廃止になって久しい柳の国の末期の話で、ここで死刑を復活してしまっていいのか?と思い悩む話。犯人はほんとどうしようもない。非常に重く読み応えのあるはなし。まあ読んでる最中は早く清花リリースしちゃえよ!と憤ってしまったが、それもまた要らないものを切り捨ててしまえばいいのか、と問われている気分になる。
    青条の蘭は山を犯す疫病を食い止めようと必死で薬を探し、それを王に届けようとする小役人の話。この苗がただ一つの希望、そのことを役人にも民にも理解してもらえずひたすら走る標仲。ちゃんと王に届いたのだろうか、その結末は明らかにされていないところがいい。標仲の必死さに気付いて手を差し伸べてくれる人がいたところにうるっときた。
    風信は、予王の女を排除せよというおふれのせいで家族を殺された少女が主人公。逃げに逃げて暦を作る人々のところで厄介になることになるが、そこの住人が余りにも浮世離れしていて呆れてしまうのだが……。という話。ほんとにしみじみ、予王はどうしようもない。
    どの話も、最終的にハッピーエンドかは明らかになっていない。死刑を復活させて本当によかったのか、希望の種は届き、疫病は止まったのか、新王が立ったことで、本当に何もかも良くなっていくのか。
    本編の方でも陽子は迷い悩みまくりで、陽子が全て救えるわけではない。国がどうなっていくのかはわからない。それでも陽子はこういう、王の在不在に揺れる人々の希望になる存在になっていってくれたらいいなという思いが強くなった短編集だった。読めてよかった。
    どうせこの雪なので十二国記シリーズ読み直すかのう。

  • 数年ぶりの新刊。
    今回はいつもの主人公たちである王や麒麟はあまり登場しない。
    国管のピラミッドの中でも底辺のあたりにいる人たちの話。
    それも、王がいなかったりと時代も辛い時期。
    それぞれが、自分たちの役割に気づき力を尽くそうとする。
    十二国記の世界の復習にもなった。
    本編の新刊が出るのが待ち遠しい。

  • 4つの話からなる短編集。国のため、民のために、懸命に職務を果たそうとする人々の物語。登場人物たちの必死さに心打たれる一方、「これでいいのか?」という、焦りや無力感も伝わってくる。それでも、国を動かせるかどうかはともかく、一生懸命さは、だれかに伝わるものなんだなぁと感動した。伝わるまでの道のりが、あまりに長く、遠いものではあるけれど。そして、わずかな「光」がさしたとき、さらに多くの人々の心を動かすのだろう。

  • 十二国記ファンのための短編集、であるとは感じた。
    だけどもその根底には、あらゆる境遇に置かれていても日々を生き、自身のなすべきことは何かを悩む人々がいる。
    王のための民ではなく、民のための王、民なくしては王たりえない。
    民は様々な艱難辛苦があろうとも生きている、仙にとってみればたかたが60余年の人生を。
    このことを徹頭徹尾訴えかけてくるものだから、今日の政治とは何ぞや、と思ってさえしまう。
    もちろん王や仙も、ほとんどは元は民であり、だからこそ何が出来るのか、何をなすべきなのかをひたむきに考え生きていく。
    ファンタジーでありつつ、自分を重ね合わせることの出来る稀有な小説だと思う。
    短編集をきっかけに、十二国記の世界にぜひ足を踏み入れてもらいたい。
    シリーズを通して読み、考えてからこそ、この短編集はより深く響くものであると思う。

  • 十二国記シリーズの最新刊です。長いブランクを経て刊行された本書。長編ではなく、短編・中編ばかりなので物足りなさが残るかもしれません。けれども、主人公陽子が苦労して王の務めを果たそうとしているその影で、民も苦悩している・・・。そして共に歩み出そうとしている「丕諸の鳥」は今後のシリーズの続刊を期待させてくれます。早く長編が読みたいなー・・・。

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著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

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