丕緒の鳥 (ひしょのとり) 十二国記 5 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社
4.05
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本棚登録 : 5774
レビュー : 729
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240589

感想・レビュー・書評

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  • 「十二国記」の新作ですが今回は、王ではなく、国を支える役人の仕事と民の生活に焦点を当てた外伝的短編集。傾きかけた国で、国のため、民のため、自らの職務や役割を全うする男たちの話。現代社会に通じる社会的で重たいテーマを見事に十二国記の世界に投影させ、もともと重厚な設定の十二国記の世界にさらに奥行きを与えています。
    本シリーズを読んでいない人にもぜひ読んでみてほしい短編集ですね。
    『丕緒の鳥』
    祭礼用の鳥型の的を作る役職の男の話。射儀と作品を通して何かを伝えられるのか、何のためにどんな作品を作るのか、悩みながらも新王即位のために作品を作る男。何かを表現できる技術があるからこその悩みだなぁ。
    『落照の獄』
    死刑制度の是非に真っ向から挑んだ作品。非常に重い。情と理のせめぎ合い。法律の仕事をする旦那とその妻の考え方の違いがリアル。一番心に残った作品。傑作。
    『青条の蘭』
    一途に山を救おうとする男たち。その想いは何かを変えられるのか。今回、最も展開のある話だったので、短編であるのがもったいない気分に。

    『風信』
    暦をつくる役職の男たち。世間知らずと言われようが、現実を見ていないと言われようが、できることをやるしかない。それが自分たちにしかできないことで、自分たちがやりたいことであるならば尚更。

  • 待望の十二国記最新刊。どこの本屋にも積んであったので、いつでも読めると思うと手に取る機会を逃していた。長期出張のお供として購入。
    「丕緒の鳥」「落照の獄」「青条の蘭」「風信」の4つの短編が収録されている。どの話も流石のクオリティだが、一番好きなのは「青条の蘭」。権力もない下級役人等、国を救うために命を賭け、名もない人々も協力し大きな物事をなすというこの感じがすごく好き。「風信」も良い。卵が野木になるという十二国記ならでは設定や世界の過酷さを静かに伝えながら、それでも希望を忘れない。これだけでは物足りないので、早く長編新作が読みたい。

  • 待ちわびた、けど短編集かい。でもこういう話大好き。
    十二国記シリーズ新作。短編4編からなり、これまでの王と麒麟の物語ではなく、一役人の揺れる世の中で己の役割を全うしようとする姿が描かれている。
    人間の情動を書くにつけて甘えを感じないと言うべきか、これでもかと書くべき言葉が書かれている。いかにも陽の目を見なさそうな人たちが題材だが、生き様を描くに隙がなく読みごたえは濃厚。シリーズの根源であるあからさまな「創られた世界」の営みがより鮮明になる満足できる内容。

  • 12年ぶりのオリジナル短編集!という惹句で、久しぶりに読んだ十二国記シリーズ。

    最初は「魔性の子」だった。
    目黒孝二の書評がきっかけだった。
    ホラーだと思って読み進めていったら、十二国記に繋がっていた。
    そして、十二国記を読み始めた。

    次々と書き下ろされる作品。
    人工的な中華的世界に、積み重ねられていく緻密な設定。
    ライトノベルと高をくくっていたのに頭からのめり込んでいった。

    ところが、ある時期からパッタリと作品を読むことができなくなった。
    読みたいのに読めない。
    その辛さは言わずもがな。
    できるだけ忘れるよう努めた。

    そろそろ本気で忘れようかという時に新たな作品が発表された。
    まさに焼けぼっくいに火が付いた心境で即座に購入。

    読んだ。
    すさまじかった。

    「丕緒の鳥」にそわそわさせられた。
    思わず考え込まされた「落照の獄」。
    「青条の蘭」に見る一途な思いに胸を打たれた。
    主人公に降りかかる不幸に作者を恨んだ「風信」。

    全体的に重苦しい雰囲気。
    作者が非情になればなるほど、グイグイと心を引き寄せられていく。

    ダメだ。
    たぶん、はまった。

    想像以上の素晴らしい作品である。

  • 十二国記、久々の新作は短篇集。王や麒麟の話ではなく、役人や民が主役でした。死刑の是非とか里山の荒廃とか、現代社会にも通じるテーマを、細部まで構築された架空世界で描く手腕はさすが。
    しばらくぶりなので、独特の漢字の使い方に慣れるのに時間がかかりましたが、楽しめました。本編の続きを期待してます。

  • 待ちすぎた!待ちすぎたので、買ったときには涙が出るほどうれしくて、とりあえず4か月だいじにだいじに積んでみた。10年ぶん堪能しなきゃ気がすまない。それに、また10年、出ないかもしれない!!(…)
    そろそろ、と思って 表題作から読む。引き込まれてバスのなかで陽子の台詞のところで感極まって泣く。10年ぶん待った甲斐がある。うー。嬉しい。さて、珠晶ちゃんあたりを読み返してみよう。 だいぶ忍耐強くなった。

  • 王のことではなく、それを支える役人や市井の人の話。
    十二国記は中華風のファンタジーという印象ですが、今回の陶器の鳥を射る儀式など読むと、ハイファンタジーなんだなぁと感じます。
    敵を倒して平和になりました、というお話ではない十二国記の世界観を「落照の獄」はよく表していたようにも思います。妖魔は荒廃は恐ろしいけれど、もっと恐ろしいのは人の心なのかな……。いろいろ考えさせられました。

  • 待ちに待った十二国記シリーズ最新作。

    「やっぱり小野不由美はすごいなぁ」と読みながら、何度も溜め息を吐いてしまった。異世界をここまで綿密に篆刻できる書き手がどれだけいるだろうか。

    本作にはメインストーリーには絡まない(ちらっとメインの登場人物も出るが)短編4作が収録されている。

    どの作品も素晴しいデキだが、死刑問題に真正面から向き合った「落照の獄」は個人的ベスト。まぁ、「オレはファンタジーを読みたいんだ!」という声もあるのではないかとも思うのだが、現実の問題を別世界に投影するという手法も、ひとつの小説の手法だと思う。

  • 久方ぶりの新作で、
    特に以前の作品を読み返しもせずに
    読み始めましたが…
    待っていた甲斐がありました。
    心に響きます。表題作『丕緒の鳥』がお気に入り。

  • 荒廃した国、不安定な国で生きる人々。
    死刑について考えさせられた。裁く側の苦悩。娘の「父さまは人殺しになるの?」という言葉が重い。

    他の3つの話にも心揺さぶられる。きっとあの王がなんとかしてくれる、そう思いながら読み進めた。

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著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

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