- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101240589
感想・レビュー・書評
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待ちに待った十二国記の新作。12年ぶりに続編にファンは歓喜だ。王も麒麟もおなじみのキャラクターも出てこない市井の人々の苦しみや希望が描かれる。もちろん正直な気持ちを言うと王と麒麟の活躍が見たかった…が、これはこれでいい!各国で王と麒麟が奮闘している中、もちろん暮らしている人々がいるわけでさらに世界観の厚みをもたせてくる。どんだけの想像力があるのやら…改めて十二国記すごい。
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青条の蘭がものすごく好きだった
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王も麒麟も出てこない、これは民の物語なんだと読み終わってからため息をついた。
一番好きな話は青条の蘭だな。最初に出てきた男が標仲だと思っていたらそうではなかった、というのが最後になってやっとわかる。(気づく人は途中で気づくんだろうけど)
どこの国の話なんだろうと思いながら読み進め、冬の厳しさがこれでもかと描写されてるから北のどこか…?柳か?と思ったけど柳の話はその前の落照の獄で登場してたよな…と思いながら読むのは、思い返してみるととても楽しかった。
こういう専門職だからこそわかる危機を一般人や上司が理解しないという構図は現代でもあるよね…と心が痛んだ。
体が限界を迎えて涙も出てもう動けない標仲の必死さと悲痛さが周りを動かして先へ進んでいくという、貧しい国のはずなのに人の心も必ずしも貧しくなるというわけではない温かさがある。
玄英宮という言葉が出てきて雁か!とやっと合点がいった。尚隆が王になったばかりの時の国の荒れ方は確かに…それと同時に尚隆ならば青条を受け取るだろうという確信が芽生えるから、本当に延王すごいな…
この話で好きなのは締めくくりだな。
人も里木も雪の中で枯れようとしている中で、希望とも言える果実が実る瞬間は興慶のように目の当たりにしてしまったら泣いてしまうだろうな…
荒れた国の再興への希望がある一方で、栄えた国なのに瓦解して行く予感が恐らく現実になる恐怖が見える。民の視点で国を見ると当たり前だけど、違うものがよく見えてくるのがおもしろかった。 -
物語の中で、街の人に焦点が当たっている作品だった。
王や政治でゴタゴタしている中で民にどんな事があったのか、どんな気持ちだったのか。
考えさせられる作品だった。 -
短編だが、すべてつながっているので、興味深く読んだ
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国を陰で支えている人々に焦点を当てた短編集。慶・雁・柳の国が描かれる。「丕緒の鳥」がヒューマニズム的で好みだった。「風信」は牧歌的で、民の日常の小さな幸せを掬い上げている一方、「落照の獄」では残虐な殺人事件に傾国のさまを重ねて見事に描いた。
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十二国記のスピンオフ短編集。通常は王や麒麟が中心だが、こちらは民衆や下級係官の物語で、国や家族を思い、自分の仕事に一心に、健気に邁進する姿を描いている。それでも力なき民は簡単に命を奪われたりするのだけれど、そういう一人一人がいなければ、どの国だって成り立たない。権力者にはこういう実情をよく知ってほしい。
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十二国記のエピソード5ですが、短編集です。そして物語にはおそらく影響しない話でした。(この先のことはわからないですが)
どの話も重たい話で十二国記の世界が厳しい世界であることを印象づけできますが、抑揚のない話ばかりでした。