丕緒の鳥 (ひしょのとり) 十二国記 5 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社
4.05
  • (691)
  • (786)
  • (449)
  • (57)
  • (8)
本棚登録 : 5775
レビュー : 729
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240589

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 小野不由美さん、2013年発表の小説、十二国記シリーズの短編集。4篇の短編からなる十二国記の物語りなのですが、長編での主役格の人たちは第一篇の最後に陽子がちらっと出るだけです。それぞれにとても完成度の高い作品ですが、青少年向け啓蒙の書といった趣きが強く、私のような大人が読むと少々辟易とするようなところがあります。

    第一篇は表題作「丕緒の鳥」、宮廷での儀式の中で行われる、クレー射撃のような(銃ではなく弓を使うのですが)見せ物に関する物語り。この催しのためだけに宮廷に職人集団が抱えられており、管理する専門の役人がいる、という税金の無駄使いとしか言いようの無い世界の物語りで、職人がこの催しの中にいかにして民の思いを込めるかと思い悩む話なんですが・・・。
    最後の場面が美しいからまあいいか、と思える作品。 

    第二篇「落照の獄」は殺人鬼を死刑にするかどうかを役人たちが延々議論すると言う物語り。かつて王が死刑を廃止した国で、しかし残虐非道な殺人鬼が捕らえられ、死刑に処すべしとの世論が沸騰、下級の役所でも死刑が支持され、王は判断を役人に丸投げ・・・。
    近年の日本での死刑を廻る議論をそっくりそのまま再現してるだけのような何だか芸の無い作品と感じます。最後の場面が、まあ深読み出来なくはないですが・・・。  

    第三篇「青条の蘭」は荒廃した国で山毛欅に奇病が発生、周囲の無理解の中、何とか対策をと苦闘する下級役人たちの物語り。途中、エコロジーの基本中の基本について懇切丁寧に語られ辟易します。最後は善意のリレーのような物語りになり、何だか拍子抜けします。まあこういうのもありでしょう。  

    第四篇「風信」はこれまたエコロジーの教科書的物語り。荒廃した国で親兄弟を殺され逃亡した少女が農民のために暦を作っている役所に拾われ、そこでの生活の中で癒されて行くと言う話。この最後の物語りが一番良かったです。 

  • 十二国それぞれの国で暮らす民の話。
    王と麒麟の話を読みたいと思って開くと肩すかしを食らいます。
    しかし設定はものすごくファンタジーなのに、出てくる人達のリアルさは流石。
    死刑について考えてしまうとは。

  • 二作品はすでにyomyomで読んでいたので、後篇2篇をとりあえず読みました。

    待っていた期間の期待に応えてくれた作品とは言えません‥‥。

    王は、麒麟は~?という思いももちろんあるのですが、読者の多くがファンタジーとして読んでいると思うので、こういう部分を綿密に書く必要があったのだろうか‥‥という疑問がひとつ。
    「黄昏の岸 暁の天」に登場する庶民や下級官の話くらいで良かったんじゃないかと。
    話が悪いわけではもちろん、ないのですが「青条の蘭」は特に、今さらこの時代の話ですか‥‥、と思ってしまいました。

    このなかでは「丕緒の鳥」が、ワリと良かったかな、と思います。
    短編集ならば、「華胥の幽夢」の方が断然好きです。

  • さらっと流し読み。
    民や役人ではなく、王やその周囲が中心になった話が読みたいと思うのは、我儘だろうか。
    短編集で補強してほしいと思っていた部分があまりにも書かれないというのはつらい。

  • 十二国記の短編集。それぞれしっかり
    まとまっていて面白い。

  • 「希望」を信じて、オトコは覚悟する。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われた「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうかーー表題作「丕緒の鳥」ほか、己の役割を全うすべく煩悶し、一途に走る名も無き男たちの清廉なる生き様を描く全4編収録。(裏表紙より)

    2016年の読書は十二国記シリーズで幕を開けました!今作は全体的に暗い話題が多く、読んでて辛くなりました笑
    主役は各国の王や麒麟たちではなく、貧困や迫害などに苦しみながら日々を生きる民たち。それぞれがそれぞれの役割を全うするために悩み苦しむ姿が、当人の葛藤を表すかのように重苦しく描かれています。
    与えられた役割を全うするためには、いくつもの壁や葛藤を乗り越えなければなりません。それは王も民衆も同じ。

  • 例えばコレだけを一つの作品として読んだなら、面白い本だと思ったと思いますが、十二国記の新刊となると、ちょっとなぁと言う感じ

    華々しい表舞台に立っている主上達だけではなく、その統治下に住む名もない市井の人々のエピソードを描く事によって物語に厚みが出ると言うのは判るんですけど、それはあくまで物語りがコンスタントに進んでいたらの話

    本筋が止まっているのに厚みだけ出されても、どっちが縦でどっちが横か判らなくなってしまいますわ ヾ(-_-;)

    12年待ってコレは(ある程度覚悟はしていても)ちょっとキツイ個人的にはやはり主上と麒麟のお話が読みたいです (≧д≦)」

  • 長編の方が好き。

  • 14.3.8〜14.3.20

  • 十二国記に住まう人々の話。この国での超特権階級ではない、庶民の生活のオムニバス。
    庶民といっても国の機関で働いていたり、地方官であったりと一応仙籍に入っている人もいるけれど、王と会うことのない人々のつらい日常が描かれている。総じて話の展開が遅くて、主格になる人の自問自答が多い。ストーリーに大きな山はあまり見られない。世界観が盤石で、架空の世界とは思えない構造はすごい。

著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

小野不由美の作品

ツイートする