図南の翼 (となんのつばさ) 十二国記 6 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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本棚登録 : 3992
レビュー : 326
  • Amazon.co.jp ・本 (419ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240596

作品紹介・あらすじ

この国の王になるのは、あたし! 恭国(きようこく)は先王が斃(たお)れて27年、王不在のまま治安は乱れ、妖魔までも徘徊(はいかい)していた。首都連檣(れんしよう)に住む少女珠晶(しゆしよう)は豪商の父のもと、なに不自由ない暮らしと教育を与えられ、闊達な娘に育つ。だが、混迷深まる国を憂えた珠晶はついに決断する。「大人が行かないのなら、あたしが蓬山(ほうざん)を目指す」と──12歳の少女は、神獣麒麟(きりん)によって、王として選ばれるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 「何故この長編が書かれなければならなかったのか、わかりますか?」
    「当たり前でしょ!とっても魅力的で十二国の主要人物の1人である珠晶が、艱難辛苦の上、登極(王様になる事)する話を、何処かで詳しく書いておかなければいけないのは、理の当然でしょ」
    「珠晶が登極したことは、シリーズを読んできた読者には周知のことでしょう。屋上に屋を架す事ではないでしょうか」
    「では長編の主人公に、私は相応しくない、とでもいうの!」
    「無理しなさんな。勝気な12歳の少女を演じてみても貴女は珠晶じゃない。珠晶は賢いから、私が挑発していることなど直ぐに見通しますよ」
    「‥‥じゃ、貴方は誰?」
    「その前に、貴女は所謂物語をキャラで読もうとするひとたちの魂が形を成した者と観ました」
    「悪い?」
    「悪くない。それも物語を読む方法です。でも私はそれとは真反対の方向から読もうとする者だと言っておきましょう」
    「‥‥じゃ、いいわ。で、何故登極の話が長編になったの?」
    「それは、今迄書かれていなかった黄海の話、否、道の話を書かなくてはならなかったからだと、私は思います」
    「道の話‥‥」
    「今まで長編で描かれたのは主に三ヶ所を舞台にしています。国を司り不老不死の人たちが住む雲上と、普通の人たちが住む雲下と分けた場合、雲下はエピソード1、雲上はエピソード3、そして世界中央の黄海真ん中の五山に住む仙人たちの話がエピソード2、エピソード4の陽子の話は雲上下両方かな。そしてもう1つ2つ書かれなければならない舞台があります。それが黄海だと私は思うのです」
    「十二国の中央に位置して、妖魔の跋扈する人外魔境、人の領分でもなく、神の領分でもない。でも人は黄海を通って蓬山に昇山し、麒麟に王様になる事を願わないと登極できないのよね」
    「この巻で、やっと黄海が実は水のない海であることがわかりました。人は基本的にそこを徒歩か、馬などで苦労して道なき道を行かねばなりません」
    「だから道の話なの?」
    「その道ではない。麒麟と対たる鵬を象徴する道、即ち王の行く道とは何かを明らかにする話、だったのだと私はこの作品を解釈しました」
    「それは今までも描かれてきたわ」
    「国の政治とは全く無関係の舞台で描かれる必要があるのです」
    「わからないわ」
    「それは十二国世界の成り立ちに関することだ、と今はそれしか言えません。ともかく、黄海を舞台にして、抽象的な道の世界を描く必要があった」
    「この巻は、そんな抽象じゃなくて、冒険ものよ」
    「そこが小野不由美女史の凄いところなんでしょう。おそらく漢文で書けば数百字ですむところを四百頁超の大長編にしてしまいました」
    「貴方のそんな全てを見透かしたような物言い、大っ嫌い!私は私の道を行きます。でも‥‥貴方、ちょっとこの巻の利広に似ているわね」
    「さあ、それはどうかな」

    年表(加筆訂正)
    1400年ごろ 奏国宗王先新が登極 妻と3人の子仙籍に入る
    1467年   六太1歳応仁の乱で罹災する。
    1470年 六太4歳延麒となる。
    1479年   瀬戸内海賊村上氏により海辺領主小松氏滅亡
    (大化元年) 雁国延王尚隆が登極
    1500年(大化21年)元州の乱 斡由誅殺

    −X75年  恭国供王珠晶が登極
    X元年   泰麒 胎果として日本に流される
    X4年 才国采王黄姑が登極
    X9年末  慶国予王が登極
    X10年  泰麒 2月蓬山に戻る
    戴国泰王驍宗が登極
    X11年 泰麒 4月日本に戻る
    X 12年 芳国峯王仲韃崩御、娘の祥瓊の仙籍剥奪 
         芳国の麒麟卵果が触により流される
    X14年  5月慶国予王崩御。
    X15年(1992年?)1月?陽子日本より来たる
         10月慶国景王陽子が登極
    X 16年  慶国で和州の乱 
         陽子伏礼を廃す
    X17年  泰麒 9月戴国に戻る

  • 『風の万里 黎明の空』で供麒の頬をバチンと張る恭国の供王珠晶は、物言い一つとってもなんて気の強いお嬢様(在位九十年だけど)なんだろうと思ってたけど、今回はその珠晶が王として選ばれるまでの旅物語だった。
    珠晶はやっぱり最初から、気が強くて生意気で、なに不自由なく育った十二歳の少女だった。混迷深まる国を憂える彼女は「大人が行かないのなら、あたしが蓬山を目指す」と決断する。
    珠晶は猟尸師頑丘と、乾に来る途中世話になった利広とともに蓬莱を目指す危険な旅に出る。何度も頑丘と、ものの考え方の違いにぶつかり合いながら、珠晶は現実を知り成長していく。
    彼女は決して黙らない。自分がおかしいと思ったことはちゃんと口に出す。答えを求める。そしてまた問いかける。ひもじい、怖い、辛いなんて、愚痴を言って人を妬む暇があれば、自分が行動すればいい。そうして初めて、愚痴を言っても許されるんだと彼女は言う。それもしないで、大人たちは嘆くばかりだと。そして、それは珠晶自身にも当てはまるのだと。
    ああ、私もそうだ。珠晶の問いかけに巻き込まれ、そして何一つ胸を張って答えることの出来ない大人の私がいる。読みながら恥じ入った。
    物語の最後まで、彼女は鼻っ柱が強いままだったけれど、信念のもと行動し成長した珠晶は決してそれだけの少女ではなくなった。
    旅を通じて、周囲にいる皆は王になるのは彼女しかいないと確信する。これから彼女になら恭国を、恭国の民を託したいと誰もが望むことになるだろう。

    また、利広の出自には、なるほどねと納得。これからも彼と供王となった珠晶との絆は続いていくだろう。楽しみだ。
    そして、黄海では思わぬ人物と再会することが出来た。黄海で生きていけると雁国の延麒六太と延王尚隆の元から飛び去った更夜。彼は黄海を往く者を守っている。これは本当に嬉しかったな。

    • やまさん
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      2019/11/16
    • 地球っこさん
      やまさん、こんにちは。
      こちらも良い天気です。
      楽しい週末を!
      やまさん、こんにちは。
      こちらも良い天気です。
      楽しい週末を!
      2019/11/16
  • スカッと爽快の一冊。

    舞台は恭国。あたしが蓬山を目指す…だなんて随分威勢がいい珠晶お嬢様と思いきや全てに納得。

    蓬山への道のりで出会った人たちとの問答から得ていく数々のこと。
    時に衝突しながらも常に自分で考え自分なりに咀嚼し、吸収し、次へと繋げる姿勢。
    随所に見られるこの珠晶の姿勢、実に好感が持てるんだもの。

    彼女の口からほとばしる数々の言葉たちは力強さと共にストレートに響く。

    しっかりとした自分の考えを持ちながらもちらりと見える子供らしさがまた彼女の魅力。

    最後、麒麟に放ったあの一言、可愛いくてスカッと爽快、最高!

  • “覚悟”を問いかける物語だと、思います。
    形式はロードムービー、大好物でした。

    “私はやった”と言うからには、実践せねばとの気概と、
    そして王として“人の理”を飛び越えていく覚悟。

    過程を知らず結果しか見ないのは、本質をみないということ、
    これは、今の時代にも通じる話ではないでしょうか。

    これもまた“成長の物語”なんだろうと、思います。

    個人的には、「更夜」が終盤に、
    とある肩書で出てきたのは嬉しかったですね~、なんて。

  • 豪商の家に生まれて、何不自由なく育てられた11歳の珠晶が昇山し、恭王になるまでの物語。

    先王崩御から27年、恭国は荒れていました。そんな中、珠晶が昇山すると伝えると、大人たちは「まさか子どもが」と笑い飛ばします。私も始めは陽子とは対象的な、勝ち気な女の子だなぁと微笑ましく見ていました。
    しかし終盤、珠晶は言いました。昇山することが義務だと思ったからと。大人たちは自分にできることがあるのに、それをやらないで他人事の顔して安全な場所から世の中を嘆くばかり。そんなの馬鹿みたいと。
    珠晶はまだ11歳の子どもながら、自分のいる場所から世界を見つめ、世界を変えるために何が必要なのか、そして自分に何ができるのかを考え、行動に移したのでした。
    私はまだまだ嘆いたり不平を言ったりしてしまうことが多々あります。もっと自分にできることを見つけて実行していかなければと、珠晶に背中を押されました。

    また、中盤の珠晶と頑丘の会話では、職業や身分の違いから残念ながら生じてしまった差別について考えさせられました。お嬢様として育てられた珠晶。そんな生い立ちの珠晶ですが、黄朱である頑丘のことを理解したいと思い、質問を重ねます。しかし頑丘は浮民になったことのない珠晶に浮民の気持ちはわからないと突っぱね、怒った珠晶は一旦頑丘から離れてしまいます。その後共に旅をしていた利広は頑丘にこう諭します。「あなたは〇〇でないから〇〇である私の気持ちは理解できない」というのは相手を拒絶する言葉だと。理解を拒絶する言葉であると同時に、理解できない相手を責める言葉だと。
    私は研修で部落差別を受けた方のお話を聞くことがありました。長く辛い経験をされている当事者の方が実際に話をされるので、感情的になられる場面もありました。何かを言っても言わなくても地雷を踏んでしまいそうで、当時の私は何も発言できなかったのですが、違う立場の者がお互いに手を取り合っていくためには、時にぶつかり合ってしまってでも対話を重ね、実際は存在しない立場の違いを乗り越えていかなければ、いや、その垣根を消滅させなくてはいけないのだと思いました。それを実践していくのには、相当の覚悟と時間とエネルギーがいることでしょう。時々珠晶のことを思い浮かべながら、今後を生きていきたいです。

  • この終わり方の秀逸さ、どうですかね?
    「月の影~」と甲乙つけがたし!!
    くよくよ悩んでぶぅぶぅ文句だけ一丁前の自分が情けない。
    やることやってから言いなさいよ、と、
    珠晶に頬を張られちゃいますね、今のままじゃ。
    でも、しっかり者の反面、
    子どもらしい好奇心や無鉄砲さもあって、
    本当に愛らしさにあふれる最強の王様です。
    お腹いっぱい読ませていただきました。
    ごちそうさま。

  • いやーやっぱり面白い、十二国記。風の万里 黎明の空(上)の最後の方に、祥瓊とのやり取りで出てきた供王珠晶の物言いにすごく心打たれ、気になっていたのですが、まさか早くも登場、活躍とは。心読まれたかのように楽しく読めた。珠晶のキャラもあってか、この巻は景王陽子や泰麒の時のような暗さがなかったですね。

    有言実行。文句を言うなら自分でやれ、やらないで逃げるな。人にモノをいうならまず自分がやる。わからないことは教えを乞う。間違いは認め直す。じぶんの分をわきまえる。人に迷惑はかけない。じぶんのしたことにはちゃんと責任をとる。当たり前のことだけど、理想論と言えばそうかもしれないけど、実際にはできずにいる。そんなことを12歳という素直さ、純粋さゆえに成し遂げる。いい大人には反省することばかり。室季和(しつきわ)や聯紵台(れんちょだい)の大人の都合、考え方がわかるけど、公平公正にみればやはり逃げているのと同じなのか。

    しかし、まさかあの「更夜」が犬狼真君になっているとは!いやー、「―更夜」のセリフにはぞわぞわしましたね。ここでこの名を聞くとは。なんて心憎い演出・キャスティング。
    そして利広。ここで奏国登場。まあ、趨虞を持っている時点で王族関係者と思われましたが、そのまんまでしたがね。いままであまり語られていない奏国が。またいずれどこかでこの国も語られるのだろう。

    後半で珠晶が、じぶんが王になれるとは思っていない、他人の命まで背負えるはずがない、愚痴ばかりの人に私は蓬山に行ったと言うために来た、恭の国民としての義務だと思ったから、という自分の思いの告白に心打たれる。この考え方、視点の高さが王の器なんだろうね。王になれるとは思っていない、という本心がそれまでの「王になる」という言葉に隠れていた。単に夢描くのではなく現実を見据えた上での最善策を取っていくのがだただスゴイと思う。

    景王陽子、延王尚隆,供王珠晶、そして泰王驍宗、奏王先新。いやーこうして書くとすごいな。王の器、考え方。玉座は血で購うもの。この覚悟をもった人たちの更なる活躍に期待。楽しみだ。

    頑丘とのやり取り、「結論だけ言われて、はいそうですかと穏和しく言うことを聞くのは、言葉の通じない家畜だけよ。」「あたしが駮なら、もちろん頑丘を繋いで駮と逃げたわよ。でも、あいにくあたしは人間なの」人間とは何か、考えるとは何か、生きるとは、を全編通して問いかけている小説ですよね。

    「黄朱は騎獣に名前をつけない、・・・・これがその理由だ」「お前とかあいつとか、呼ぶじゃない。・・・それって、単に名前で呼ぶより、ずっと気持ちの上では親密なのよ、分かってる?」にウルっとするも、犬狼真君が連れてきてくれて。いやー良かったよ、駮が無事で。

    タイトル図南の翼。『ゆえに言うのだ、王を含む昇山の旅を、鵬翼に乗る、と。』今回はタイトルがそのままストレートにストーリーに絡んでいる。
    そして最後、麒麟に手を振り上げて「大莫迦者っ!」胸すく締め。あーー、はやく次が読みたい。

  • 再読。とにかく「珠晶〜〜〜!!!!」としか言えないよもう。わたしは自分に自信のある系主人公が大好きなんですよね、しかも裕福で頭も切れてっていう。たぶんリアルな人間関係でもそうだけど、自分の持っているもの(性格や実際の資産やなんでも)を嘆いてばかりの人が嫌なんだと思う。持っている人が、恵まれていると言われる人が、決して元から強く傷つかないわけじゃない。陽子もそうだけど、決して芯の強いキャラクターが最初からそういうわけではなかったり、もしくは途中に単なる悲劇ではなくて自分自身にも原因のある挫折をして乗り越えるところが、この物語の説得力で強さだなって思います。

  • 十二国記の中でも一番好きなキャラクターはなんと言っても珠晶。もちろん陽子や楽俊、延王延麒も大好きなんだけど、私の好きなキャラクターって珠晶みたいな子なんだよなぁ。
    相手が誰であろうと、何か文句があるなら直接言ってみなさいよ、聞いてあげるから!この腰抜け!とか言ってしまいそうなくらい(実際には言ってません笑)気の強い彼女が輝いて見えて仕方がない。
    12歳であんなに利発で、生意気ではあるけど自分の非はきちんと認めて謝ることもできるしどんな立場の人間に対しても認めるべくは認め、知らない事は教えを請う。彼女の大人に対する質問がいちいち痛い。私ももうすっかり大人だけど、「人を敬えない人間は誰かから敬われる事はない」それを肝に命じておきます。どうせなら心の中に珠晶を住まわせてしまおう。私がなよなようだうだ卑怯なことをしそうになったら、一喝してもらおう。よろしく珠晶。

    「例え10人を見殺しにしてでも、三百万の国民を守るためには王が生き残らねばならない。しかしそれは王以外の者の考え方であってはならなくて、王はその理屈を超越した人物でなければならない」というような内容を確か利広が話していたと思うんだけど、ここを読んで、ああ、そうかと思った。理屈じゃないんだよな。高い志というか、己の信じる道を己の意思で貫ける者でなければ王たる資質は無いんだよな。その点でも珠晶以上に供国で天に選ばれる人間はいないと思う、本当に。本当にあなたが王で良かった。

    そしてなんといっても、そんな風に一本気の強い少女と一緒に危険な旅をするのが、愛想の悪いおっさんと微笑みを絶やさないけど得体の知れないお兄さん、ってところがまたのめり込ませるところ。なんて素敵なトリオ!
    ちなみに、供麒が気弱だけどガタイのいいお兄さんで、その主が気の強い小さい女の子ってところがまた堪らない。他のシリーズにも出てくる珠晶から供麒への語彙力の高い罵倒は本当に笑っちゃうくらい凄まじい。さすが珠晶。

  • 「子供らしい」「女の子らしい」わがままさを持つキャラクターがどうしても苦手で、どんなに他が良くても途中で読むのを断念したりという事もよくあるのだけど、十二国記には案外そういう子が出てくる。『風の万里〜』の鈴しかり祥瓊しかり、そしてこの『図南の翼』の珠晶しかり。
    十二国記の凄い所は、そんな子達が出てきて、そりゃもう途中何度も読むのをやめたくなる程わがままで図々しくて無知で、でもそれが現実だということをビシビシ読み手に突き付けながらもぐいぐい最後まで読ませてくる。そして結果的にお説教じみた改心やお涙頂戴で濁すのではなく、自然にそれぞれが成長し、自然にキャラクター自身が強くなって、読了後には大好きになっているのが凄い。

    要は「強い女の子」が好きなのだけど、「強いと見せかけで実は弱い(それが俗に言う「女の子らしい」と定義され肯定されているような)女の子」は苦手(笑)。
    見かけや行動が男の子っぽいという事ではなく、芯の強さ。芯の強さは成長によって育まれていくということを、十二国記は何度も見せてくれる。どんなに救いようが無いように見えても、現実をしっかりと見据え、自ら考え行動し打破していく事で、人はいくらでも成長していく事が出来る。成長する事でその子が全く変わってしまう訳ではなく、考え方や行動の裏付けがしっかりするという事だけで、同じような勝ち気さや大胆な行動も印象は全く変わる。

    あくまで主題はファンタジーであり、冒険譚や活劇であり、大きな時の流れを感じさせる歴史絵巻だという事がまた良い。
    その中でごく自然に、人が人として成長する事の素晴らしさを、いやらしくなく描く。単純に「人間って素晴らしい」なんて言わず、人間の残酷でドス黒い部分も抉り出し、その中で「最初からできた人」でも「改心する」わけでもなく「ごくありふれたある程度の善人」が、気付き行動出来るかどうかで成長できるかどうかが決まる。それは一度きりのチャンスではなく、誰にでも何度でも機会はある。

    早いに越した事は無いけれど、人が成長する事に遅すぎる事は無いし、成長する事に限界はない。十二国記シリーズがこんなにも幅広い世代に読まれ、愛され、そして読んで欲しいと思うのはこういったことが所以かも。
    それでもまずは純粋にファンタジーとしてのドキドキワクワクを楽しんでもらいたいのが第一ではある。

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著者プロフィール

大分県生まれ。1988年作家デビュー。「悪霊」シリーズで人気を得る。91年『魔性の子』に続き、92年『月の影 影の海』を発表、「十二国記」シリーズとなる。『東亰異聞』『屍鬼』『黒祠の島』は、それぞれ伝奇、ホラー、ミステリとして高い評価を受けている。「悪霊」シリーズを大幅リライトし「ゴーストハント」として2010年~11年刊行。『残穢』は第26回山本周五郎賞を受賞。『鬼談百景』『営繕かるかや怪異譚』『営繕かるかや怪異譚その弐』など。2019年、十二国記最新刊『白銀の墟 玄の月』を刊行し話題に。

「2021年 『ゴーストハント7 扉を開けて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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