- 本 ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101240596
作品紹介・あらすじ
この国の王になるのは、あたし! 恭国(きようこく)は先王が斃(たお)れて27年、王不在のまま治安は乱れ、妖魔までも徘徊(はいかい)していた。首都連檣(れんしよう)に住む少女珠晶(しゆしよう)は豪商の父のもと、なに不自由ない暮らしと教育を与えられ、闊達な娘に育つ。だが、混迷深まる国を憂えた珠晶はついに決断する。「大人が行かないのなら、あたしが蓬山(ほうざん)を目指す」と──12歳の少女は、神獣麒麟(きりん)によって、王として選ばれるのか。
感想・レビュー・書評
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ー私は私のせいで誰にも傷ついて欲しくないの。
恭国、供王即位の物語。
20年以上王座を空けて、傾きかけた恭国には妖魔が溢れかえり、隣国の柳から吹き流れる寒流も、時を経て厳しくなる。
恭国の商人の娘として生まれ育った珠晶は、金持ちの子供で癇癪持ちだと、遠巻きに見られ、友人知人も多くなかった。そんな彼女が、春分に昇山し、供麒に頭を垂れさせる。
すべてが当然?
そんなわけはない。彼女は彼女で苦悩や苦難の連続だった。一番許せないのが自分のせいで誰かが苦しむこと、傷つくことだった。当たり前に時間を溶かしていた頃は、誰にも興味がなかった。私の贅沢をやめれば貧困が減るのかと、屁理屈をごねることだってあった。そのくせ、誰ひとり守ることも助けることも叶わない。なんて不甲斐ない。そんな自分を受け入れた彼女は、恭の民が苦しまない治世を目指して、登極するのであった。
「風の万里黎明の空」を読み終わって、祥瓊に意地悪なことをした珠晶だが、彼女なりの意地や曲げられない想いがあったことは、読者なら気づいたはずだが、『図南の翼』を読めば、より一層、珠晶が好きになるだろう。
ところで、祥瓊が出会った珠晶と楽俊は対極な存在であるけど、双方にはなんだか共通の思案があるように見えてならない。陽子にも、鈴にも、祥瓊にも足りなかったもの。
「あやまちを許す心」。そんな気がした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
恭国の先王が討たれてから27年、未だ王の不在が続いていた。治世のない国土は乱れ、妖魔は街の中まで徘徊していた。
裕福な豪商の家庭に育ち不自由なく暮らしていた少女・珠晶は、国を憂い、大人達が国の為行動を取らないことに憤懣していた。そして、遂に、一人蓬山を目指して家出する。
あの、麒麟を平手打ちした、なかなかの女の子ですね。(於 風の万里) 無計画な家出、ではなく、12歳としては周到な準備と覚悟。強く正しく清く賢く美しく、正統派ヒロイン。この愚痴らない物怖じしない少女が、蓬山昇山の旅でより一層成長していく。
全く、王たる強運は彼女の覇気がもたらすもの。
不甲斐ない大人達との対比で、女王としての風格を楽しめる、激しめのロードノベル。
“更夜”の登場は、感涙。
次巻いきまーす。 -
十二国記【図南の翼】EP6
27年間、王が不在の恭国。
国が傾き民が苦しむ様子を傍観できなかった12歳の少女"珠晶"(シュショウ)が、王になる為にホウ山を目指す。
この12歳の珠晶ちゃんのキャラが面白い。
裕福な家に生れ育ち、かなり癇癪持ちだけど、聡明で人の痛みに敏感で、自分がこうと決めた事は人並外れた行動力で我が道を進む。
機関銃のように自分の正義や信念を喋りまくり
まちがっていたら、素直にごめんなさいって…良い子だなぁ。(^^)笑
十二国の世界では、王不在の国は天災が続き
妖魔が民を襲う、治安の荒れた国となってしまう。
王になる為には黄海の真ん中にあるホウ山を目指さなければならないが、妖魔の住処である黄海は人が足を踏み入れて良い場所ではない。
仲間との危険な旅が少女を真の王の器を持つ者へと変えていく。
面白かった(^^)
珠晶ちゃん、なんだか漫画キャラだなぁと思いながら楽しんでいたら最後に二つばかり、
『おぉ!』っとなる場面があり、
さすが十二国記だなぁとしかけに感動。
ことごとく正論の珠晶ちゃんの最後の麒麟に向けた言葉に爆笑(≧∀≦)
『馬鹿者』のかわりに、『だめだぞっ』にしたらもっと可愛いのになぁ(^^)キャラ変わっちゃうけど…笑
次はカショの幽夢EP7へGO♪-
読書は楽しいのが一番ですから(*^^)v
因みに資料で興味がおありなら、平凡社ライブラリーの『山海経』を読まれるとよいですよ。
私は...読書は楽しいのが一番ですから(*^^)v
因みに資料で興味がおありなら、平凡社ライブラリーの『山海経』を読まれるとよいですよ。
私は他の漫画家さんの影響で読んだのですが、『十二国記』に出てくる妖魔のモデルがここから選ばれてますので(*^^*)2022/10/26 -
山海経∑(゚Д゚)
いま検索してチラリと見てみました
妖魔のモデルがここから…はぁ、すごいですっ!
ロカさん、ありがとうございますっ山海経∑(゚Д゚)
いま検索してチラリと見てみました
妖魔のモデルがここから…はぁ、すごいですっ!
ロカさん、ありがとうございますっ2022/10/26 -
2022/10/26
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「何故この長編が書かれなければならなかったのか、わかりますか?」
「当たり前でしょ!とっても魅力的で十二国の主要人物の1人である珠晶が、艱難辛苦の上、登極(王様になる事)する話を、何処かで詳しく書いておかなければいけないのは、理の当然でしょ」
「珠晶が登極したことは、シリーズを読んできた読者には周知のことでしょう。屋上に屋を架す事ではないでしょうか」
「では長編の主人公に、私は相応しくない、とでもいうの!」
「無理しなさんな。勝気な12歳の少女を演じてみても貴女は珠晶じゃない。珠晶は賢いから、私が挑発していることなど直ぐに見通しますよ」
「‥‥じゃ、貴方は誰?」
「その前に、貴女は所謂物語をキャラで読もうとするひとたちの魂が形を成した者と観ました」
「悪い?」
「悪くない。それも物語を読む方法です。でも私はそれとは真反対の方向から読もうとする者だと言っておきましょう」
「‥‥じゃ、いいわ。で、何故登極の話が長編になったの?」
「それは、今迄書かれていなかった黄海の話、否、道の話を書かなくてはならなかったからだと、私は思います」
「道の話‥‥」
「今まで長編で描かれたのは主に三ヶ所を舞台にしています。国を司り不老不死の人たちが住む雲上と、普通の人たちが住む雲下と分けた場合、雲下はエピソード1、雲上はエピソード3、そして世界中央の黄海真ん中の五山に住む仙人たちの話がエピソード2、エピソード4の陽子の話は雲上下両方かな。そしてもう1つ2つ書かれなければならない舞台があります。それが黄海だと私は思うのです」
「十二国の中央に位置して、妖魔の跋扈する人外魔境、人の領分でもなく、神の領分でもない。でも人は黄海を通って蓬山に昇山し、麒麟に王様になる事を願わないと登極できないのよね」
「この巻で、やっと黄海が実は水のない海であることがわかりました。人は基本的にそこを徒歩か、馬などで苦労して道なき道を行かねばなりません」
「だから道の話なの?」
「その道ではない。麒麟と対たる鵬を象徴する道、即ち王の行く道とは何かを明らかにする話、だったのだと私はこの作品を解釈しました」
「それは今までも描かれてきたわ」
「国の政治とは全く無関係の舞台で描かれる必要があるのです」
「わからないわ」
「それは十二国世界の成り立ちに関することだ、と今はそれしか言えません。ともかく、黄海を舞台にして、抽象的な道の世界を描く必要があった」
「この巻は、そんな抽象じゃなくて、冒険ものよ」
「そこが小野不由美女史の凄いところなんでしょう。おそらく漢文で書けば数百字ですむところを四百頁超の大長編にしてしまいました」
「貴方のそんな全てを見透かしたような物言い、大っ嫌い!私は私の道を行きます。でも‥‥貴方、ちょっとこの巻の利広に似ているわね」
「さあ、それはどうかな」
年表(加筆訂正)
1400年ごろ 奏国宗王先新が登極 妻と3人の子仙籍に入る
1467年 六太1歳応仁の乱で罹災する。
1470年 六太4歳延麒となる。
1479年 瀬戸内海賊村上氏により海辺領主小松氏滅亡
(大化元年) 雁国延王尚隆が登極
1500年(大化21年)元州の乱 斡由誅殺
−X75年 恭国供王珠晶が登極
X元年 泰麒 胎果として日本に流される
X4年 才国采王黄姑が登極
X9年末 慶国予王が登極
X10年 泰麒 2月蓬山に戻る
戴国泰王驍宗が登極
X11年 泰麒 4月日本に戻る
X 12年 芳国峯王仲韃崩御、娘の祥瓊の仙籍剥奪
芳国の麒麟卵果が触により流される
X14年 5月慶国予王崩御。
X15年(1992年?)1月?陽子日本より来たる
10月慶国景王陽子が登極
X 16年 慶国で和州の乱
陽子伏礼を廃す
X17年 泰麒 9月戴国に戻る -
今回は恭国の珠晶が主役の物語。
高飛車なんだけど、破天荒なんだけど、とても魅力的でファンになってしまった!決してドMではないと思いますが…。
なんでしょう、覚悟の決め方が気持ち良く、自分もこうありたいと思わせるキャラクターなのかも。
ますます十二国記のファンになりました!
オススメ! -
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2019/11/16
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2019/11/16
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前に十二国記シリーズを読んでから3ヶ月も空いてしまいました。
『風の万里 黎明の空』で珠晶が王になるのはわかっているし、表紙の珠晶がかわいくて手元にあるだけで満足していました。
読み始めたら面白すぎて一気に読みました。ずっと面白かったです。
珠晶はただ気が強いだけじゃなく、優しくて思慮深くて、行動力があって、気持ち良いです。
『図南の翼』を読み終えてから、『風の万里 黎明の空』の珠晶のセリフを改めて読むと、さらに深い味わいを感じます。
あと、騎獣がかわいくて……泣
これまでの騎獣って生活の道具のように描かれてませんでしたか?そんなことないですか?かわいい相棒でもう……六章は嗚咽でした。
珠晶と頑丘と利広の3人組とても良かったです。このスリーショットまた見たいです。-
おはようございます!
わかります!
珠晶がなんとも魅力的なんですよねー♪
レビューを読んで激しく共感しました!
続きも楽しんでください^...おはようございます!
わかります!
珠晶がなんとも魅力的なんですよねー♪
レビューを読んで激しく共感しました!
続きも楽しんでください^_^2025/03/09 -
おはようございます。
コメントありがとうございます。
珠晶のことがもっと好きになりました!
最新刊に追いついて今年は十二国記原画展に行きたい...おはようございます。
コメントありがとうございます。
珠晶のことがもっと好きになりました!
最新刊に追いついて今年は十二国記原画展に行きたいです...!2025/03/09
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スカッと爽快の一冊。
舞台は恭国。あたしが蓬山を目指す…だなんて随分威勢がいい珠晶お嬢様と思いきや全てに納得。
蓬山への道のりで出会った人たちとの問答から得ていく数々のこと。
時に衝突しながらも常に自分で考え自分なりに咀嚼し、吸収し、次へと繋げる姿勢。
随所に見られるこの珠晶の姿勢、実に好感が持てるんだもの。
彼女の口からほとばしる数々の言葉たちは力強さと共にストレートに響く。
しっかりとした自分の考えを持ちながらもちらりと見える子供らしさがまた彼女の魅力。
最後、麒麟に放ったあの一言、可愛いくてスカッと爽快、最高! -
“覚悟”を問いかける物語だと、思います。
形式はロードムービー、大好物でした。
“私はやった”と言うからには、実践せねばとの気概と、
そして王として“人の理”を飛び越えていく覚悟。
過程を知らず結果しか見ないのは、本質をみないということ、
これは、今の時代にも通じる話ではないでしょうか。
これもまた“成長の物語”なんだろうと、思います。
個人的には、「更夜」が終盤に、
とある肩書で出てきたのは嬉しかったですね~、なんて。
著者プロフィール
小野不由美の作品





