黄昏の岸 暁の天 十二国記 8 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社
4.46
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本棚登録 : 2103
レビュー : 164
  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240619

作品紹介・あらすじ

王と麒麟が還らぬ国。その命運は!? 驍宗(ぎようそう)が玉座に就いて半年、戴国(たいこく)は疾風の勢いで再興に向かった。しかし、文州(ぶんしゆう)の反乱鎮圧に赴(おもむ)いたまま王は戻らず。ようやく届いた悲報に衝撃を受けた泰麒(たいき)もまた忽然(こつぜん)と姿を消した。王と麒麟を失い荒廃する国を案じる女将軍は、援護を求めて慶国を訪れるのだが、王が国境を越えれば天の摂理に触れる世界──景王陽子が希望に導くことはできるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 泰麒はまだ幼い。だから、怖いもの危険なことからは遠ざけたいのだとある者は言う。何も知らないでいいというのは、彼を侮ることと一緒だろう。彼には役割があるのだから、年齢など関係ないと、ある者は言う。主上は、泰麒は民意の具現だ。だから泰麒が怯えることは、民が怯えること。泰麒は巨大で重大な麒麟なのだと言う。泰麒は、驍宗を助けたい、役に立ちたいと願う。
    大切なものを傷つけたくないからこそ取った行動が、逆に相手を傷つけていることになることもある。
    実情を知ろうとするより先に、憶測で罪を作り、その罪をもとに他者を裁くことに疑問を覚えない者。自己の不足を自覚せず、己の不遇を容易く他のせいにして弾劾する者……
    わたしたちの周囲にも、そのような者たちのわめき声に掻き消されてしまう真実や声なき声がある。

    季斎は、瀕死の状態で助けを求めた慶国で、花を抱いて駆け寄る桂桂と泰麒を重ねて、思わず涙ぐみます。天では、泰麒がどれだけ戴国に希望を与える存在なのか訴えます。
    季斎の泰麒を想う気持ちには涙、涙です。
    泰麒を助けるために、諸国の麒麟たちが集まり、陽子や尚隆も動きます。だからといって、軍を率いて他国に介入することは、天の理に反し大罪です。それが侵略でなく、討伐でなく、民の保護であろうと、軍兵を他国に向かわせてはならないとの天の理があるのです。自ずと現実の世界情勢を思い浮かべることになりました。

    十二国記の世界観は深く広いです。
    何かことを起こそうとすると、天の理が立ちはだかります。どれだけ国が荒み民が苦しんでも天は何の手助けもしません。偽王を罰することもないです。全てを天は知っているはずなのに。
    陽子は季斎の訴えに「人は自らを救うしかない」という道理にたどり着きます。天にとって自分たちは何なのか。これから天の存在や理を深く考えることになるのかもしれません。

    泰麒は目覚め、景麒に「……僕は間に合うでしょうか」と問いかけます。うう、また泣いてしまいました。もう泰麒は何も出来ない子どもではないけれど、麒麟である力を失ってしまいました。それでも泰麒は、戴の民のために立ち上がります。戴国へ戻っていく泰麒と季斎のこれからは苦難の道です。ああ、また泣けてきました。10月が待ち遠しくてたまりません。

    今回は泣いて泣いて泣いてしまいました。

  • 既刊本読破。
    このタイミングで十二国記を読んだことは、天の采配だったに違いない。
    この本の続きがもう間もなくやってくる。
    ラグビーにも「ニワカデゴメン」の応援があるのだし、十二国記ファンにも「ニワカダケドゼンブヨンダカライイヨネ」と許していただきたい。
    いよいよ今週末に18年ぶり、待望の新刊発売。
    たった一週間でも待ち遠しいのだから、古参の方々の忍耐力には頭が下がる。
    泰麒の行く末が明るいものでありますように……

  • アニメ四十四話見るなり図書館に駆け込んだ勢なので、気になっていた泰麒の回──! と大はしゃぎで読破。
    アニメでは蓬莱で暮らす泰麒の近くに同級生として杉本がいたので、陽子! 杉本に! 杉本にライン! とか見当外れなエールを送りながら読んでいたが、杉本はひとつも登場せず、何なら名前も出てこなかった。
    個人的に戴王登極のための昇山回で李斎に心を奪われていて、どちらかといえば驍宗より李斎の派閥だったため、満身創痍の登場から利き腕を失い快方に向かうも武人として萎えるという辛すぎる流れには天帝を恨まずにはいられなかった。
    陽子、六太と共に蓬山に向かった時、玄君や西王母に「天は仁道に背くなと言っておきながら何故泰王泰麒を助けず阿選を罰せずいるのか」と食ってかかるシーンは同意せざるを得ないが、その後の「天が実在しないなら天は人を救わないし、実在するなら必ず過ちを犯す」という陽子の言葉がグッサリ刺さる。
    神が存在しないなら神によって人が救済されることなど絶対にあり得ないが、本当に存在するなら人は確かに救済されることもあろうが必ず間違えることもある。例えば良き王を退け、偽王をのさばらせるような。そもそも全てが偶然で、天は存在しないのかもしれないが、どちらにしても人は自分で自分を救うしかない、というのは真理かもしれない。さすが陽子。修羅場潜ってるだけあるな。
    全然関係ないけど陽子の臣として鈴、祥瓊、虎嘯、桂桂、桓魋などなどの(勝手に)共に修羅場をかいくぐってきた(気になっている)面々がいっぱい登場するのでうれしい。楽俊は出ませ〜〜ん。

    泰麒捜索においては五国協力態勢っていうのがグッときた。図南で縁の出来た恭と奏も協力してくれるっていうのがめっちゃポイント高い。珠晶なら手を貸してくれると信じてたよ。
    麒麟大集合も今までのボスキャラが味方になりました感があってスッキ。誰一人として敵になったことないのに。
    延王に全面協力を承諾させた時の「この恩は延王が斃れたとき必ずお返しします」ってセリフ、表面だけ意訳すると「絶対恩返しします」「いつになるやら」「お前が死んだらな」って感じだから一見してすごく酷いように聞こえるけど、王が斃れても民の安寧を守ることを約束しますってことだし、もっと言うと延王が王としての道を外れることも意図して民を苦しめようとすることも無いだろうから、万一にも斃れることがあったら民を案じて死にきれないだろうけど安心して死んでくださいってことだから絶対的信頼感がすごいのでは……? 解釈あってる? 妄想?
    とにかく本格的に泰麒捜索が始まってから奪還までがアツい。今のところ汕子の無事がわからないので無事であってくれと願いながら華胥の幽夢を開く。
    戻ってきた泰麒の姿を見た時の六太と景麒の反応で3リットルくらい泣いた。駆け寄ってあげたいのに麒麟の性から近寄ることができないジレンマ…。泰麒が帰ってきてから幼少の泰麒を知る人たちがみんな、あんなに小さかった泰麒はもういないのだ、みたいなこと考えてて全員親戚のおじさんかよ。気持ちはめっちゃわかるけど。むしろ読みながら帰ってきたら11歳に戻るのでは?? という期待を捨てきれなかったので読み手も親戚のおじさんです。あんなに小さかった泰麒はもういません。

    最後に、本作中でベストオブいいこと言ったな、は浩瀚の以下発言より。
    「実情を知らない者には批判する資格はない。にもかかわらず実情を知ろうとする者より先に、憶測で罪を作り、その罪を元に他者を裁くことに疑問を覚えない者にいかなる形の権限も与えるわけにはいかない。そのような自己の不明、不足を自覚せず、己の不遇を容易く他のせいにして弾劾する者に信を置くことなどできかねる」「報われれば道を守ることができるけれども、報われなければそれができない、そういう人間をいかにして信用しろと?」
    肝に銘じたい。浩瀚ができた人間にも程があるので最終回までどうぞ生きてほしい……。ぶっちゃけ最後のこのやり取りを読むだけでも価値があるので読んでくれよな。

  • 読み終ってしまった。この物語で描かれるのは魔性の子の裏側。十二国記の世界で行われた事なのですが、泰麒を救うために国を越えて協力するあたりが、本当にすごくて。また、ここで疑問を抱く天のシステムとか新刊が待ち遠しいことばかりですよ。冬栄を読んでいると、全然裏切りそうもなさそうだった人物が首謀者というのも怖いですし。しかし、ラストの泰麒と李斎のやり取りで泣きそうになってしまいました。麒麟としての本性を失った泰麒がこれから歩む苦難を思うともうね…。見届けたいので続きがそろそろ出て欲しいです。何年も待ったし大丈夫。

  • 毎度面白いのであっという間に読んでしまう。もったいないと思いながら。
    ようやく泰麒が蓬莱に戻った理由がはっきりした。で、もう一度「魔性の子」を読み返したくなりました。

  • 「白銀の墟 玄の月」を読んだら驍宗の麾下についての記憶が曖昧になっていたので,再読.
    やっぱり面白い.

    柳のこともあるし,天の摂理を壊そうとする勢力がいるのだろうか.
    (瑯燦はここではそれほど怪しくはないんだよね.)
    西王母は戴国が滅んで何が悪いんだみたいなことを李斎に言っているんだけど,どういうことだろう.
    阿選が妖術を使う場面はないので,最後の一文がやっぱり気になる.
    (「病む」のが阿選の妖術なら,なぜ正頼の口を割らせないのだろう.阿選にやる気がないだけかもしれないが・・・.)

    「冬栄」も再読してみるか.

  • 多分、シリーズ既刊作品の中で一番泣いてる時間が多い作品。

  • 再読。「風の海 迷宮の岸」の続編であるのだけれど、あれから続けて読むとあまりの落差にかなりつらいものがあります。そして同時に「魔性の子」の裏側で何が起こっていたかの物語でもあるので、併せて読むことをお薦めします。
    とにかく重く暗い展開。どうしようもなく荒廃しきった戴国。助けを求められ、それに応えたいものの実際にできることが多くない慶国。双方の苦悩も痛々しく、そして状況のまったくわからない戴国の暗澹とした国勢がもう希望のかけらもないと言おうか、何と言おうか。ひたすらつらい、としか言うほかない物語。
    しかし戴を救うために他国が次々立ち上がり、協力する展開が素晴らしい。そこからの進展は必ずしも明るいものではないのだけれど、ようやく希望は見えてきたような。ただし……思い返すだに酷いよね、これ。こんな状態で十八年も放置されたんだったわそういえば(苦笑)。

  • 再読。慶国にいきなり訪れた客は、傾いているという噂の戴国の将軍。彼女が求めたことは……。裏「魔性の子」ともいうべき、十二国側のお話。うー、続き続き!これからどーなったん!!人間ドラマも面白いけど、細かい描写がおっ、と思ったりするところがある。台詞は陽子のすっかりしたたかになった感じがステキ。かの大国だって、こんなに「自分の代の後」まで考えている王はいなかったんじゃないかなあ。陽子のグローバルな視点が、必要な時代になってきたということなんでしょうね。きっと。で、続き!

  • やっぱり陽子の王としてのエピソードが一番好きだなー。民の話よりも王としての葛藤の話が読みたいなと思うし。この先どうなるんだろう、続編とても楽しみです。

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著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

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