黄昏の岸 暁の天 十二国記 8 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240619

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ響いた…一冊におさまらない感覚のスケールの大きさ。「自身の行為が自身への処遇を決める」…深い…ここに至るまでの丁寧な描写、繋がるエピソードの数々。さまざまな角度・立場から、時を越えて紡がれる物語、ほんと改めて見事やわ。。

  • 再読。「風の海 迷宮の岸」の続編であるのだけれど、あれから続けて読むとあまりの落差にかなりつらいものがあります。そして同時に「魔性の子」の裏側で何が起こっていたかの物語でもあるので、併せて読むことをお薦めします。
    とにかく重く暗い展開。どうしようもなく荒廃しきった戴国。助けを求められ、それに応えたいものの実際にできることが多くない慶国。双方の苦悩も痛々しく、そして状況のまったくわからない戴国の暗澹とした国勢がもう希望のかけらもないと言おうか、何と言おうか。ひたすらつらい、としか言うほかない物語。
    しかし戴を救うために他国が次々立ち上がり、協力する展開が素晴らしい。そこからの進展は必ずしも明るいものではないのだけれど、ようやく希望は見えてきたような。ただし……思い返すだに酷いよね、これ。こんな状態で十八年も放置されたんだったわそういえば(苦笑)。

  • むちゃくちゃ面白かった!
    先に魔性の子を読んでいたので、色々繋がって面白い!!
    さらにこの物語の続編がもうすぐ出るので、さらに楽しみ!

  • 再読。慶国にいきなり訪れた客は、傾いているという噂の戴国の将軍。彼女が求めたことは……。裏「魔性の子」ともいうべき、十二国側のお話。うー、続き続き!これからどーなったん!!人間ドラマも面白いけど、細かい描写がおっ、と思ったりするところがある。台詞は陽子のすっかりしたたかになった感じがステキ。かの大国だって、こんなに「自分の代の後」まで考えている王はいなかったんじゃないかなあ。陽子のグローバルな視点が、必要な時代になってきたということなんでしょうね。きっと。で、続き!

  • 泰麒が…泰麒が…。何があってどうなって、驍宗はどこだー?泰麒に何するんだ!!という全編でした。陽子はどうして会ったこともない泰麒や驍宗を、あそこまでして助けたかったんだろう。延王と六太のラスボス感がすごいです。この二人が関わってくれたら何とかなる、って思っちゃいます。自分の足元が固まらないままに他国を救うなんて無理…陽子もまた王らしくなったんじゃないでしょうか。最後は景麒以上にハラハラしました。サンシとゴウランはやりすぎ。これは魔性の子の時も思いました。小野さん何卒続きを…驍宗、他国、楽俊…気になります。

  • 月1のお楽しみなので、書店で購入した。

    泰王・驍宗と泰麒が失踪し、謀反により国内が荒れ、李斎は慶へ援助を求めに行く。
    泰麒捜索のため、慶・雁・範・恭・才・漣・奏の七国が協力する。

    どうなっちゃうのー!、と思った終わり。
    とっても続きが気になる……2001年刊からこのままなのか……。
    『魔性の子』と「冬栄」(『華胥の幽夢』)と繋がり、そうだったのかー!、という感じ。
    氾王と氾麟のキャラがライトノベル的。
    おもいやりのある廉麟、不器用に優しい景麒が好きだなぁ。
    驍宗はやっぱり只者ではないと思いたいし、黒麒の力もみてみたい。
    諸国の協力、天帝への疑惑、西王母への謁見、十二国記に新たな展開を感じた。
    うつって穢瘁なのかも、とぼんやり思う。
    『魔性の子』を読み返そう。
    新刊が出るまで、十二国記関連の本を取り寄せて借りよう!

  • 自分のために行動を起こすということ。帰属する社会とはどういうものなのかという事。自分が自分でいるために守るものがなんなのかということ。

    なんのために、誰のために行動を起こすのか。

    「魔性の子」と対になる話。

    シリーズの成り立ちの根底に触れてもいる。しかし、大きく物語が動いたという感は少ない。やや失速。

  • 魔性の子が同時期の蓬莱での話で、その裏(こっちが表か?)となるお話。

    慶国のその後も垣間見れて、良かったです。
    戴国の危機が救われたわけではなく、どうなるのかすごく気になります!
    新作長編でそのあたりが明かされることに期待します。

    それにしても陽子の成長はすごいなと感心。
    強い心の持ち主です。

  • 新作の書き下ろし長編が発売されるまで、引き延ばそうとゆっくり読んだのに、読み終えてしまった!(゜゜;)「魔性の子」が蓬莱版なら「黄昏の岸 暁の天」は十二国版(^^)蓬莱で辛い毎日を送っていた高里くん(泰麒)ですが、十二国の方でも李斎をはじめ十二国の王や麒麟 それに蓬山まで、戴国を救おうと奔走してたんですねぇ(ToT)ここまできたら、もう絶対に幸せになって欲しい!

  • 十年ほど前に途中で終わってしまっていた泰麒の話がやっと終わるのかー。まさか文庫で中断のまま出さないよね。
    と思ったら、私の覚え違いだった。


    当時もこの話としては終わっていたけれども、戴の争乱に決着がついていなかったから終わっていないと思い違いしていた。
    そして、丕緒の鳥など読みながら、「あれ泰麒はもっと大きい…少年くらいだったよね。『魔性の子』で出ていたときに」と、十歳くらいの彼に疑問を感じていたのも、私が話をほぼ忘れていたからだった。

    しかし当時よりも、今読んだ方が、この話は堪えるなあ……短編は出ていることだし、そろそろ、十二国の続きをまともに読めると期待したい。


    p368 景王たる陽子と、戴の将軍李斎
    「これほど高い代償を――しかもゆえなく要求しながら、そうやって選んだ王に対して、天は何の手助けもしてくださらない。…略…天にすれば、見限るだけの理由があったのかもしれません。ならばなぜ、阿選を黙認なさるのです? あれほどの民が死に、苦しんでいるのに、なぜ正当な王を助け、偽王を罰してはくださらないのです!」
    「李斎……」
    「天にとって――王は――私たちはいったい、何なのです!?」
    …略…
    「李斎……私はその問いに答えられない。けれども一つだけ、今、分かったことがある」
    「分かったこと?」
    「もしも天があるなら、それは無謬ではない。実在しない天は過ちを犯さないが、もしも実在するなら、必ず過ちを犯すだろう」
     李斎は不思議そうに首を傾ける。
    「だが、天が存在しないなら、天が人を救うことなどあるはずがない。天に人を救うことができるのであれば、必ず過ちを犯す」
    「それは……どういう……」
    「人は自らを救うしかない、ということなんだ――李斎」


    キリスト教の神ならば、自らが律法を定める立場にあるものなので、過ちは過ちにならないんだろう。新教でも旧教でも。(旧教では大洪水が、過ちを認めたことになるのか?)
    けれども十二国では、天は天としての仕組みのもとに動いていて、人の世界は天の決めた規則のもとに動いている。人の世界の中の法律なら、運用の誤りもあるけれど、情状酌量もあるものを、天の規則は、背いたら情実によらずに罰をくだされる。
    でも、その天も過ちを犯すというのなら、天には天を罰する存在があるのだろうか? それはマトリョーシカの入れ子のように、無限に続くのか、それとも天は天で終りなのか。
    「人は自らを救うしかない」とは、生まれも環境も変えられはしない。厳しい気候も、正しくない王による圧政も、天はそれを過ちによって見過ごす。人には、気候を変える力もなければ、他国の軍を頼って義による出兵ものぞめないのなら、何が変えられるといって、自分の心しか変えられないように思う。でもここで言われているのは、心ではなく、天の過ちによって正されない状況は天によって改善されるとは期待してはいけないから、出来ることを探して、少しでも救われるよう道を探すしかない、天には頼れない、ということか、と、理解。
    人は、自分を自分で救う以外に、誰も助けてくれない。でもこの場合、李斎の場合、彼女の姿勢などに、陽子は力を貸したいと思った。人は、天に頼れなくても、互いを助けあうことで、生きるということか。


    p430 李斎と泰麒
    「けれども李斎――僕はもう子供ではないです。いいえ、能力で言うなら、あのころのほうがずっといろいろなことができた。却って無力になったのだと言えるんでしょう。けれども僕はもう、自分は無力だと嘆いて、無力であることに安住できるほど幼くない」
    「……台輔」
    「誰かが戴を救わねばなりません。戴の民がせずに、誰がそれをするのです?」
    …略…
    「天を当てにしてどうします? 助けを期待して良いのは、それに所有され庇護される者だけでしょう。戴の民はいつから、天のものになったのですか?」
    …略…
     泰麒は李斎の残された手を取る。
    「そもそも自らの手で支えることのできるものを我と呼ぶのではないんでしょうか。ここで戴を支えることができなければ、そのために具体的に何一つできず、しないのであれば、僕たちは永遠に戴を我が国と呼ぶ資格を失います」
    …略…
    「僕たちは戴の民です。求めて戴の民であろうとするならば、戴に対する責任と義務を負います。それを放棄するならば、僕らは戴を失ってしまう……」
     そして、所属する場所を失うということは、自己を失うということだ。


    国民には納税の義務がある。それは国を運営するためで、国によって保護されるため。
    大きい政府と小さい政府のどちらがいいのかというのはその人の立場による意見であるけれど、国民としての責任、国は、国民のレベルを超えることが出来ない以上、国民が、自らのレベルをあげないと、国のレベルはあがらない。
    国を築く、様々な問題との、やり取りなんだろう。
    フリーライドは、国を作らない。

  • 十二国記 戴国の物語。
    この話、前から出てたみたいだけど、読んでなかった。
    今回、新作だと思って読んだら、実は前から出ててびっくり。
    なんで、この作品だけ気づかなかったんだろう。

    と思って、本棚を見たら、講談社文庫版があった。
    全然読んだ記憶がないんだけど、すっかり忘れちゃったのか、それとも買ったけど、読み忘れちゃったのか…
    でも、この間、他の巻を読み返したことあったし。謎。

    まぁ、でも新作として楽しめたというわけだからよしとしよう。

    とにかく戴のその後が気になる。

    今度の新潮の書下ろしは、もちろん戴国のその後ですよね?
    10年以上待ってます。

    また初めから読み返すかな。
    泰麒の話か、魔性の子か、

  • 「魔性の子」の対となる作品。十二国側の視点。
    前半は、王と麒麟が消えた戴国の惨状が、将軍李斎を通して描かれ、とにかく苦痛。しかし後半は、景王(陽子)発起のもと、殆どの国の王と麒麟が結束し、泰麒の捜索に当たる!
    戴国はまだまだ酷い状態だけど、無事泰麒を蓬莱(日本)から連れ戻すことが出来て、少しは希望が見えてきた感じ・・??
    続編(今度こそ新作!)が待ち遠しい!

  •  新装版十二国記八作目。
    戴の将軍李斎は片腕を失う怪我を負いながら景王陽子の元を訪れる。戴は王、麒麟ともに行方不明となり、偽王が独裁を振るっている。李斎は戴を援助してもらうために慶を訪れたと語る。陽子は戴の麒麟、戴麒を探す決心をするが……。

     十二国記を読んでいると「なんで十二国の世界の摂理はこんな理不尽なのだろう」と思うことがしばしばあります。今作もそう思う個所はしばしばあって、正義心から偽王を討つため兵士を挙げて他国乗り込むこともできない、もしすれば国に確実に災いが降りかかる、という記述もあります。登場人物たちはそうした十二国記内の「天の摂理」に苦心します。

     それに文句を言っても始まらない、摂理の中でどうやって自分たちができることを精一杯やるか、そう考え行動する陽子たちの姿は、現実世界を生きる自分にも考えさせられるものがありました。厳しい現実の中でも精一杯生きることが十二国記のテーマの一つでもあるように思いますが、そのことに改めて気づかされました。

     また現代に近い時代の蓬莱出身ならではの陽子のアイディアや、それに翻弄され動かされる延王や周りの人々の姿もよかったです。陽子の起こす新しい風がいつか十二国の閉塞感を打ち破ってくれるのではないか、と思わさせてくれます。今回の事件はその第一歩だったようにも思います。

     李斎の叫びも切なかったです。何のために天はあるのか、天にとって自分たちは何なのだ、という叫びに自分もとても共感したのですが、それに対する陽子の言葉にも心を打たれました。人を救うことができるのはやはり人なのだと思います。

     捜索終了で話は終わるのかな、と思いきやその後の李斎への問いかけ、陽子に忍び寄る魔の手、最後の決断など読みどころがたっぷり! 話を常に動かし続け、読者である自分にもさまざまな問いかけをしてくるのはさすが「十二国記」だなと思いました。

     戴を含めた十二国記のその後が気になるところですが、これは完全新作の次作で語られるのでしょうか。楽しみに待ちたいと思います。 

  • こっそり講談社版と入れ替え。

    これまでのシリーズが収束するようなお話。魔性の子の時点でココまで構想があったのですよねぇ。震える。

    豪華な登場人物で霞むけれど、主人公は李斎。彼女の心情の変遷が好き。

  • 何度読んでも陽子と浩瀚の、ものを正しく見(ようとす)る目の会話は辛いなあ。我が身を省みる。

    そしてこれが出たの2001年か…

  • 久しぶりに陽子たちがでてきました♪戴国に突如起きた謀反で、戴国の主上の行方と泰麒の麒麟としてもとに戻れるか…次の巻が楽しみです。執筆中とのことですが、いつかな?今年中だと嬉しいのだがーー!

    『…景王ですか?』
    『中島 陽子です』
    『…高里です』

    なんだか新鮮!!

  • 戴の王と泰麟が姿を消した! と言うことで戴があれているとこで、李斎が慶に助けを求めてきた。そこでできることをするために延王、六太、陽子、景麒、氾王、氾麟、廉麟などが活躍して泰麒を蓬莱から取り戻す。そこには前の慶国の乱で活躍した虎嘯、祥瓊とか桓魋が出てくるのは非常にほほえましい。今回は王生母、碧霞玄君なども出てくるので非常にバラエティに富んだ登場人物達が話の内容を盛り上げる。
    ただ 最後は李斎と泰麒がまた戴へ戻るところで終わってしまうので話としては未完のまま。続きが早く読みたくなるが、この本の元もかなり前に出てから全く後編が出ていないのでどうなることやら。 ただ新潮社から続編が出るような予告が出ているのでもしかしたら続き話なら良いけど。
    まあ今年には何かでるでしょう!と言うことで待っています。

  • 順不同になりましたが、ようやく全巻読み終わりました!

  • 戴の長編がはじまる…え、つらい…
    天ってなんなの…
    結末をはやく知りたいな…つらい…
    この気持ちで18年待った方々がいるんですね!

  • 最高に面白かったです!!!
    エピソード0魔性の子に続く(?)、十二国からの視点のお話になります。泰麒が、また蓬莱に戻ってしまった理由や、蓬莱から延王とともに戻るまでの過程を知ることができます。
    読み終わってから、もう一度、魔性の子を読み返すとさらに理解が深まったので、おすすめです。
    華胥の夢の短編『冬栄』で、泰麒が蓮国に行った裏で、別のことが動いてるとは思わずそこも驚きました!
    泰麒がやっと戻ってきても、問題は山積みで、今度は泰王を探す旅につながっていきますが、今までの色々な繋がりを感じられて読み応えのある1冊でした。

  • 2023/12読了。うっかり読み飛ばしていて、第9話読了後に読んだ… 順番に読みたかった。結末を知って読んだので、ドキドキは足りなかったが、スピーディな展開に李斎の苦悩と、読み応えのある一冊だった。

  • 各国の特徴や国内組織をある程度理解していないと難しい所があるので相関図など見てもう一度トライしたい。
    魔性の子を読み終わった後、要が記憶も力を取り戻して向こうで麒麟として大活躍してほしいと思っていたので続きが気になる。

  • なんかこの巻は難しい(笑)哲学的と言うか、なんかルールがカイジっぽいと言うか(笑)でも泰麒が成長してる。そして、泰王はどうなるの?

  • 2023年8月31日
    陽子の1人で、夢斗21人懐っこいところ、正義の次感1番が良い。
    日本に戻っているときが魔性の子だったんだと納得。
    この続きが知りたい。

  • 泰麒を探すために国々が協力する、、、アツすぎる!世界観がしっかりあるからこそイレギュラーが楽しめる!
    話の表と裏の様に十二国側の動きと「魔性の子」での日本の出来事が連動しているのも面白い。2冊を読み比べてながら進めるのがオススメ!

  • 陽子の女王としての自覚が芽生えていく様が良かった。

  • 長い割には、内容が薄い。

    結局、麒麟が見つかっただけの戴が、この先どうなるのかモヤモヤしたまま。

  • あぁ、面白かった〜
    李斎が玉葉に「てめぇ、言ってることとやってることが違うじゃねぇか!」と食ってかかる場面が好きです。アームストロング姉(ハガレン)を思い浮かべて読みました。
    「キはどこですか?」「キを知りませんか?」と言っていたのは麟だったんですね。『魔性の子』がこれでスッキリ解決です。

  • 読み終わって感想を書こうと思いましたが、どうやら後回しにしていた、魔性の子を読んでから書いた方が良さげ?

    陽子が好きなので、主軸に描かれていて嬉しかった。泰麒が無事で良かったが、王は見つからなかったのでモヤモヤ。それも魔性の子を読めば判明するのだろうか。追記します。

  • 個々の国の話だったのが、ここで繋がり始めた!スケールが大きいなぁ。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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