黄昏の岸 暁の天 十二国記 8 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社
4.46
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本棚登録 : 2160
レビュー : 170
  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240619

作品紹介・あらすじ

王と麒麟が還らぬ国。その命運は!? 驍宗(ぎようそう)が玉座に就いて半年、戴国(たいこく)は疾風の勢いで再興に向かった。しかし、文州(ぶんしゆう)の反乱鎮圧に赴(おもむ)いたまま王は戻らず。ようやく届いた悲報に衝撃を受けた泰麒(たいき)もまた忽然(こつぜん)と姿を消した。王と麒麟を失い荒廃する国を案じる女将軍は、援護を求めて慶国を訪れるのだが、王が国境を越えれば天の摂理に触れる世界──景王陽子が希望に導くことはできるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 泰麒はまだ幼い。だから、怖いもの危険なことからは遠ざけたいのだとある者は言う。何も知らないでいいというのは、彼を侮ることと一緒だろう。彼には役割があるのだから、年齢など関係ないと、ある者は言う。主上は、泰麒は民意の具現だ。だから泰麒が怯えることは、民が怯えること。泰麒は巨大で重大な麒麟なのだと言う。泰麒は、驍宗を助けたい、役に立ちたいと願う。
    大切なものを傷つけたくないからこそ取った行動が、逆に相手を傷つけていることになることもある。
    実情を知ろうとするより先に、憶測で罪を作り、その罪をもとに他者を裁くことに疑問を覚えない者。自己の不足を自覚せず、己の不遇を容易く他のせいにして弾劾する者……
    わたしたちの周囲にも、そのような者たちのわめき声に掻き消されてしまう真実や声なき声がある。

    季斎は、瀕死の状態で助けを求めた慶国で、花を抱いて駆け寄る桂桂と泰麒を重ねて、思わず涙ぐみます。天では、泰麒がどれだけ戴国に希望を与える存在なのか訴えます。
    季斎の泰麒を想う気持ちには涙、涙です。
    泰麒を助けるために、諸国の麒麟たちが集まり、陽子や尚隆も動きます。だからといって、軍を率いて他国に介入することは、天の理に反し大罪です。それが侵略でなく、討伐でなく、民の保護であろうと、軍兵を他国に向かわせてはならないとの天の理があるのです。自ずと現実の世界情勢を思い浮かべることになりました。

    十二国記の世界観は深く広いです。
    何かことを起こそうとすると、天の理が立ちはだかります。どれだけ国が荒み民が苦しんでも天は何の手助けもしません。偽王を罰することもないです。全てを天は知っているはずなのに。
    陽子は季斎の訴えに「人は自らを救うしかない」という道理にたどり着きます。天にとって自分たちは何なのか。これから天の存在や理を深く考えることになるのかもしれません。

    泰麒は目覚め、景麒に「……僕は間に合うでしょうか」と問いかけます。うう、また泣いてしまいました。もう泰麒は何も出来ない子どもではないけれど、麒麟である力を失ってしまいました。それでも泰麒は、戴の民のために立ち上がります。戴国へ戻っていく泰麒と季斎のこれからは苦難の道です。ああ、また泣けてきました。10月が待ち遠しくてたまりません。

    今回は泣いて泣いて泣いてしまいました。

  • 既刊本読破。
    このタイミングで十二国記を読んだことは、天の采配だったに違いない。
    この本の続きがもう間もなくやってくる。
    ラグビーにも「ニワカデゴメン」の応援があるのだし、十二国記ファンにも「ニワカダケドゼンブヨンダカライイヨネ」と許していただきたい。
    いよいよ今週末に18年ぶり、待望の新刊発売。
    たった一週間でも待ち遠しいのだから、古参の方々の忍耐力には頭が下がる。
    泰麒の行く末が明るいものでありますように……

  • アニメ四十四話見るなり図書館に駆け込んだ勢なので、気になっていた泰麒の回──! と大はしゃぎで読破。
    アニメでは蓬莱で暮らす泰麒の近くに同級生として杉本がいたので、陽子! 杉本に! 杉本にライン! とか見当外れなエールを送りながら読んでいたが、杉本はひとつも登場せず、何なら名前も出てこなかった。
    個人的に戴王登極のための昇山回で李斎に心を奪われていて、どちらかといえば驍宗より李斎の派閥だったため、満身創痍の登場から利き腕を失い快方に向かうも武人として萎えるという辛すぎる流れには天帝を恨まずにはいられなかった。
    陽子、六太と共に蓬山に向かった時、玄君や西王母に「天は仁道に背くなと言っておきながら何故泰王泰麒を助けず阿選を罰せずいるのか」と食ってかかるシーンは同意せざるを得ないが、その後の「天が実在しないなら天は人を救わないし、実在するなら必ず過ちを犯す」という陽子の言葉がグッサリ刺さる。
    神が存在しないなら神によって人が救済されることなど絶対にあり得ないが、本当に存在するなら人は確かに救済されることもあろうが必ず間違えることもある。例えば良き王を退け、偽王をのさばらせるような。そもそも全てが偶然で、天は存在しないのかもしれないが、どちらにしても人は自分で自分を救うしかない、というのは真理かもしれない。さすが陽子。修羅場潜ってるだけあるな。
    全然関係ないけど陽子の臣として鈴、祥瓊、虎嘯、桂桂、桓魋などなどの(勝手に)共に修羅場をかいくぐってきた(気になっている)面々がいっぱい登場するのでうれしい。楽俊は出ませ〜〜ん。

    泰麒捜索においては五国協力態勢っていうのがグッときた。図南で縁の出来た恭と奏も協力してくれるっていうのがめっちゃポイント高い。珠晶なら手を貸してくれると信じてたよ。
    麒麟大集合も今までのボスキャラが味方になりました感があってスッキ。誰一人として敵になったことないのに。
    延王に全面協力を承諾させた時の「この恩は延王が斃れたとき必ずお返しします」ってセリフ、表面だけ意訳すると「絶対恩返しします」「いつになるやら」「お前が死んだらな」って感じだから一見してすごく酷いように聞こえるけど、王が斃れても民の安寧を守ることを約束しますってことだし、もっと言うと延王が王としての道を外れることも意図して民を苦しめようとすることも無いだろうから、万一にも斃れることがあったら民を案じて死にきれないだろうけど安心して死んでくださいってことだから絶対的信頼感がすごいのでは……? 解釈あってる? 妄想?
    とにかく本格的に泰麒捜索が始まってから奪還までがアツい。今のところ汕子の無事がわからないので無事であってくれと願いながら華胥の幽夢を開く。
    戻ってきた泰麒の姿を見た時の六太と景麒の反応で3リットルくらい泣いた。駆け寄ってあげたいのに麒麟の性から近寄ることができないジレンマ…。泰麒が帰ってきてから幼少の泰麒を知る人たちがみんな、あんなに小さかった泰麒はもういないのだ、みたいなこと考えてて全員親戚のおじさんかよ。気持ちはめっちゃわかるけど。むしろ読みながら帰ってきたら11歳に戻るのでは?? という期待を捨てきれなかったので読み手も親戚のおじさんです。あんなに小さかった泰麒はもういません。

    最後に、本作中でベストオブいいこと言ったな、は浩瀚の以下発言より。
    「実情を知らない者には批判する資格はない。にもかかわらず実情を知ろうとする者より先に、憶測で罪を作り、その罪を元に他者を裁くことに疑問を覚えない者にいかなる形の権限も与えるわけにはいかない。そのような自己の不明、不足を自覚せず、己の不遇を容易く他のせいにして弾劾する者に信を置くことなどできかねる」「報われれば道を守ることができるけれども、報われなければそれができない、そういう人間をいかにして信用しろと?」
    肝に銘じたい。浩瀚ができた人間にも程があるので最終回までどうぞ生きてほしい……。ぶっちゃけ最後のこのやり取りを読むだけでも価値があるので読んでくれよな。

  • 読み終ってしまった。この物語で描かれるのは魔性の子の裏側。十二国記の世界で行われた事なのですが、泰麒を救うために国を越えて協力するあたりが、本当にすごくて。また、ここで疑問を抱く天のシステムとか新刊が待ち遠しいことばかりですよ。冬栄を読んでいると、全然裏切りそうもなさそうだった人物が首謀者というのも怖いですし。しかし、ラストの泰麒と李斎のやり取りで泣きそうになってしまいました。麒麟としての本性を失った泰麒がこれから歩む苦難を思うともうね…。見届けたいので続きがそろそろ出て欲しいです。何年も待ったし大丈夫。

  • 毎度面白いのであっという間に読んでしまう。もったいないと思いながら。
    ようやく泰麒が蓬莱に戻った理由がはっきりした。で、もう一度「魔性の子」を読み返したくなりました。

  • 「白銀の墟 玄の月」を読んだら驍宗の麾下についての記憶が曖昧になっていたので,再読.
    やっぱり面白い.

    柳のこともあるし,天の摂理を壊そうとする勢力がいるのだろうか.
    (瑯燦はここではそれほど怪しくはないんだよね.)
    西王母は戴国が滅んで何が悪いんだみたいなことを李斎に言っているんだけど,どういうことだろう.
    阿選が妖術を使う場面はないので,最後の一文がやっぱり気になる.
    (「病む」のが阿選の妖術なら,なぜ正頼の口を割らせないのだろう.阿選にやる気がないだけかもしれないが・・・.)

    「冬栄」も再読してみるか.

  • 多分、シリーズ既刊作品の中で一番泣いてる時間が多い作品。

  • めちゃくちゃ響いた…一冊におさまらない感覚のスケールの大きさ。「自身の行為が自身への処遇を決める」…深い…ここに至るまでの丁寧な描写、繋がるエピソードの数々。さまざまな角度・立場から、時を越えて紡がれる物語、ほんと改めて見事やわ。。

  • 再読。「風の海 迷宮の岸」の続編であるのだけれど、あれから続けて読むとあまりの落差にかなりつらいものがあります。そして同時に「魔性の子」の裏側で何が起こっていたかの物語でもあるので、併せて読むことをお薦めします。
    とにかく重く暗い展開。どうしようもなく荒廃しきった戴国。助けを求められ、それに応えたいものの実際にできることが多くない慶国。双方の苦悩も痛々しく、そして状況のまったくわからない戴国の暗澹とした国勢がもう希望のかけらもないと言おうか、何と言おうか。ひたすらつらい、としか言うほかない物語。
    しかし戴を救うために他国が次々立ち上がり、協力する展開が素晴らしい。そこからの進展は必ずしも明るいものではないのだけれど、ようやく希望は見えてきたような。ただし……思い返すだに酷いよね、これ。こんな状態で十八年も放置されたんだったわそういえば(苦笑)。

  • 再読。慶国にいきなり訪れた客は、傾いているという噂の戴国の将軍。彼女が求めたことは……。裏「魔性の子」ともいうべき、十二国側のお話。うー、続き続き!これからどーなったん!!人間ドラマも面白いけど、細かい描写がおっ、と思ったりするところがある。台詞は陽子のすっかりしたたかになった感じがステキ。かの大国だって、こんなに「自分の代の後」まで考えている王はいなかったんじゃないかなあ。陽子のグローバルな視点が、必要な時代になってきたということなんでしょうね。きっと。で、続き!

  • やっぱり陽子の王としてのエピソードが一番好きだなー。民の話よりも王としての葛藤の話が読みたいなと思うし。この先どうなるんだろう、続編とても楽しみです。

  • 泰麒が…泰麒が…。何があってどうなって、驍宗はどこだー?泰麒に何するんだ!!という全編でした。陽子はどうして会ったこともない泰麒や驍宗を、あそこまでして助けたかったんだろう。延王と六太のラスボス感がすごいです。この二人が関わってくれたら何とかなる、って思っちゃいます。自分の足元が固まらないままに他国を救うなんて無理…陽子もまた王らしくなったんじゃないでしょうか。最後は景麒以上にハラハラしました。サンシとゴウランはやりすぎ。これは魔性の子の時も思いました。小野さん何卒続きを…驍宗、他国、楽俊…気になります。

  • 月1のお楽しみなので、書店で購入した。

    泰王・驍宗と泰麒が失踪し、謀反により国内が荒れ、李斎は慶へ援助を求めに行く。
    泰麒捜索のため、慶・雁・範・恭・才・漣・奏の七国が協力する。

    どうなっちゃうのー!、と思った終わり。
    とっても続きが気になる……2001年刊からこのままなのか……。
    『魔性の子』と「冬栄」(『華胥の幽夢』)と繋がり、そうだったのかー!、という感じ。
    氾王と氾麟のキャラがライトノベル的。
    おもいやりのある廉麟、不器用に優しい景麒が好きだなぁ。
    驍宗はやっぱり只者ではないと思いたいし、黒麒の力もみてみたい。
    諸国の協力、天帝への疑惑、西王母への謁見、十二国記に新たな展開を感じた。
    うつって穢瘁なのかも、とぼんやり思う。
    『魔性の子』を読み返そう。
    新刊が出るまで、十二国記関連の本を取り寄せて借りよう!

  • 自分のために行動を起こすということ。帰属する社会とはどういうものなのかという事。自分が自分でいるために守るものがなんなのかということ。

    なんのために、誰のために行動を起こすのか。

    「魔性の子」と対になる話。

    シリーズの成り立ちの根底に触れてもいる。しかし、大きく物語が動いたという感は少ない。やや失速。

  • 魔性の子が同時期の蓬莱での話で、その裏(こっちが表か?)となるお話。

    慶国のその後も垣間見れて、良かったです。
    戴国の危機が救われたわけではなく、どうなるのかすごく気になります!
    新作長編でそのあたりが明かされることに期待します。

    それにしても陽子の成長はすごいなと感心。
    強い心の持ち主です。

  • 新作の書き下ろし長編が発売されるまで、引き延ばそうとゆっくり読んだのに、読み終えてしまった!(゜゜;)「魔性の子」が蓬莱版なら「黄昏の岸 暁の天」は十二国版(^^)蓬莱で辛い毎日を送っていた高里くん(泰麒)ですが、十二国の方でも李斎をはじめ十二国の王や麒麟 それに蓬山まで、戴国を救おうと奔走してたんですねぇ(ToT)ここまできたら、もう絶対に幸せになって欲しい!

  • 十年ほど前に途中で終わってしまっていた泰麒の話がやっと終わるのかー。まさか文庫で中断のまま出さないよね。
    と思ったら、私の覚え違いだった。


    当時もこの話としては終わっていたけれども、戴の争乱に決着がついていなかったから終わっていないと思い違いしていた。
    そして、丕緒の鳥など読みながら、「あれ泰麒はもっと大きい…少年くらいだったよね。『魔性の子』で出ていたときに」と、十歳くらいの彼に疑問を感じていたのも、私が話をほぼ忘れていたからだった。

    しかし当時よりも、今読んだ方が、この話は堪えるなあ……短編は出ていることだし、そろそろ、十二国の続きをまともに読めると期待したい。


    p368 景王たる陽子と、戴の将軍李斎
    「これほど高い代償を――しかもゆえなく要求しながら、そうやって選んだ王に対して、天は何の手助けもしてくださらない。…略…天にすれば、見限るだけの理由があったのかもしれません。ならばなぜ、阿選を黙認なさるのです? あれほどの民が死に、苦しんでいるのに、なぜ正当な王を助け、偽王を罰してはくださらないのです!」
    「李斎……」
    「天にとって――王は――私たちはいったい、何なのです!?」
    …略…
    「李斎……私はその問いに答えられない。けれども一つだけ、今、分かったことがある」
    「分かったこと?」
    「もしも天があるなら、それは無謬ではない。実在しない天は過ちを犯さないが、もしも実在するなら、必ず過ちを犯すだろう」
     李斎は不思議そうに首を傾ける。
    「だが、天が存在しないなら、天が人を救うことなどあるはずがない。天に人を救うことができるのであれば、必ず過ちを犯す」
    「それは……どういう……」
    「人は自らを救うしかない、ということなんだ――李斎」


    キリスト教の神ならば、自らが律法を定める立場にあるものなので、過ちは過ちにならないんだろう。新教でも旧教でも。(旧教では大洪水が、過ちを認めたことになるのか?)
    けれども十二国では、天は天としての仕組みのもとに動いていて、人の世界は天の決めた規則のもとに動いている。人の世界の中の法律なら、運用の誤りもあるけれど、情状酌量もあるものを、天の規則は、背いたら情実によらずに罰をくだされる。
    でも、その天も過ちを犯すというのなら、天には天を罰する存在があるのだろうか? それはマトリョーシカの入れ子のように、無限に続くのか、それとも天は天で終りなのか。
    「人は自らを救うしかない」とは、生まれも環境も変えられはしない。厳しい気候も、正しくない王による圧政も、天はそれを過ちによって見過ごす。人には、気候を変える力もなければ、他国の軍を頼って義による出兵ものぞめないのなら、何が変えられるといって、自分の心しか変えられないように思う。でもここで言われているのは、心ではなく、天の過ちによって正されない状況は天によって改善されるとは期待してはいけないから、出来ることを探して、少しでも救われるよう道を探すしかない、天には頼れない、ということか、と、理解。
    人は、自分を自分で救う以外に、誰も助けてくれない。でもこの場合、李斎の場合、彼女の姿勢などに、陽子は力を貸したいと思った。人は、天に頼れなくても、互いを助けあうことで、生きるということか。


    p430 李斎と泰麒
    「けれども李斎――僕はもう子供ではないです。いいえ、能力で言うなら、あのころのほうがずっといろいろなことができた。却って無力になったのだと言えるんでしょう。けれども僕はもう、自分は無力だと嘆いて、無力であることに安住できるほど幼くない」
    「……台輔」
    「誰かが戴を救わねばなりません。戴の民がせずに、誰がそれをするのです?」
    …略…
    「天を当てにしてどうします? 助けを期待して良いのは、それに所有され庇護される者だけでしょう。戴の民はいつから、天のものになったのですか?」
    …略…
     泰麒は李斎の残された手を取る。
    「そもそも自らの手で支えることのできるものを我と呼ぶのではないんでしょうか。ここで戴を支えることができなければ、そのために具体的に何一つできず、しないのであれば、僕たちは永遠に戴を我が国と呼ぶ資格を失います」
    …略…
    「僕たちは戴の民です。求めて戴の民であろうとするならば、戴に対する責任と義務を負います。それを放棄するならば、僕らは戴を失ってしまう……」
     そして、所属する場所を失うということは、自己を失うということだ。


    国民には納税の義務がある。それは国を運営するためで、国によって保護されるため。
    大きい政府と小さい政府のどちらがいいのかというのはその人の立場による意見であるけれど、国民としての責任、国は、国民のレベルを超えることが出来ない以上、国民が、自らのレベルをあげないと、国のレベルはあがらない。
    国を築く、様々な問題との、やり取りなんだろう。
    フリーライドは、国を作らない。

  • 「魔性の子」の対となる作品。十二国側の視点。
    前半は、王と麒麟が消えた戴国の惨状が、将軍李斎を通して描かれ、とにかく苦痛。しかし後半は、景王(陽子)発起のもと、殆どの国の王と麒麟が結束し、泰麒の捜索に当たる!
    戴国はまだまだ酷い状態だけど、無事泰麒を蓬莱(日本)から連れ戻すことが出来て、少しは希望が見えてきた感じ・・??
    続編(今度こそ新作!)が待ち遠しい!

  •  新装版十二国記八作目。
    戴の将軍李斎は片腕を失う怪我を負いながら景王陽子の元を訪れる。戴は王、麒麟ともに行方不明となり、偽王が独裁を振るっている。李斎は戴を援助してもらうために慶を訪れたと語る。陽子は戴の麒麟、戴麒を探す決心をするが……。

     十二国記を読んでいると「なんで十二国の世界の摂理はこんな理不尽なのだろう」と思うことがしばしばあります。今作もそう思う個所はしばしばあって、正義心から偽王を討つため兵士を挙げて他国乗り込むこともできない、もしすれば国に確実に災いが降りかかる、という記述もあります。登場人物たちはそうした十二国記内の「天の摂理」に苦心します。

     それに文句を言っても始まらない、摂理の中でどうやって自分たちができることを精一杯やるか、そう考え行動する陽子たちの姿は、現実世界を生きる自分にも考えさせられるものがありました。厳しい現実の中でも精一杯生きることが十二国記のテーマの一つでもあるように思いますが、そのことに改めて気づかされました。

     また現代に近い時代の蓬莱出身ならではの陽子のアイディアや、それに翻弄され動かされる延王や周りの人々の姿もよかったです。陽子の起こす新しい風がいつか十二国の閉塞感を打ち破ってくれるのではないか、と思わさせてくれます。今回の事件はその第一歩だったようにも思います。

     李斎の叫びも切なかったです。何のために天はあるのか、天にとって自分たちは何なのだ、という叫びに自分もとても共感したのですが、それに対する陽子の言葉にも心を打たれました。人を救うことができるのはやはり人なのだと思います。

     捜索終了で話は終わるのかな、と思いきやその後の李斎への問いかけ、陽子に忍び寄る魔の手、最後の決断など読みどころがたっぷり! 話を常に動かし続け、読者である自分にもさまざまな問いかけをしてくるのはさすが「十二国記」だなと思いました。

     戴を含めた十二国記のその後が気になるところですが、これは完全新作の次作で語られるのでしょうか。楽しみに待ちたいと思います。 

  • こっそり講談社版と入れ替え。

    これまでのシリーズが収束するようなお話。魔性の子の時点でココまで構想があったのですよねぇ。震える。

    豪華な登場人物で霞むけれど、主人公は李斎。彼女の心情の変遷が好き。

  • 何度読んでも陽子と浩瀚の、ものを正しく見(ようとす)る目の会話は辛いなあ。我が身を省みる。

    そしてこれが出たの2001年か…

  • 久しぶりに陽子たちがでてきました♪戴国に突如起きた謀反で、戴国の主上の行方と泰麒の麒麟としてもとに戻れるか…次の巻が楽しみです。執筆中とのことですが、いつかな?今年中だと嬉しいのだがーー!

    『…景王ですか?』
    『中島 陽子です』
    『…高里です』

    なんだか新鮮!!

  • 戴の王と泰麟が姿を消した! と言うことで戴があれているとこで、李斎が慶に助けを求めてきた。そこでできることをするために延王、六太、陽子、景麒、氾王、氾麟、廉麟などが活躍して泰麒を蓬莱から取り戻す。そこには前の慶国の乱で活躍した虎嘯、祥瓊とか桓魋が出てくるのは非常にほほえましい。今回は王生母、碧霞玄君なども出てくるので非常にバラエティに富んだ登場人物達が話の内容を盛り上げる。
    ただ 最後は李斎と泰麒がまた戴へ戻るところで終わってしまうので話としては未完のまま。続きが早く読みたくなるが、この本の元もかなり前に出てから全く後編が出ていないのでどうなることやら。 ただ新潮社から続編が出るような予告が出ているのでもしかしたら続き話なら良いけど。
    まあ今年には何かでるでしょう!と言うことで待っています。

  • これは間違いなく、魔性の子読んだ後の方なおすすめです!

    エピソード毎の主人公が一気に集結した感じでした_φ(・_・

    2019/12/1 ★4.4

  • 新潮文庫版はお初。順番変わってるのね?

  • その後の戴国(たいこく)の泰王驍宗(ぎょうそう)と麒麟の泰麒(たいき)の話だ。と言っても、反乱鎮圧に自ら赴いた驍宗は、忽然を姿を消し、謀反で角を失った泰麒は、自ら蝕を起こし、蓬莱(日本)へと飛ばされる。将軍李斎(りさい)は、景王陽子へ助けを求めるが……。十二国記と言いながら、なぜか、話の中心は、景王陽子とこの泰麒が中心か?

  • 天が存在する意味を問う。
    価値観が違う者との議論の難しさを感じる。

    正しいと思うことをちゃんと理屈を通して納得させる技術と、その思いがかっこいい。

    「守りたい」という思いは尊い。

  • 戴国の話とのことで、驍宗がどんな治世を敷き、何故死に、泰麒が行方不明になったのか?そういう物語だと思ってた。確かにそうで、そしてそれだけでなかった。
    「誰もがその行為、その行動から他者の内実を推し量るしかない」「結局のところ、その人物の為人の問題でございます」という言葉からは、今生きる自分を顧みずにはいられない重い言葉だ。
    新刊、泰麒帰還の物語に進みたいが、「圧倒的な死臭」をまとうことになった彼の蓬莱での物語を読まねばならぬ。
    李斉が金波宮へやってくる場面、そして去っていく場面の繋がりが切ないけどいい。

  • 十二国記の再読も、やっとここまで進みました。
    新作の前に読み直して良かったです。
    忘れてたエピソードが沢山ありました。

    「黄昏の岸 暁の天」は、魔性の子の十二国記側での話。
    戴の女将軍の成長ストーリーです。
    蓬莱で苦悩していた戴麒の反対側でこんな作戦が練られていたとは。
    そして、この終わり方。
    李斎と戴麒はまだスタート地点に立ったばかり。

    続編がとても気になります。

  • 魔性の子で泰麒が麒麟であることを思い出し還るシーンの前後が含まれる終わり方なのでちょうど一巡りしたとも言える。が、明らかに「これからじゃん」からの18年。角も使令も持たず、片腕を無くした李斎と騎獣のみの帰還。戴王と会えるのか。西王母に預けている使令は間に合うのか。いよいよ新刊!!『自身の行為が自身への処遇を決める』これは肝に銘じる。

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著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

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