白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 371
  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240633

作品紹介・あらすじ

2019年10月12日、十二国記シリーズ新作が発売決定!戴国を舞台とした物語。
シリーズ累計1000万部突破!
王だからこそ戴国(ここ)を守りたい。
民が幸福に暮らす国となるように。
民には、早く希望を見せてやりたい。
国の安寧を誰よりも願った驍宗(ぎょうそう)の行方を追う泰麒(たいき)は、つい に白圭宮(はっけいきゅう)へと至る。それは王の座を奪い取った阿選(あせん)に 会うためだった。しかし権力を恣(ほしいまま)にしたはずの仮王には政(まつりご と)を治める気配がない。一方、李斎(りさい)は、驍宗が襲われたはずの山を目指 すも、かつて玉泉として栄えた地は荒廃していた。人々が凍てつく前に、王を捜し、 国を救わなければ。──だが。

感想・レビュー・書評

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  • 私の十二国評は、キャラクター心理を追うよりも、むしろ作品構想を評するという方向に向いている。それは単(ひとえ)に私の興味関心の向き方の問題で、この作品の秘密を既に暴いているとか、結末を知っているとかのためではない(寧ろ、一切見ないように努力している)。そのために、見当違いの上から目線の感想文になっていて不快に思う方もいるかもしれない。その時は申し訳ない。私の最終的な関心は「天帝の意思」です。よって王や麒麟を蔑(ないがし)ろにする意思はサラサラないので、御寛恕願いたい。

    さて、第二巻は例によって最終章で衝撃の展開があるものの、4巻を起承転結に分けるとしたら典型的な「承」になる(と思う)。つまり、「起」で作られた構造はほとんど変わらない。思い付きで言った「指輪物語構造」は、もしかしたらホントにその通りになるかもしれない。第4巻は絶体絶命の大戦争と、絶体絶命の「究極の選択」が待っているのだろうか?

    この巻には、十二国ならではの重要な問答がある。「天帝とは何か」ではなくて「天命とは何か」について交わされた、第9章の4(193-204p)の張運と琅燦の会話は、とても興味深いものだった。琅燦とは、いったい何者?アニメには出てきているらしいが、小説の登場は、これが初めてだったけ?
    「天命」が、今回「ひとつの指輪」となるのかもしれない。いや、それをしたら十二国の瓦解に繋がる。で、ないとしたら、最後に泰麒は何を「選択」するのだろうか。

    それにしても、戴国の現状がだんだん日本と重なってきた。アベノマスクの杜撰さを見ていると、案外今の戴国と日本の官邸は同じかもしれない。アベノ官邸は伏魔殿になっているのかもしれない。
    政権を取るまでは電光石火、凄かったが、その後の6年間は、何もせず国は滅亡一歩手前まできている。(←あ、日本のことじゃないです。戴国のことです)

    今回、年表に加筆訂正はない。

    • 地球っこさん
      kuma0504さん、お返事ありがとうございます。

      そして、ごめんなさい!
      kuma0504さんの『黄昏の岸 暁の天』に「いいね」し...
      kuma0504さん、お返事ありがとうございます。

      そして、ごめんなさい!
      kuma0504さんの『黄昏の岸 暁の天』に「いいね」していなかったことで、いろいろご心配かけてしまいました。
      決して怒ってなどいませんので〰️!!

      kuma0504さんのレビューからは、作品に対して、とても真摯に向き合われておられることがとても伝わってきます。
      そしてわたしに、いつも物語の深みを見せてくださいます。
      kuma0504さんのおっしゃるとおり、
      「何を書いてもアリの世界」ですから、これからも思う存分書いてくださいね。

      あ、ひとつ白状しちゃいますとkuma0504さんのレビュー
      『キャラで読む読み方はしない。「泰麒が可愛い、愛しい」とも思わない。』
      との部分に、キャラ読みしてしまうわたしはガーンときちゃったこともありました 笑
      でも同時に、骨太なkuma0504さんのレビューが気になって気になって仕方がなくなったのも事実です(*^^*)

      これからも(ときにはガーンとなりながら 笑)心して読ませていただきます☆
      2020/04/26
    • kuma0504さん
      すこし安堵しました。
      でも私の推測があまりにも見当違いかどうかは、これからで、ドキドキです(^_^;)。

      地球っこさんのレビューが、キャラ...
      すこし安堵しました。
      でも私の推測があまりにも見当違いかどうかは、これからで、ドキドキです(^_^;)。

      地球っこさんのレビューが、キャラ読みだということは、今回言われて初めて気がつきました。それだけ作品に寄り添ったレビューをしていて素晴らしいし、そもそもキャラ読みから、当然作品の真実に入るレビューはそれこそレビューの王道だと思います。

      私は、たいていは、小説は「自分ならばどう書くんだろう」という発想から抜けられません。だから、読了直後に書いたレビューはよく文体そのものが、作品に似てしまいます。

      次巻のレビューで、ちょっと冒険するみたいなことを書きましたが、そうやって締め切りを作ると「直ぐにやらない脳」が発生する可能性もあります。その時は!普通のレビューになりますが、その時は御免なさい(笑)。
      2020/04/26
    • 地球っこさん
      kuma0504さん、ありがとうございます。

      いろんな角度から研究されて推測される、そのこと自体がとても素晴らしくて、わたしには真似で...
      kuma0504さん、ありがとうございます。

      いろんな角度から研究されて推測される、そのこと自体がとても素晴らしくて、わたしには真似できません。
      見当違いかどうかなんて、気にせずに思いっきりやっちゃってください!
      冒険しちゃってくださいっ(*^^*)
      ドキドキしてるのは、わたしも一緒です 笑

      とはいえ、kuma0504さんの「普通のレビュー」自体が、すでに読みごたえあるのですから、あまり無理なさりませんように。

      あと、kuma0504さんの小説の読み方、なるほどと思いました。
      わたしにとって「自分ならばどう書くんだろう」という発想は、今まで考えたことのないものだったので、とても新鮮です。
      それがkuma0504さんのレビューの魅力なんですね!

      何度もコメントしてしまい、失礼しました。
      でも、コメントのやり取り、とても楽しかったです☆

      あ、それと(しつこいですね、すみません)「直ぐにやらない脳」面白いネーミングですね 笑
      2020/04/26
  • 気持ちは焦るけど、なかなか辿り着けない。じりじりした展開。だけど、この二巻は戴の現状や行く末、民の願いを誰もが考えるきっかけとなる大切なところだと思う。
    李斎や泰麒、驍宗の麾下たちだけでなく、読者にとっても驍宗が真の王であり、早く玉座に戻って欲しいと願っている。もちろん、私もそうだ。
    だけど、貧困に喘ぎ極寒の地で寒さに打ち震えながら、一日一日を何とか生きている民たちにとっては、王は驍宗でなければいけないのだろうか。一巻を読んでるときは思いもしなかったそんな疑問が、ざわざわと胸を這い上がってくるのだ。
    王は誰でもいい。たとえ阿選であれ、新王が践祚すれば現在の困窮から逃れられる。早く新王を。そんな戴の現状がつぶさに描かれることによって、私は一度立ち止まってしまう。季斎も去思も気づいてしまった。いや、本当は気づかないようにしていただけなのかもしれない。自分たちにとっては、全てを奪い去った阿選は決して許すことの出来ない存在。必ず討たなければならない憎き兇賊でしかない。けれど、戴にとっては?民にとっては?……と。これは辛い。とてつもなく辛い。
    驍宗の生死について絶望的な状況に陥った終盤。それでも驍宗は必ず生きていると信じる者たち。驍宗の元、阿選を討つ。その根源が揺らぐ。自分たちの大義を信じるだけでは、大切な戴は救われないのだろうか。
    だけど、きっと。季斎たちは進むのだろう。己の信じる道を。驍宗へと続く道を。そうあってほしい。そして、それが戴を救う道だと信じたい。

  • 不安を掻き立てられる一冊。

    前巻よりは旅の歩はちょっとは進んだのかな。

    李斎サイドでは飢えや困窮に苦しむ民の現状を描きながら、泰麒サイドでは陰鬱な王宮の現状を描きながら、驍宗の奪還へと歩を進めていく過程はやっぱりもどかしさはもちろん、次第に不安が入り混じる。

    そして何よりも炙り出されていく戴国の現状がつらい。

    正当な王なくしても続く苦しい民の暮らし、必死に暮らす日々を目の当たりにした李斎たちの心情も読み手につらさを注ぐ。

    そして…信じるべきか、何を信じればいいのか…不安を掻き立てられながら三巻へ。

  • 白雉は鳴かないし鳴かせたくない。私は信じたくない。最後回生の発言でエッ?エッ??てなったけども。
    2巻の驍宗様の背中が、去っていく背中だなんて思いたくない。それに、私達読者は泰麒が小さい頃からどんなに健気に頑張ってきたか知っていて、6年間の日本での艱難辛苦も知っていて、どうしたって報われて欲しいと思ってしまうんだ。ここまで苦労してきて、彼の選んだ王が死んでしまったなんて事になったら、辛すぎて悲しすぎてどうにかなってしまう。そうなったらどうやって戴国の幸せを想像したらいいのか分からない。仮にもし阿選が王になったとして、明るい未来なんか見えない。今の王朝を見るにつけてもそういう気持ちしか生まれない。
    十二国記は闘い、正し、己に克つ物語だと思っているので、最後には笑えるようになると信じている。せいぜい一読者として、来月まで心乱していようと思う。それも楽しみなんだもんね。
    そしてこの1ヶ月の間に風の海迷宮の岸を読むんだ、心が折れそうだけど。そして私の愛する王と麒麟が揃って戴へ還ってくることを信じて待つんだ。

  • 民には、早く希望を見せてやりたい。
    国の安寧を誰よりも願った驍宗(ぎょうそう)の行方を追う泰麒(たいき)は、つい に白圭宮(はっけいきゅう)へと至る。
    それは王の座を奪い取った阿選(あせん)に 会うためだった。
    しかし権力を恣(ほしいまま)にしたはずの仮王には政(まつりご と)を治める気配がない。
    一方、李斎(りさい)は、驍宗が襲われたはずの山を目指 すも、かつて玉泉として栄えた地は荒廃していた。
    人々が凍てつく前に、王を捜し、 国を救わなければ。──だが。


    はぁ。。。。。
    二巻も、それほど大きく物語が進行しない(T_T)

    泰麒は白圭宮に赴くが、身動きが取れない(T_T)
    しかし、この黒麒の行動力は凄い!!

    李斎の方も、思いのほか苦戦中・・・・
    苦しい・・・どちらも苦しい・・・・
    三巻に期待大。

  • だいぶ穿った見方になるとは思うのですが、この二巻のラストを読んだときに、ちょっと感動しました。
    十二国記の天の摂理を、ここまで見事に物語に組み込み、現状の不可解な事実の数々を説明しつつ(この説明が正解かは分からないのですが)登場人物たちの究極のジレンマにつなげることができるのか! と。

     二巻になっても、戴の国の民たちの厳しさは変わりません。貧困や困窮ゆえ、悪の道に走ったりあるいは人を見捨てなければならなかったり……

     荒くれ者の集団でもある土匪の話もそうとう練られてて、土匪を束ねる人物の半生からは、国に振り回される人々の運命の過酷さやどうしようもなさ、というのが透けて見えます。また個人的に忘れがたいのが、村での小さなエピソード。

     自分たちに余裕がないため、旅人に対し家の門を開けなかった女性、その女性の末路……。あまりにも救いがなく、改めて戴の限界というものを感じさせられます。

     李齋たちの驍宗探しの旅は、戴の国の惨状を自ら肌で感じる旅に他なりませんでした。だからこそ、委齋たちを襲うジレンマは、より切実さと切迫さを持つのです。

     何を大義とするべきなのかも、何が真実なのかも分からないまま、物語は続きます。発売日まで指折り待ち、戴の行く末と委齋たちの決断を、見守りたいと思います。

  • 泰麒と別れ道を行くことになった李斎は土匪の協力も得て、函養山や付近の坑道を探したり、怪しい買取をする著名な店を探ったり、妙に裕福な里を訪ねたり、荒民の噂を頼りにするが、そんな時泰麒が阿選を新王と名指ししたという噂に深いショックを受ける。
    しかも、探していた驍宗かもしれない人物が時同じくして亡くなったというのだ。

    絶妙に事態が動いてきたところで続く、のが歯がゆいけど、全然一月なんて短いもんさって気分。

    自由がない正頼なんかは分かるけど、琅燦の動きがなんとも解せない。元々自由な感じだったけど、阿選との関係性、土匪の乱を前にした泰麒への忠告。最もな言葉ではあったけれど、真意は別にあったのか。そうじゃないと思いたい人物なんだけど、入れ知恵でこの困った状況を作り出しているのは彼女っぽいし。
    冬官のまじない、というものが「病む」状況を作り出しているのかもしれないし、はたまた妖魔なのか、阿選の幻術なのか、阿選の狙いも気になる。
    泰麒は禅譲の名目で驍宗を引っ張り出させる狙いと民を救う為に州侯の権限を取り戻したいのだろうけど、変にタイミンングが合って李斎も動揺してるし…あと、耶利の主が謎。琅燦なのか、巌趙なのか、また別の誰かなのか。
    そしてつかみどころのないこの白圭宮の状態がもどかしい。

    続きは謎を問答しながら楽しく待とうと思う。

  • 泰麒が目にした戴の王宮の内部は異様な事態となっていました。
    王位を簒奪した阿選はほとんど自室に引きこもり、政は冢宰に丸投げ状態。
    官吏たちの中には、急に魂魄が抜けたような、からっぽの人形のようになる者が現れ、そういった者ばかりが阿選の近くに配属されているらしい…。
    ようやく阿選と対面し、自身を危険に曝しながらも王宮の中に居場所を確保した泰麒は、民の救済のために動きつつ、王宮内部から驍宗の手掛かりを捜します。

    一方、李斎は驍宗が姿を消したと思しき函養山に向かいます。
    阿選に気付かれないよう巡礼のふりをしながら進む旅。
    難航する捜索に焦る気持ちが伝わってきて、張り詰めた気持ちで読み進めました。

    この2巻で一番気になる存在は、なんといっても琅燦です。
    かつて驍宗の元で冬官長を務めていた彼女ですが、現在は阿選と共にいるようです。
    かといって、阿選の味方という訳でもなさそうですが、はてさて…。

  • 3.2
    前半は難しくて読み進めるのに時間がかかりました。
    ちょっと展開がゆっくりでじれったいのと、疲れます。

  • 李斎(りさい)は、荒民(こうみん)らが怪我人を匿った里(まち)に辿り着く。だが、髪は白く眼は紅い男の命は、既に絶えていた。驍宗(ぎょうそう)の臣であることを誇りとして、自らを支えた矜持は潰えたのか。そして、李斎の許を離れた泰麒(たいき)は、妖魔によって病んだ傀儡(くぐつ)が徘徊する王宮で、王を追い遣った真意を阿選(あせん)に迫る。もはや慈悲深き生き物とは言い難い「麒麟」の深謀遠慮とは、如何に。
    「新潮社」内容紹介より

    やきもき.
    続きが気になる終わり方が過ぎる.

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著者プロフィール

大分県生まれ。1988年作家デビュー。「悪霊」シリーズで人気を得る。91年『魔性の子』に続き、92年『月の影 影の海』を発表、「十二国記」シリーズとなる。十二国記と並行して執筆した『東亰異聞』『屍鬼』『黒祠の島』は、それぞれ伝奇、ホラー、ミステリとして高い評価を受けている。『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。「営繕かるかや怪異譚」は『怪と幽』で連載中。主な著書に『白銀の墟 玄の月』(全4巻 新潮文庫)、『鬼談百景』『営繕かるかや怪異譚』「ゴーストハント」シリーズ1~7巻(すべて角川文庫)。

「2022年 『営繕かるかや怪異譚 その弐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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