父の威厳 数学者の意地 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101248059

感想・レビュー・書評

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  • 『遥かなるケンブリッジ』や『若き数学者のアメリカ』などに比べると、見劣りするなあというお印象。
    単純に自分が海外が舞台のエピソードが好きというのもあるけれど。

    ただ、最終章の学校や都を相手にした奮闘振りはなかなか読ませるものがあった。
    さすがに自分ではここまでやろうとは思わないけれど(笑)

  • ・軽妙なエッセイ集。ふたつの専門があるのがすごい。

  • 日英米の文化に関する考察や数学の話など非常に興味深く濃い内容で良かった。いつも思うが藤原先生のエッセイは密度が濃く読んでよかったと思う。ただ最後の検便を巡る学校との争い、ここが本書のクライマックスかと思うが、全く共感できなかった。おもしろかったが。

  • 反骨精神で世の中のあらゆる問題に立ち向かい、武士道精神を熱く語り、家族からは頑迷さをあきれられる著者自身の姿を、ユーモアで包み込んで語っているエッセイです。また、著者の両親である新田次郎、藤原てい夫妻のエピソードも多く語られています。

    『国家の品格』(新潮新書)で語られる著者のナショナリズムには賛同できない読者でも、エッセイストとしての著者の力量はなかなか否定できないのではないでしょうか。

    とくに、検便を強制する小学校に対する著者たち一家の戦いを描いた「苦い勝利」と題された一編は圧巻です。噴き出したり、目頭が熱くなったりと、たいへんでした。

  • 著者の1994年に出されたエッセー集。解説にあるように、「支離滅裂的涙腺過敏的ユーモア」に溢れたエッセーの数々。

    厳しい武士教育を受けた父、新田次郎氏の薫陶を受けて「武士道」に強い憧れを抱き、現代人がそれを失いつつあることに危機感を募られる著者の姿は、は、亭主関白で頑固一徹な古いおやじ像と重なる。

    圧巻は、ラストの「苦い勝利」。息子の修学旅行を賭けて規則一点張りの小学校と闘う苦いエピソード。結果的にルールを変えさせることに成功したとは言え、息子が修学旅行に行けなかったことは大きな敗北とも言える。意地と意地のぶつかり合いが無駄な犠牲を産んだ、有りがちなエピソードがビビッドに語られていて、はまった。

    著者が本書で挙げている、古きよき日本の姿を観察した明治の外国人、ラフカディオ・ハーンとウェンセスラウ・デ・モラエスの作品、読んでみたくなった。

  •  著者のこの種の家族論のエッセイを読むと、「ツカレ親」(敬せず遠ざけたい面倒なタイプ)の典型であることが良く判る。

  •  国際人とは英語を流暢にしゃべれる人ではない、自国の文化、伝統、情緒をきちんと身につけていなければならない。これらの基礎がなければ国籍不明人となる(P217参照)

     ところで昨今の小学校では授業に英語を学び、ダンス(ヒップホップダンス他)授業が必須なのだとか、日本語もまだ身についていない彼らに必要なのはまずは国語、そしてソロバンじゃないのか(怒 TVに映し出されるエグザイルはいったい何人?AKB48はアキバ文化(日本発信)だから許そう(笑

  • 明治中期までに海外に渡った日本人が、その品格にしばしば欧米人を瞠目させた、という事実はよく聞くことである 人間は誰も、一定期間の後に死を迎える 別れとは死への階梯であり、そこには根源的悲しみがこもっている 義、勇、仁、礼、誠、忠、孝、名誉、克己などである。孔孟の影響も否定できないが、これらの精神は成文化されずに、日本人の心から心へと、実践を通して綿々と伝えられてきた 「本を読まないと偉くなれない」は正しいと思う。「本を読めば偉くなる」が誤りなのである

  • 最後の中編は一気に読まされた。
    やりすぎな気もするが、やりすぎなことをしない人は日本には多すぎる。

  • 理系の自分としては、作者のやることや考えることに(マニアックな意味で)同感できて楽しかったですが、それはやり過ぎだろうという場面もあり、理系でも色んな人がいるんだなあと思わされた一冊です。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2020年 『本屋を守れ 読書とは国力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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