- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101248080
作品紹介・あらすじ
国家の根幹は、国語教育にかかっている。国語は、論理を育み、情緒を培い、すべての知的活動・教養の支えとなる読書する力を生む。国際派の数学者だからこそ見えてくる国語の重要性。全身全霊で提出する血涙の国家論的教育論「国語教育絶対論」他、ユーモラスな藤原家の知的な風景を軽快に描く「いじわるにも程がある」、出生地満州への老母との感動的な旅を描く「満州再訪記」を収録。
感想・レビュー・書評
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確かに国を成り立たせる要件として言葉は一番大切だと思う。経済より大切なものがあるということだが、世の中そのようには動かないのはなぜか?
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この本は三部構成でなっており、著者が様々な本で展開している持論がメインである”国語教育絶対論”、ショートエッセイ集の”いじわるにも程がある”、母親でもある藤原ていさんと家族で中国を訪れた際の”満州再訪記”からなる。
どの文章にも時折ユーモアが含まれていて、小気味よく読み進めていくことができる。
””藤原正彦いわく、ユーモアは”理屈一本ではないことを示すため、または進まないための自己抑制のため”に必要なこと””
国語教育絶対論では、期待していた国語の必要性のさらなる理解をまた一歩進めることができたとは思うが、再度頭の中で整理はしていきたい。人に説明できるくらいには。
満州再訪記も読みごたえがある。家族での道中記も楽しいが、なんといっても最初の15ページほどの満州建国に至るまでの歴史の説明がわかりやすくて素晴らしいなと思った。無駄がなく、簡潔明瞭でわかりやすい。 -
論理的思考力の低下、情緒の欠如こそは、国語力の低下にあると指摘し、日本の教育のあり方を憂いで「国語教育絶対論」を展開した格調高い【藤原正彦】の名エッセイである。 著者の出生地(満州)と、ソ連軍侵攻により藤原一家が本土に引き揚げたに至った状況は、「満州再訪記」で詳細に語られている。関東軍が開拓団を見殺しにし、我先に逃げ帰ったという叙述は、はらわたが煮えくり返る恥辱の戦争犯罪としか例えようがない。
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国語教育が基本である。
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2018年の読み収めの一冊。
書いてあることは、言葉が悪いけど「オヤジの愚痴」みたいな感じでした。
でもその愚痴は一理ある。だが「愚痴」という少し敵意ある言葉になるのは、「そんな問題、うまく解けねぇよ」言ってしまうような問題に対しての作者の考えがまとめられた本だったからでした。
きっと作者は、取り上げた問題が「難題」であることが分かってたから、愚痴のような攻撃的な言葉を書いていたんだと思います。
後半のエッセイ集で、そういったどうしようもならない世界に、文句(という言葉が適切ではないかもしれないけど)を垂れて立ち向かう、僕たちと何ら変わりのないおじさんの横顔が見えてきました。
2019年も、一を読んで十を感じれる本に出合いたいですね。
出会えるか出会えないかは僕の情緒自身ですけどね。 -
本書は3つのパートで構成されています。第1部は、国語教育の重要性を語ったエッセイ。第2部は、著者の日常を描いた肩の凝らないエッセイ。第3部は、著者の出身地である旧満州の新京(現・長春)を訪れた際の紀行文となっています。
国語教育の重要性の指摘の背後にあるのは、祖国愛という視座を欠いたどのような言説も行為も無意味であるという強い思いといってよいでしょう。著者は、ナショナリズムを「国益主義」、パトリオティズムを「祖国愛」と訳し、前者は必要悪であり、後者はどの国の国民にとっても絶対に不可欠だとする主張を展開しています。
第2部は、『朝日新聞』に連載された科学エッセイを多く収めています。著者が3人の息子たちに「発見」の大切さを教える光景を、ユーモアたっぷりに描いています。
第3部の「満州再訪記」は、旅行の様子と日露戦争以後の日本が歩んだ歴史が、交互に語られます。著者たち3人の子どもを守り抜いた母・藤原ていに対する著者の敬愛が、文章ににじみ出ているように感じられます。 -
2000年から2003年にかけて新聞や文芸誌に書いた
エッセイをまとめた一冊。
毎回思うが、藤原さんは本当に文章がうまい。
本書は「国語教育絶対論」「いじわるにも程がある」
「満州再訪記」の三部構成。
「国語教育絶対論」は、まさにその通り!激しく
同感の内容。
"小学校における教科間の重要度は、一に国語、
二に国語、三、四がなくて五に算数、あとは
十以下なのである。"
この時点で藤原さんが憂慮していて事態は、さらに
悪化している気がする。
「いじわるにも程がある」は、「国語…」からガラッと
変わって家族を登場させたユーモアたっぷりのエッセイ。
それも、解説を書いている齋藤孝さんご指摘のとおり、
知的なユーモア。
家族愛も同時に感じられて、読みながらつい笑顔が出て
しまった。
「満州再訪記」は、藤原さんが自分の出生の地である
満州を、母親、妻、息子達と訪ねた旅行記。
ちょうどいい間隔で史実をはさみながら綴ったこの
旅行記は秀逸。日本が満州で何をしていたのか、戦争
直後の引き揚げがどんなに過酷なものだったのかが
よく分かる。敷居の高い歴史書を読むより、この旅行記
を読んだ方が間違いなくためになる。 -
「祖国とは国語」藤原正彦 (3周目)
以下たそ解釈
・国語教育は現代日本にとって緊急かつ最優先の事項である
↓
・国語以外での他教科での思考・論理もそもそも母国語の言語をもとにしている
↓
・その土台である国語、つまり語彙や情緒といったものが貧弱であるとそもそも全ての思考に影響を及ぼす
・いくら方法論や英語、ゆとり教育などの個性を重要視しても肝心の中味が無い。コンテンツなしのガワだけになる
・詰め込み教育は害悪ではない。子供はそもそも悪い癖のほうが多い。方向づけは大事。
・読書は教養、教養は大局観を与える。一見無駄な教養も切り捨てるべきではない。
・満州国建国から崩壊までの歴史がよくわかる
・当時の列強の価値観を現代の価値観からジャッジして過去の人を非難するのは間違い、振り返り、未来に活かすべき -
英語教育手日本は再興しない。英語が世界一得意なイギリスの経済が斜陽ナノを見れば、英語が競争力の重要なファクターでないのは明らかだ。という一文が強く残っている
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著者の2000年~2003年のエッセーを纏めた書。
母国語=文化伝統=民族としてのアイデンティティー、従って国語教育の充実こそ急務で英語の第二公用語化などもってのほか、という著者主張、頷けた。言語能力は思考の質や傾向を左右するから、言語を疎かにして知性は生まれない。
「文語」の美しさ、格調高さも著者の指摘の通りと思った。法律で言えば、カタカナ法の簡潔で格調高い条文が、平仮名に直したとたん、くどくどしい表現に変わ果ててしまう。現代の我々には馴染みにくい文語だが、もっと大切にすべきと思う。山本夏彦氏の本、読みたくなった。
本書の圧巻は、著者生誕の地、満州の首都新京(現在の長春)の訪問記。かつて我が国が新京に建設した主要な建物の数々が今も中国政府によって使われており、しかも風格のある立派な建物であるとのこと。動機はともかくとして、当時の我が国が如何に力を入れて新国家建設に取り組んでいたかが偲ばれて、感慨深い。著者の母、藤原ていの「流れる星は生きている」、読まなくちゃ。
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