ボタニカル・ライフ―植物生活 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2004年2月28日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250144

作品紹介・あらすじ

庭のない都会暮らしを選び、ベランダで花を育てる「ベランダー」。そのとりあえずの掟は…隣のベランダに土を掃き出すなかれ、隙間家具より隙間鉢、水さえやっときゃなんとかなる、狭さは知恵の泉なり…。ある日ふと植物の暮らしにハマッた著者の、いい加減なような熱心なような、「ガーデナー」とはひと味違う、愛と屈折に満ちた「植物生活」の全記録。第15回講談社エッセイ賞。

ボタニカル・ライフ―植物生活 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 鉄っちゃんでもフライフィッシングでもAKBでもなんでもそうだけど、趣味の世界は興味ない人はぜんぜん興味ない。「何が楽しいか」を説明するのは至難の業で、しかもそういう話を面白がって聞いてくれる暇人はめったにいない。誰かをつかまえて無理やり延々と講釈をたれたら大変迷惑だ。
    その点、どこかに書けば、読みたい人だけ読むので誰も困らない。同好の士なら読むのは楽しい(あーやるやる)。しかも書くのも楽しい。これぞwin-winの関係だ。
    ...という本。

    前から思っていたのだけど、「○○が好きな人(ただしプロではない)」に適当な呼び名があればいいのに。〇〇マニア、○○ファンというのも当人からするとちょっと違う。

    その点、鉄道が好きな人の「鉄ちゃん」ってのは、語感はともかく呼び名がある、という点ではちょっとうらやましい。あとは熱帯魚を飼っているアクアリスト、くらいしか思い浮かばない。植物を育てるのが好きな人はなんと呼べばいいのだろう? 園芸ファン、植物マニアってなんか違う。ガーデナー=庭師も違うし。
    いとうせいこうは自分のことを「ベランダー」と呼んでいるが、温室に住んでいる状態のぼくはどう名乗れば?

  • カレル・チャペックの「園芸家12カ月」の情報をAmazonサイトで見ていたら、この本も一緒に推している人が多かったので、読んでみました。
    著者自身も序文で、チャペックの本に触発されて何か書きたくなったと書かれておられましたが、読んで納得。実際に「園芸家12カ月」と対になっていると言っていい本だと思います。

    でも、単なる二番煎じで終わってないところが素晴らしいです。
    「園芸家12カ月」のハートの部分、魂の部分をしっかり受け継いでいて、言っていることは基本的には同じことなんだけど、これはこれでしっかりオリジナル。
    チャペックがもし読んでいたら、きっとすごく気に入っておもしろがったんじゃないかなぁと思う。
    2つでセットにしていいんじゃないかな?

    最初の方、「4月の終わりくらいから、植物どもの間になんとも形容しがたい気配が充満する」という部分を読んで、深いため息が出ました。分かる。もっと言えば、2月末くらいからなんとなく感じ始める、あの不思議な気配。
    とにかく私は、この気配に、この神秘にやられちゃったんだよなぁ、と思う。
    土いじりそのものが大好きなわけじゃないのよ、と言いたいんだけど、ずっとうまく説明できなかったこの気持ち。それが見事に説明されている。

    言い得て妙、な箇所は数えあげればキリがありませんが、ビックリしたのが湿気を好むショウジョウバエみたいな虫についての話。妙に硬くて、手に当たると意外な痛みを感じる、いやそれほどの衝撃はないだろうから印象なんだけど・・・ってあたり。すごく分かる。あの虫の微妙に嫌な感じをなんとまあ正確に表現していることか。

    この本って園芸を全然しない人もおもしろいのかな?
    私にとっては、すべてのページが、笑えて、おもしろくて、ホロリときて、深く深くうなずけるという驚嘆すべき本だったけれど、なんだかもう共感の深さが半端ないところまで行き過ぎて、その自分の感覚は普通なのか、それとも園芸好きだけが理解できるものなのかがよく分からなくなっています。

  • 何気ないベランダの植物の機微に、よくもまあと驚くほどの言葉数を紡ぐ、観察眼、感受性、着眼力。
    心が広々とするような感覚を味わった。
    我が家にも広がるベランダの日々を、もっと味わっていきたいと思った。

  • いとうせいこうさんのエッセイ集。自宅のベランダにて育てたいろんな植物の観察日記。いや、ふれあい日記? 植物と共に生きる男の手記? いとうさんは自身のことを「ベランダー」と称している。

    さまざまな植物とのふれあいを、ユーモアあふれる文章で綴っている。基本笑える部分が多いけれど、どこかほろっとするようなところもある。いとうせいこうさんには『文芸漫談』という奥泉光さんと組んで作った本があるけれど、語り口というか面白さの質は、奥泉さんにやはり少し似ているかもしれない。自分にはこういう類の面白さがぴったり合うことを再認識した。

    どことなく感傷的な文章もあって、中上健次にまつわる熊野での催しで毎度目にする芙蓉について書かれた文章には、いとうさんの素直さが出ていてとてもよかった。どれも面白さと同時に並々ならぬ植物愛が感じられる文章で、読んでいて非常に心地よい。カレル・チャペックの『園芸家12カ月』が念頭にある、というような記述もありそちらも気になる。

    植物は自分の生活の周辺にはあまり縁がないなあと思いながら読んでいたのだけれど、「月下美人」のことについて触れている文章を読んで、実家で月下美人を買ってきて育てていたことがあったのをふっと思い出した。小学校ぐらいの時には、わが家にもベランダーがいたのだ。どうして忘れていたのだろう。夜に家族に「咲いている」と言われ、たいして興味もないのに無理やり見せられたことが思い出されてきた。買ってきたのは父親だったのだと思うが、どんな風に思って買ったのだろう? 「ゲッカビジン」という、夜にしか開花を見ることができないという不思議な扱いにくさに、どこか日常にはない気高さを感じて、平凡な生活の中に組み入れてみようとしたのだろうか。まあ、そんなたいそうなもんでもない気がするが。

    何気に手にとった本だったけど、本当によかった。講談社エッセイ賞を受賞しているというのも納得!

  • 昔に読んだかも。
    その影響でアルストロメリアや芍薬を買って育てたことがあったな。(芍薬は土に植えなおして生きてます。)
    ベランダワールドが楽しい。
    カレル・チャペックも読まなくては。

  • インスタグラムで気になり、購入。
    初めて読むいとうさん。
    テレビや雑誌ではよくお見かけするけど、本として読むのは初めてです。
    そしていとうさんはラッパーですね!
    レキシとのコラボも素敵です。
    さてさて、植物に関する随筆は沢山あれど、こんなにおかしい物は滅多にお目にかかれないのでは?!
    都会の狭いベランダで植物を育てるベランダーさん。
    ガーデナーに対抗する言葉の様で違う様で。
    工夫しながら大切に育てたり、ぞんざいに扱ったり。
    別れた娘と植物が繋ぐ絆。
    笑えてほっこり出来るステキな本でした。

  • 1996~1999年の間に、いとうせいこうさんがホームページに掲載していた鉢植え育ての日々を載せたもの。ベランダで育てている。

    随分前のものだから出てくる植物が地味なのか、いとうさんの趣味なのか分からないけれど、植物の趣味は私とは違ったのであまり内容的には参考になることは少なかった。けれども、ひとつひとつの植物に対してこれだけの文章が書けて、かつクスッと面白いお話しになっていて、当時このような面白いブログのようなものは少なかったと思うので単純にすごいなぁと思った。

    いとうさんのことは、名前は知っているけれど詳しくは知らない。けれど、遅まきながら、約20年遅れで私は彼のことを”ベランダー”だと認識した。

  • ハードボイルド・ベランダ園芸ライフエッセイ。
    私も同じくベランダで園芸をしているので、共感できる部分できない部分取り混ぜて興味深かったです。

  • やはり、面白い。あのドラマを思い出しました。そして、800円で買った胡蝶蘭を例えるのがまたすごい!!

  • 読んでいる中で、知っている花がでてくると内容に共感できた。
    「ひたすら植物をひとりの人格として捉え愛でていく本」
    これからの人生の中で様々な植物と触れ合うはずなのでその際に植物の名前を引き、植物辞書として使ってみたい。
    「死者の土」と「キリストとしてのアドカボ」おもしろい

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