ボタニカル・ライフ-植物生活 (新潮文庫)

  • 新潮社
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本棚登録 : 652
レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250144

作品紹介・あらすじ

庭のない都会暮らしを選び、ベランダで花を育てる「ベランダー」。そのとりあえずの掟は…隣のベランダに土を掃き出すなかれ、隙間家具より隙間鉢、水さえやっときゃなんとかなる、狭さは知恵の泉なり…。ある日ふと植物の暮らしにハマッた著者の、いい加減なような熱心なような、「ガーデナー」とはひと味違う、愛と屈折に満ちた「植物生活」の全記録。第15回講談社エッセイ賞。

感想・レビュー・書評

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  • 鉄っちゃんでもフライフィッシングでもAKBでもなんでもそうだけど、趣味の世界は興味ない人はぜんぜん興味ない。「何が楽しいか」を説明するのは至難の業で、しかもそういう話を面白がって聞いてくれる暇人はめったにいない。誰かをつかまえて無理やり延々と講釈をたれたら大変迷惑だ。
    その点、どこかに書けば、読みたい人だけ読むので誰も困らない。同好の士なら読むのは楽しい(あーやるやる)。しかも書くのも楽しい。これぞwin-winの関係だ。
    ...という本。

    前から思っていたのだけど、「○○が好きな人(ただしプロではない)」に適当な呼び名があればいいのに。〇〇マニア、○○ファンというのも当人からするとちょっと違う。

    その点、鉄道が好きな人の「鉄ちゃん」ってのは、語感はともかく呼び名がある、という点ではちょっとうらやましい。あとは熱帯魚を飼っているアクアリスト、くらいしか思い浮かばない。植物を育てるのが好きな人はなんと呼べばいいのだろう? 園芸ファン、植物マニアってなんか違う。ガーデナー=庭師も違うし。
    いとうせいこうは自分のことを「ベランダー」と呼んでいるが、温室に住んでいる状態のぼくはどう名乗れば?

  • カレル・チャペックの「園芸家12カ月」の情報をAmazonサイトで見ていたら、この本も一緒に推している人が多かったので、読んでみました。
    著者自身も序文で、チャペックの本に触発されて何か書きたくなったと書かれておられましたが、読んで納得。実際に「園芸家12カ月」と対になっていると言っていい本だと思います。

    でも、単なる二番煎じで終わってないところが素晴らしいです。
    「園芸家12カ月」のハートの部分、魂の部分をしっかり受け継いでいて、言っていることは基本的には同じことなんだけど、これはこれでしっかりオリジナル。
    チャペックがもし読んでいたら、きっとすごく気に入っておもしろがったんじゃないかなぁと思う。
    2つでセットにしていいんじゃないかな?

    最初の方、「4月の終わりくらいから、植物どもの間になんとも形容しがたい気配が充満する」という部分を読んで、深いため息が出ました。分かる。もっと言えば、2月末くらいからなんとなく感じ始める、あの不思議な気配。
    とにかく私は、この気配に、この神秘にやられちゃったんだよなぁ、と思う。
    土いじりそのものが大好きなわけじゃないのよ、と言いたいんだけど、ずっとうまく説明できなかったこの気持ち。それが見事に説明されている。

    言い得て妙、な箇所は数えあげればキリがありませんが、ビックリしたのが湿気を好むショウジョウバエみたいな虫についての話。妙に硬くて、手に当たると意外な痛みを感じる、いやそれほどの衝撃はないだろうから印象なんだけど・・・ってあたり。すごく分かる。あの虫の微妙に嫌な感じをなんとまあ正確に表現していることか。

    この本って園芸を全然しない人もおもしろいのかな?
    私にとっては、すべてのページが、笑えて、おもしろくて、ホロリときて、深く深くうなずけるという驚嘆すべき本だったけれど、なんだかもう共感の深さが半端ないところまで行き過ぎて、その自分の感覚は普通なのか、それとも園芸好きだけが理解できるものなのかがよく分からなくなっています。

  • 何気ないベランダの植物の機微に、よくもまあと驚くほどの言葉数を紡ぐ、観察眼、感受性、着眼力。
    心が広々とするような感覚を味わった。
    我が家にも広がるベランダの日々を、もっと味わっていきたいと思った。

  • いとうせいこうさんのエッセイ集。自宅のベランダにて育てたいろんな植物の観察日記。いや、ふれあい日記? 植物と共に生きる男の手記? いとうさんは自身のことを「ベランダー」と称している。

    さまざまな植物とのふれあいを、ユーモアあふれる文章で綴っている。基本笑える部分が多いけれど、どこかほろっとするようなところもある。いとうせいこうさんには『文芸漫談』という奥泉光さんと組んで作った本があるけれど、語り口というか面白さの質は、奥泉さんにやはり少し似ているかもしれない。自分にはこういう類の面白さがぴったり合うことを再認識した。

    どことなく感傷的な文章もあって、中上健次にまつわる熊野での催しで毎度目にする芙蓉について書かれた文章には、いとうさんの素直さが出ていてとてもよかった。どれも面白さと同時に並々ならぬ植物愛が感じられる文章で、読んでいて非常に心地よい。カレル・チャペックの『園芸家12カ月』が念頭にある、というような記述もありそちらも気になる。

    植物は自分の生活の周辺にはあまり縁がないなあと思いながら読んでいたのだけれど、「月下美人」のことについて触れている文章を読んで、実家で月下美人を買ってきて育てていたことがあったのをふっと思い出した。小学校ぐらいの時には、わが家にもベランダーがいたのだ。どうして忘れていたのだろう。夜に家族に「咲いている」と言われ、たいして興味もないのに無理やり見せられたことが思い出されてきた。買ってきたのは父親だったのだと思うが、どんな風に思って買ったのだろう? 「ゲッカビジン」という、夜にしか開花を見ることができないという不思議な扱いにくさに、どこか日常にはない気高さを感じて、平凡な生活の中に組み入れてみようとしたのだろうか。まあ、そんなたいそうなもんでもない気がするが。

    何気に手にとった本だったけど、本当によかった。講談社エッセイ賞を受賞しているというのも納得!

  • 植物を育てるのはいいですよね!その喜びとか、あるいは自省的な独り言とか、各ページが「あるある!」って思わずうなづいちゃうことばかり。つい、ニヤついてしまう。通勤電車内で読む時は要注意です!

  • 2019.5月。
    .
    #ボタニカルライフ
    #いとうせいこう
    #新潮文庫
    .
    植物知らなくてもすごいおもしろかった。
    植物との付き合いが濃い。
    愛がすごい。
    そして時々ものすごい深い。
    .
    人の趣味を覗きみる愉しさがある。
    シクラメンには笑った笑った。
    .
    #2019年50冊目
    #本 #book #読書 #reading #本の記録 #読書日記 #読書感想文

  • 38036

  • 俺も都会のベランダー

  • 人って突然植物や花に開眼するときありますよね。突発的にこじんまり始まるところから、結構な嵌り方をしていく姿が微笑ましい。

  • 先日、ここにチャペックの『園芸家12か月』のレビューを書いた。
    すると、他の人はこれを読んでいます、と、この本がしばらく表示されていた。
    しかも地上波でドラマ版も放送されていたし…ということで、俄然気になってしまった。
    主体性なんてもん、そもそも当てになんかなるもんかい、といいながらの、この体たらく(笑)。

    ベランダで園芸を楽しむ「ベランダー」の日々。
    植物の命に対し生殺与奪の絶対的権利を持つはずの養育者が、いつの間にか植物たちに操られ、嬉々としてその僕となってしまう面白さ。
    四の五の言わんと、普通にお世話すればいいじゃん!と突っ込みを入れつつ、いとうさんのいちいちメンドクサイ言い訳が楽しくなってくる。

    それにしても、よくこのエッセイ集をドラマにしようなどと思い立ったものだ。

  • タレント・小説家・ラッパー等と多彩な才能を持つ作者が1996-99年にHPに掲載したベランダー生活のエッセイ集。「植物男子ベランダー」の原作だけど、全然違います。エッセイだから当たり前だけど。楓ちゃんも隣の田中さんも盆栽の茂木さんも出てきません。
    作者は田口トモロヲの「勝手に育てるベランダー」と言う設定よりは、「かなり一生懸命育てるベランダー」という感じですね。
    でも、成功もすれば失敗もするわけで、枯らしてしまったり、殺してしまったり。そして、その中から世の中の理を探っていきます。気軽に読める小品ばかりだけど、端々に印象的なフレーズが出て面白い。
    ベランダによる都市生活という環境変化に適応しながら、同じ成果を出すという植物たちへの愛情あふれる作品。

  • 昔に読んだかも。
    その影響でアルストロメリアや芍薬を買って育てたことがあったな。(芍薬は土に植えなおして生きてます。)
    ベランダワールドが楽しい。
    カレル・チャペックも読まなくては。

  • インスタグラムで気になり、購入。
    初めて読むいとうさん。
    テレビや雑誌ではよくお見かけするけど、本として読むのは初めてです。
    そしていとうさんはラッパーですね!
    レキシとのコラボも素敵です。
    さてさて、植物に関する随筆は沢山あれど、こんなにおかしい物は滅多にお目にかかれないのでは?!
    都会の狭いベランダで植物を育てるベランダーさん。
    ガーデナーに対抗する言葉の様で違う様で。
    工夫しながら大切に育てたり、ぞんざいに扱ったり。
    別れた娘と植物が繋ぐ絆。
    笑えてほっこり出来るステキな本でした。

  • 1996~1999年の間に、いとうせいこうさんがホームページに掲載していた鉢植え育ての日々を載せたもの。ベランダで育てている。

    随分前のものだから出てくる植物が地味なのか、いとうさんの趣味なのか分からないけれど、植物の趣味は私とは違ったのであまり内容的には参考になることは少なかった。けれども、ひとつひとつの植物に対してこれだけの文章が書けて、かつクスッと面白いお話しになっていて、当時このような面白いブログのようなものは少なかったと思うので単純にすごいなぁと思った。

    いとうさんのことは、名前は知っているけれど詳しくは知らない。けれど、遅まきながら、約20年遅れで私は彼のことを”ベランダー”だと認識した。

  • ハードボイルド・ベランダ園芸ライフエッセイ。
    私も同じくベランダで園芸をしているので、共感できる部分できない部分取り混ぜて興味深かったです。

  • やはり、面白い。あのドラマを思い出しました。そして、800円で買った胡蝶蘭を例えるのがまたすごい!!


  • 「死者の土」と「キリストとしてのアドカボ」

  • 私も、ミニバラを育てています。作者と同じベランダーです。植物の育てかたに共感するところもありますが、それよりも、季節はグラデーションを描いて変化するものではない、永久は半分でも永久ではないか(半永久)といったところにより共感を覚えます。

  • 配置場所:2F文庫書架
    請求記号:新潮文庫 ; い-39-4
    資料ID:C0025671

  • 「植物男子 ベランダー」
    (NHK BSプレミアム)を観て
    読みたくなった一冊

    文章が(特に「俺」)
    田口トモロヲさんの声で
    脳内再生するぐらいにはベランダー

    いつどこで
    どこから読んでもクスリと笑っちゃう

    植物を育てたくなるし
    植物に育てられたくなる

    あとがきの中の一節
    「人間風情が偉そうに。」
    痺れた

    俺のSEASON3
    たのしみ

  • せいこうさんの植物愛がビンビン伝わってくる。
    ハードボイルドでいて繊細、豪快なようでいて純粋な自称ベランダー(ベランダで植物を育てている者)が、圧倒的に植物たちに振り回されている様が面白くてヤメラレナイ。
    早くも今年のベスト3に入りそうな本。
    植物が好きな人も好きでない人も楽しめます。

  • これだけ植物のことだけ書いて、面白いからたいしたものだ。毎日違うが、毎年繰り返すって、よく考えれば、人間をはじめとする動物だって同じようなものだが、ライフサイクルや生き死にが植物と動物では全く違うから、より感慨深いのかもしれない。
    昔鉢植えの花を持っていたとき、蕾が少しずつ膨らんでいく時の期待と不安を思い出した。今は猫が何でもかじるので、植物を家の中に置くことは諦めているが、また置いてみたいな、と思った。しかし、猫飼っても病気になったり、蚤がついたり、大事なものの上に嘔吐されたりするように、いきものと共に生きるというのは、きれいごとだけではすまされない。たとえ植物でも、虫がわいたり、カビが生えたりする。そこを乗り越えてのベランダー。案外大変だ。
    「オリヅルラン」が、「オリズルラン」になっているところが、非常に気になった。何か理由があるのか?どう考えても「折り鶴蘭」だと思うんだけど。

  • NHKドラマを観たことがあって、それがなかなか面白かったので読んでみた。
    いとうせいこうの文章って苦手だ。

  • 再読。
    ドラマ化されててびっくりした。しかしドラマのサイトで見る限り、あの部屋&ベランダは、原作と随分雰囲気が違わないか?

  • 植物ってすごい。年と共にそう思う。若い頃は、緑を見ても何も感じない不感症であった。花の美しさにも、緑の初々しさにも、強さにもほとんど何も感じなかった。宿根草は春になれば芽を出す。一年草は、こぼれ種から、思わぬ所から芽を出す。なんとも神秘的である。

    いとうせいこうは、ひと鉢の中にその神秘を認めたのだろう。私は、見習いガーデナーで、いとうせいこうより制約は甘いが、こういうものって、障害が大きければ大きいほど燃えるどいうこともあると思う。何より、本書を読んでいる途中で何度、園芸店走ったか、ひとの家の庭を覗きに行ったか。意味もなく、肥料をやり土を掘り起こし葉をなぜ、語りかけたか。

    大いなる共感と、含み笑い。そして、植物と、生きとし生けるものに感謝。

    小さな不満を言えば、題名の「ボタニカル・ライフ」ないでしょう。素直にベランダーの人生とか日々とか、俺のベランダとかでいいでしょう。
    ボタニカルはいけない。

  • 以前から読みたいと思っていたのだが、
    NHK-BSの「植物男子ベランダー」があまりに面白すぎて
    これは!と思い、文庫版を購入。

    単行本発刊後の執筆分も入っているので
    これから読む人は文庫版がおすすめ。

    いや〜〜これはもはやMyバイブルだ!
    いとうせいこう氏、バンザイ!マンセー!
    「そうなんだよ〜!」と何度膝を打ったことか。

    植物や、植物的な小動物(メダカとか)を一生懸命、
    ではなく、なんとなく育てることで
    私たちは何がしたいのか、何に気づくのか、何を知るのか。
    平たく言えば
    植物とのつきあいは哲学、そのものである。

    私はベランダーではなく、ガーデナーだがきわめてゆるい。
    肥料も適当。植物には腐葉土が一番いい、
    と何の根拠もなく思っていたりする。

    しかし、それなりにこだわりはある。
    例えば、いまどきの新しいおうちでよく見られるような
    パンジー・ビオラ類や、サントリーフラワーズ系の
    サフィニアといった、簡単お手軽なものは(もう)やらない。
    確かに彼女たちはかわいい花たちだ。
    でもあまりにもメジャー過ぎるし
    「とりあえず花で飾っています」感が強くて
    育てている人の個性がまったく感じられない。

    かといって、難しいものやきわめて珍しいものに
    挑戦するわけでもなく、メジャーじゃないが
    近くのホームセンターに売っている程度のもので
    美しい!と思ったものを育てている。

    そんなゆるさだからこそ、ちょっとした「事件」が起きると
    ことのほか感激するのである。

    もう何年も縁側でしぶとく生きているゼラニウムの枝の先が
    数ヶ月前、なぜだかポキンと折れて転がっていた。
    捨てるにはあまりに存在感があったので、
    鉢の空いている部分の土に何となく差しておいた。
    どうせ枯れるんだし、今捨てなくても、てな感じだ。

    それがですね!
    昨日ふと気づいたら、つぼみをつけているではないですか!

    なんと折れた枝が根付いたのだ。
    花が咲いたらFacebookに載せるつもりだが、
    ことほどさように
    おそらくあまり知識がないだけに感動することも多い。

    もう枯れた、と鉢から出して土の上に放置していた
    ハイビスカスが復活してきて、あわてて鉢に戻したこともあった。

    だからいとうせいこう氏の想いがかなり重なるところがあって
    彼がこれを書くきっかけになったカレル・チャペックの
    「園芸家12ヶ月」よりも私はずっと面白かった。
    (でもチャペックのももう一度読んでみるつもりだが)

    おお、こんなに長くなってしまった。
    植物のことになると私もかなり入れこみがちだ。
    そもそも私は言葉もよく話せない頃から
    「ハナ、ハナ」と言って、お花を見ると駆け出した
    生粋の「お花好き」なのである。

    改めて、植物とのこんなつきあい方ができる幸せを
    認識させてくれたいとうせいこう氏には感謝である。
    せいこう氏は花々以上に、この上もなくラブリーな人だ

  • 「植物男子ベランダー SEASON2」
    NHK BSプレミアム 木曜23時15分
    出演:田口トモロヲ、松尾スズキ、岡本あずさ
    http://www.nhk.or.jp/verandar/

  • 楽しく読めた。
    共感した。
    私もベランダー。

  • どの本もなんとなく読む気になれないときに、この本を手に取って適当なところから読み始めることが多いです。
    一つ一つの話が短めな上、とても読みやすい文体だからなのか、気付くと活字から遠ざかりかけてた気分がすっかり回復。
    いとうせいこうさんの本はこれが初めてですが、他のも読んでみたくなりました。

  • 毎回めちゃめちゃ楽しみにしてました!植物愛!ベランダー!新感覚のドラマ!日々の生活を丁寧に、ちょっと楽しむ(^^)

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著者プロフィール

いとう せいこう
1961年、東京都生まれ。編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・映像・音楽・舞台など、多方面で活躍。『ノーライフキング』でデビュー。『ボタニカル・ライフ ―植物生活―』で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』が三島賞、芥川賞候補となり、第35回野間文芸新人賞を受賞。他の著書に『ノーライフキング』『鼻に挟み撃ち』『我々の恋愛』『どんぶらこ』『「国境なき医師団」を見に行く』『小説禁止令に賛同する』など。

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