オーデュボンの祈り (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 3535
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250212

作品紹介・あらすじ

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている"荻島"には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?卓越したイメージ喚起力、洒脱な会話、気の利いた警句、抑えようのない才気がほとばしる!第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伝説のデビュー作、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 今をときめく伊坂幸太郎のデビュー作。
    読もう読もうと思いつつ、他の本を先に読んでからなどと後回しに
    してしまったことを後悔しつつ、それでも今年中に読めて良かった
    と感動しつつ、ここに紹介します(前置き長いって!)。

    ジャンルで言えばファンタジックなミステリーというところでしょう。
    仙台から少し離れたところにある、100年以上も鎖国状態の荻島
    に、コンビニ強盗に失敗して逃亡中の主人公が連れ去られて来る
    ところから物語は始まります。
    島で出会う奇想天外な人々には、全く度肝を抜かれます。
    いつも反対のことしか言わない園山画家、
    体重300キロのうさぎさん、島の規律として殺人を犯す桜という青年、
    そして事件は「優午」という名の喋る案山子が殺されることから始ま
    るのですが、この非常に知的な案山子が、長年島の羅針盤の役目
    を果たしてきているのです。
    未来を見通す力のあるはずの優午が何故自分の死を知らなかったのか、そこから追求は始まります。
    更に、この島には足りないものがある、それは何だろう?と質問が繰り返されるたびに読者も荻島で立ちすくんでいるような気分にさせられます。

    卓越した伏線張りと小粋な会話にあふれ、時折主人公の記憶に現れる亡くなった祖母の言葉、というのも意味深に響くのです。
    シュールな世界観ながらも、優午との浮世離れしたやりとりと、主人公を追いかける警察官・城山の残忍性とのコントラストが読ませどころでもあります。
    作者である伊坂氏の、弱者への言われのない暴力を否定する強烈な願いを込めた作品とも言えるでしょう。

    この後の一連の作品にも、登場人物がリンクしているといいます。
    最初に読んだのがこの本だったのは幸運だったかもしれません。
    皆さんもぜひ、伊坂孝太郎の世界にオルグされてみませんか?

  • デビュー作とは思えないほど完成された物語だと思いました。これは読んで欲しいです。日常から離れ、あたかも自分があの島にいるような不思議な気持ちになります。本を閉じた時、そうかここはいつもの日常か…と間の抜けた気分を味わいました

  • 続きが気になって気になって、夜、眠たいのに眠れなくなる。たぶんわたしは深いところの話までは理解できてない。だけど回収される伏線がキレイで、なめらかで、うわあーーとなってしまいました。明らかに現実離れした世界なのに、そこにいるような感覚になった。伊坂作品しか読まないと言った友だち、それはさすがにもったいないと思うけど、でも確かに、虜になってしまうかも。順番に読んでみよう。

  • 私にとっての伊坂さんとの出会いの1冊です。
    主人公目線での、不思議な街での不思議な人々との日々。
    元々こういうストーリーが好きなので、どんどん読み進めました。
    また、この小説の1番大好きなところはラストです。
    ずーっと、この街に足りない何か、読者に何が足りないの??と引っ張っているもの、それがラストに『音楽』だった。ということ。完全に痺れました!
    伊坂さんファンなら彼が大の音楽好きということはご存知なので、そこまでの衝撃はなかったのかもしれませんが。。。
    世間の評価はもっと高くて良いと思うー!

    • kakaneさん
      よーえりさん、こんばんは。

      あまりに各本への感想、評価が私とおなじなのでコメしてしまいました。100万回猫のチープさや、オーデュポンへの爽...
      よーえりさん、こんばんは。

      あまりに各本への感想、評価が私とおなじなのでコメしてしまいました。100万回猫のチープさや、オーデュポンへの爽やかさ、まだまだ重なる評価がありすぎますが、今後もコメ楽しみにしてます。
      2018/01/21
    • よーえりさん
      kakaneさん、こんばんは☆
      完全に自分の記録用の、自己満足な感想文なのですが…コメントいただき&共感いただきとても嬉しいです!!
      kakaneさん、こんばんは☆
      完全に自分の記録用の、自己満足な感想文なのですが…コメントいただき&共感いただきとても嬉しいです!!
      2018/01/21
  • あの伊坂幸太郎さんのデビュー作ということで、楽しみにしていた本作。
    遅まきながら読んでみると、思った以上に伊坂節炸裂で、ほんとにデビュー作?とちょっとびっくり(笑)
    この小説にももちろん奇妙な登場人物がたくさん出てきますが、個人的に一番好きなのは喋るカカシ、優午。
    カカシなのに喋る、しかも未来が見える。すごい。
    彼は超然としつつもどこか人間臭くて、この小説を代表する、決定づける、そんな存在じゃないかな、と。
    読んでいるときも、読み終わった時も心地よい、弾むようなお話でした。

  • 井坂幸太郎さんデビューしました☆
    優午というカカシは未来を見つめることができるカカシ。100年以上前からいる。萩島という閉ざされた島で展開される物語。
    この作品は描写がグロいので必要以上に世の中を恐れたりトラウマを持ってしまうかもしれないので大学生以上にオススメしたいです。
    島民の人達が最初は誰も共感できず挫けそうだったけど、物語が終わる頃には、みんないろんな苦しみを持ちながらも生きる善良な人々だったことがわかってゆきます。容易に理解されにくい痛みに光を当てようとする作者の姿勢も暖かくて好きです。法学部卒というプロフィールにうんうんといった感じです。
    オーデュボンはフランスの動物学者さんで20億羽で飛ぶリョコウバトを見ました。彼は人間の身勝手で絶滅してゆくハトをただ見ているしかなく、秀逸な絵でその姿を遺します。彼の死後数年でハトは絶滅。談
    名探偵は、犯人を当てられるけど事件を防げない。が、優午は信頼できる人と、カカシとしての命も渡して島の人達を守りました。島民みんなのよりどころだった優午は、見ているだけじゃなく行動しました。その賢さと愛に胸がいっぱいです。人間は絶滅してしまうのか、という問いを含んだ物語。
    優午は、絶滅をもどうこうしたかったのだろうか。島の人が、友人達が、あるべき人らしく、呼吸するように自然に、のびやかに日々を楽しんで、愛して、歌って、語って、そこに音楽があればなおいい、そんな風に願っているんじゃないかなぁって思いました。それは桜もそうであってほしいです。詩と花だけをその手にできる日がきますように。
    ただ、慈しみあい、愛が繋がってゆけば、絶滅も予言も無力になる。優午はそれを知っていたのではないかと思います。祈り、というタイトルにいろんな想いを感じます。その未来がたやすくなくても、信じたい未来です。
    「どうして優午は自分の運命をわからなかったんだろう、もっと言うと、なぜ逃げなかったんだろう」っていう主人公達の最初の疑問は、子どもの頃イエスさまに持っていたものとおなじなことを読みながら懐かしく思い出していました。

  • かかしねー。なんで死んだの?だれが?って気になりすぎてドンドン読んだ。かかしには絶対なりたくないと思った。主人公が怪しむ人を一緒に怪しんでしまい、毎回ちがうんかい!ってなったのが面白かった。

  • コンビニ強盗で捕まったが、乗せられたパトカーが事故に遭い脱出した伊藤。気付いたら荻島なる島に連れて来られていた。

    再読だったのですが10年以上経っているので結構忘れてました。
    デビュー作にしてもう形が出来てるというか、「最初からこうだったんだなー」って改めて思いました。
    別々の人が語る話が徐々に繋がっていくところや、ユニークな人達、格言めいたセリフの数々や、悪意の塊というか、サイコパスな城山という登場人物とか。

    どういう流れで城山が桜に撃たれるのかを忘れてたので、読んでやっぱりすっきりというかザマアミロと思いました。

  • 150年間孤立していた島の、案山子と案山子信者の島民たちと、そこで起こる事件と巻き込まれた150年ぶりの来島者の話。
    多分ミステリーなんだけど、謎解き的な部分よりも未来を知るしゃべる案山子とか、島のルールとかのファンタジーな要素に惹かれたので、わたし的にはジャンルはローファンタジーかな。
    桜がいい。好き。

  • 何とも不思議な体験をありがとうございました伊坂先生!
    今までに読んだことのないジャンルですね!
    この作品は島編、仙台編、そして回想シーンの3視点で物語が語られます。
    「喋るカカシ」(あの畑に立てられている案山子です)、「反対の事しか言わない画家」、「殺しが許される人」、おまけに「太り過ぎて動けなくなった女」、何とも異質な登場人物たち、極め付けは「未来予知のカカシが殺される」というミステリー要素!
    読む前からワクワクが止まりませんでした。
    なぜ、未来予知できるのに自分の殺しを予知できなかったのだろうか!
    これがまさに伊坂ワールドですな!
    気になる方は是非ご覧になって下さい!

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プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業後、SEとして働くきながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。
2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。
上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されてきている。

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