- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101250212
感想・レビュー・書評
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バラバラだった話が、見事に回収されていくのはさすが!デビュー作とは思えない。
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20年も前の作品にも関わらず、古さを全く感じない。むしろ巻末の解説の方が、時代を感じさせられた。「近年流行の若者言葉」が「チョー(超)」だとか。
これまで、いくつも伊坂作品を読んできたが、なぜかこのデビュー作だけは読んだ事がなく、読了後、もっと早く読んでおけば、と強く後悔。
滅茶苦茶に歪な形をしたピースが、気づくと真四角形に完成するパズルみたいな感覚はやはり流石だな。
読後に、祖母を回顧するシーンを読み直したが、「ああ、なるほど」と、寧ろ2周目の方が面白いんじゃないかとも思った。1年後くらいにもう一度読みたい。
小説の名探偵は、未然に殺人を防げない。
食べる肉と食べない肉はどこで線が引かれる? -
前半は摩訶不思議な島と島の人たちを楽しむ感じ、後半は伏線回収を楽しむ感じ。10年前に読んだので初読の新鮮さで読めて面白かった。
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次々と事件が起こるのに、なぜかストーリーは淡々と進む。この舞台に設定された不思議な歴史・文化や人間性によるもので、一方で作者特有の洒落っ気とか一人ひとりの個性はあるからおもしろい。
そして、そんな起伏のなさが最後の最後でじわじわとあたたくて大きな感動に変わり、心地よい読後感につつまれた。これがデビュー作ってすごいなぁ。好きな作品のひとつになりました。 -
小説ってこうじゃないと!と喝采をあげたくなるような、ファンファーレが聞こえるような見事な小説。読んだ後はじんわりと幸せな気持ちになります。
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案山子が殺された理由やその他の様々な疑問を考えながら読み進められるので好奇心が刺激された。
何よりも伏線回収がパズルをはめるように重なっていくので、最後までワクワクしながら読み進められる。読んだ後は気持ちの良いものだった。
うん、面白かった、結構好き。 -
10年ぶりの再読。突拍子もない設定なのに、妙な説得力を持つ作風がこのデビュー作から確率されていることに改めて感嘆を禁じ得ない。ミステリーともファンタジーとも区分け出来ないジャンルの不明確さで『これが私の作品です』という伊坂氏の名刺代わりな作品だと思う。当時、殆ど活字を読まなかった自分が「死神の精度」に続き、本作を読んで『小説って面白いんだな』と感じたのを思い出す(実際本流からやや外れているとはその当時思いもしなかったのだけれど…)陽気さと陰湿さが混在しながらもどこか淡々としたこの世界観がやはり好きだなあ。
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150年間孤立していた島の、案山子と案山子信者の島民たちと、そこで起こる事件と巻き込まれた150年ぶりの来島者の話。
多分ミステリーなんだけど、謎解き的な部分よりも未来を知るしゃべる案山子とか、島のルールとかのファンタジーな要素に惹かれたので、わたし的にはジャンルはローファンタジーかな。
桜がいい。好き。 -
あの伊坂幸太郎さんのデビュー作ということで、楽しみにしていた本作。
遅まきながら読んでみると、思った以上に伊坂節炸裂で、ほんとにデビュー作?とちょっとびっくり(笑)
この小説にももちろん奇妙な登場人物がたくさん出てきますが、個人的に一番好きなのは喋るカカシ、優午。
カカシなのに喋る、しかも未来が見える。すごい。
彼は超然としつつもどこか人間臭くて、この小説を代表する、決定づける、そんな存在じゃないかな、と。
読んでいるときも、読み終わった時も心地よい、弾むようなお話でした。 -
【2024年6冊目】
読み終わってからデビュー作であることを知りました。現実と虚構が綯い交ぜになっているような、ふわふわとした感覚がずっと続く話でした。すごい世界観だと思うと同時に、解説の「シュール」という言葉も腑に落ちるような感じです。
島にかけているものを楽しみにしていたのに、結局はそれを知ることのないままだったのか、いや知っていたからこその、カカシの決意だったのかというちょっとしたパラドックスに首をかしげつつ、綺麗な終わり方だったなと思いました。
デビュー作から、編み込んでいくようなストーリー展開をしていたんだなと改めて感服しました。混乱させないの、本当にすごい。