オーデュボンの祈り (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 3586
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250212

作品紹介・あらすじ

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている"荻島"には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?卓越したイメージ喚起力、洒脱な会話、気の利いた警句、抑えようのない才気がほとばしる!第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伝説のデビュー作、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 伊坂幸太郎さんの一生に一作しか書けないのではと思えるあらゆる意味で恐るべき処女作ですね。本作はあの「ブラウン神父」で有名なチェスタトンさんが読んだら狂喜乱舞しそうな、まったくもってイカレタふざけたファンタジーだと思いましたね。伊坂さんの「風が吹けば桶屋が儲かる」理論が全編に流れる壮大な幻想歴史小説(ほら話)と言って良くミステリの整合性や完成度なんて全く気にせず誰もが大満足でしょう。キャラでは日比野は後の陣内だし桜は死後に千葉になりそうな気がしますね。こんなにも奇想天外でクレイジーな物語を読めて幸せ一杯です!

    これは嘘のようなホントの話ですが、今日電車に乗ってお天気猫の話を読んで駅で降りたら雨が降り出しまして傘を忘れたので(ネコではなく)濡れネズミになりましたね。まあとにかく本書はフーダニットの興味だけでなく次々に奇妙な笑える出来事の連続ですので飽きる暇がないですね。それから章を繋ぐ4種類の影絵文字、カカシと祖母と悪徳警官とお侍も粋ですよね。唯一不安なのは死神・千葉の仕事を自らが積極的に実践していると思える桜さんがとても恐ろしく今夜の夢に出て来て「理由になっていない」と一喝する声にうなされそうな予感がしますね。

    処で単なる偶然なのですが本書にも「さだまさし」の歌との一致点が2つあるのですね。喋るカカシの優午はズバリ「案山子」という名曲がありまして、もう一つはオーデュボンが愛していたリョコウバトの運命に重ね合わせるような「前夜(桃花鳥ニッポニア・ニッポン)」というこれも心に沁みる歌がありますのでご存じでない方はぜひ聴いてみて下さいね。最後に昨年に読んだ「仙台暮らし」で伊坂さんが、本作が認められた事に感謝の言葉を述べられていましたが、私も本当にこの異彩を放つ前代未聞のミステリが世に出て良かったなと心から思いましたね。

  • デビュー作とは思えないほど完成された物語だと思いました。これは読んで欲しいです。日常から離れ、あたかも自分があの島にいるような不思議な気持ちになります。本を閉じた時、そうかここはいつもの日常か…と間の抜けた気分を味わいました

  • 続きが気になって気になって、夜、眠たいのに眠れなくなる。たぶんわたしは深いところの話までは理解できてない。だけど回収される伏線がキレイで、なめらかで、うわあーーとなってしまいました。明らかに現実離れした世界なのに、そこにいるような感覚になった。伊坂作品しか読まないと言った友だち、それはさすがにもったいないと思うけど、でも確かに、虜になってしまうかも。順番に読んでみよう。

  • 外部からしゃ断され時代からも取り残された島で暮らす人々とそこで起こる数々の不思議な出来事。読み進めると、ドキドキは止まらずいつのまにかその独特な世界観に引き込まれてしまっていた。
    読み終えた今は、普段何も気にしないような常識という概念も今一度考えないといけないような、そんな気がしています。

  • 直前に読んだのが陽気なギャングシリーズだったので忘れていましたが、伊坂さんって意外と残虐な描写多いんですよね。
    それがちょっと苦手です。
    あと出てくる登場人物も世界設定もちょっと荒唐無稽というかシュールというか…
    それになかなか馴染めず途中まで読み進めるのが困難でした。

    けど、そのシュールな出来事の意味とか理由が分かってくると、逆にその世界にはまっていきどんどん面白くなって最後は一気に読んでしまいました。
    なかなか奥が深い作品です。

    あざやかな伏線の回収の仕方といい、不思議な世界観といい
    なるほど伊坂作品の原点に相応しい作品だなぁ、と思います。

  • 私にとっての伊坂さんとの出会いの1冊です。
    主人公目線での、不思議な街での不思議な人々との日々。
    元々こういうストーリーが好きなので、どんどん読み進めました。
    また、この小説の1番大好きなところはラストです。
    ずーっと、この街に足りない何か、読者に何が足りないの??と引っ張っているもの、それがラストに『音楽』だった。完全に痺れました!
    伊坂さんファンなら彼が大の音楽好きということはご存知なので、そこまでの衝撃はなかったのかもしれませんが。。。
    世間の評価はもっと高くて良いと思うー!

    • kakaneさん
      よーえりさん、こんばんは。

      あまりに各本への感想、評価が私とおなじなのでコメしてしまいました。100万回猫のチープさや、オーデュポンへの爽...
      よーえりさん、こんばんは。

      あまりに各本への感想、評価が私とおなじなのでコメしてしまいました。100万回猫のチープさや、オーデュポンへの爽やかさ、まだまだ重なる評価がありすぎますが、今後もコメ楽しみにしてます。
      2018/01/21
    • よーえりさん
      kakaneさん、こんばんは☆
      完全に自分の記録用の、自己満足な感想文なのですが…コメントいただき&共感いただきとても嬉しいです!!
      kakaneさん、こんばんは☆
      完全に自分の記録用の、自己満足な感想文なのですが…コメントいただき&共感いただきとても嬉しいです!!
      2018/01/21
  • 150年間孤立していた島の、案山子と案山子信者の島民たちと、そこで起こる事件と巻き込まれた150年ぶりの来島者の話。
    多分ミステリーなんだけど、謎解き的な部分よりも未来を知るしゃべる案山子とか、島のルールとかのファンタジーな要素に惹かれたので、わたし的にはジャンルはローファンタジーかな。
    桜がいい。好き。

  • あの伊坂幸太郎さんのデビュー作ということで、楽しみにしていた本作。
    遅まきながら読んでみると、思った以上に伊坂節炸裂で、ほんとにデビュー作?とちょっとびっくり(笑)
    この小説にももちろん奇妙な登場人物がたくさん出てきますが、個人的に一番好きなのは喋るカカシ、優午。
    カカシなのに喋る、しかも未来が見える。すごい。
    彼は超然としつつもどこか人間臭くて、この小説を代表する、決定づける、そんな存在じゃないかな、と。
    読んでいるときも、読み終わった時も心地よい、弾むようなお話でした。

  • 井坂幸太郎さんデビューしました☆
    優午というカカシは未来を見つめることができるカカシ。100年以上前からいる。萩島という閉ざされた島で展開される物語。
    この作品は描写がグロいので必要以上に世の中を恐れたりトラウマを持ってしまうかもしれないので大学生以上にオススメしたいです。
    島民の人達が最初は誰も共感できず挫けそうだったけど、物語が終わる頃には、みんないろんな苦しみを持ちながらも生きる善良な人々だったことがわかってゆきます。容易に理解されにくい痛みに光を当てようとする作者の姿勢も暖かくて好きです。法学部卒というプロフィールにうんうんといった感じです。
    オーデュボンはフランスの動物学者さんで20億羽で飛ぶリョコウバトを見ました。彼は人間の身勝手で絶滅してゆくハトをただ見ているしかなく、秀逸な絵でその姿を遺します。彼の死後数年でハトは絶滅。談
    名探偵は、犯人を当てられるけど事件を防げない。が、優午は信頼できる人と、カカシとしての命も渡して島の人達を守りました。島民みんなのよりどころだった優午は、見ているだけじゃなく行動しました。その賢さと愛に胸がいっぱいです。人間は絶滅してしまうのか、という問いを含んだ物語。
    優午は、絶滅をもどうこうしたかったのだろうか。島の人が、友人達が、あるべき人らしく、呼吸するように自然に、のびやかに日々を楽しんで、愛して、歌って、語って、そこに音楽があればなおいい、そんな風に願っているんじゃないかなぁって思いました。それは桜もそうであってほしいです。詩と花だけをその手にできる日がきますように。
    ただ、慈しみあい、愛が繋がってゆけば、絶滅も予言も無力になる。優午はそれを知っていたのではないかと思います。祈り、というタイトルにいろんな想いを感じます。その未来がたやすくなくても、信じたい未来です。
    「どうして優午は自分の運命をわからなかったんだろう、もっと言うと、なぜ逃げなかったんだろう」っていう主人公達の最初の疑問は、子どもの頃イエスさまに持っていたものとおなじなことを読みながら懐かしく思い出していました。

  • かかしねー。なんで死んだの?だれが?って気になりすぎてドンドン読んだ。かかしには絶対なりたくないと思った。主人公が怪しむ人を一緒に怪しんでしまい、毎回ちがうんかい!ってなったのが面白かった。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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