ラッシュライフ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 2941
  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250229

作品紹介・あらすじ

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場-。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの再読。確か伊坂さんの初読みはこの作品だったと思う。
    やはり伊坂さんは群像劇が面白い。それぞれのエピソードの顛末が気になってどんどん読み進められるし、それぞれのエピソードがどう繋がるのかも期待しながら読んだ。単純な同時進行ではないので様々なエピソードが段々とジグソーパズルのように当てはまるのが気持ち良い。
    個人的には伊坂さんが描く泥棒や殺し屋が好きだが、この作品の黒澤もとぼけたキャラクターで面白かった。
    ちょっと残念だったのは画商と画家のエピソード。もっとインパクトある顛末を期待していただけに肩透かしだった。
    物理的に説明がつく事象とそうでないもの、計画的なことと突発的なこと、冷酷なこととホッとすることなど、相反することが良いバランスで散りばめられているのも上手い。
    読み終えてみれば確かにそれぞれのエピソードがリレーのように繋がっていた。

  • 自分の作品の中では、作家はある意味「神」なのかもしれない。

    神様的俯瞰目線で見渡せば、
    確かに世の中のほとんどは繋がっていて
    ニヤニヤして見てしまうほど
    小さな場所の中で大勢で右往左往しているのであろう。

    「胃」と「自分」の関係。
    ラッシュライフのスペルと意味。
    人生がリレーだったら…。

    そのまま見ているものが、
    ちょいちょいっと伊坂さんが言葉を足すと
    大きく場面が反転してしまう。

    伊坂さん的、「神目線」を堪能した一冊です。

    あーーー。ここの軸がそうなっていたのか!
    またまたまたまた、してやられる。

    この本はフォローさせていただいている方から紹介してもらい、手に取りました。

    初期の作品と私が読了した最近の作品は
    登場人物も違う全く別物の物語のはずなのに、
    何か裏の巨大なものが繋がっている気がしてなりません。

    泥棒の黒澤のクセになる「美学」いいですね。
    こんなに言葉を大事にしている人だとは…。
    そしてこの落ち着き。どこからきているのだろう??死神でもないのに。
    ちょっと気になりますね。

    魅力ある初期作品を教えていただき有難うございました。
    これからも少しずつ伊坂哲学を読んで行きたいと思います。

  • これはお薦めですよ。頭がクラクラするようなだましの世界です。
    この話は5つの視点で進んでいきます。

    ① 拝金主義の画商と女性の画家
    ② 被害者の心のありように気を配りながら、空き巣に入る泥棒
    ③ 新興宗教の教祖に惹かれている男ふたり
    ④ 互いの配偶者を殺そうと練る女精神科医とサッカー選手
    ⑤ 40社連続不採用になっている、失業中の男

    この5つにそれぞれ絡んでくる話があり、また5つは全く別の人生でありながら、意外なところで結びつき、予想もしない展開になっていくのです。
    テンポも良く、小粋で洒落た表現の連続で、先へ先へと読み進むのが楽しくて仕方がなかったですね。

    こうした群像劇を、映画の世界では観ることはありますが、書物の中で、しかもここまで巧みに出来た物は非常に珍しいのではないでしょうか。
    ごめんなさい、東野圭吾様、藤沢周平様、ジョン・アーヴィング様。
    伊坂幸太郎さんに浮気しそうです

  • 時系列が最後に整理される群像劇

    終わった後に再度読みたくなる
    あの人があそこで出会ったのはこの人か
    の連続

    伊坂幸太郎は娯楽だな

  • ラッシュライフ。4人の人生が、時間軸も交錯するなか、絡み合い物語が進行していく。
    若い女性画家。泥棒を生業とする男。父親を自殺で失い神に憧れる青年。不倫相手との再婚を企むカウンセラー。職を失い途方に暮れる男。
    ラッシュライフ、コルトレーンの作品にありますが、そこでは、豊かなというよりは、呑んだくれの人生と言った意味があるようです。

  • 作中の好きな言葉。

    ・あの男は妄想やら想像やらで悩んだんだろう。人の想像は悪いほう悪いほうへと広がっていく。愉快だろ。
    ・体裁や地位。もしかしたら、物事の本質はそのあたりにあるのかもしれない。目に見えない愛情だとか、仲間意識だとか精神的な価値なんてのは胡散臭い宗教と同じだ
    ・人と人の繋がりなんて呆気なく壊れるものだろう?金での繋がりのほうがよほど強い。
    ・分かり合おうとするから、辛いのかもしれない。相容れないもの同士なのだ。それを前提にすれば、気は楽だ。
    ・予期せぬことが起きたら撤退する。それが長生きの基本だ。そうだろ?
    ・行き詰まっているとおまえが思い込んでいただけだよ。人ってのはみんなそうだな。

    黒澤、好きだな。
    戸田も嫌いじゃない。

  • 5人の登場人物の身の回りに起こる様々な事件がパズルのように組み合わさっていく。最初はそれぞれの設定をインプットするのに少し時間がかかったが、話のオーバーラップが始まるとそんなことはどうでもよくなるぐらい夢中になっていた。
    この本は一気に読み進めることをお薦めします。

  • これまで伊坂さんはミステリ作家だと疑わずに読んできたけど、この本読んで、やっとこの人ミステリ作家じゃないんだ、と思った。
    とても伊坂さんらしい、練られた物語。
    それぞれの人物の心理もとても丁寧に描かれていて、静かだけど完成度の高い、素晴らしい小説だった。

    金のある汚い画商とその力に負けた若い画家の話、カリスマを信仰する少年の話、不倫相手の配偶者を亡き者にしようとする女の話、無職のオジサンの話、空き巣の男の話。この5つの話が仙台駅で交差しながら並行に進行してゆく。
    これらの物語がどう繋がってくるのか期待しつつ読み進めると、途中で物語の日が少しずれてることが分かってきて「おおっ」てなった。
    あと、要所で喋るかかしだの映画館の爆破だの、伊坂さんの他の作品を思わせるところがあるの、ファンとしては嬉しい。
    ていうか、伊坂さんの物語は伊坂さんの頭の中にあるパラレルな仙台での出来事を伊坂さんが文字に起こして見せてくれてる感じだな。

    5つの物語は、少しずつ他の物語に入り込んでいく。なんというか、私の生きるこの世界でも、知らない人の物語が自分の運命に影響してるんだろうなぁ、そんで私の物語も誰かに影響を与えてるんだろうなぁ、と思えた。

    ただ、個人的に読んでて「あ、始まるな」というワクワクを感じなかったので、☆3つです。

  • 伊坂作品はこれで5冊目かな?時間軸のズレや登場人物の姓名の使い分けなどによって、まさに騙し絵を描く中に、著者の人生観、価値観、夫婦観などなどが散りばめられている。
    前半は少々冗長で後半の鬼のような伏線の回収は他の作品同様で、読後感は爽快。個人的には黒澤と佐々岡の遣り取りが一番グッときた。「でもな、人生については誰もがアマチュアなんだよ。そうだろ?」

  • 現実味の薄いミステリだが、展開の妙はさすが。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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