ラッシュライフ (新潮文庫)

著者 :
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レビュー : 2944
  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250229

感想・レビュー・書評

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  • 自分の作品の中では、作家はある意味「神」なのかもしれない。

    神様的俯瞰目線で見渡せば、
    確かに世の中のほとんどは繋がっていて
    ニヤニヤして見てしまうほど
    小さな場所の中で大勢で右往左往しているのであろう。

    「胃」と「自分」の関係。
    ラッシュライフのスペルと意味。
    人生がリレーだったら…。

    そのまま見ているものが、
    ちょいちょいっと伊坂さんが言葉を足すと
    大きく場面が反転してしまう。

    伊坂さん的、「神目線」を堪能した一冊です。

    あーーー。ここの軸がそうなっていたのか!
    またまたまたまた、してやられる。

    この本はフォローさせていただいている方から紹介してもらい、手に取りました。

    初期の作品と私が読了した最近の作品は
    登場人物も違う全く別物の物語のはずなのに、
    何か裏の巨大なものが繋がっている気がしてなりません。

    泥棒の黒澤のクセになる「美学」いいですね。
    こんなに言葉を大事にしている人だとは…。
    そしてこの落ち着き。どこからきているのだろう??死神でもないのに。
    ちょっと気になりますね。

    魅力ある初期作品を教えていただき有難うございました。
    これからも少しずつ伊坂哲学を読んで行きたいと思います。

  • これはお薦めですよ。頭がクラクラするようなだましの世界です。
    この話は5つの視点で進んでいきます。

    ① 拝金主義の画商と女性の画家
    ② 被害者の心のありように気を配りながら、空き巣に入る泥棒
    ③ 新興宗教の教祖に惹かれている男ふたり
    ④ 互いの配偶者を殺そうと練る女精神科医とサッカー選手
    ⑤ 40社連続不採用になっている、失業中の男

    この5つにそれぞれ絡んでくる話があり、また5つは全く別の人生でありながら、意外なところで結びつき、予想もしない展開になっていくのです。
    テンポも良く、小粋で洒落た表現の連続で、先へ先へと読み進むのが楽しくて仕方がなかったですね。

    こうした群像劇を、映画の世界では観ることはありますが、書物の中で、しかもここまで巧みに出来た物は非常に珍しいのではないでしょうか。
    ごめんなさい、東野圭吾様、藤沢周平様、ジョン・アーヴィング様。
    伊坂幸太郎さんに浮気しそうです

  • 作中の好きな言葉。

    ・あの男は妄想やら想像やらで悩んだんだろう。人の想像は悪いほう悪いほうへと広がっていく。愉快だろ。
    ・体裁や地位。もしかしたら、物事の本質はそのあたりにあるのかもしれない。目に見えない愛情だとか、仲間意識だとか精神的な価値なんてのは胡散臭い宗教と同じだ
    ・人と人の繋がりなんて呆気なく壊れるものだろう?金での繋がりのほうがよほど強い。
    ・分かり合おうとするから、辛いのかもしれない。相容れないもの同士なのだ。それを前提にすれば、気は楽だ。
    ・予期せぬことが起きたら撤退する。それが長生きの基本だ。そうだろ?
    ・行き詰まっているとおまえが思い込んでいただけだよ。人ってのはみんなそうだな。

    黒澤、好きだな。
    戸田も嫌いじゃない。

  • 初めての伊坂幸太郎。
    様々なキャラクターが少しずつ動きながら、絡み合いながら、最後に、、、。

    泥棒と犬がよかったな。
    他の作品も読みたくなりました。

  • 初めて読んだ伊坂さんの作品。
    伏線の回収の仕方とか物語の交差のさせ方が天才だと思った。最初に読めて良かった。

  • 友人の勧めで読みました。それぞれの主人公視点で描かれるストーリーを、本だからこそ可能なトリックで綺麗にまとめている。まさに騙し絵みたいな物語。最後の犬のシーン、好きです。

  • 「ラッシュライフ、豊潤な人生」エッシャーの騙し絵みたいに城の上で人生の渋滞に巻き込まれて自分を見失っちゃ駄目だ!人生最後まで諦めるな!負けたらアカン!と生きるのが下手な多くの人々に向けて励ましてくれるかの様な伊坂幸太郎さんの長編第2作です。5つの物語の中で堂々として心身共に一番安定しているのは泥棒稼業の黒澤ですね。河原崎も自殺した父の思い出を胸に出直しを!裏切られた京子もまだ若いし頭を冷やしてね。リストラ中年・豊田と老犬コンビは金持ちの戸田に従わずに逞しく生き抜くでしょう。彼らの人生に幸あれと心から願う。

  •  以外にも初読みの伊坂幸太郎。
     最後まで、この話はどうやって落ち着くんだろう、とドキドキしながら読みました。
     複雑な構造をした物語なのですが、最後のタネ明かしで、謎だった構造が一度バラバラに解体されてまた組み上げられていくのが気分爽快です。
     物語も、それぞれ問題を抱えた複数の人物が、さまざまな要素を介してすれ違ったり関わり合ったりして、最後にはなんとなく雲の晴れたような気分で終わります(ハッピーエンドかと言われると絶対に違いますが)
     殺人だったり泥棒だったりリストラだったり離婚だったり...扱うものは暗くて重いのですが、物語のスピード感と人物同士の軽妙なやり取りが重さを取り払っていてどこかコメディのようでもあります。

     一番共感した人物は豊田でした。

     伊坂作品は少しずつ話が繋がっているようなので、他の作品も読んでみようと思います。

  • あ~、そこもつながってたのか~
    伏線ありすぎてもう。。

    別の作品のあのセリフも出てくるし。

    伊坂さんの頭の中見てみたい。

  • 騙し絵を見たときに与えられる奇妙な感覚をそのまま小説に落とし込んだような物語。複数の主人公の物語という欠片が読み進めていくにつれてパズルのようにきれいに組み合わさり、最終的に一つの物語として完成するという緻密な構成は芸術的だ。伏線回収が見事だったりラストの展開に驚かされる作品は数あれど、ここまできれいに物語としてまとまっているものは初めて読んだ。

著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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