ラッシュライフ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250229

感想・レビュー・書評

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  • ラッシュライフ。4人の人生が、時間軸も交錯するなか、絡み合い物語が進行していく。
    若い女性画家。泥棒を生業とする男。父親を自殺で失い神に憧れる青年。不倫相手との再婚を企むカウンセラー。職を失い途方に暮れる男。
    ラッシュライフ、コルトレーンの作品にありますが、そこでは、豊かなというよりは、呑んだくれの人生と言った意味があるようです。

  • これまで伊坂さんはミステリ作家だと疑わずに読んできたけど、この本読んで、やっとこの人ミステリ作家じゃないんだ、と思った。
    とても伊坂さんらしい、練られた物語。
    それぞれの人物の心理もとても丁寧に描かれていて、静かだけど完成度の高い、素晴らしい小説だった。

    金のある汚い画商とその力に負けた若い画家の話、カリスマを信仰する少年の話、不倫相手の配偶者を亡き者にしようとする女の話、無職のオジサンの話、空き巣の男の話。この5つの話が仙台駅で交差しながら並行に進行してゆく。
    これらの物語がどう繋がってくるのか期待しつつ読み進めると、途中で物語の日が少しずれてることが分かってきて「おおっ」てなった。
    あと、要所で喋るかかしだの映画館の爆破だの、伊坂さんの他の作品を思わせるところがあるの、ファンとしては嬉しい。
    ていうか、伊坂さんの物語は伊坂さんの頭の中にあるパラレルな仙台での出来事を伊坂さんが文字に起こして見せてくれてる感じだな。

    5つの物語は、少しずつ他の物語に入り込んでいく。なんというか、私の生きるこの世界でも、知らない人の物語が自分の運命に影響してるんだろうなぁ、そんで私の物語も誰かに影響を与えてるんだろうなぁ、と思えた。

    ただ、個人的に読んでて「あ、始まるな」というワクワクを感じなかったので、☆3つです。

  • 伊坂作品はこれで5冊目かな?時間軸のズレや登場人物の姓名の使い分けなどによって、まさに騙し絵を描く中に、著者の人生観、価値観、夫婦観などなどが散りばめられている。
    前半は少々冗長で後半の鬼のような伏線の回収は他の作品同様で、読後感は爽快。個人的には黒澤と佐々岡の遣り取りが一番グッときた。「でもな、人生については誰もがアマチュアなんだよ。そうだろ?」

  • 現実味の薄いミステリだが、展開の妙はさすが。

  • 10年ぶりに再読。寸分違わぬパズルの様な緻密さで構築された物語に改めて舌を巻くしかない。作中に登場するエッシャー展と「巧妙な騙し絵」という紹介文は何とも心憎く、バラバラに進む時系列を途中で読み返しながら読み進めるのもまた一興。ミステリーとして扱うには【動くバラバラ死体】のトリックに無理があり過ぎたり、登場人物の言動どれもが突拍子もなく記号的なので物足りなさも感じるのだが、巧妙な会話劇(特に黒澤×佐々岡)や独特の人生訓はやはりこの人の作品ならではの醍醐味だろう。豊田・佐々岡両氏の再生にエールを贈りたい。

  • 娘の一押し。
    豊田と犬がいいな。
    黒澤にも憧れる

  • 伊坂幸太郎の文体は私にはよく合っているようで、こちらもスラスラ読めるに違いない!と手に取った。しかし、次々と移り変わる場面に、主人公に、どんどん置いていかれて、頭が混乱して、振り返りながら読み進めないとならなかった。それも一つの狙いなのかもしれないが…(「ラッシュ」ライフだけに)。個人的には強盗の老夫婦が印象的だった。最後に近づくにつれて、各場面に登場した主人公の関わり合いや、正確な時間軸が見えてきて、伊坂幸太郎らしい面白みが出てくる。

  • 安定の伊坂幸太郎節。
    読後感は良といった所か。

    あとがきを読んで、他の作品との関わりに興味を持ち、エッシャーの挿絵の意味も含めて奥深さに感心した。

  • 伊坂幸太郎 著
    さぁ、どんなシュールな伊坂ワールドに入ってゆくのか
    ワクワクして読み出したら 登場人物が頁をめくる度に どんどん変わってゆくので、最初はこの人誰?どういう関係だったけ?なんて思いながら読んでた 一気読みしないと 次に途中から読みだすと 妙なツールに入っていってしまう。
    構成が いつも 面白いですね。
    未来を決めるのは神の恩寵か、偶然の連鎖か?
    泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾って 若者からの暴力に遭う。幕間には歩くバラバラ死体の謎。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開が どこかで繋がってるだろうなぁと思いながら、どんなふうに繋がってゆくのか?現代の寓話の世界を 上手く作品の中で人生を繋げてるのが すごいですね
    オーデュボンの祈りの青年が、案山子が、会話の中にピンポイントで登場するところが面白かった。カルトのような神に魅せられる河原崎と塚本の話は 気持ち悪かったが、泥棒家業の黒澤の会話や内容は結構面白かった。映画は観てないけど、構成難しそうだけど、面白いんでしょうね。
    伊坂幸太郎さんの頭の中は どんなシュールな世界なのかしら?作品も色々幅が広いですね 好きな本という感じではないが 面白かったです。

  • 5つの視点で描かれる物語が並走し、交錯し、収斂し、最後には壮大な騙し絵が完成する。
    最後にピースが嵌まる感覚はやはり伊坂作品ならではであるが、四十社連続不採用が続く失業者・豊田と、それぞれの配偶者を殺す計画を練る女性精神科医とサッカー選手の視点は楽しめたが、その他のパートは今一つ入り込めなかった。
    でも最後の豊田の決断には胸が熱くなった。彼に幸せと仕事が訪れますように。
    2018/06

  • 群像劇というのは今時珍しくはないけれど、時系列の並べ方がとても上手い。
    点から線へ繋がる瞬間の快感はこの描き方があってこそ。
    そして完成するのはエッシャーのだまし絵そのもの。
    読み終わったあと、もう一度冒頭までページを戻したのは私だけではないはず。


    派手さには欠けるが、物語に惹き込まれるだけの魅力はあるのでやっぱり面白い作品と言えるのだと思う。
    出来るなら細切れではなく一息に最後まで読みたい本。
    それでこそのラッシュライフ。

  • 黒澤さんと友達になりたい

  • 高3 ◯

  • それぞれの視点の話が交差したり混ざったりする事で少しずつ全体に覆い被さっていた霧が晴れていくような感じを受けました。

    黒澤の考え方に読んでいるうちに考えさせられたり、豊田や河原崎にハラハラさせられたりと、まるで大海原を渡る小舟のような気持ちで読んでいてたのに、気づけばちゃんと最終地点に降りている流れは圧巻でした。

    黒澤がたまにどじったりする所が個人的に面白くて、京子に非通知で電話をかけた相手が後で黒澤だと知った時にはまさか!という気持ちを通り越して笑ってしまいました。

  • 未来は神様のレシピで決まる p224

    人間がそんなに偉いのか、ヒューマニズムという言葉が一番嫌いだ p260

    たぶん絵というのは、紙に殴りつけた祈りだよ p265

    プラナリア実験

    何十年も同じ生活を繰り返し、同じ仕事を続けてるんだ。原始生物でも嫌になってしまう、その延々と続く退屈を、人はどうやって納得しているか知ってるか?(中略)
    人生の何が分かって、そんなことを断定できるのか俺には不可解だよ p272

  • バラバラの話がくっついて一つになる
    ・画家
    ・泥棒
    ・リストラされたサラリーマン
    ・画商
    ・宗教にハマった若者
    ・妻を殺そうとしているサッカー選手
    ・夫を殺そうとした精神科医
    みんながぐるぐる同じ場所を巡っているが、俯瞰してみることのできない各自は繋がりに気づかない。

  • 2017年10月1日読了。
    2017年71冊目。

  • 五つの話が交錯し、だまし絵のようにまとまる。一つ一つの話は重いのだが、最終的には収まるべきところに収まった爽快感がある。さすが伊坂ワールド。憎めない素敵な泥棒が出てくるのも伊坂ワールドの楽しい特徴かも。

  • 全然関係ない人達が微妙に繋がっている。実際に自分の周りも同じ様なものかもしれない。トランクの死体の展開は、一気に読んでしまった。

  • 5人の視点で物語が進み、それぞれぜんぜん関係ないようで、話の所々で接点がある。「あっ、そこに関係してるのか」と感心はするものの全体のストーリーとしては、物足りなさを感じた。また、物語のなかで映画の引用がいくつかあり、前知識がある方には面白いのではと感じた。

    • Yoshi_Navyfieldさん
      バラバラのジグソーパズルのピースが、カチカチカチと音を立ててはまり込んでいくような痛快さを感じました。
      バラバラのジグソーパズルのピースが、カチカチカチと音を立ててはまり込んでいくような痛快さを感じました。
      2012/03/06
  • エッシャーの騙し絵がモチーフのように、物語の時間軸をずらす事で終わりと同時に始まったような印象を受けてしまう所は凄い。
    ただ技巧的な作品である為に作中の4つの物語はパズルのピースのような存在で、その話の内容自体にはあまり惹かれなかった。

  • 後半になるにつれてドキドキが増していき、あっという間に読んじゃった。

    こわーっ、これ以上進まないでー(><)
    って思うと画面が切り替わる。
    そんな感じだった。

    キレイな交差が描かれる。
    この交差は映画じゃなしえないんだろうなぁ。
    小説の良さってのも感じたな。

  • 最後にパズルのピースが一気にハマってくのは読んでて爽快。一気に読むのがいいね。

  • 話の内容は軽快で読みやすいので、すらすら読める感じですが、思ってたのと内容が違いました。今までにない斬新な感じなのかと思ってたら、そういう訳でもなく。こういう結末だと分かってたら、読まなかったかも、です。

  • 読み終えて、それぞれの物語が交差しているところには感心したけれど、思ったほどの読み応えはなかった。
    インパクトとして解体以外は少し中途半端な印象。

  • 複数の登場人物が登場し、別々の物語が進んでいき最後に交差する。
    泥棒の黒澤のキャラクターも魅力的。
    なるほど、うまくまとまったなぁと思うけれど、再読しようという気持ちや時系列に並べてみようというところまでは思えない。

    前作のオーデュボンの祈りでもそうだったが、グロテスクな場面がどうしても作品の印象として強く残ってしまう。

  • 2017.5.10読了

  • 各物語の時間軸が少しずつずれていて、最終的に3日間の物語に繋がるのは面白かった。

    不思議に思ったのは京子が落としたロッカーの鍵は豊田に拾われるまで1日誰にも拾われずにあったこと。

    老夫婦の強盗が拳銃を持っていた時に京子、豊田と繋がるのかと思ったけど、勘違いだった。時系列的にも老夫婦が拳銃を黒澤に突きつけた時に京子・豊田の拳銃はまだロッカーの中だった。
    あとは戸田と志奈子はもっと大きな役割があるのかと思っていた。戸田はまだしも、志奈子は役不足に思った。

    黒澤が主人公らしい「首折り男のための協奏曲」も機会があれば読みたい。

    プラナリアの実験の話しは面白かった。
    同じことの繰り返しよりも自殺することを選ぶ。

    全体的に、豊田と黒澤の印象的な言葉が多かった。
    ------------
    正義だとか悪だとかそういうのは見方によって反転しちまうんだ。

    可能性とはゼロでなければ、起こりうることを意味する。

    『オリジナルな生き方なんてできるわけがない』

    要するに『未来』はそういうものなんだ。探しだすものなんだ。『未来』は闇雲に歩いていってもやってこないんだ。頭を使って見つけ出さなくてはいけないんだ。あんたもよく考えた方がいい。

    人生は一秒ごとに流れていっている。それを自覚しているのか!
    時間は前にしか進まない。巻き戻ることは絶対にありえない。

    「一生というのは」
    「一生は日々の積み重ねだろ」

    譲ってはいけないもの。そういうものってあるでしょう?

  • 一見、無関係な5つの物語が終わりに近づくにつれ急激に漸近する。リレーのバトンのように、それは秩序を持って繋がる。
    筆者の得意なパターン。

    最後に豊田が老犬を売らないプライドが気持ち良い。

  • 「人生については誰もがアマチュアなんだよ。そうだろ?」
    「それだけで充分、凄いことだろ。宗教を持ち出す前に、生きてること自体に驚いて、拍手をすればいい」

著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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