ラッシュライフ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 29938
レビュー : 2902
  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250229

作品紹介・あらすじ

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場-。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

感想・レビュー・書評

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  • 自分の作品の中では、作家はある意味「神」なのかもしれない。

    神様的俯瞰目線で見渡せば、
    確かに世の中のほとんどは繋がっていて
    ニヤニヤして見てしまうほど
    小さな場所の中で大勢で右往左往しているのであろう。

    「胃」と「自分」の関係。
    ラッシュライフのスペルと意味。
    人生がリレーだったら…。

    そのまま見ているものが、
    ちょいちょいっと伊坂さんが言葉を足すと
    大きく場面が反転してしまう。

    伊坂さん的、「神目線」を堪能した一冊です。

    あーーー。ここの軸がそうなっていたのか!
    またまたまたまた、してやられる。

    この本はフォローさせていただいている方から紹介してもらい、手に取りました。

    初期の作品と私が読了した最近の作品は
    登場人物も違う全く別物の物語のはずなのに、
    何か裏の巨大なものが繋がっている気がしてなりません。

    泥棒の黒澤のクセになる「美学」いいですね。
    こんなに言葉を大事にしている人だとは…。
    そしてこの落ち着き。どこからきているのだろう??死神でもないのに。
    ちょっと気になりますね。

    魅力ある初期作品を教えていただき有難うございました。
    これからも少しずつ伊坂哲学を読んで行きたいと思います。

  • これはお薦めですよ。頭がクラクラするようなだましの世界です。
    この話は5つの視点で進んでいきます。

    ① 拝金主義の画商と女性の画家
    ② 被害者の心のありように気を配りながら、空き巣に入る泥棒
    ③ 新興宗教の教祖に惹かれている男ふたり
    ④ 互いの配偶者を殺そうと練る女精神科医とサッカー選手
    ⑤ 40社連続不採用になっている、失業中の男

    この5つにそれぞれ絡んでくる話があり、また5つは全く別の人生でありながら、意外なところで結びつき、予想もしない展開になっていくのです。
    テンポも良く、小粋で洒落た表現の連続で、先へ先へと読み進むのが楽しくて仕方がなかったですね。

    こうした群像劇を、映画の世界では観ることはありますが、書物の中で、しかもここまで巧みに出来た物は非常に珍しいのではないでしょうか。
    ごめんなさい、東野圭吾様、藤沢周平様、ジョン・アーヴィング様。
    伊坂幸太郎さんに浮気しそうです

  • 現実味の薄いミステリだが、展開の妙はさすが。

  • 10年ぶりに再読。寸分違わぬパズルの様な緻密さで構築された物語に改めて舌を巻くしかない。作中に登場するエッシャー展と「巧妙な騙し絵」という紹介文は何とも心憎く、バラバラに進む時系列を途中で読み返しながら読み進めるのもまた一興。ミステリーとして扱うには【動くバラバラ死体】のトリックに無理があり過ぎたり、登場人物の言動どれもが突拍子もなく記号的なので物足りなさも感じるのだが、巧妙な会話劇(特に黒澤×佐々岡)や独特の人生訓はやはりこの人の作品ならではの醍醐味だろう。豊田・佐々岡両氏の再生にエールを贈りたい。

  • うーーんやっぱし伊坂幸太郎は最高のエンターテイナー!!!

    電車の中で読んだんだけど、行きだけじゃ読み終わらなくて続きが気になって帰りクタクタでもう寝たかったのに
    夢中で読んじゃった~

    相変わらず一晩経つと登場人物の名前を全部忘れるポンコツぶりだけど、泥棒の黒澤がとってもすてき。いいキャラや。

    2018.05.27

  • 伊坂幸太郎 著
    さぁ、どんなシュールな伊坂ワールドに入ってゆくのか
    ワクワクして読み出したら 登場人物が頁をめくる度に どんどん変わってゆくので、最初はこの人誰?どういう関係だったけ?なんて思いながら読んでた 一気読みしないと 次に途中から読みだすと 妙なツールに入っていってしまう。
    構成が いつも 面白いですね。
    未来を決めるのは神の恩寵か、偶然の連鎖か?
    泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾って 若者からの暴力に遭う。幕間には歩くバラバラ死体の謎。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開が どこかで繋がってるだろうなぁと思いながら、どんなふうに繋がってゆくのか?現代の寓話の世界を 上手く作品の中で人生を繋げてるのが すごいですね
    オーデュボンの祈りの青年が、案山子が、会話の中にピンポイントで登場するところが面白かった。カルトのような神に魅せられる河原崎と塚本の話は 気持ち悪かったが、泥棒家業の黒澤の会話や内容は結構面白かった。映画は観てないけど、構成難しそうだけど、面白いんでしょうね。
    伊坂幸太郎さんの頭の中は どんなシュールな世界なのかしら?作品も色々幅が広いですね 好きな本という感じではないが 面白かったです。

  • 5つの視点で描かれる物語が並走し、交錯し、収斂し、最後には壮大な騙し絵が完成する。
    最後にピースが嵌まる感覚はやはり伊坂作品ならではであるが、四十社連続不採用が続く失業者・豊田と、それぞれの配偶者を殺す計画を練る女性精神科医とサッカー選手の視点は楽しめたが、その他のパートは今一つ入り込めなかった。
    でも最後の豊田の決断には胸が熱くなった。彼に幸せと仕事が訪れますように。
    2018/06

  •  以外にも初読みの伊坂幸太郎。
     最後まで、この話はどうやって落ち着くんだろう、とドキドキしながら読みました。
     複雑な構造をした物語なのですが、最後のタネ明かしで、謎だった構造が一度バラバラに解体されてまた組み上げられていくのが気分爽快です。
     物語も、それぞれ問題を抱えた複数の人物が、さまざまな要素を介してすれ違ったり関わり合ったりして、最後にはなんとなく雲の晴れたような気分で終わります(ハッピーエンドかと言われると絶対に違いますが)
     殺人だったり泥棒だったりリストラだったり離婚だったり...扱うものは暗くて重いのですが、物語のスピード感と人物同士の軽妙なやり取りが重さを取り払っていてどこかコメディのようでもあります。

     一番共感した人物は豊田でした。

     伊坂作品は少しずつ話が繋がっているようなので、他の作品も読んでみようと思います。

  • ・伊坂幸太郎さんの本は、出版順に見たいと思ってしまい、作品リストをつくってしまったw
    ・オーデュボンの祈りの伊藤がでてきた(カカシの話も)
    ・全然関係ないようにみえた人物がどんどんつながっていくのが面白くて、
    何度も読み返して人物相関図と時系列の図をつくった
    ・あーおもしろかった

  • 初夏の早朝。カーテンを開けたときの気持ちよさ。太陽の日差しと爽快な青い空。昨夜、悩んでたことが嘘のよう。今日はいいことありそうだ。うん、何とかなる!
    そんな気持ちにさせてくれるんです。このお話。
    みんながみんな、痛みや挫折。そして、ついには殺人事件まで。いろいろ問題を抱えているのだけれど、それでも、一筋の光が射すような生き様を見せてくれる人もいました。中には自滅しちゃう人もいたのですが、その違いは何だったんだろう。人生への考え方の違いなのでしょうか。自分は生かされているのだとの思いと、人生は自分のもの、思い通りに動かしてやるとの傲慢さとの違いかもしれません。
    わたしたちは生きてたら、そりゃあ失敗もあるし、思わぬ落とし穴にもハマってしまうこともあります。だけど、『未来は神様のレシピで決まる』もんよね。ちっぽけな人間はただ大きな流れの中で生かされてるだけ。その中で何とかなるさと思いながら身を任せとこうじゃないか。。。って考えられたら、また前を向けそうです。
    神様から見たら、きっと針の穴ほどの小さな街です。そこで今日もたくさんの人間がすれ違い交錯して生きています。まるでそれは神様の手の中でくるくるまわる多面体の骨組に沿って歩いているように思えてなりません。そこには人間にとっては偶然、神様にとってはレシピ通りの思いがけない出会いも生まれるでしょう。それが吉とでるか凶とでるか、わたしたちにはどうすることもできません。まさに、神様のいうとおりです。
    でも、そう思えば逆に、今のにっちもさっちもいかない状況でも、流れに逆らわず生きてさえいれば何とかなるんじゃないかなって気も生まれてくるかもしれません。まさに暗い部屋のカーテンを開けて快晴の青空を眺めたときの眩しさのように。うーん、言うのは簡単ですね。でも、そう思ってる方が何とかなりそうかも。
    『イッツオールライト』です。

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プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業後、SEとして働くきながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。
2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。
上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されてきている。

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