重力ピエロ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 40013
レビュー : 3647
  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250236

作品紹介・あらすじ

伊坂幸太郎著の重力ピエロ、映画化もされ話題となりました。
兄弟に焦点あてたストーリーですが、弟は同じ母親から生まれたもののなんと、父親はレイプ犯。衝撃的な設定のストーリー。しかし重苦しさを感じさせずしかし兄弟や家族の絆もみられ、兄弟が事件について考えるなどミステリー要素もあります。どんどん引き込まれあっという間に読んでしまいますが結末も衝撃的です。最後まで驚かされます。

感想・レビュー・書評

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  • 兄弟の会話。親子の会話。この家族の間で繰り広げられる言葉の数々がとても印象的でした。お互いを尊重し信じ合い、なにが起きても動じないような揺るぎない根っこを持っている家族です。

    「おまえはお父さんに似て・・・」とか「家を継ぐのは長男の役目」とか「あの子がグレたのは継母だから」とか「男の子を産め」とか。例えば、お家の存続のためにもDNAや血の繋がりといったものを大事にしたがる風習がわたしの周りでは当たり前のように蔓延ってます。
    これがとても息苦しい。雁字搦めにされてしまいます。
    でも、はたっと気づきます。家族にとって血とか遺伝子とかってそんなに大切なこと?家族として愛しあうことにそれが必要条件なわけ?
    んっなことないだろう!もっと大切なことがあるじゃないか!!
    凝り固まった固定観念にガツンと衝撃を与えてくれる物語でした。
    読んでよかったなと素直に思えました。

    心に残った場面のひとつに、兄の泉水が辛い出来事によって誕生した弟の春のことについて、自分の内なる声と問答する場面があります。
    春が生まれたことは正解か。では母親に起きた事件も正解なのか。おまえの将来の妻に同じことが起こったら、子どもを産ませるのか。おまえの父親は誤っているのか・・・
    おまえの言ってることは矛盾じゃないかと問われれば、「知るか!」「矛盾だ。悪いか」とためらうことなく激昂しただろうと泉水は思います。

    人生の岐路に立ったとき、どうすればいいのかなんて自分で考えるしかない。どちらを選んだとしても、その先には正解なんてない道が続いているのでしょう。他人に理不尽だと思われようとも、憐れみや同情などのいらぬお世話にあおうとも、無責任な言動に振り回される必要なんかさらさらこれっぽっちもないんですよね。
    矛盾でなにが悪い、それが自分の選んだ道だ、文句あるか!って堂々としてたらいいんだなって、目の前がさぁーっと開けました。

  • お父さんもお母さんも泉水も春が大好きで、間違いなく春のことを家族と思っていて…春の生い立ちは信じられないくらい悲しいものですが、血の繋がりとは関係のない家族の絆に泣けてきます。お父さんの言葉が素敵過ぎる…

    読み終わった後は清々しくて、優しく温かい気持ちになるお話です。スプリング兄弟がかわいいです。春が家族との思い出一つ一つを大事にしていて、自分の中に刻み込んでいて、願掛けにもしているのだと思うとほほえましくていじらしいです。

    遺伝子で繋がっていく仕掛けもおもしろいし、遺伝子が仕掛けであることにとても意味がある繋がりでした。
    伊坂さんの小説は引用の使われ方がおもしろくて説得力があるというか、すごい言い当ててる感があって楽しいです。

    名言満載!伊坂作品の中で一番好きな作品です。

  • 人間の重い闇の部分を感動させる力量がある伊坂氏。
    常識に従うと笑えないけど、常識を決めてるのは人間だから。
    生きてる本人が、自分が、どう捉えてどう思うかで、人生変わったり、救われたり、時には誰かを救うんじゃないかな。
    そんなことを、思わせる作品でした。

  • 「目に見えるものが一番大事だと思っているやつに、こういうのは作れない」

    このフレーズが、読み終わった後にじわじわと心の中に染みてきた。今の世の中は「目に見えるもの」が大好きだ。数字、結果、データ、成績、科学的根拠。それらが優秀であることは認めるけれど、だからなんだと、そういうのにしがみついて分かった風な気分になるのはそろそろやめろと、どこかで言いたい自分がいて、それを代弁してくれたのがこの小説だったように思う。

    目に見えるもの、世間から見て良いもの、それが本当に良いものだと盲信するのは馬鹿のやることなんじゃないか。もう古いだろ。そんな気分になった。

    赤の他人が父親面するんじゃねえよ。

    そう言い切ってくれて良かった。春が、家族が、強く在ってくれて良かった。涙が止まらなかった。

    素晴らしい小説だった。

  • 本当によくできた作品だなと思います。はじまりも終わりも良いです。

  • 兄弟、父親とちょっと母親のつながりの話。傍目にはわからない家族の影の秘密。目を背けたくても、背いてはくれない、永遠に在り続ける秘密。立ち向かために力をあわせる。父は強かった。兄弟は強かった。

  • 映画化されていたのは知っていたのでようやく読んでみました。
    それなりに重いテーマではありますが家族みんなが絆を信じあっけらかんとしているのでさくさくと読めました。遺伝子の話は正直小難しくてわからないところも多かったですが、お父さんの「俺に似て嘘が下手だ」という言葉でその小難しさも吹っ飛び、泉水と春も救われたのだと思いました。

  • 思いがけず再読。
    そろそろ小説を息抜きに読みたいなと思い、図書館で借りたら読んだことあるやつだった(笑)

    でも結構内容を忘れていて、全然楽しめた。

    以前読んだ時、ちゃんと読めていたんだろうか。

    主人公の泉水と弟の春。
    二人は“spring”

    異父兄弟だが、そこには複雑な過去がある。
    母が強姦魔に襲われて生まれた春。
    強姦魔のことは認められないが、そのことがなければ春は存在しない。

    遺伝子、火、性欲。

    それらを織り込ませた美しい作品。

  • オシャレね。

  • 久し振りの伊坂作品。まだ10冊にも届いていないが、相変わらずの軽妙なタッチと言葉遊びが面白い。重いテーマではあるが、登場人物に様々な特性を巧みに与え、現実っぽさと非現実を紡いでいく。過去作からの挿話もニヤッとさせる。
    何が正しくて何が間違いなのか。正解はない。そこに辿り着くためのプロセスが成解へと導くのだろう。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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