重力ピエロ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 39983
レビュー : 3646
  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250236

感想・レビュー・書評

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  • 初伊坂幸太郎。
    伊坂ファンに「最初に読むなら何がよいか」と聞いたら、「無難に『重力ピエロ』あたりでどうでしょう」とのことで『重力ピエロ』。
    
    いや、おもしろかった!
    なにより兄弟、そして父親と交わす会話がいい。知性とユーモアとテンポの良さ。
    冗談めかした会話から家族の強い絆が伝わってくる。
    
    「俺の息子たちには、この病室に花を置く発想がなかったからな」
    「そういう繊細さを、親から教えてもらえなかったんだ」
    「親の顔が見たいな」
    
    伊坂ファンが「映画版のキャスティングで読んでしまう」というように、岡田将生くんの繊細な顔は春のイメージにぴったり。
    お兄さんの加瀬亮は私のイメージより繊細すぎるけれど、お母さんが鈴木京香なのも納得。競馬シーンは彼女のイメージで読みました。
    
    「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」
    
    春がまともに就職もせず、不安定な生活をしていることを、父はそれほど不満には思っていないようだった。「人生というのは川みたいなものだから、何をやっていようと流されていくんだ」と言ったこともある。「安定とか不安定なんていうのは、大きな川の流れの中では些細なことなんだ。向かっていく方向に大差がないのなら、好きにすればいい」
    
    「地味で、退屈な事柄にこそ、神様は棲んでるんだ」
    
    「俺はゴダールが好きだよ」
    「びっくりするくらい退屈で、びっくりするくらい美しい映画をつくる、天才だ」
    
    「人の外見は、ファッションの銘柄と同じだ」と春はよく言う。「ブランド品は高いけれど、その分、品質が良い。その逆もある。とんでもない品物にブランド名をくっつけて、客を騙すこともできる。人の外見も一緒でさ、人は目に見えるもので簡単に騙される。一番大事なものは目に見えない、という基本を忘れているんだ」
    
    無邪気に、「さようなら」と言っている子供たちは可愛らしかった。気軽に、「さようなら」が言えるのは、別れのつらさを知らない者の特権だ、と私は思う。
    

  • この本をキッカケに伊坂幸太郎をすきになった

  • 伊坂作品はすごく好きでこれまでも色々読んできたが、『重力ピエロ』はなんだかんだ理由をつけて読むのを後回しにしてきた一冊。
    テーマは重めなのに、文体が軽やかだと軽やかに読める不思議。

  • んーいい話だった。ミステリじゃなくて青春小説だね。
    リズム感が一定で読み出したら止まらない。
    ただ少し物足りなかったのは、話の結末が予想出来てしまったところ。難解なミステリー小説じゃないから仕方ないんだけど。

  • 随分前に読みました。
    個人的に犯罪を許す訳にはいかないので高評価は付けません。
    ただこの小説の魅力は、お父さんがハルに言う台詞です。
    「お前は俺に似て嘘が下手だな。」
    これに感動し、家族がいるリビングで一人で泣いた記憶があります。

  • 実際にはとっても重たい内容のお話なのに、暗くならず逆に個性的なキャラクターで楽しく読めて、後味も私としてはスッキリしてとっても良かったです。
    伊坂幸太郎さんの本の登場人物はやっぱり魅力的で、とっても引きつけられました。
    特に家族での過去にあったエピソードに心温まり、泣けちゃったりしました。
    「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」そういう本でした。
    泉水と春と父と母、ジワーときて羨ましい家族です。

  • 「春が二階から落ちてきた」この、冒頭がいい。
    お父さんが、たまらなく、いい。ミステリーだけど家族愛の話。心に残るような名言がたくさん出てくるのも、いい。物語の結末は、気に入らない。でも、「春が二階から落ちてきた」で締めているので、帳消し。

  • 初めて読んだ伊坂さんの作品。
    あまり本も読んだことがなかったが、徐々に真相がそ見えてくるのが楽しくて面白いなぁと思った。キャラクターの会話の中で あ、この言葉できっと彼も気づいただろうな とキャラクターと感情を共有しているような感覚がありました。
    最後は全てが明かされる前に真相が分かっていましたが、それがまた悲しいような寂しいような感情に繋がって良かったと思います。

  • オーデュボン、ラッシュライフ、陽気なギャング、重力ピエロと読んできたが、今のところ特に心に響くものはない。
    砂漠はだいぶ前に読んだが、面白かった。ということは、重力ピエロ以降の作品はどんどん面白くなっていくのか?

    上記作品に共通しているのはとにかく「薄っぺらい」ことだ。
    ミステリーというには謎が入り組んでおらず、文芸というには軽い。
    登場人物は「いかにも作った」感じだし、ストーリーは伏線回収といえば聞こえはいいがどこか「都合が良い」。
    そのくせ、うだうだと喋る喋る。ドストエフスキーを引用して見せるが、ライトな読者層には「頭が良さそう」に映るのだろう。

    世間では人気があるようだから、私の狭い感受性に合わないだけなのだろう。

    印象的な一節。
    ――ピエロは、重力を忘れさせるために、メイクをし、玉に乗り、空中ブランコで優雅に空を飛び、時には不格好に飛ぶ。何かを忘れさせるために、だ。
    私が常識や法律を持ち出すまでもなく、重力は放っておいても働いてくる。
    それならば、唯一の兄弟である私は、その重力に逆らってみせるべきではないか。

  • 「春が二階から落ちてきた」で物語が始まり、締めているのが良かった。一見なんも脈絡のない言葉の羅列から文字を見つけ、繋ぎ出してみたり、連続放火事件、落書きから見えてきた犯人の目的や意味、なぜなのかに至ったことや、レイプという犯罪を明らかにして、ある法則を見出していく。そして、春と繋がりのある人物がわかり、そして家族というのを感じさせる作品。「お前は俺と似て嘘が下手だ」という言葉から家族の愛情が充分に伝わってくる。春と泉水、親子との絆や以前読んだラッシュライフと同様に多様な言葉の表現、ユーモア性に感銘。

    • kharaさん
      いいレビューだと思いました☻
      他にも自分が読んだ本、興味のある本が幾つかあったのでフォローさせていただきました。他のものも拝見させてくださ...
      いいレビューだと思いました☻
      他にも自分が読んだ本、興味のある本が幾つかあったのでフォローさせていただきました。他のものも拝見させてくださいね。
      2015/06/21
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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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