重力ピエロ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.78
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本棚登録 : 42740
レビュー : 3730
  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250236

作品紹介・あらすじ

伊坂幸太郎著の重力ピエロ、映画化もされ話題となりました。
兄弟に焦点あてたストーリーですが、弟は同じ母親から生まれたもののなんと、父親はレイプ犯。衝撃的な設定のストーリー。しかし重苦しさを感じさせずしかし兄弟や家族の絆もみられ、兄弟が事件について考えるなどミステリー要素もあります。どんどん引き込まれあっという間に読んでしまいますが結末も衝撃的です。最後まで驚かされます。

感想・レビュー・書評

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  • 兄弟の会話。親子の会話。この家族の間で繰り広げられる言葉の数々がとても印象的でした。お互いを尊重し信じ合い、なにが起きても動じないような揺るぎない根っこを持っている家族です。

    「おまえはお父さんに似て・・・」とか「家を継ぐのは長男の役目」とか「あの子がグレたのは継母だから」とか「男の子を産め」とか。例えば、お家の存続のためにもDNAや血の繋がりといったものを大事にしたがる風習がわたしの周りでは当たり前のように蔓延ってます。
    これがとても息苦しい。雁字搦めにされてしまいます。
    でも、はたっと気づきます。家族にとって血とか遺伝子とかってそんなに大切なこと?家族として愛しあうことにそれが必要条件なわけ?
    んっなことないだろう!もっと大切なことがあるじゃないか!!
    凝り固まった固定観念にガツンと衝撃を与えてくれる物語でした。
    読んでよかったなと素直に思えました。

    心に残った場面のひとつに、兄の泉水が辛い出来事によって誕生した弟の春のことについて、自分の内なる声と問答する場面があります。
    春が生まれたことは正解か。では母親に起きた事件も正解なのか。おまえの将来の妻に同じことが起こったら、子どもを産ませるのか。おまえの父親は誤っているのか・・・
    おまえの言ってることは矛盾じゃないかと問われれば、「知るか!」「矛盾だ。悪いか」とためらうことなく激昂しただろうと泉水は思います。

    人生の岐路に立ったとき、どうすればいいのかなんて自分で考えるしかない。どちらを選んだとしても、その先には正解なんてない道が続いているのでしょう。他人に理不尽だと思われようとも、憐れみや同情などのいらぬお世話にあおうとも、無責任な言動に振り回される必要なんかさらさらこれっぽっちもないんですよね。
    矛盾でなにが悪い、それが自分の選んだ道だ、文句あるか!って堂々としてたらいいんだなって、目の前がさぁーっと開けました。

  • 「『本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ』
    まさに今がそうだ。ピエロは、重力を忘れさせるために、メイクをし、玉に乗り、空中ブランコで優雅に空を飛び、時には不格好に転ぶ。何かを忘れさせるために、だ。
    私が常識や法律を持ち出すまでもなく、重力は放っておいても働いてくる。それならば、唯一の兄弟である私は、その重力に逆らってみせるべきではないか。」p. 449
    __

    遺伝子情報を扱う企業に勤める兄・泉水と、自分がピカソの生まれ変わりだと信じている弟・春。そして、優しい父と美しい母。家族には、辛い過去があった。
    兄弟が大人になった時、事件は始まる。連続放火事件と、火事を予見するような謎の落書きの出現。落書きと遺伝子のルールの奇妙なリンク……
    __

    ミステリにおける退屈な手続き、という名の章が立てられていたりして、結末に期待しすぎたかも。
    これはミステリというより、家族小説? あたたかくていい話でした。

    序盤に居酒屋に現れて強烈な印象を残していった女性は、また出てくるのかと期待していましたが残念。
    ほかの伊坂作品の登場人物も出てきてるみたいで、んーこの喋り方不自然だしそうなんだろうなと思いながら読みましたがちょっとつまんなかったかな。知ってるとうれしいのかもしれません。
    __

    「重いものを背負いながら、タップを踏むように」、さりげなくすごいことをやってしまう夏子さんとお父さんが、好きです。

  • お父さんもお母さんも泉水も春が大好きで、間違いなく春のことを家族と思っていて…春の生い立ちは信じられないくらい悲しいものですが、血の繋がりとは関係のない家族の絆に泣けてきます。お父さんの言葉が素敵過ぎる…

    読み終わった後は清々しくて、優しく温かい気持ちになるお話です。スプリング兄弟がかわいいです。春が家族との思い出一つ一つを大事にしていて、自分の中に刻み込んでいて、願掛けにもしているのだと思うとほほえましくていじらしいです。

    遺伝子で繋がっていく仕掛けもおもしろいし、遺伝子が仕掛けであることにとても意味がある繋がりでした。
    伊坂さんの小説は引用の使われ方がおもしろくて説得力があるというか、すごい言い当ててる感があって楽しいです。

    名言満載!伊坂作品の中で一番好きな作品です。

  • 【兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは。】

    "春が二階から落ちてきた"
    このインパクトある冒頭の一文が、ラストでお洒落に繋がる!!

    全編を通して、哲学的でありながら軽快な会話、お洒落な引用と比喩が効いていて、存分に伊坂節を堪能することができました!!
    決して軽くは無い、むしろ重い題材ながら最後まで楽しく読むことができます(^^)

    泉水と春の会話を聞いてると、「宇宙兄弟」のムッタとヒビトが浮かんできました(^^)

    終盤、全てを終えた兄弟が父の見舞いに訪れた際に、春が父に言われた一言…
    「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
    ここまでの全てが報われるような一言に号泣でした(>_<)

  • 「目に見えるものが一番大事だと思っているやつに、こういうのは作れない」

    このフレーズが、読み終わった後にじわじわと心の中に染みてきた。今の世の中は「目に見えるもの」が大好きだ。数字、結果、データ、成績、科学的根拠。それらが優秀であることは認めるけれど、だからなんだと、そういうのにしがみついて分かった風な気分になるのはそろそろやめろと、どこかで言いたい自分がいて、それを代弁してくれたのがこの小説だったように思う。

    目に見えるもの、世間から見て良いもの、それが本当に良いものだと盲信するのは馬鹿のやることなんじゃないか。もう古いだろ。そんな気分になった。

    赤の他人が父親面するんじゃねえよ。

    そう言い切ってくれて良かった。春が、家族が、強く在ってくれて良かった。涙が止まらなかった。

    素晴らしい小説だった。

  • この作者の本を読みたくてなんとなく買った本

    家族の話でした。家族というより兄弟の話かもしれない。

    ミステリーな要素もあって面白い内容で、すらすら読めた。

    最後はちょっと感動した。

    自分にはあまりない兄弟の絆をみせられた様な小説でした。

  • 放火

    レイプ

    殺人

    これらを扱うには書き手にかなりのリスクがかかると思う。
    実際賛否両論みたいだ。

    私自身も登場人物の一人がこれらの罪を正当化するようなセリフに違和感がある。
    いや、正直嫌悪感がある。こんなにさらっとさわやかに書き上げるなんて!と。
    ミステリーとして読むなら、途中から大体の結論は読めてしまうところが物足りない。

    でも、私は筋よりもセリフを重視するタイプの人間なので、「兄・泉水」「弟・春」の父が言った

    「(ここネタばれになるため省略)・・・俺たちは最強の家族だ」にしびれた。

    あとしびれたセリフといえばコレかな。

    「本当に深刻なことほど、陽気に伝えるべきなんだよ」

  • 人間の重い闇の部分を感動させる力量がある伊坂氏。
    常識に従うと笑えないけど、常識を決めてるのは人間だから。
    生きてる本人が、自分が、どう捉えてどう思うかで、人生変わったり、救われたり、時には誰かを救うんじゃないかな。
    そんなことを、思わせる作品でした。

  • 久し振りの伊坂作品。まだ10冊にも届いていないが、相変わらずの軽妙なタッチと言葉遊びが面白い。重いテーマではあるが、登場人物に様々な特性を巧みに与え、現実っぽさと非現実を紡いでいく。過去作からの挿話もニヤッとさせる。
    何が正しくて何が間違いなのか。正解はない。そこに辿り着くためのプロセスが成解へと導くのだろう。

  • 映画を気に入り、今度は原作をと思い、読了。

    登場人物たちの魅力、表情、感情、それらが文章から十分に伝わってくる。映画とは、また一味違った面白さ。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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