ゴールデンスランバー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.11
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本棚登録 : 25146
レビュー : 1805
  • Amazon.co.jp ・本 (690ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250267

作品紹介・あらすじ

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ?何が起こっているんだ?俺はやっていない-。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。

感想・レビュー・書評

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  • この作品を読んだのは2度目です。
    この作品の正統派のレビューを書くとしたらなら、まず権力に対する怒りとか、マスコミや外野の人たちの恐ろしさ、本当の友情とは何かなどを書かなければならないのかもしれません。
    でも、2度目に読んだので別のことを書きます。

    最初は単行本が出たときすぐに買って読みました。
    そして、この作品は、第5回本屋大賞受賞、山本周五郎賞受賞、映画化もされました。

    私は、日本で今活躍されている作家さんの中で伊坂幸太郎さんが最も好きな作家さんなんですが、その理由として、デビュー間もない頃、作家とファンという立場ですが、2度お目にかかってそのお人柄にも触れたことがあるということもあります。一度目は『ラッツシュライフ』のあと二度目は『死神の精度』のすぐあとです。

    12年前になりますが、そのことをよく知っている友人に「何か伊坂さんの本を貸して欲しい」と言われ、友人が「ゴールデンスランバーがいい」というので(本屋大賞のせいだと思います)貸したら、返ってきた感想が、「私はこの人は好きじゃない。だって話を全部作っているから」というようなことを言われてしまい、慌てて「他の本も読んでみたら」と言ってみたのですが、「ううん、もうわかったからいい」と言われてしまいました。
    友人の言っていることは、私はあくまでファンですが、なんとなくわかるんです。伊坂さんの作品は伏線の鮮やかな回収が特に初期の作品では技巧的に上手いと言われています。
    私もこの作品に関して言えば、主人公の青柳雅春と大学時代の恋人の樋口晴子が数年の付き合いを経て別れているのが、すごく気になっていました。「この二人って別に別れる必要ないのに、ストーリーの都合上、特に理由もないのに別れた恋人同士として都合よく使うための関係じゃないのか」と私も1度目に読んだときはそういう、意地悪な自問自答をしました。
    でも、今回読んだら違ったのです。

    友人の次に弟にも「この本を貸してくれ」と言われ、貸したら案の定、返ってこなくなったので、今回文庫本を買って読みました。
    伊坂さんはやっぱり上手いです。私は作られた話だとはもう思えなくなっていて、別れるべき運命の二人だったのだと思いました。
    1度目と2度目、何が違ったのかと思うと、私の方が成長していた(と自分でいうのもなんですが)のでしょう。読みなれたというか。
    この話が技巧的であるとか思うのはとんでもない間違いであると確信しました。別れた二人の、その後の物語そのものだったのですね。

    そして680ページありますが、最後の500ページ以降は2度目にもかかわらず、ページを繰る手が止まらないという表現がまさにぴったりの圧巻のエンターテインメントでもありました。

    『ゴールデンスランバー』というのは、ビートルズの歌の曲名にちなんだものだそうで、直訳すると『黄金のまどろみ』。「今はもうあの頃には戻れないし。昔は帰る道があったのに。いつの間にかみんな年取って…」というような歌詞があるそうです。
    別れてしまった、恋人たち、逢えなくなった昔の友人達の存在の寂しさを象徴しているような気がします。

    そして、後日談ですが、本を貸した友人の、当時生まれたばかりだった娘さんが、今、中学生で、伊坂さんの大ファンになられたそうなんです。「陽気なギャングとか好きなんだけど、あれってそんなに面白いの?」とこの間友人に聞かれました。

    長々とすいませんでした。
    そして、勝手に書いてしまって友人のAさん、読んでいらしたらごめんなさい(__)

    • まことさん
      kurumicookiesさん♪初めまして。

      フォローありがとうございます!
      伊坂幸太郎さんはお薦めです。
      ひとことで言えば勧善懲...
      kurumicookiesさん♪初めまして。

      フォローありがとうございます!
      伊坂幸太郎さんはお薦めです。
      ひとことで言えば勧善懲悪なところとか、伏線回収の見事さが魅力です。
      他にも魅力はたくさんありますが。
      楽しんでください。

      ひとしさん♪こんにちは。

      ひとしさんはkurumicookiesさんに返信されたのですよね。
      私のメールボックスにも入っていたので、コメント読ませていただきました。
      ブクログさんも、色々、機能が便利になってきて、複数人で、コメント欄で語りあったりできますね(*^^*)
      2020/06/07
    • ひとしさん
      そうなんです。
      やっぱり私のメールボックスにも返信がきましたってようなものが来ていたので(^◇^;)
      ホント便利になってきましたよね!
      ...
      そうなんです。
      やっぱり私のメールボックスにも返信がきましたってようなものが来ていたので(^◇^;)
      ホント便利になってきましたよね!
      これからもよろしくお願いします!
      2020/06/07
    • まことさん
      ひとしさん♪

      こちらこそ、これからもよろしくお願いします!
      ひとしさん♪

      こちらこそ、これからもよろしくお願いします!
      2020/06/08
  • 映画を観ているように次から次へと場面が流れていきます。登場人物たちみんなが生きてるって感じるほど汗や涙の感触が伝わってきました。そして、習慣と信頼、思いっきり!そんな感情の波がどどんと押し寄せてきます。こんなこと、あるはずないなんてひと昔前なら思ってたけど、いやいや分かんないぞ、あり得るわ今の世の中。
    青柳くんの首相暗殺の濡れ衣をきせられ逃亡する現在と学生時代の楽しい思い出。そして青柳くんを信じて行動を起こす人たち。それらがスムーズにリンクしていて躓くこともなく読みやすかったです。この敵はこの国で生きていくには決して勝つことができない、いや勝ってはいけないものなのでしょう。恐ろしい巨大な陰謀。青柳くんがとった行動は、それも一つの戦い方。青柳くんがどこかで生きていてくれることが大切だと思うんです。

  • 星3かなと感じてたところ、晴子の「だと思った」のメモ書き返信で星4に格上げ。
    ビートルズのゴールデンスランバーは好きな曲なので、曲名が出てくるたび、口ずさんでいる自分に気づいた。

  • 濡れ衣を着せられたままとにかく逃げる。スピード感と迫り来る圧力で、自分自身が逃げてるんじゃないかと錯覚させられる。流石としか言えない。

    大きな"あいつら"に巻き込まれ、誰も信じてくれないどころか警察は容赦なく攻撃してくる。こんな状況でも、昔バカ騒ぎした友達に職場の仲間に見ず知らずの物好きに、背中を押される。逃げろ。

    腑に落ちないのに後味すっきり。
    純粋に、面白かった。

  • ブックオフで見てなんとなく買った小説

    殺人事件を解決する内容だと勝手に思ってたが、全く違う内容だった。

    誰かの感想にも書いてあったが、映画の逃亡者みたいな感じだと自分も思った。

    最終的にいろいろ解決できてないような気もするが、[たいへんよくできました]なんだろうと思う最後だった。

    どんな状況でも信頼してくれる人がいる事が大事と教えてもらったような小説でした。

  • 人生の最大の武器は、習慣と信頼だ、
    この台詞に尽きるのかもしれない。

    青柳とまわりの助っ人たちの逃走劇。
    読むうちにスピード感が増して
    終盤はあっという間に読み進めてしまった。

    ハッピーエンドとは言えないはずなのに
    どこかほっこりする終わりだった。
    青柳の本当の姿を知る人たちは
    誰も彼を疑うことはしなかった、
    これは彼の人柄の賜物なんだろう。
    樋口、森田、小野、父親含め
    周りの助っ人たちとの間には
    間違いなく信頼関係があった、
    それが彼の逃げる道を作った。

    出てくる登場人物皆が
    どこか憎めないキャラクターなのと
    軽快なクスりとくる会話がやはり伊坂さん。

  • 「早く、1行でも早く続きを読みたい」という想いに駆られながら一冊を読みきったのは久しぶりの体験だったかもしれない。
    首相が衆人環視のなか暗殺され、その犯人に仕立て上げられた主人公・青柳雅春。わけのわからない状況下、あらゆる知恵や勇気を振り絞り、とにかく逃げる、逃げる、逃げる……。
    それまでの人生で出会った人たちに様々な形で逃亡の手助けをしてもらい、最後の最後に痛快な結末を迎えられたのも、その人たちに「真犯人ではない」と心から信じてもらえる何かを、青柳が見せてきたからにほかならない。
    いや、ディテールを語ることや陳腐な常套句を使った褒め言葉はこの作品には不要だ。「とにかく、ひたすら、めちゃくちゃおもしろい」ということでいいのではないかな?

  • ケネディー暗殺をモチーフにした作品だした。
    ストーリーというよりも、登場する人間像を読ませる作品のように感じました。
    現代の監視社会も取り上げています。
    必要性も感じますが、怖い一面も取り上げられています。

    最後は感動的な場面で終わっていましたが、そのあとどうなったか、本当の黒幕は何なのか、とても気になりました。

    伊坂氏の作品はこれからも読んでいきたいと思いました。

  • 伊坂幸太郎は仙台在住の作家であるが、今回の震災に関しては特別なアクションはおこしていないようだ。

    伊坂幸太郎は直木賞に嫌われている。これほどまでに人気作家で、かつ新しい世界を作っているのにも拘らず、直木賞を受賞する気配がない。

    この作品に関しては、特にわざと避けられたのではないか、と勘繰りさえする。なぜならば、とても危険な小説だからである。

    監視社会、マスコミ操作、アメリカの影という一種巨大な組織の力が背景に描かれる。普通の小説と違うのは、全く普通の人間がその生贄として選ばれ、彼にはその巨大な「力」と闘う方法も、度胸も、その気さえないということだ。普通の小説ならば、その他大勢として小説の前段階で消されるべき人物である。

    ところが彼は逃げおおせる。これは今現在「巨大な力」がもしあれとすれば、最も危険な筋書きのはずだ。どうも陰の力が働いて、特にこの作品に限ってでも、伊坂にまともな賞を取らせるな、という陰謀が企てられても可笑しくはない。ところが、世の中は上手く行かないもので、本当に面白い作品には、辺境から評価されるものである。山本周五郎賞と本屋大賞のダブル受賞はそのようにして起こり、出版から二年と少しで映画化されてヒットするということも、「巨大な力」の想定外のことであったに違いない。

    ……というような妄想は置いといて、映画を見て十分に筋立ては知っているのにも拘らず、大変楽しむことができた。

    「人間の最大の武器は、習慣と信頼だ」
    「オズワルドにされるぞ」
    「いいか、青柳、逃げろよ。無様な姿を晒してもいいから、とにかく逃げて、生きろ。人間、生きててなんぼだ」
    「ロックだねえ」
    「俺は犯人じゃない。青柳雅春」だと思った。
    「いいか、俺は信じたいんじゃない。知ってんだよ」
    「まあ、雅春、ちゃっちゃと逃げろ」
    「なかなか洒落が利いてるお便りが」
    「たいへんよくできました」

    映画でとても印象的だった台詞が原作の中でそのまま使われている(じゃなくて映画でそのまま使われている)のは、大変嬉しかった。

  • 10年くらい前、DVDの方で観たことがあって、その時には特に印象に残らなかったし、あまり作品の良さもわからなかった。
    内容も結末も忘れてしまった今原作を読み、とても感動しています。
    特に、終盤の花火のシーン。色々なことが繋がり、鳥肌が立つようでした。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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