ゴールデンスランバー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.11
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  • 本棚登録 :21209
  • レビュー :1626
  • Amazon.co.jp ・本 (690ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250267

作品紹介・あらすじ

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ?何が起こっているんだ?俺はやっていない-。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。

感想・レビュー・書評

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  • 言わなくても信じて助けてくれる人たちがいる、それは習慣と信頼、日々人と向き合ってきちんと生きていたからで、毎日を不誠実に生きている私にはとても縁遠いけどこの本は読んでいてぐっとくる場面が多かった。ベタだけど親父の囲み取材、バッテリー交換、は素直に感動した。学生時代の話を挟んでくるんだけどそれがまた思い出話に終わらないちゃんとした伏線になっていて、実に気分が良い。保土ヶ谷とかキルオのように初対面でほいと味方になってくれてなんて御都合主義なところもあったけど、そこまで気にならない。服を交換してくれる若者達はあまりにファンタジーだったけどまあエンターテイメント小説だしこまけえことはいいんだよ。私が苦手とするえん罪で追われる系の話、1~2章の取っ付きにくさもあってなかなか進まないけど途中から俄然面白くなる。登場人物が魅力的。悪い奴は悪い奴、良い奴はちゃんと最後まで良い奴、女性がさばさばしてて強い。ちょっとしか出てこないけど樋口の夫がすごくかっこいい、器の広い良い男。轟社長の息子も男らしくてかっこいい。そして最後の章、わかる人だけわかればいい、その方法が粋で黒幕とか理由とか色々どうでも良くなった。ロックだぜ。

  • 映画を見たので原作読んでみた。
    読んでるうちに俳優さんで物語が再生されてしまったけど、違和感全然無かったし、映画見た上でも楽しめた。
    約500ページの長編なのに、映画はほとんど削られてなかったし。原作も映画も良い。珍しく。

    これは「伊坂幸太郎的に娯楽小説に徹したらどうなるか」という発想から生まれた作品、とのこと。
    その目的に違わず、主人公が逃げ続けるエンターテイメント作品になっている。
    逃げる青柳と、心配する樋口、そして二人の過去が紡がれながら進んでいく。
    構成が巧みだなー。


    「人間の最大の武器は習慣と信頼だ」
    っていうのが好き。
    仲間との信頼の糸が見える場面がとても良い。

  • 「早く、1行でも早く続きを読みたい」という想いに駆られながら一冊を読みきったのは久しぶりの体験だったかもしれない。
    首相が衆人環視のなか暗殺され、その犯人に仕立て上げられた主人公・青柳雅春。わけのわからない状況下、あらゆる知恵や勇気を振り絞り、とにかく逃げる、逃げる、逃げる……。
    それまでの人生で出会った人たちに様々な形で逃亡の手助けをしてもらい、最後の最後に痛快な結末を迎えられたのも、その人たちに「真犯人ではない」と心から信じてもらえる何かを、青柳が見せてきたからにほかならない。
    いや、ディテールを語ることや陳腐な常套句を使った褒め言葉はこの作品には不要だ。「とにかく、ひたすら、めちゃくちゃおもしろい」ということでいいのではないかな?

  • 読み始めると止まらない。
    物語の筋がしっかりしている。その上、筋を支える細かな描写が面白い。
    チョコレートと魚のゲームで別れを決める場面や、歌を口ずさみながらさよならを言う友人の場面。森田屋〜と叫ぶ場面など、物語が筋を決める重要なきっかけが全部なんでもないこと である。
    実際にわたしたちの生活だってそんなもんだなぁなんて思いました。
    僕の人生、よくできました止まりなんだよなぁ、という部分は秀逸なラストシーンにつながるし、主人公のエレベーターのボタンを親指で押す癖も鍵を握る。
    伊坂幸太郎が得意な、登場人物がだんだん出会っていく手法も、出会わせることが目的ではなく、主人公がにげながら人生をつかんでいく大筋にそってそれを支えるように描かれているので、ご都合主義な雰囲気が隠れていて丁度よく楽しめた。
    ラストまで読んで、これはあり得ない話の現実的な結末に落ち着いたなぁと思った。読み終わった時の爽快感はもう少しほしかったけど、これ以上のハッピーエンドは物語の空気を軽くしてしまうような気もして、これがいちばんだったのかなぁなんて思いました。

  • 首相を暗殺したのが誰なのか、なぜ青柳が犯人にしたてあげられたのか等、真相部分は一切解明されない。
    あくまでも、青柳がこの状況からいかに逃げ延びることが出来るか に焦点を当てて書かれた作品。でも、一切の謎解きがなくてもその逃走の過程が楽しめました。
    最後の「たいへんよくできました」を目にした時は何だかすごく嬉しくなった。

  • 伊坂幸太郎初めて読みました。とっても面白かった!はまってしまう予感です。

    国家的な何かによって、首相暗殺犯に仕立て上げられてしまった青柳雅春の逃亡の物語。
    その過程で人が殺されたり、警察による暴力があったり、決して穏やかではないストーリー展開の中、彼の無実を信じて逃亡を助ける面々が、なんともなんとも飄々としていて、でも暖かいんです。
    最後はじわっと来ました。これは信頼の物語かな。

    登場人物の名前が一貫してフルネームで書かれ、また、短い会話の連続のとき、言葉の長さをきれいに揃えて鍵かっこが一直線に並ぶのは、伊坂さんの特徴なのか…、次の作品で確認します(笑)

  • 珍しく、映像が先で原作を読むまで三年位経っていた。当時一緒に観た友人も伊坂フリークで、色々感想を言い合ったものだ。

    大統領暗殺の濡れ衣を着せられたオズワルドのように、首相暗殺の犯人にされ、訳もわからないまま逃げ回る青柳。映画では堺雅人さんが演じていたはず。なるほど二枚目ではあるが、悪意に満ちた犯人にも見えなくはない。(ちなみにカズは劇団ひとりが演じた)

    立ちはだかる大きな陰謀、キーマンたちは消され、追い詰められる青柳。
    ターゲットにされた恐怖と理不尽さに戸惑い、怒りながらも逃げ続ける彼を手助けするかつての仲間たち。

    よくまあこれだけの伏線を全て綺麗に回収出来たなぁ…

    お話としては犠牲者が多くやりきれない気持ちになるけれど、いつか伊坂さんマジックで他の作品に登場する青柳がみたいなぁ。

    • kwosaさん
      「伊坂さんマジックで他の作品に登場する青柳」いいですね。
      映画も面白かったですが、やはり再読してわかる原作の凄さ。
      再読すると第三章は、「若者たちが、『〜アメリカみたいだ』と嘆いていた」や「森の声も聞こえなかった」という記述から、このノンフィクションライターがおそらく青柳であろうことがわかります。そう考えると青柳は日の当たる世界できちんと生活し、あの事件の真相を白日の下にさらそうとしている、本当の意味で逃げ切ったのだと思われます。
      作中にノーマルENDとは別に真ENDをまぎれこませるとは「伊坂幸太郎すげぇ!!」って思ってしまいます。
      2012/11/11
    • hetarebooksさん
      kwosaさん

      そうそう、「百聞は一見に如かず」と言いますが小説の映画化の場合しばしば逆の、(聞くと読むは違いますが)現象が起こりますよね。

      伊坂さんのように小ワザをたくさん仕込む作家さんは特に。。。

      青柳の実家に届いた「痴漢は死ね」にあやうく泣きそうでした。
      本当に読めば読むほど追いかけたくなる作家さんですよね。
      2012/11/14
    • kwosaさん
      hetarebooksさん
      コメントありがとうございます。
      いやあ、僕もまさか「痴漢は死ね」なんて言葉で目頭が熱くなるとは思いませんでした。
      伊坂作品を読み慣れてくると、ついつい「これが伏線かな」なんてひねくれた読者になりがちなんですが、いつもさらに上をいき楽しませてもらっています。
      エンタテインメント性たっぷりでありながら、人間の心の機微も感じさせる稀有な作家さんですよね。
      同時代に「伊坂幸太郎」を読める幸せをあらためて噛み締めています。
      2012/11/15
  • 何度読んでもよい。映画観てからでもよい。

  • ゴールデンスランバーの出だし「Once there was a way to get back homeward 」に大学時代のことを思い出しながら、学生サークルのメンバーたちに真実を伝えるためにも、冤罪から絶対逃げ切ろうという青柳の逃亡劇が描かれている。
    仙台のパレードで当時の金田首相が殺害された。様々な証言や証拠(状況証拠しかなかったのであるが)から、青柳が実行犯として報道された。
    しかし、青柳は犯行をしておらず、知人たち(学生時代のサークルメンバー)が次々に事件に巻き込まれていく。なぜ自分に濡れ衣が着せられたのか分からないまま、元宅配ドライバーの青柳は養った土地勘を用いて逃亡し続ける。事件から3日目の朝、詰みの状態になりつつあった青柳は、殺されずに自らの無実を主張するため、公園のマンホールから飛び出て、予告したため駆けつけた報道陣のカメラめがけて、訴える計画を立てた。しかし、計画の雲行きが怪しくなったため、マンホールの中に戻り逃走し、整形することで、別の人物として生活していくことを決意したのであった。
    なお、事件から20年が経過して、暗殺については、副首相であった海老沢が手を回していたという説、アメリカが絡んでいた説、愛人が絡んでいた説など様々な説が語られているが、事の真実は判明していない。すなわち、真実は何らかの巨大な組織によって闇に葬られたのであった。

    伏線回収が見事である。本書は700ページ近くあるが、登場する人物・回想に無駄はない。著者の特徴に、時系列が何度も入れ替わる(回想シーンが登場する)ことが挙げられるが、展開されている時系列と過去の出来事が繋がった時の高揚感は、伊坂ワールドとして読者を魅了するであろう。
    評者としては、かつて助けたアイドルが登場するシーンとエレベーターから降りた時に樋口晴子の子どもが青柳にスタンプを押すシーンの伏線回収に吃驚仰天した。
    花火職人の轟社長(ロッキー)が「もしかすると自分が見てる今、別のところで昔の友人が同じものを眺めてるかもしれねえな、なんて思うと愉快じゃねえか?たぶんな、そん時は相手も同じこと考えてんじゃねえかな。俺はそう思うよ。」と言う場面があるが(264ページ)、この発言は、それぞれの登場人物が青柳の無実を思っていることのメルクマールとして捉えることもできよう。そして、青柳がマンホールへ逆戻りする逃走の合図となったのもやはり打ち上げ花火であった。数をあげると限りがないが、叙述されている様々な出来事が青柳の逃亡劇に見事に収斂されるのは、きれいに伏線を畳む著者の技術の高さを示している。
    また、本書は、無実の者が生きるために整形までするという不条理な話を描いているが、それに勝る感動があるため、悲観的な気分にはならずに済むであろう。

  • 後半一気に読みました。
    少しずつ話が繋がる快感が気持ち良く、最後の回収は見事。
    真相は藪の中でもやっとすることがわかっているにもかかわらず、ラストの爽快感がすごい。

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