オー!ファーザー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.83
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本棚登録 : 8948
レビュー : 754
  • Amazon.co.jp ・本 (557ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250274

作品紹介・あらすじ

一人息子に四人の父親!? 由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。個性溢れる父×4に囲まれて、高校生が遭遇するは、事件、事件、事件――。知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 父親が4人いるという風変わりな設定からは想像もつかないほど、読後はほっこりして暖かい気持ちになった。4人の個性的な父親たちは、長所も短所も様々で、息子の由紀夫は、けむたがりながらも愛情を人一倍受けている。息子のために、4人が力を合わせて団結したところは、父親たちがスーパーヒーローに思えてしまった。そして、やっぱり母は偉大だ。

  • 高校3年生の一人息子、由紀夫には4人の父親がいる。

    父親からの干渉が鬱陶しく感じる年頃にも関わらず、個性的な父親“達”に囲まれるという少し特殊な生活を送っている由紀夫。気さくに話しかけてくれる女友達や「殿様」というあだ名を持つ友人にも囲まれながら、騒々しくも平穏な日々を過ごしていた。しかしながら、彼を取り巻く日常は徐々に不穏な背景を持つ事件に侵食されていく。



    とにかく、父親×4なので、彼らの考えや言い分も様々あり、個性も性格もバラバラで、父から子に教えてあげられることも×4、何か議論になると父親からの意見が×4、叱られる時も×4、褒められる時も×4と、一般的な家庭に生まれたならば1人に対して1人の父親。という当たり前の構造に、4倍の熱量が加わってきて愉快な化学反応を起こしている。

    作品の設定が設定なだけに、コメディ感が強くて、クスッと笑える場面が所々にあって面白かった。子は父親の姿を見ながら成長していくと言うけれど、由紀夫は一体どんな風に成長していくんだろう。成人になっても相変わらず、影からはこっそりと沢山の父親が見守っていそう。側から見たらシュールだけど、大切に育てられていることの証だと思う。



    個人的に、最後まで由紀夫と血の繋がりがある父親が4人のうち誰だったのかが語られないのがよかった。実は4人のうちの誰でもないのかもしれない、(奥さんの方にもまだまだ秘密がありそうで…笑)

    これからも、騒がしくて暖かいこの一家の雰囲気が続いて欲しい。

  • 伊坂幸太郎を読むのは、久しぶりのことだった。
    彼の作品が面白いのは知っている。
    知っているから先入観も手伝い、それほどには感じないと思っていたのだが、やはり面白かった。

    主人公の由紀夫には、四人の父親がいる。
    これだけでも、は? 何を言っているんだと思うのに、四人であることを自然と受け入れさせる筆力。加え、いつもの小気味いいテンポと随所にある、含み笑いを誘う数々の文章がたまらない。
    ニヤニヤしてしまう自分を止められないのが悔しいが、面白いのだから仕方ない。
    内容は、面白く笑えることばかりではない。
    いつものようにハラハラとスリリングでもあるし、時には真剣みを帯びてシリアスでもある。
    なのに、やはりククッと笑わせてくれるのだから、いっき読みだ。
    起きた出来事を考えれば決して笑えるはずなどないのに、心を軽くして読みやすくページを捲らせるのが彼の作品だ。
    私はきっと、まるで麻薬のように(経験したことはないが)また伊坂幸太郎の別の本を、期待を胸に手にするだろう。

  • 4人の父が居る由紀夫。

    ①鷹、ギャンブラー。チンピラ風。
    ②葵、居酒屋経営。イケメン。女性好き。
    ③勲、中学教師。格闘技やスポーツが得意。
    ④悟、大学教授。真面目そうでたまにとんだことをいう。

    そして、それぞれの父親から得意分野を教え込まれた由紀夫は
    そこそこ何でも出来るいい男。

    由紀夫の周辺で色々な事件が巻き起こり、最後には「あれもこれも
    伏線だったのか!」と言うように、パタパタと回収されていく。
    これぞ伊坂幸太郎を読む醍醐味!

    そして各キャラクターの飄々としたユーモアあふれる会話。
    特に4人の父親達の個性がきっちり出ていて、父親と由紀夫
    の会話が好きでした。

    愛情あふれる4人の父親とそれを鬱陶しく思いながらも決して
    嫌ってはいない由紀夫。
    素敵な家族だ。
    お母さんはほとんど出てきませんが、みんなにものすごく愛されて
    いるのが分かるようになっています。

    お母さんどうせ最後まで出て来ないのかと思ったら、ちょっとだけ
    出てきて嬉しかったです。

  • 高校生の由紀夫君には、現在進行形で4人の父親がいる。

    このおとうちゃんたちがね、個性的でいいんです! そして、どんな形であっても(さすがに母1、父4、子供1という家族はスゴすぎるけど)、親って親なんだなぁとしみじみと思います。父4人、一緒に暮らしているのに、みんな由紀夫のことが愛しくて大切でしょうがないんですね。

    お父さん4人がいっぺんに参観日に来たら、そりゃびっくりするでしょうけど!

    しょうもないことも、ちょっぴりいけないことも、真面目に目いっぱい取り組む大人って(現実はともかく)いいですねぇ。それぞれの言葉に、妙な説得力があります。それはきっと、彼らの言葉と行動にブレがないから。

    事件も、冷静に思うと由紀夫君、かなりのピンチなんですが、なんだかお父ちゃんたちの愛情と結束を示すためのエピソード、としか思えなくなります。

    星ひとつのマイナスは、多恵子ちゃんってキャラが好きじゃないから。あのタイプの、人の話を聞かずに押しばかり強い女子って嫌い。まあ、その多恵子のキャラが、ピンチを脱するのに役立ったわけですが。鱒二君にもイラッとするけど、あいつのダメっぷりは、たぶん由紀夫君にも責任があるから、まあしょうがないのかもしれません。いや、でもやっぱりあんな奴ダメだ。

    とはいえ、とにかく楽しいお話です! そして、お父さんや由紀夫によって語られる&最後にちょっとだけ登場するお母さん。4人の夫と暮らすだけのことはある。おそらく、この作品の中では最強です。

  • 面白かった!やっぱり伊坂作品はその世界に夢中になる。
    電車での長い移動時間に読むと、時を一瞬に感じる。
    映像化が楽しみ。

  • 単純に面白かったです。伊坂作品は文庫でしか読んでいないし全部読んでいるわけではありませんが、最近読んだ「SOSの猿」も「バイバイブラックバード」も、どちらかというと実験的な作品だったと思うので、これは久々に自分の思う伊坂幸太郎の王道を読めた!という満足感がありました。が、作者いわく「第一期最後の作品ともいえる」ということで、やはりこれを最後に作風の転換(発展)があったということなんだろうなあ。こういう作品がこれからあまり書かれなくなるのだとしたらちょっと残念です。

    物語は4人の父親を持つ高校生・由紀夫くんが主人公。モテモテの母親が四股交際のあげく、生まれた子供の父親は4人のうち誰かわからないまま、あえてDNA鑑定なんて野暮なことはせず、全員と同居しているという特異なファミリー。父親たちは由紀夫くんを溺愛していて、ピンチのときには全員一致で協力して息子を助け出してくれます。

    この4人の父親がそれぞれ個性的で、どのパパもとても好きでした。一人を選べないお母さんの気持ちもわかる(笑)。由紀夫くんも良い子だし、はた迷惑な幼馴染の鱒二くんもなんだか憎めない。唯一苦手だったのは、紅一点キャラの多恵子ちゃん。こういう子がいないとストーリーが動き出さないだろうから必要なのはわかるけど、身勝手で強引で押し付けがましくて、男性から見るとこういう子が魅力的なのか男性作家が好んで書くタイプの女の子ですが、同性からはちょっと嫌われるタイプだと思います(苦笑)。まあ後半の由紀夫くん救出劇には役立ってくれたのでチャラという感じでしょうか。

    とりあえず続きが気になって勢いで読めてしまうし、伏線回収→ハッピーエンドなので安心して読めます。解説は島田雅彦。

  • 由紀夫=加賀。
    多恵子=横山。

    しっくりくるわー。
    ハロヲタだけわかれば良いよ。

  • うーん。
    なんか良さげな雰囲気なんだけど
    よく考えるとおかしくて
    ファンタジー要素が強い印象
    追い討ちをかけたのは
    そのまま映画版も見てしまったから…

  • 久しぶりに伊坂幸太郎さんの本を手に取る。4人の父親それぞれのキャラが立っていて楽しい。伊坂さんのキャラクターには、設定じゃなくてそのキャラそれぞれの哲学があるから好きだ。

    主人公に4人の父親がいる、しかも同じ家にみんなで同居している、という設定からしてありえないのだが、そこは軽妙にスルーされる。主人公に近しい登場人物ほど苗字が出てこないことからも、それはこの世界のやさしさなのだと思う。

    ところで、この作品の主人公は由紀夫で、その友達の名前は鱒二である。後者は井伏鱒二からかな? と思っていたが、なかなか作中でそのことが言及されないので、はて…と思っていたところ、いかにも頭のあまり良くなさそうな、軽薄そうな若者が「井伏鱒二と同じかよ?」と言ったので、にこにこしてしまった。
    ポイントは、教養なんてとてもなさそうな若者がそう言ったことで、つまり私は作者(伊坂さん)がこんな軽薄そうな若者でさえ、愛着を持って描いているのだということを感じてにこにこしたのだ。なかなか彼も悪くないでしょ? と暗に伊坂さんが思っているようで。

    作中、主人公の由紀夫は、4人の父親のうち、もっとも信頼できそうでしっかりと落ち着いている悟に「由紀夫、おまえは、今まで十何年か生きてきて、友人でも教師でもいいから、この人は優れている、と思える人間に会ったか」と訊かれている。そして、それに由紀夫は「あまりいない」と答えている。

    「だろうな。俺もそうだ。ほとんどいない。自分自身を含めて、いい人間なんてのには出会ったことがない」

    悟がこう思っているということを、彼らの会話から私たちは知るわけである。(おそらく)由紀夫の母親にべた惚れであるだろうし、ほかの父親ともそれなりに仲良くやっているだろうし、そして由紀夫のことをとても愛しているであろう悟が、まさに自分の息子にそう言うのを聞くのだ。
    シニカルである。

    私はこの本で、p301のこの箇所が一番好きだ。
    「「それなら、せめて俺だけでも、被害者になるよ」と由紀夫は言った。実際に被害者になるようなことは絶対にない、と高をくくっているからこそできる発言でもあった。」
    この部分と、一番最後の、彼がさりげなくお母さんの重い荷物を持ってあげながらの母息子の会話を読むと、由紀夫君を心底若いなぁと感じてほほえましい。これからもがんばれ~。

    「「元気? わたしの大事な夫たちは」
    そんなの知らねえよ、と由紀夫は答えた。」

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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