首折り男のための協奏曲 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 417
  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250311

作品紹介・あらすじ

被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の“彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う高校生は“彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で、泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る!伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。

感想・レビュー・書評

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  • 伊坂さんの話は、この曖昧模糊とした話の終わり方の余韻を楽しむのでしょうね。結論は何かなどと考えてはいけない。自分のバイアスのまま受け入れ、感じるままに面白がればいんだと思う。一方、この7話が、黒澤さん、首折り男、少年のいじめ、時空のねじれというキーワードでゆるく繋がっていることもタイトルの協奏曲となっていたんだろう。今回の話しのお気に入りは「人間らしく」かな。「神様は時々見ていてくれている」ことに共感。絶望している時は助けてくれると信じることでちょっと気が楽になる。結果はどうであれ勇気を持てる話だった。

  • 途中意味が分からず「ん?」と思うことがいくつかあり、最後伏線が回収されるかと思ったらそれもなく、読後にモヤっと感が残ります。
    でも綺麗に終わっても逆に物足りないのかもしれません。
    元々独立した短編だったものを加筆修正して繋いだ作品とのことで、物語というよりは芸術作品のよう。
    読者に「伝える」よりは、読者に「考えさせる」感じ。お好きにどうぞ、みたいな。

    また、この方の作品は、言葉遊びが秀逸だと思いました。
    物語も面白いのですが、それより登場人物の会話に引き込まれてしまいます。会話に小さな伏線があるかのよう。
    以下、いいなぁと思った言い回し。

    ・天網恢々疎にして、そこそこ漏らす
    ・驕れるもの得意分野に隙あり

    7つの話からなる短編集。
    特にお気に入りなのは「月曜日から逃げろ」と「合コンの話」でした。



  • 重力ピエロもそうやったんやけど、何?この会話の知的さ!(ああ言えば、こう言うというイケズな人とも言うけど。)
    こう言う会話好き!
    …やけど、会話が多過ぎんか…短編集なんやけど、全体的に。
    伊坂さん作品常連の黒澤さん。本業:空巣、副業:探偵という異色な方が良く出演されてて、ベラベラ喋る。口から先に生まれたと言われて育った私が言うのもなんやけど(^^;;
    はじめは、殺し屋中心の話かと思ってたけど、そうではなく、怪談モノ、恋愛、はたまた合コンと幅広くある。
    たまには、こんなのも良いかな。私も、そろそろ、終活を考えなくもない方なんで、「僕の舟」とかにグッと来た。そんな事があれば良いな。

  • 勝手に長編だと思っていたので、
    読み終わった時はあれ?と驚きましたが、
    短編集でなんとなく繋がりを持たせてみた…
    って感じの作りだったのですね。
    それだと納得(^-^)

    殺人鬼なのか泥棒なのか、
    良い人なのか悪い人なのか、
    そんな男・黒澤がそれぞれの話に出てきます。
    「僕の舟」と「合コンの話」が特に気に入ってます。
    伊坂さんの話の登場人物は、特に個性的という程ではなく
    普通にその辺にいそうなキャラなのに、
    何故か印象深く残る人が多いような気がします。
    この本も、また少ししたら登場人物達に
    無償に会いたくなって読み返しそうな予感。

    ところで、山家清兵衛さんって
    実在の人物だったのですね!
    知らなかった〜

  • H30.2.9 読了。

    ・短編集。「首折り男の周辺」「合コンの話」は、面白かった。

  • 割とずっと長編かと思って読んでいたのと、中断しながら何日もかけて読んでしまったのは失敗だった。「?」というだけになってしまう。短編集だけど一気に読んでしまった方がいい本だと思う。一つひとつの話が次に繋がっているようないないような感じで、不思議な感覚になった。

  • 各話なんとなく繋がっていて素敵。人間らしくが好き。

  • あれ、なんかいつもと違うタイプの短編だな?
    ラストに伏線回収がされるわけでもなく、、
    と思ったら後書きを読んで納得、いや驚きです。
    幾つかの雑誌のために書いた短編をまとめて繋がりを持たせるために加筆修正したものだとのこと。
    首折り、黒澤、神様のタイミング、時空のねじれ、いじめ、銀座といったワードで全体がうっすら繋がっています。
    どの話もあまり動きがなく、登場人物の会話だけで物語が進むことが多いです。それもまたいつもと少し違う伊坂幸太郎の世界で楽しめました。
    あと何より黒澤ファンとしてはこんなに黒澤が登場する話はないので満足です。

  • 題名だけ見て買った一冊。

    短編集だった。

    短編でもひとつひとつの話しに何かしら繋がりがあるから、最後に全部がまとまりスッキリするんだなと勝手に期待していたがどうも違ってた。

    最初の方の話は面白かった。
    短編の短い話の中にちゃんと伏線がいくつかあり、しっかり回収してスッキリ終わる話もあり読み応えがあった。

    半分くらいから最後は、なんだか中途半端な終わり方の話や、なんか読みづらい書き方の話しがありつまらなかった。

    結局首折り男はなんなのかよくわからない小説でした。

  • 伊坂幸太郎ワールドな短編集…
    と思いきや、読んでたらなんかちょっと違うような
    いや、違わないような…

    「首折り男の周辺」
    首を折って殺人をする男に間違えられた男のはなし

    「濡れ衣の話」
    子供を交通事故で亡くした父親と首折り男のはなし

    「僕の舟」
    老夫婦の奥さんの若かりし日の恋の話

    「人間らしく」
    クワガタの世界と人間の世界のはなし

    「月曜日から逃げろ」
    泥棒の黒澤とTVマンのはなし

    「相談役の話」
    めちゃくちゃ意外!怪談はなし

    「合コンの話」
    ラストでおお~!なはなし

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒。2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。04年に『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、短編「死神の精度」で日本推理作家協会賞(短編部門)、08年『ゴールデンスランバー』で本屋大賞と山本周五郎賞、14年『マリアビートル』で大学読書人大賞、20年『逆ソクラテス』で柴田錬三郎賞を受賞。その他の小説に『クジラアタマの王様』『フーガはユーガ』『ホワイトラビット』『AX』『サブマリン』『陽気なギャングは三つ数えろ』『火星に住むつもりかい?』『重力ピエロ』『グラスホッパー』などがあるほか、阿部和重氏との合作『キャプテンサンダーボルト』、八組の作家による文芸競作企画「螺旋プロジェクト」から生まれた『シーソーモンスター』がある。

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