ホワイトラビット (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.76
  • (474)
  • (1099)
  • (760)
  • (106)
  • (32)
本棚登録 : 11794
感想 : 805
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250328

作品紹介・あらすじ

兎田孝則は焦っていた。新妻が誘拐され、今にも殺されそうで、だから銃を持った。母子は怯えていた。眼前に銃を突き付けられ、自由を奪われ、さらに家族には秘密があった。連鎖は止まらない。ある男は夜空のオリオン座の神秘を語り、警察は特殊部隊 SIT を突入させる。軽やかに、鮮やかに。「白兎事件」は加速する。誰も知らない結末に向けて。驚きとスリルに満ちた、伊坂マジックの最先端!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 黒澤の役割を完璧に間違えていた。もちろん彼が泥棒だということは知っている。そして単なる泥棒ではない。という記憶が、(笑わないでね)彼がタイムリーブ出来る能力を持っているという記憶にすり替わっていた。

    どうしてそうなったのか、聞かないで欲しい。ともかくわたしは読み始めて暫くしてから時系列表を作っていた。ラストはわたしが推理する。そういう自負のもとにである。伊坂幸太郎には、いつも時間軸ずらしで騙されてきた(ストーリーテラーとして魅了されてきた)という記憶があるので、ラストを予測しようとしたのである。

    先走って言ってしまえば、既に「ホワイトラビット」を読了の皆さんは「惜しいなあ」と思っていることだろう。「よく頑張ったよ、でも意味なかったよね」とかね。

    「おいおい、はやく物語そのものへの感想を書けよ」
    と貴方は思っているかもしれない。
    いやこういう回り道、「無駄なところが物語を豊かにしている」と、「物語そのもの」の中で誰かが言っているんですよ。

    「でも、お前、そうやって本来のレビューを誤魔化して終わらす気だろ?」
    ギク。
    でも、罪を犯したことなんてない、と言い切れる人間はむしろ、嘘だ!
    この小説の面白さは、読んでみなくちゃわからない。
    ‥‥だから、これで終わらせてください。

  • 伊坂幸太郎 著

    伊坂幸太郎さんの著書、文庫本になってたから、久々に読むことにした。

    結論から言おう!やっぱり面白い( ^∀^)

    いつもの伏線回収とはまた違った切り取り方で物語は二転三転しながら進んでゆく。
    これはこれで非常に面白くて、やはり伊坂さんに
    してやられた感は否めない。
    もうお解りかと思うが…的なことが何度となく出てくるのだが、うむ?まだ説明がほしいかも…、、と思って読んでいると、ちゃんと、巧いタイミングで、その反応の先をゆく語りが絶妙‼︎
    オリオン座の逸話や『レ.ミゼラブル』『走れメロス』『因幡の白兎』の蘊蓄や引用する言葉選びが
    抜群で感服しちゃう。
    しかも、ところどころに、プッと吹き出すやり取りが、笑いを誘う。
    フィクションでありながら、どこかリアルな雰囲気を漂わせている。
    たしか…ライシュライフで登場した、私の好きな黒澤が本作でも登場!
    黒澤キャラ、とてもいいo(*゚▽゚*)o
    憧れキャラだけど、自分はさしずめ中村か今村キャラといったところだろうか?(^^;;
    兎田孝則もいい味出してる”白兎事件”巧いこと掛け合わせてる。

    作中文から引用
    “争いの起きにくい環境で、穏やかで優しい人間として子供を育てたら、攻撃性ゼロの穏やかな人間が育つだろう、とやってみたら、実際にそのようなことはなく…
    ほんの少しの刺激で攻撃的な反応を示す人間になっていたー中略…
    人間はもちろん動物には、攻撃性がもともと備わっており、大事なのはそれをゼロにすることではなく、うまく発散させ、折り合いをつけることなのだ。”
    伊坂幸太郎さんの作品の本質が垣間見えるような文章だと思った。

    伊坂幸太郎さんの作品は大抵、いつ読んでも面白く好きなので、焦ることなく、その本質にかえるように時々、読み継いでゆきたいと思う。

  • すっかり、騙された!
    素直に読んだら、伊坂さんの思う壺。
    極めて注意深く読み進めないといけない。

    読了後所々読み返して、じわじわとスッキリしてきました。これは唸らされます。

    そして、相変わらず捻くれまくった勧善懲悪がとてもステキ。

  • 伊坂幸太郎作品はいつ読んでも面白いに決まっていると思ってるから、安心して後回しにしてしまう事がある。
    この作品もそう。
    で、ようやく読んでみて、やっぱり面白かった!

    物語の中盤で、あれ?あれ?あれ?と混乱し、今までまんまと騙されていたことに気づく。
    その後の展開も痛快で、終盤にはホロリとさせられる場面も。

    人間の一生って、宇宙規模で見れば確かに『はい、生まれました。はい、いろいろありました。はい、死にました』みたいなもんだけど、そのいろいろが時に苦しくも愛おしいのよ。

    レ・ミゼラブルを読んでみたくもなりました。

    それにしても伊坂幸太郎作品の会話シーンは落語のようで、いつまでも続けて欲しくなります。

    • りまのさん
      かおりさん
      フォロー頂き、ありがとうございます!
      この本、積ん読本になっています。買って置いて、安心しているのです。…そんな本が沢山ある、私...
      かおりさん
      フォロー頂き、ありがとうございます!
      この本、積ん読本になっています。買って置いて、安心しているのです。…そんな本が沢山ある、私です。こんな私ですが、どうぞよろしくお願いいたします!
      りまの

      2021/02/12
    • かおりさん
      りまのさん

      コメントいただいていたのに気づかずすみません!

      りまのさんの本棚は、小説も漫画も興味をそそられるものが多くて、よく参考にさせ...
      りまのさん

      コメントいただいていたのに気づかずすみません!

      りまのさんの本棚は、小説も漫画も興味をそそられるものが多くて、よく参考にさせていただいています。

      これからもどうぞよろしくお願いします。
      2021/02/25
  • 何か一人旅で、各駅停車の列車で、あちこちフラフラと寄り道しながら、進んでいく感じ。

    立てこもり事件やけど、何か複雑な背景な人ばっかり…
     抜け殻の刑事。
     誘拐を糧にしてるヤツ
     間違って置いた紙取りに来た空巣
     誘拐ベンチャー企業家
     暴力父親に困る母子

     恋人から別れを切り出されたリポーター
    etc
    こんなに、訳ありやと、事件の真実が訳ありでも驚かんわ。
    まぁ、こんなに訳分からん人オンパレードって…
    ないわ!
    伊坂さんの作品は、会話が知的というか、屁理屈多いというか…なかなか…
    好きやけど、現実世界やったら疲れそう。
    何かはじめの事件から、真相へと進むにつれ、えっ?ってのが多過ぎて、自信喪失します!
    楽しめました!
    エンターテイメントや!(^_^)v
    黒澤さんご活躍!

    PS
    「レ・ミゼラブル」読まな…^^;

  • 読み始めて、あれ?これはいつもの伊坂作品と違って、どうにも登場人物ばかりが多く登場してストーリーがばらばらの印象だなぁ、とややガッカリしながら読み進めていたのだけれど。

    半分くらいを過ぎて、物語がクライマックスへ向かうにつれて、当初の印象とは真逆に、ストーリーテラーたる伊坂幸太郎の面目躍如といった感じで、バラバラに思えた物語の端々が、見事に集結していって、お見事!っと思わず声をかけたくなるような展開に。

    流石ですね。

  • 目の前で起こっていることは、もうすでに起こった出来事かもしれない

    それを鮮やかに描いていて、とても引き込まれた
    機智に富んだ洒落にあふれてて、それも物語を豊かにしていて、読んでいて飽きない

    さすが伊坂さん

  • 私が伊坂幸太郎さんの作品にハマったきっかけは、当時発売されたばかりの「重力ピエロ」ではなく
    「ラッシュライフ」でした。
    登場人物が複雑に絡む仕掛けも面白いのですが、何より「どんな立ち位置の人でも同等に機会と危機が訪れて回り続ける」ことに救いを感じました。

    その作品に登場した空き巣である
    「黒澤」が再登場する話
    いつも冷静で、何事にも動じず、
    ある場所から別の場所に突然現れる(様に見える)、被害者に不安を与えぬ様置き手紙(盗んだ品の明細)を残す律儀な泥棒
    ややズレたようで「まぁそうだけど」と言いたくなるようなことを言う男
    (さらに人間の常識から外れた言動が濃くなると、伊坂作品の「死神」である千葉に似てくるかも?二人は共演したこともあったはず)

    誘拐を専門にしている犯罪グループの起こした事件に巻き込まれます。
    警察、立て篭りの舞台となった家の住人、犯罪グループの担当者である兎田や
    黒澤の同業者など、今回も様々な人が事件を中心に星座のように繋がり楽しませてもらいました。

    黒澤が主役ってことは「こう言う事」
    起こるよな〜って…まんまとやられた。

    「この物語は変な話」と、
    物語を進行する"語り手"がいるのは
    「レ・ミゼラブル」がモチーフとなっています。
    最初は「ラッシュライフよりも一つの事件を中心に繋がりが明確な人物配置なのに、こんな説明がいるのか!?」と訝しんでましたが、徐々に馴染んで来ました。
    この語り手って「オリオン座の視点?」

    なので
    五年くらいかけて「レミゼ」を読み終わってから読むことをお勧めします!(※読めばわかります。)

    久しぶりにじっくり時間を作れる日が続き、2日で読み終えてしまった。
    楽しくて嬉しいやら、寂しいやら

    解説は…ちょっと説明しすぎのような…
    読まなくてもいいかな…

    • ikezawaさん
      コメントありがとうございます。
      伊坂さんはファンではあるのですが、ある時から大事にし過ぎてすぐには読まない様に気をつける様に少しずつ読んでま...
      コメントありがとうございます。
      伊坂さんはファンではあるのですが、ある時から大事にし過ぎてすぐには読まない様に気をつける様に少しずつ読んでます。

      伊坂さんのと、読んだことのあるモノを中心に見てたのですが、ついつい多くなってしまいました。
      (サブマリン、やはりもう読もうかな)
      特に音楽にが良かったです。

      フーファイターズとオフスプリングのある図書館が近所にあったらなぁ…
      2020/08/17
    • ikezawaさん
      またお邪魔させていただきますね。
      またお邪魔させていただきますね。
      2020/08/17
    • 大野弘紀さん
      オフスプリングとフーファイターズ!それはほしいですね!喜んでいただけて嬉しいです。
      はい、いつでもお待ちしております。
      オフスプリングとフーファイターズ!それはほしいですね!喜んでいただけて嬉しいです。
      はい、いつでもお待ちしております。
      2020/08/20
  • 「優しくするのはじつに容易いことですが、
    難しいのは正しくあることです。」

    P334 第6項より引用。

    ✼感想✼
    読書を始めて、初めて“伊坂幸太郎”の作品を
    読了しました。この作品では話の中で
    《オリオン座》、《レ・ミゼラブル》などの
    沢山の文献や知識を引用しているのですが、
    そう言った類に詳しくなくても物語の中で
    しっかりと説明してくれながら話が進むので、
    そこら辺は全然気にならず読み進められました。
    話の中で色んな登場人物の視点で話が
    進められていき、それのおかげで突然の
    急展開が行われページを捲る事に驚きとワクワクが
    感じられる作品になっています。
    初めての“伊坂幸太郎”の小説でこの作品を選んで
    良かったと思える作品でした。

  • 「ホワイトラビット」伊坂幸太郎さん

    「人の心は空よりも海よりも壮大なんだよ。
     壮大な頭の中が経験する、一生って、とてつもなく大きいと思わない?」

    1.購読動機
    何も考えないで、小説の世界に飛び込み、安心したかったから。
    はらはらしたり、笑ったり、少しだげ涙したり。
    そんな時は、伊坂幸太郎さんを選んできたから。

    2.ホワイトラビット
    タイトルがなぜホワイトラビットなのか?
    このあたりにも伊坂幸太郎さんの遊び心があり、「あー、そうきたのねー!」となりました。

    伊坂幸太郎さんの小説の舞台は仙台が多いです。
    このホワイトラビットも仙台です。

    人質立てこもり事件。
    この一つの事件をメインに、
    1.詐欺集団事件
    2.泥棒窃盗事件
    3.不慮の事故、殺人事件
    が交差していきます。

    ありがたいのは、読者に理解させやすように、進行役の語り手が、事件の背景を語ってくれます。
    だから、ミステリーというよりも、人情物語の印象です。

    3.最後に
    晴れた日、ホワイトラビットを片手に公園で読書してはいかがでしょうか?
    心も穏やかに晴れやかになる、そんな1日になりそうです。
    #伊坂幸太郎 さん
    #読書好きな人と繋がりたい

全805件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

伊坂幸太郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×