夜の桃 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250540

作品紹介・あらすじ

これほどの快楽は、きっとどこか真っ暗な場所に通じている-。成功した仕事、洒落た生活、美しい妻と魅力的な愛人。全ては玩具にすぎなかった。安逸な日々を謳歌していた雅人が出会った少女のような女。いちずに自分を求めてくる彼女の、秘密の過去を知った時、雅人はすでに底知れぬ恋に陥っていた。禁断の関係ゆえに深まる性愛を究極まで描き切った、瑞々しくも濃密な恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 全てを手に入れたと思っていても、
    すぐ目の前に欲しいものが永遠に
    現れ続ける。

    欲しいものを手に入れ続ける人生は、
    自分は幸せかもしれないけど、
    人を傷つけるよね。

    傷つけた人々へ。

  • この作品はどうなんでしょう??

    カッコイイ売れっ子の作家さんが若いITの社長を主人公にした設定で、おもいっきり男の性を書いた作品。
    ストーリーはごくシンプル。
    でも、作者のこの作品に対する意図、思いは理解しにくい。
    私がまだまだお子様だから??

  • 装丁がとても綺麗ですよね。
    そこにまず惹かれました。

    現代版『人間失格』と解説にありましたが……

    そうでもないかな??というのが率直な感想です。

    魅力的な3人の女性の間をフラフラする成功者の男の物語。

    女性陣はとっても魅力的に描かれているのですが
    肝心の中心となる主人公の男の魅力がイマイチ伝わらない。
    仕事で成功していて、ハンサムで、セックスが上手くて……ってのはわかるんだけど、どうしてここまで女にモテるのか?
    単に金と見た目で女をいいようにしてるだけに見えました。個人的な意見ですが……。

    千映がいくら運命の女だとか肌の合う相手と言われても
    中年になって二十歳以上も年下の女の子と
    そういう関係になったら、そりゃあ舞い上がるよなあ
    くらいにしか思いませんでした。

    恐ろしいくらい肌と肌が合う運命の相手と出会ってしまった、という設定に期待していたのに、中年の男性と、その相手が若い女の子だったから、こういう受け取り方をしてしまったのかもしれない。それは私の感じ方が悪いですね。

    しかもまたその千映っていう若い女が、
    魅力的というより、ものすごく胡散臭い。

    まず父親の話から怪しいし、
    幼いころのトラウマで男性恐怖症、みたいなこと言ってるのに
    主人公にアタックしまくりじゃねーか。
    そのアタックのやり方が完全にプロだし。
    これで天然とか言っちゃう?

    この女は絶対に何かある!!
    悪い父親と実はグルで、偽りの経歴と偽名で
    色んな会社を回ってはそこの社長をたぶらかして
    脅して金を奪って生活してるんじゃないか、とか
    色々考えていたんですが、最初の胡散臭い設定は
    本当だったのかな?この終わり方だと。

    なーんだ。ガッカリ。
    千映の秘密ってなんだろうってずっと思ってたのに。
    結局それかい。胡散臭い話は本当やったんかい。

    うーん、そうかあ。そうなのか。
    千映は本当に純粋でウブな処女だったのかしら?

    ウブさを出したいがためのああいうキャラクターだったのかな?
    高級料理店に行ったら「こんなのはじめて」
    高級ホテルに行っても「こんなのはじめて」
    いいセックスをしても「こんなのはじめて」

    「こんなのはじめて」
    を連発する女ほど、なんか信用ならない感じがしますけどねえ。フーン。

    本当にこれは男性の理想がすべて詰まっている物語なのではないでしょうか。

    奥さんは美人で理解ある賢い妻。夜の営みもちゃんとある。主人公との間に子供はなし。

    4年の付き合いになる愛人も美人で、セクシーボディで
    男をメロメロにする色気があって、エッチにも
    積極的で奥さんにも理解あって本当に申し分のないできた愛人ですよ。
    なんせ周りにいる男たちみんなが彼女の裸を妄想するくらいですからね。

    この愛人がすっっっごくムカついた!!!
    「私は奥さんとうまくいっているアナタが好きなの。
    だから奥さんを大事にしてあげてね。もちろん、私のことも可愛がってくれなくちゃだめよ。ウフ」

    みたいなことをぬかしやがるトンデモ女。
    こういうこと言うやつ、だーいっっっ嫌い!!!
    男にとって理解ある素晴らしい愛人ってこんななのか。ケッ。
    不倫を美談にするなっつーーーーの!!!

    愛人っていう立場がそんなにエラいのかよ。
    奥さんを傷つけることしているくせに
    その奥さんを幸せにしてあげてってどのツラ下げて言ってんだアホ。
    なんでお前が妻よりも上の立場にいるんだっつーの。

    「奥さんと上手くいってるアナタが好き」??はあ???

    こんな事言う奴よりは
    「奥さんと今すぐ別れて!それで私と結婚して!!」
    って怒ってわめき散らす女の方が、まだわかりやすいし可愛げがある。

    こういう「私理解あるのよ、その辺の低レベルの女共とは違うのよ」的なセリフを吐く女本当に嫌いです。胸糞悪い。

    奥さんは奥さんで、自分も浮気してたというオチ。
    とくに激しい言い争いなどもなく、離婚で終わり。
    別れ話のシーンとくに見どころなし。
    終始冷静で良い女で良い妻で居続けた奥さんでした。
    そんな奥さんが怒りに髪を振り乱すシーンとかあれば良かったのに。
    乱れてたのはセックスの時だけでした。

    セクシー愛人が去っていくシーンも
    ありきたりというかなんというか、静かな修羅場という感じ。
    面白くもなんともない。

    女性が髪振り乱して怒るより、冷静に冷めた声で
    責められた方が男性は怖いのかな?

    最後は3人の女性すべてが主人公のもとから去って行って
    しまうのですが、かろうじて仕事は失わなかった模様。

    主人公の友人の男は、同じように浮気して
    妻も愛人も仕事も失ったのに、主人公には仕事が残った。
    その友人の男の方をメインにしたほうが面白かったんじゃないかと思ってしまいました。

    3人の女性の間で浮かれまくる主人公の話を
    延々読まされて、さあこれはどうやって主人公が
    地獄に堕ちてくれるのかと期待していただけに
    ちょっとこの終わり方では、納得できません。

    終わり方もさらに主人公が残念な感じ。
    主人公のアホさが顕著に出たラストシーンでした。

    これを男の愚かさとか、可愛さとか言えるほどの
    余裕はまだ私にはなかったです。

    千映の最後もあれでよかったのかな?
    子供授かっていなくなっちゃうなんて。
    主人公に迷惑かけたくないから、って
    このストーリーはどんだけ主人公の男に都合よく出来てるんですかッ!!

    でも、責められるよりいなくなられたほうが
    精神的に辛いのかな?

    そういう意味では、主人公はどん底に堕ちたといえるのでしょうか。

    わかりやすい修羅場ってもう古いのかなあ。
    3人の女性が一堂に集まり大ピンチ!!
    パニックに陥る主人公、みたいな図を期待していたんですが。

    圧倒的に主人公に都合の良いシーンが多く、
    最後の下り坂はアッサリしすぎていると思う。
    もっとドロドロしてほしかった。

    主人公もそれなりに悩んでたんだろうけど
    3人の女性に迫られて悩めるんなら大したもんでしょうよ。
    そんな贅沢、悩みのうちには入らない。入れされません!

    なんだかよくわからないレビューになってしまいましたが
    なんだかんだ楽しんで読んだので★4つ

    この小説はほとんど情事のシーンで成り立っているといっても過言ではない。

    究極の性愛を描き切った、とありますが
    ちょっとそれは言い過ぎかなと思いました。

    セックスのシーンをひたすら書いたから究極の性愛、
    愛だの恋だのについてひたすら語ったから究極の純愛、
    そういう決まり文句の作品が多すぎる。
    この世の中にはどんだけ究極の愛が溢れているのか。
    滅多にないから究極なんじゃないのか。
    当事者たちにとっては究極ってこと?
    そういうことならまあ部外者に口出しする権利はないです。

    • raindropsさん
      レビューめちゃくちゃ面白かったです。
      これだけ心が動かされてたら、すごい楽しかったんだろうなって言うのがよく分かりました。
      レビューめちゃくちゃ面白かったです。
      これだけ心が動かされてたら、すごい楽しかったんだろうなって言うのがよく分かりました。
      2023/10/05
  • かなり激しい性愛小説。石田衣良さんやっぱり大好き。毎週石田衣良さんのラジオを聴くくらい大好きなのです。
    大きな声でお薦めはしにくい作品だけど彼の性に対しての向き合い方とか必要性だとかすごく分かるし、たまにはこういうのも必要だよーーと。
    人となりが分かっているので嫌悪感なく読めたところはあるかもしれないです。。(。-∀-)

  • こんなにモテる中年男性いるのか?って、しかもこりないっ!なんか、後味悪いなぁ〜ってつい思っちゃいました。

  • 性欲と愛に溺れていく男が遂には転落するも、それでも新しい性欲・愛の萌芽にて筆が置かれる、正に終わりのない物語。

  • 石田衣良の本を初めて読む。
    ふーむ。エロ小説だった。

    イートアピーチ という 飲み屋を 四人で経営しながら
    それぞれが 仕事を持っている。
    ネット広告会社経営、外資のトレーダー、歯医者、文房具屋。

    主人公は 広告会社の 奥山雅人。
    40歳半ばで 仕事が順調で、結婚して 14年。
    子供はなく、奥さん/比沙子は フラワーアレンジメントの教室を開いている。
    全くの生活感のない夫婦。

    愛人 麻衣佳は 広告代理店のディレクター
    しりあって 4年で 麻衣佳は、バツイチ。
    できた愛人である。

    そこに登場する 25歳の 千映。
    ウエブデザイナーで、雅人の会社に入ってきた。
    まだ正社員契約をしているわけでない。

    千映が 雅人に ちょっかいを出し、
    泥沼に 陥っていくと言う話。

    安定した桃 成熟した桃 新鮮な桃。
    それを、かわるがわるに食べながら
    幸福だなぁ と 悦に入る 45歳は、
    急速に 桃が 変質して 一人になってしまうと言う
    セックス遊民 の物語。

  • 描写は本当にめちゃくちゃ好き。
    この素晴らしさをやらしくなく伝えられる語彙が欲しい。官能的で。
    でもストーリー展開的に微妙だった
    というか展開が無い?

    不倫+三股で、人生ハッピー!イージーモード!って感じで逆にこんな生き方でも自分が幸せなら良い→それぞれの人が自分らしい幸福を見つけて生きていこう、のメッセージならそれもそれで良いんだけど(これなのかと思って割り切って楽しく読んでた)
    最後の最後に不倫バレちゃって愛人には子供出来ちゃって踏んだり蹴ったりになった挙句、その帰り道ヤケ酒してアテなく歩いてる時にまだ女に懲りず若い女に声掛けて飲み行く、という終わり方でなんとも…。

    あと、男はこう、女はこう、みたいな書き方があって、主人公クズ系だからこういう考えする人なんだろうなって思ったけど、自分的には△だった〜
    そう分けられてしまうと自分は逆のカテゴリーに当て嵌まる部分が多いから疎外感があるのかもだけど。

    石田衣良さんめちゃくちゃ好きだけど、
    今回は描写と口調以外はあんまりハマらなかったな〜

  • 【表紙がキレイなエロ都市伝説】
    皆さん同様の感想。総じてちょっと汚い感じで残念。「肌が合う」ファムファタルと出逢った男の顛末。エロ都市伝説、喪黒福造が出てきそう。
    ラストの男のバカっぽさは良かったと思う。
    千映が父親と組んで、ああして世の中を渡り歩いてるという仮説を立てたら、怖かった。(笑)

  • 眠れぬ真珠の方が好きかな

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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