動物賛歌 (新潮文庫 ん 40-1)

  • 新潮社 (1981年7月1日発売)
4.75
  • (3)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 13
感想 : 3
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (178ページ) / ISBN・EAN: 9784101251011

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 昭和56年発行。
    動物の流行にも時代を感じるが、著者であるカバ園長の動物愛が随所にみられる良本。

    自らの視点で語られる各動物への賛歌は、生物の特徴だけにとどまらず、著者自身の目を通した観察発言が大変愛らしい。まさにタイトル通りの本である。


    アシカは精力絶倫の代名詞とされる理由を本書を読んで、やっと理解した。
    動物園のアシカが絶食し、約一ヶ月餌を受付けないので、さて困った!と思ったら・・・。
    絶食していた期間は、野生では繁殖期にあたり、オスは一匹で三〇〇匹のメスを相手に交尾するので、飲まず食わずになるとわかり、一安心。
    だが、野生では交尾を終えると死んでしまうアシカもおり、命をかけられないとハーレムは持てないのだなと知り、驚いた。

    ウサギは、フンを食べることは知っていたが、エサだけ食べさせ、粘膜便を食べずにしておくと三ヶ月で死んでしまうことは本書ではじめて知った。

    長老クマにお祝いのために作られたケーキは食べずに「絶対に返してくださいね」と念を押されたケーキ職人さんが大事に使っていた家宝のケーキ板を食べちゃった件には、またまた驚いた。

    人間が自己満足のために作ったケーキを食べずに板を齧るところが、やはり動物。
    個人的には、動物がやったことなので——だけでは済まないし、板食べちゃった事件の顛末はわからないままなので、一番胸が痛いエピソードだった。

    自分が職人気質なのもあるが、クマの項は本書の最後のほうだったので、ケーキ職人さんのケーキ板の話の印象が強く、ケーキ職人さんが事実を知ったときのあれこれを想像しては悶絶した。

    物語の最後って大事ね。

  • 通称「カバ園長」で有名な飼育員西山さんの78年著の本。様々な動物との愛情溢れるエピソード。西山さんが10代の頃東山動物園の飼育員浅井さんにゾウに乗せてもらったというエピソードがありますが、恐らく「かわいそうなゾウ」で有名なあのマカニー、エルドですね。

  • (2005.10.18読了)(2005.06.04購入)
    西山さんは、元東京都恩賜上野動物園の飼育係です。とにかく動物たちのそばにいたい、動物と一緒に暮らせるならどんな仕事でもやるということで、16歳の年に上野動物園に便所掃除夫として入った。動物に対する情熱が認められて一年後、飼育係として目的を達する。以後30有余年飼育一と筋に生きる。飼育担当から広報担当となる。東武鉄道が動物園を作ることになり、園長を頼まれ引き受ける。

    この本は、上野動物園の飼育係として経験したことを広報担当としてまとめたという感じの本です。36の動物について語られています。
    動物園にいる動物がどのような性質を持っているのか知るのに適切な本です。動物園に行く前でも行ってきてからでも愉しく読めます。各動物の写真も収められていますので、どんな格好か知らなくても写真で確認できます。
    ●かばのウンチ(10頁)
    「どう言うわけかオスのカバは、水からあがってフンをする。あの短い尻尾を左右に振りながら、プッ、プッ、プッと出していくのだからたまらない。カバ舎のは、壁から天井までウンチだらけ。」
    アフリカのアサンデ族の民話。「昔々神様が地球上の動物たちを一堂に集めて、住処を決めたときのこと。デブで動きの鈍いカバは、その集まりにすっかり遅れてしまった。やっと神様の前に出て「あたしは太っているから水の中に住まわせてください」と願い出る。神様は他の動物を傷つけたりしないと約束するならという条件で、水の中に住むことをお許しになった。それでカバ君、必ずウンチのときには水から陸に上がり、「神様、ほら御覧なさい。あたしゃ魚など全然食べていませんよ」と、ウンチを撒き散らして、身の潔白を証明し続けているのだという。」
    ●パンダへの手紙(16頁)
    パンダ宛の手紙が、一年間に4000通も来る。いくつぐらいの子供からのが多いかと調べてみたら、たいていが5歳以下の幼児。はっきりわかるのは、パンダちゃんの6文字だけで、あとは字の体をなしていないという手紙が多かった。「東京都、パンダさま」という宛名書きで届いたもの、切手を貼らず、そこに「切手」と書いてあるものなど、思わずにやりとしたくなるようなかわいらしさなのだ。
    ●オランウータン(36頁)
    「オランウータンのふるさとは、ボルネオ、スマトラの昼なお暗きジャングルの中。まだ赤ん坊の頃、人間に生け捕りにされ、バナナの荷物と一緒に運ばれ、船で横浜に着く。調査してみたら、この長い旅で生き残れるのは十頭に一頭の割りだということが分かった。」
    ●クロサイ(52頁)
    「ある日のこと、サイのオリの中で水を撒こうとホースを手にしたぼくはびっくりした。いつも使い慣れたホースが、どうも短いのだ。おまけにホースの先のところにギザギザの歯型が付いている。「まさか」と思ったものの、すぐぼくは「もしかしたら」と考えざるを得なくなった。というのは、これまでにも、えさを入れて運び込んだザルが、いつの間にか姿を消したり、掃除に使う竹箒をバリバリ食っているサイを見かけたことがあったからである。そもそもサイは草食獣といわれているけれど、草だから、柔らかい草だと思うのは、人間のいい加減なところで、同じ草でも潅木の葉っぱとカバラの葉とか、固いエサが好きなのである。」
    ●動物にも人間のことばは通じる(58頁)
    「家で飼っている犬やネコに妻は「あんた風邪ひいたんじゃないの」なんて話しかける。私は、動物に人間のことばが分かるはずもないのに、と思っていた。ところがよく見ていると、心が動物に伝わっている。そこで私も、ライオンの飼育係になったとき「おはよう!」と挨拶してみることにした。そうするとお互いの関係が非常にいい。」

全3件中 1 - 3件を表示

西山登志雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×