こころの処方箋 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 356
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101252247

作品紹介・あらすじ

あなたが世の理不尽に拳を振りあげたくなったとき、人間関係のしがらみに泣きたくなったとき、本書に綴られた55章が、真剣に悩むこころの声の微かな震えを聴き取り、トラブルに立ち向かう秘策を与えてくれるだろう。

感想・レビュー・書評

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  • 何度も読み返す本です。はじめて手にしたときは様々な変化の中で迷いが多く、何か答えを出そうと闇雲に本を読んでいた時期でした。取り上げられている短いお話の中に、そうなのか、思い悩むことはない、と少しずつ縄を解いていった記憶があります。既に他界されてしまいましたが、多くの方の著作、対談の中に著者の言葉が生きていると感じています。

  • 何度も読み返している一冊です。

    丹念に読む、というよりも、さらりと読んで、その時々心に響いた部分をじっくりと読み返す、という感じで読んでいます。

    今回響いたのは、
    「感謝できる人は強い人」という言葉です。
    それも「適切な」感謝であること。

    わかりやすい表現の言葉で綴られているけれども、鋭い。

    これからも、「こころの処方箋」として、活用していきたい一冊です。

  • 「人の心などわかるはずがない」から始まるテーマ毎に短くまとめられておりとても読みやすい。生きるのが、人との関わりが楽になる一冊。

  • 総じて著者は「中庸のココロ」の重要性を訴えているのではないかと思う。完全な自立ではなく、適度に依存しながら自立すること。ほどほどに周囲の目を気にしながら自分の好きなことに注力すること。死にたいという気持ちから生きようとする心が生まれること。真実を言うことだけが善ではないこと。

    著者の優れているところはこういったバランス感覚であり、裏を返せば、真ん中あたりのフラットな視点を保つ困難を、この本を通じて逆説的に知ることができる。著者がいうところの「場あたり的な灯」、つまり安易な決めつけに満ちた心のサプリ本のことだが、その手の白黒断定に縋ることがほとんど何の解決も生まないことを、この本は教えてくれる。

    中庸というのは優しいようで、厳しい。「程よいレベルを自分で考えなさい」という突き放しでもあるからだ。

  • 心が楽になるかもしれない、と思い手にとってみたが、意外と厳しいことも書いてあったりする。現実と理想の狭間で揺れる氏の考えがとても有用なのだと感じられる一冊だ。もちろん基本的には、困難に立ち向かうための気の持ちようみたいなもので、氏のカウンセラーとしての豊富な経験を背景としており感心させられる。著者のあとがきにも書いてあるが、これは言語化されていない「常識」である。そしてその常識をわれわれは忘れすぎている。かつて、常識は「自然」だった。河合隼雄が亡くなってずいぶん経つが、そのことだけでも忘れないようにしたい。

  • 心理学者として日本で最も有名じゃないかと思うのだけれど、著作はほとんど読んだことがなかった。何となく読み始めたら、滋養に溢れたスープのように、痩せた心に染み込んできた。

    「言いはじめたのなら話合いを続けよう」 相手に文句を言ってそれで終わりにしないで、ちゃんと話し合うべき。(確かに)

    「灯台に近づきすぎると難破する」理想を目指していたのに、その理想になったら難破してしまう。理想なしで生きるのは味気ないけど、理想は人生を照らす灯台に過ぎず、到達点ではない。(なるほどー)

    「己を殺して他人を殺す」 自分のやりたいことを後回しにして己を殺し生きてきた人が、他人に害を与えるようになってしまった。己を殺すといっても殺し切ることは出来ず、半殺しになった部分が後で復活する。こういう人は自分の考えや欲望を殺して生きているつもりだが、周囲から見ると勝手なことをしている。言わばチグハグ。(当てはまる知り合いがいる。でもこれ読んでって渡しても自分のことだとは思わないんだろーなー)

    「100点以外はダメなときがある」 努力してるのに報われないという人がいる。そういう人は絶対に失敗してはいけないというときに80点しか取れない。そうでなく絶対必要な時に100点を取り、そうでない時には60点で良い。(うーむ、名言じゃ)

    「一番生じやすいのは180度の変化である」 大酒飲みが、酒をピタッとやめるような真逆の変化は起きやすい。でも元にも戻りやすい。20度変わるよりも楽だから。(そーなのかー)

    「心の中の勝負は51対49のことが多い」 表面的には2対0で圧倒的にこうだと思える人でも、心の中では極めてビミョウなことが多い。(ふむふむ)

    「どっぷりつかったものがほんとうに離れられる」 人間関係でも趣味でも離れるには一度どっぷりつかる必要がある。そうすれば適度な距離がとれるようになる。中途半端だから心残りがするのだ。どっぷりつかるのと溺れるのは違う。溺れる人はあちこちしがみつき、離れられない。(うーむ。確かに確かに)

    というような名言の数々でクラクラしてきた。凡百の自己啓発本とは、月とスッポンだった。

  • 臨床心理の第一人者が書いた人の「心」に関する洞察とエッセイ。

    普段、あまりこういう本は読まないけれど、素晴らしかった。
    読むたびに心動かされたり、ハッとさせられる新しい見方を提示された。可能であれば著者と話してみたかったと思うほど。著者は学者というより人に向き合ってきた医師だったかと思うが、その言葉は現実に即しているが、温かく公平で肯定的なもので満ちている。

    本の大半のページに心に残った部分があるほどだったが、以下特に残したいことを。

    ・ふたつよいことさてないものよ 

    ・絵にかいた餅は餅より高価なことがある。

    ・子供のためと思った開発事業が、心の自然破壊につながる

    ・灯台に近すぎ過ぎると難破する

    ・100点以外はダメな時がある

    ・心の中の勝負は51対49のことが多い

    ・男女は協力し合えても、理解し合うことは難しい

    ・ものごとは努力によって解決しない(努力くらいしかやることがないという考え)

    ・自立は依存によって裏付けられている
    (人生には一見対立しているように見えて、実は互いに共存しているものが多い)

    ・善は微に入り、細部にわたって行わねばならない

    ・灯を消すほうが良く見えることがある
    (目先にある灯を消して、暗闇の中に目をこらす)

    ・適当に不満を言っているくらいがちょうどいい

    ・逃げるときは物惜しみしない

    ・どっぷりつかったものが本当に離れられる

    ・強いものだけが感謝することができる

    ・優しくあるために勇気が必要なのではないか

    ・1人でも2人、2人でも1人で生きているつもり

    ・子育ては、相当な心のエネルギーを消費して向き合うこと

    ・権力の座は孤独を要求する

    ・2つの目で見て、2つの姿を見てその人を形作る

    ・羨ましかったらやってみる。(そこに自らの開発すべき世界があるかもしれない)

    ・のぼせが終わるころに関係が始まる

    ・体験して「知る」ことにより2次災害を防ぐ

  • なかなか的をついた指摘が数多くあった。

    「物事は努力によって解決しない」は
    なるほど、うんちくのある言葉だった。

    「努力はさせてもらう」ものなのである。

  • 心がざわざわした時に、ふと開きたくなる本。「こころ」が、ふわっと軽くなります。

  • いつも手元において、折々に読み返したい本。

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著者プロフィール

河合 隼雄(かわい はやお)
1928年6月23日 - 2007年7月19日
兵庫県多紀郡篠山町(現・篠山市)出身。京都大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。文化功労者。元文化庁長官。1952年京都大学理学部数学科卒業後、京都大学大学院で心理学を学びつつ、数学の高校教諭を兼業した。
天理大学で助教授時代にユング研究所に滞在し、ユング派分析家の資格を取得。日本における分析心理学の普及と実践に邁進。箱庭療法導入者としても知られる。欧米の心理療法を日本文化に根ざす仕方で導入を試みており、日本論・日本文化論の著作も多い。
主な受賞歴に、1982年『昔話と日本人の心』で大佛次郎賞、1988年『明恵 夢を生きる』で新潮学芸賞、1992年日本心理臨床学会賞受賞、1996年NHK放送文化賞をそれぞれ受賞。1995年紫綬褒章、1998年朝日賞、2000年文化功労者顕彰。
なお2012年に一般財団法人河合隼雄財団が設立されており、そこで本人の名を冠した「河合隼雄物語賞・学芸賞」が設けられている。

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