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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784101253213
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みんなの感想まとめ
昔の登山や物流ルートを辿る旅が描かれ、百年前の装備での山行がテーマとなっています。著者は、古い道を歩くことで当時の人々の生活や習慣を追体験し、現代人が失ったものや文明の変化について考察を深めています。...
感想・レビュー・書評
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『岳人』編集部員である著書が、昔の登山、山歩きのルートをできるだけ当時の装備、道順で歩く企画を書籍化したもの。
紹介されている企画は以下の7ルート。
近代の登山黎明期を偲ぶ企画
・奥多摩笹尾根縦走
・奥秩父笛吹川東沢遡行
・北アルプス奥穂高岳南陵登攀
・北アルプス白馬岳主稜登攀
昔の物流ルートをたどる企画
・若狭~京都北山・小浜街道針畑越
江戸時代の加賀藩探索ルートを辿る企画
・黒部奥山廻り(北アルプス・小川温泉~鹿島槍ヶ岳)
近代に開発されたブラストストーブを使った山行企画
・北アルプス・鹿島槍ヶ岳北壁登攀~八峰キレット縦走
ほとんどが登山哲学を語る内容で、山小屋数泊程度の登山と里山歩きの経験くらいしかない私には理解できる部分が少なかったが、小浜街道のくだりだけは多少土地勘があることもあって読んでいて楽しかった。
小浜街道は、かつて京都・出町柳の市場まで鯖を運んだことから『鯖街道』と呼ばれている。朝に水揚げされた鯖に塩を一振りして、一昼夜で72キロもの距離を運んだという。
企画では、本当に一昼夜で鯖を運ぶことができるのか、著者が実際に当時の古道を歩いて検証する。
鯖街道の呼称は思った以上に歴史が浅いことや、一昼夜で運ぶ必要性に疑問が生じるなど実態があいまいなことから、途中まで歩いたうえで一旦は一昼夜運搬説を否定する著者だったが、自分の中で納得しきれず、再び古道歩きを決行する。
参考文献をもとに道をたどり、京都を目指しながら、著者は昔の人々が歩いたルートの合理性について考えをめぐらせる。スポーツとしての登山ではなく、探検としての登山でもない、生活のためのルートをたどる旅は、かつての日本人の生活や習慣を少しだけ追体験するものでもある。
私はこの鯖街道企画のような山歩きが一番好きだ。本書でもっとこのような企画を行ってほしかったな、と思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
百年前の装備で山を登る。そこにはもちろんテントもコンロも燃料もない。ウエアも当時のまま、粗末な着物に草鞋。昔の人の凄さに驚愕する。
知ってる山域も登場し、興味深く読めた。 -
百年前の装備品で同じコースを登山する。現代人が便利さの一方で喪った物を考察する文明論的視点が楽しい。
田部重治、木暮理太郎よる奥多摩笹尾根の縦走と笛吹川東沢釜ノ沢の沢登り、ウェストンの穂高初登頂など記録に残る山行の再現。他に鯖街道と黒部奥山廻りという歴史的な内容、最終章はブラスストーブを携行しての雪山。
現代人が想像するよりも過去の方々の感覚は鋭い。道具を得たことで喪われたヒトの潜在的な能力もある。自然と文明についての深い考察。
登山の原点を見つめたサバイバル紀行。 -
日本登山の黎明期に木暮理太郎や田部重治がたどった道や、かつて若狭湾から京都まで鯖を一気呵成に運んだ道、加賀藩士らが巡視のために歩いた立山の裏道などなど、忘れられた歴史上の道を、できるだけ当時の装備で歩いてみようとした記録。
プロローグにある、廃道に入って行くときのある種の恐怖感や「自分が自分のものになっていく」感覚、北米の先住民がいう「山を軽々しくゆびさしたり」してはいけない(自分より大きなものはいつも用心してきちんと扱わなくてはならない)という教えなどにワクっとしながら読み始めた。
ふと、筆運びのやたらな上手さと、口絵等にある写真の美しさが気になって奥付を見ると、著者は岳人の編集者。山行はカメラマン同行だという。これらは雑誌(岳人だけではない)に掲載された記事なのだった。
なんだ、企画かよ・・・というのが正直な感想で、何だか白けてしまった。
時代の考証や背景の考察は面白く、読み応えがある一方、旅は途中で切り上げられたり割愛されたりしている。実践が薄いのである。
もちろん、どんな山歩きも企画であり実践なんだし、また著者の力量を疑うとかそういう話でもないんだけど、雑誌なら短期間に一定の成果が必要だよなあとか思うと、読前期待したほどには楽しめなかった。 -
迷いがあり、でもそれに愚直に向き合う姿勢がこの本を傑作にしていると思った。
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こういう山の歩き方いいなぁ、とつくづく思いました。
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やっていることも、書いている内容の考察も中途半端。
雑誌の企画ありきで、やっつけ仕事の印象が強い。
必要のない殺生をしてはいけない。 -
作者の行為自体に憧れてしまう。自分ができない分余計にそう思ってしまう。もっともっとチャレンジしてほしい。角幡さんのGPSなしの北極行きに通じるものがある。
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日本の登山体系黎明期の山歩きを再考し、実際にその検証を試みた記録。
一通り読んでいく中で、移動手段がほぼ徒歩に限定されていた当時の大人は現代人より圧倒的に健脚であったのだろうとつくづく思った。笹尾根の下山地点が氷川(奥多摩駅)ではなく青梅で、氷川~青梅の25km、歩いて半日が”すぐ近く”という感覚には意外と納得できた。
本書は登山をいくらか経験してから読むのがおススメかなと。登山や沢登りや登攀や難所の情景を想像できるとより楽しめるなって思った。 -
サバイバル登山の服部文祥。主に「岳人」など雑誌が初出の記事を集めたもの。テーマ自体は、百年前とは限らないが昔の山行をなぞってみるということで統一されている。
里山というような地域は、今よりずっと奥の人が生業のために入っていた。ただ生業でない登山は輸入品で珍しかった。
小浜から京都までの鯖街道。ただし一昼夜で鯖を運んだというのは後年の作話らしい。
加賀藩による黒部奥山廻り。国境画定などの意味合いがあったと。お侍さんたちによる極地法的な山行。装備・技術に対して相対的に難易度が高いと極地法をとらざるを得ない。
灯油を燃やすブラスストーブ。今はガスが主流。精密部品がないシンプルさ。
あとがきで鹿の「鹿性」についてなど狩猟について語る。本編でも狩猟への言及はあるが少しだけ。 -
古道歩きや登山道開拓の話ではあるのだが、一歩間違えるとテクノロジー批判になりかねない。
そこの塩梅は難しいのだな。題材(というか道)は素晴らしい。
生活(狩猟採集・炭焼き・物流)の為の道とトレイルへの変化。
オイルストーブ(プリムスといえば通じるのか)と極地探検・トレイルの開拓の相関性は、ちょっとおもしろ。 -
奥多摩は七ツ石小屋に泊まった時、小屋番のお姉さんから薦められた一冊。
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カクハタ氏の解説も含めて、自分の共鳴する文明批評の真髄の一冊と言える。
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先人の偉業に思いを馳せ、当時と極力同じ方法で山中に分け入る、という何とも趣き深いテーマの作品。
それは決して誰にでも出来る事ではなく、サバイバル登山家として経験豊富な服部氏だからこそ成し得た、ある意味離れ業的な山行である。
著者も作品中で紹介しているとおり、私たちの生活に石油が使われ始める以前は、山に生えている樹木がほぼ唯一の燃料であり建材だったのだ。自然から生活の糧をいただく古来の日本人にとって、山は身近な存在であると同時に、畏敬の対象でもあった事だろう。
あとがきも含め、本書の要旨については服部氏自身も、文章で表現する事にかなり苦労しているように感じられた。でも、冒険家の角幡唯介氏が書いた文庫版解説によって、かなり的確に表現されたのではと思う。 -
現代の便利な登山道具を排して、100年前の装備で山に挑むことにより感性までもが時を遡っています。見事な文章で山と対峙することとは何かを改めて考えさせてくれる良書です。
身近な丹沢に登る時ですらゴアテックスのカッパにカスストーブという便利な装備で臨んでいる自分を少し反省します。だからといって、すぐにサバイバル登山を始めるわけではないのですが、一つの装備によって失ってしまっているかもしれない感性を再考してみたいと思います。
何のために山に登るのか?何を取り戻したくて苦しい思いを敢えてするのか?
使い切れない機能を搭載した便利なグッズに満ち溢れた日常生活は本当に幸せなのか?
深い一冊です。 -
僕は登山はやらないのですが、山岳文学なんかは結構好きです。小説よりも登頂記のほうがいいですね。
本書は近代登山が生まれる前の江戸時代、明治時代の人たちがどうやって山と向き合っていたのかを知るために、当時と同じ装備で登山をする、という一風変わった登山記です。
テントもストーブもブーツもゴアテックスもなく、食料は米と味噌だけで後は現地調達。篭や油紙で風雨を凌ぎ、岩場の登攀もロープは使わず素手で岩に取り付く訳です。すごい!
古地図や古文書を元に失われたルートを探すところは、歴史ミステリー的な趣きもあって楽しめます。
しかも昔の人、山から降りても電車ないですから、そのまま歩いて帰るんですよね。それも結構すごい。 -
登山家としても一流の作者が、現代の装備にとらわれないで、登山に挑む、そのレポートの本。古地図などから導き出される古来の登山道の探索を通じ、本来の登山(という言葉で良いのかは悩みどころですが)を探す。鯖街道の行が興味深かった。
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サバイバル登山家の異名を持つ著者によるサバイバル紀行。
現代のテクノロジーを一切排除し、100年前の方法で先人達が行ってきた登山を体験しようという着想が面白い。
電気機器もテントもコンロも持たず、服装も100年前に拘った登山行から見えて来る山の世界は新鮮であり、人間として生きている事の意味までもが伝わって来るようだ。
著者プロフィール
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